悪魔も泣き出す新エリー都   作:オムライスα

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Wanna know the name?

『Devil May Cry』


第十二話 キャバリエーレ&???

翌日。

 

新エリー都の郊外へ続く道路を、一台のバイクが走っていた。

 

エンジンの低い唸りが、誰もいない道路へ響き渡る。

 

そのバイクを運転しているのは、もちろんダンテだった。

 

「……。」

 

赤いコートを風になびかせながら、ダンテは前方を見つめる。

 

昨日まで乗っていたバイクとは違う。

 

つい最近、ダンテが購入したばかりの新しい愛車だ。

 

「悪くねぇな。」

 

アクセルを少しだけ開く。

 

グォンッ!!

 

エンジンの回転数が上がり、バイクが一気に加速する。

 

「いいじゃねぇか。」

 

ダンテは楽しそうに笑った。

 

「こういうのも悪くない。」

 

新エリー都の中心部から離れるにつれて、人の気配はどんどん薄くなっていった。

 

そして。

 

しばらく走ったところで。

 

「……ん?」

 

ダンテがアクセルを戻す。

 

前方に何かが見えた。

 

道路脇に設置されていたガードレール。

 

その一部が、大きくひしゃげている。

 

さらに、その先は崖だった。

 

「事故か?」

 

ダンテはバイクを道路脇へ寄せ、その場で停車させる。

 

エンジンを切ると、辺りは一気に静かになった。

 

「……。」

 

ダンテはバイクから降り、破損したガードレールへ近づく。

 

ガードレールには、何かに激しく衝突したような跡が残っている。

 

その先の崖下には、ホロウが広がっていた。

 

「派手にやったな。」

 

ダンテは周囲を見回す。

 

タイヤ痕。

 

破片。

 

そして、何か巨大なものが通ったような跡。

 

「……。」

 

ダンテの表情が少しだけ変わる。

 

「こいつは……。」

 

その時だった。

 

――ゴォォォォォッ!!

 

上空から、何かが落下してくる。

 

ダンテが顔を上げる。

 

「……?」

 

崖の上。

 

そこから。

 

巨大な影が現れた。

 

ズンッ!!

 

大地が震える。

 

巨大な人型の悪魔が、崖の上へ降り立った。

 

その巨体は、ダンテの倍以上。

 

全身を黒い装甲のようなものが覆い、その手には長大な剣が握られている。

 

そして、その剣には。

 

バチバチバチッ!!

 

激しい雷がまとわりついていた。

 

「……。」

 

ダンテは、その姿を見上げる。

 

そして。

 

「……お前。」

 

僅かに目を細めた。

 

「懐かしいじゃねぇか。」

 

巨大な悪魔。

 

その名は。

 

キャバリエーレアンジェロ。

 

かつて魔帝ムンドゥスによって創造された、強大な悪魔。

 

不完全な存在でありながら、何かを拠り所とすることで力を得る異形。

 

本来なら、その身体にはトリッシュが囚われている。

 

しかし。

 

この世界のキャバリエーレアンジェロには、トリッシュの姿はない。

 

代わりに。

 

その体内から。

 

一本の魔剣がはみ出ていた。

 

――アラストル。

 

雷を司る魔剣。

 

そして今、その力を象徴するかのように、巨大な剣へ雷が集まっている。

 

「……アラストルか。」

 

ダンテが呟く。

 

キャバリエーレアンジェロは答えない。

 

ただ。

 

巨大な剣をゆっくりと構える。

 

「おいおい。」

 

ダンテが笑う。

 

「挨拶くらいしてくれてもいいんじゃねぇか?」

 

次の瞬間。

 

バチィィィッ!!

 

雷が爆ぜた。

 

キャバリエーレアンジェロが一瞬で距離を詰める。

 

「――!」

 

巨大な剣が振り下ろされる。

 

ダンテは横へ飛び退いた。

 

ズガァァァン!!

 

剣が地面を叩き、猛烈な衝撃が周囲へ走る。

 

キャバリエーレアンジェロは止まらない。

 

その巨体からは想像もつかないほどの速度で、再び剣を振り上げる。

 

「……。」

 

ダンテは後ろを見る。

 

すぐそこには。

 

さっきのバイクがある。

 

そして。

 

そのさらに先には。

 

破損したガードレール。

 

ダンテの口元が上がる。

 

ダンテは一気にバイクへ駆け寄った。

 

「だったら――。」

 

バイクへ飛び乗る。

 

エンジンを始動。

 

――グォォォン!!

 

アクセルを全開にする。

 

「来いよ!」

 

キャバリエーレアンジェロが剣を構える。

 

「――!」

 

ダンテは。

 

破損したガードレールへ向かって一直線に走り出した。

 

バイクの速度が上がっていく。

 

さらにアクセルを開く。

 

バイクが。

 

ガードレールの途切れた場所から。

 

大きく跳び出した。

 

「――!!」

 

そのまま。

 

崖の向こうへ。

 

飛翔する。

 

「ははっ!」

 

ダンテは笑った。

 

「最高だぜ!」

 

眼下には巨大なホロウが広がっていた。

 

黒い球体状の壁、その内部には異様な空間が広がっている。

 

ダンテはバイクの車体を傾ける。

 

その直後、背後から。

 

ズンッ!!

 

巨大な影が飛び出した。

 

「……。」

 

キャバリエーレアンジェロ。

 

巨大な悪魔もまた。

 

ダンテを追って崖から飛び降りた。

 

ダンテが笑う。

 

キャバリエーレアンジェロは、巨大な剣を振り上げる。

 

バチバチバチッ!!

 

雷が激しく弾ける。

 

ダンテはバイクのアクセルを一気に開いた。

 

「――行くぜ!」

 

エンジンが唸り、バイクが猛然と加速する。正面から迫ってくるキャバリエーレアンジェロは、巨大な雷の剣を構えたまま動かない。

 

「……。」

 

その巨体を見上げながら、ダンテは不敵に笑った。

 

「懐かしい顔だな。」

 

キャバリエーレアンジェロが剣を振り上げる。

 

次の瞬間、雷を纏った刃が凄まじい速度で振り下ろされた。

 

ズガァァァン!!

 

「――!」

 

バイクが二つに切断される。

 

しかし、そこにダンテの姿はなかった。

 

「残念。」

 

声が響いたのは、キャバリエーレアンジェロの背後。

 

瞬間移動したダンテは、離れた場所に着地するとスパイラルを構える。

 

「こいつは置いていくぜ。」

 

銃口が光った。

 

――ズドォォォォォォォン!!

 

超大口径の弾丸が一直線に飛び、キャバリエーレアンジェロの巨体へ叩き込まれる。

 

「グオォォォォッ!!」

 

巨体が大きく揺れた。

 

それでも倒れない。

 

左腕の巨大な盾を構え、次の攻撃に備える。

 

「へぇ。」

 

ダンテは楽しそうに笑った。

 

「相変わらず硬いな。」

 

スパイラルを下ろし、今度はコヨーテ・Aを抜く。

 

「じゃあ、こいつはどうだ?」

 

銃口を向ける。

 

「――ガン・スティンガー!」

 

ドォン!!

 

強烈な散弾が一気に放たれ、キャバリエーレアンジェロの全身へ叩き込まれる。

 

「グォォォォォッ!!」

 

盾で防ぎ切れなかった衝撃が巨体を大きく後退させる。

 

その一瞬。

 

ダンテは地面を蹴った。

 

「隙あり!」

 

一気に距離を詰める。

 

右手には、氷の冷気を纏った三節棍。

 

「――ケルベロス!」

 

ブンッ!!

 

一撃目が巨体の胴を打ち抜く。

 

続けて二撃、三撃。

 

ザンッ!

 

ガキィン!!

 

ズガァン!!

 

氷を纏った棍が雷の剣と激突し、凄まじい火花を散らす。

 

キャバリエーレアンジェロが剣を振り抜く。

 

しかし、ダンテは身体を沈めてかわした。

 

そのままケルベロスを振り上げる。

 

「食らえ!」

 

ズガァン!!

 

強烈な一撃が腕へ直撃した。

 

纏っていた雷が一瞬だけ消える。

 

「――なるほど。」

 

ダンテの目が鋭くなる。

 

「雷を消せば、少しは弱くなるってわけか。」

 

キャバリエーレアンジェロが瞬間移動する。

 

姿が消えた。

 

「おっと。」

 

ダンテも周囲を見回す。

 

遠く離れた場所に、雷を纏い直し始めた巨体が現れる。

 

「チャージ中ってところか。」

 

ダンテはケルベロスを構え直す。

 

「なら、待ってやる必要はねぇな。」

 

一気に駆け出す。

 

キャバリエーレアンジェロが雷の剣を振り上げた。

 

だが。

 

「遅ぇ!」

 

ダンテが懐へ潜り込む。

 

ケルベロスが唸りを上げる。

 

ザンッ!!

 

一撃。

 

ザシュッ!!

 

二撃。

 

ズガァン!!

 

三撃。

 

連続攻撃によって、キャバリエーレアンジェロの巨体が大きくよろめく。

 

だが、左腕の盾が前へ突き出された。

 

ダンテの攻撃が盾へ当たる。

 

――ガキィン!!

 

「……。」

 

ダンテは一度距離を取った。

 

「そいつは厄介だな。」

 

盾を構えている限り、攻撃が通らない。

 

ならば。

 

「壊すしかねぇ。」

 

ダンテはケルベロスを消し、腰のリベリオンへ手を伸ばす。

 

「最後はこれだ。」

 

リベリオンを抜く。

 

キャバリエーレアンジェロが雷の剣を構える。

 

ダンテもまた、大剣を肩へ担いだ。

 

「来いよ。」

 

一瞬。

 

互いに動かない。

 

そして。

 

同時に踏み込んだ。

 

「――ッ!」

 

キャバリエーレアンジェロの雷の剣が振り下ろされる。

 

ダンテは紙一重でかわし、その懐へ滑り込んだ。

 

「終わりだ。」

 

リベリオンが閃く。

 

ザァン!!

 

雷を纏った巨体を、斜めに切り裂く。

 

「グォォォォォォォォッ!!」

 

キャバリエーレアンジェロが咆哮する。

 

しかし、ダンテは止まらない。

 

一歩踏み込み、さらに一閃。

 

ズバァァァン!!

 

巨大な身体に深い斬撃が走った。

 

やがて、キャバリエーレアンジェロの動きが止まる。

 

雷が消え、巨体がゆっくりと崩れ落ちていく。

 

「……。」

 

ダンテはリベリオンを肩へ担ぐ。

 

「昔よりは、ちょっと弱くなったんじゃねぇか?」

 

倒れたキャバリエーレアンジェロの身体から、淡い光が溢れ始める。

 

雷を纏った魔剣。

 

ダンテはそれを見て、口元を吊り上げる。

 

「……こいつは。」

 

懐かしい力との再会いに、ダンテは楽しそうに笑ったその時であった。

 

そこには、真っ二つに切断されたバイクの残骸と、滅多斬りにされたキャバリエーレアンジェロの破片が散乱していた。

 

ダンテはリベリオンを肩へ担いだまま、その光景を眺めている。

 

「……。」

 

何も起こらない。

 

「……?」

 

その時だった。

 

――ピシッ。

 

小さな音が響く。

 

ダンテが足元へ視線を落とすと、キャバリエーレアンジェロの破片から赤黒い光が漏れ始めていた。

 

「……。」

 

ダンテの眉が僅かに上がる。

 

――ガキン。

 

今度は、バイクの残骸がひとりでに動いた。

 

「……。」

 

金属が、まるで生き物のように蠢いている。

 

車体を構成していたフレーム。

 

エンジン。

 

ハンドル。

 

そして二つの巨大な車輪。

 

それらが、キャバリエーレアンジェロの破片へ吸い寄せられていく。

 

――ズズズズズッ。

 

「……。」

 

ダンテは一歩だけ後退した。

 

しかし、逃げるつもりはない。

 

ただ、その異様な光景を興味深そうに見つめている。

 

金属と魔力が混ざり合い、互いの形を変えていく。

 

――ガキィン!!

 

巨大な衝撃音とともに、キャバリエーレアンジェロの破片がバイクのフレームへ食い込んだ。

 

その周囲を赤黒い魔力が走り、金属の表面へ複雑な紋様を刻んでいく。

 

ダンテの目が細くなる。

 

さらに、二つに分かれていたバイクの車体が中央へ引き寄せられた。

 

――ギギギギギッ。

 

車輪がゆっくりと回転を始める。

 

ダンテは腕を組んだ。

 

次の瞬間。

 

赤黒い魔力が一気に膨れ上がった。

 

――ドォォォォォン!!

 

爆発にも似た轟音が、ホロウの空間全体へ響き渡る。

 

大量の砂煙が舞い上がり、ダンテの赤いコートが風圧ではためいた。

 

「……。」

 

しばらくして。

 

煙の向こうから、巨大な影が姿を現す。

 

ダンテは無言でそれを見つめた。

 

そこにあったのは、バイクだった。

 

――いや。

 

もはや、ただのバイクと呼ぶにはあまりにも巨大で、あまりにも異形な姿へ変貌していた。

 

二つの巨大な車輪。

 

鋭利な刃のように変化した車体。

 

悪魔の装甲を思わせる外殻。

 

そして、その中心には、かつてキャバリエーレアンジェロが持っていた魔力が赤黒い光となって流れている。

 

「……。」

 

ダンテはゆっくりと近づき、車体へ手を伸ばした。

 

指先が触れた瞬間。

 

――ビリッ。

 

赤黒い魔力がダンテの腕を走る。

 

「……なるほど。」

 

ダンテはその感覚を確かめるように、もう一度車体へ触れた。

 

まるで、自分の持ち主を理解したかのように、巨大な車輪が低い唸り声を上げる。

 

――ゴォン。

 

「……。」

 

ダンテは目の前の武器を眺める。

 

しばらく沈黙したあと、その口元がゆっくりと吊り上がった。

 

「最高じゃねぇか。」

 

ダンテがハンドルを握る。

 

すると。

 

――ガキィン!!

 

車体の中央が大きく展開した。

 

二つの車輪が左右へ分離し、それぞれが独立した巨大な武器へと変形していく。

 

「……。」

 

ダンテの目が輝いた。

 

車輪の外周に備えられていた刃がさらに伸び、巨大な円刃を形成する。

 

まるで、巨大な双剣。

 

ダンテは片方を掴み、持ち上げる。

 

――ズシン。

 

凄まじい重量があるはずなのに、ダンテはまるで普通の剣を持つかのように軽々と扱った。

 

続けて、もう片方も持ち上げる。

 

二つの巨大な武器を左右へ構える。

 

その瞬間。

 

――ギュルルルルルルルッ!!

 

二つの車輪が高速回転を始めた。

 

鋭い刃が猛烈な速度で回転し、空気を切り裂いていく。

 

ダンテは目を細める。

 

そして。

 

一気に振り抜いた。

 

――ズガァァァン!!

 

巨大な車輪が地面を薙ぎ払い、ホロウの床を大きく抉った。

 

大量の土砂と瓦礫が吹き飛び、土煙が周囲へ広がっていく。

 

ダンテは舞い上がった土煙を眺める。

 

そして、満足そうに笑った。

 

「It's cool!」{クールだぜ!}

 

二つの巨大な武器を再び中央へ近づける。

 

――ガキィン。

 

金属同士が噛み合う音が響く。

 

すると、二つの武器は再び一つへと融合していった。

 

二つの巨大な車輪。

 

それを中心に組み上げられた異形の車体。

 

ダンテがハンドルを握ると、エンジンが低く唸り始める。

 

――ゴォォォン……。

 

「……。」

 

ダンテは生まれた魔具を眺める。

 

その姿は、まるで悪魔そのものだった。

 

しかし。

 

ダンテにとっては――。

 

「我が愛車再びってところだな。」

 

ダンテが新たな魔具――キャバリエーレを眺めていた、その時だった。

 

――ピシッ。

 

何かが割れるような音が、静かなホロウの空間に響いた。

 

「……?」

 

ダンテは顔を上げ、音のした方向へ視線を向ける。

 

そこにあったのは、地面に突き刺さった一本の剣だった。

 

魔剣アストラル。

 

長い刀身に、特徴的な翼のような鍔。そして、刀身からは青白い雷光が微かに漏れ出している。

 

「……まさかな?」

 

ダンテは目を細める

 

その瞬間。

 

バチッ。

 

肌を走るような微かな電流。

 

「……。」

 

ダンテの表情が僅かに変わった。

 

そして、その脳裏に過去の記憶が蘇る。

 

『力無き者は、その心臓を贄とし――』

 

『我に永遠の服従を誓え。』

 

「……。」

 

しばらく剣を見つめていたダンテは、やがて諦めたように肩をすくめた。

 

その瞬間だった。

 

――ガキンッ!!

 

地面に突き刺さっていたアストラルが、突然ひとりでに動いた。。

 

――ザシュッ!!

 

「……ッ!」

 

青白い雷光が走る。

 

アストラルの刀身が、真正面からダンテの胸を貫いた。

 

赤いコートが大きく揺れ、鋭い刀身が胸を突き抜け、その先端が背中側へと飛び出す。

 

「……。」

 

――ドサッ。

 

ダンテはそのまま地面へ倒れ込んだ。

 

「…………これが恒例行事ってやつか。」

 

 

 




ノルマ達成。

ヤンデレ魔剣アストラル「どうして他の魔具を見るの???」
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