悪魔も泣き出す新エリー都   作:オムライスα

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Wanna know the name?

『Devil May Cry』


第十四話 カリュドーンの子

「グォォォォォォォォォッ!!」

 

凶悪狂人が咆哮する。

 

巨大な四肢が地面を踏み砕き、周囲の瓦礫が跳ね上がった。その巨体は、生前から鍛え上げられていたであろう肉体を、エーテルによってさらに異形へと変貌させている。太い腕。鋭い爪。そして異常なまでに発達した筋肉。

 

単純な力比べなら、並のエーテリアスなど相手にならない。

 

だが――。

 

「――そらそらそらぁっ!」

 

パンッ! パンッ! パンッ! パンッ!

 

ビリーが二丁のリボルバーを交互に撃ち続ける。

 

高威力の実包が次々と凶悪狂人へ叩き込まれ、その巨体が僅かに揺れる。

 

「効いてる効いてる! アネゴ、今のうちに――」

 

「分かってる!」

 

シーザーが盾を構えたまま突っ込む。その隣をライトも駆けていく。

 

「パイセン、援護頼むっすよ!」

 

「任せろ!」

 

ビリーがさらに引き金を引く。

 

しかし――。

 

「……あ。」

 

カチン。

 

「……弾切れだ!」

 

ビリーが二丁のリボルバーを見下ろす。

 

「マジかよ! こんな時にぃ!」

 

「何やってんだ、パイセン!」

 

ライトが呆れた声を上げる。

 

「いやいや! 俺の娘たちはちゃんと仕事したんだよ! むしろ頑張りすぎたくらいで――」

 

その横を、ダンテが歩いていく。

 

右手にエボニー。左手にアイボリー。

 

二丁の拳銃を軽く構えた。

 

「……ダンテ?」

 

ビリーが振り返る。

 

ダンテは二丁の銃を眺めながら、口元を吊り上げた。

 

「弾ならいくらでもあるぜ。」

 

「……?」

 

次の瞬間。

 

――ズダダダダダダダダダダダッ!!

 

凄まじい連射音がホロウに響き渡った。

 

エボニーとアイボリーから放たれた弾丸が、まるで豪雨のように凶悪狂人へ降り注ぐ。

 

一発。

 

二発。

 

十発。

 

二十発。

 

それでも止まらない。

 

ダンテは左右の銃を交互に撃ち続けながら、凶悪狂人の身体を正確に撃ち抜いていく。

 

「グォォォォォッ!!」

 

凶悪狂人が腕で顔を覆う。

 

しかし――。

 

ズダダダダダダダダダダッ!!

 

その腕すら撃ち抜かれる。

 

「グガァァァァァッ!!」

 

凶悪狂人が後退する。

 

「……おい。」

 

ビリーが呆然と呟いた。

 

「まだ撃ってるぞ?」

 

「撃ってるな。」

 

ライトも目を丸くする。

 

「というか、あれ……いつまで撃てるんすか?」

 

シーザーも思わずダンテを見る。

 

「さあな!」

 

ダンテ本人は楽しそうに笑いながら撃ち続けている。

 

「ただ――」

 

エボニーから放たれた弾丸が凶悪狂人の肩を撃ち抜く。

 

「俺が撃ちたいだけ、撃てるってことだ!」

 

ズダダダダダダダダダダダッ!!

 

銃声が止まらない。

 

その弾丸には、通常の火薬によるものとは異なる魔力が宿っていた。

 

ダンテは自らの魔力を弾丸へと変換し、それを無尽蔵に撃ち出している。

 

つまり――。

 

弾切れという概念そのものが、ダンテには存在しない。

 

「なんだよ、それ……。」

 

ビリーが引きつった声を漏らす。

 

「反則じゃないか?」

 

「今さらだろ。」

 

ライトが苦笑する。

 

その間にも、銃撃は続いていた。

 

ズダダダダダダダダダダダッ!!

 

凶悪狂人の身体が大きく揺れる。

 

「グォォォォォッ!!」

 

巨大な腕を振り回そうとするが、その動きをダンテの銃撃が阻害する。

 

右肩。

 

左腕。

 

脚。

 

胸部。

 

次々と弾丸が命中し、凶悪狂人の巨体が徐々に後退していく。

 

「今だ!」

 

ライトが叫んだ。

 

「シーザー!」

 

「おう!」

 

シーザーが一気に踏み込む。

 

盾を構え、凶悪狂人の拳を正面から受け止めた。

 

――ドォン!!

 

「ぐっ!」

 

地面が大きく陥没する。

 

だが、シーザーは怯まない。

 

「この程度かぁ!」

 

盾で拳を受け流し、そのまま身体を捻る。

 

「おらぁっ!」

 

――ズガァン!!

 

剣が凶悪狂人の腕を切り裂き、深い傷を刻んだ。

 

「グォォォッ!!」

 

「まだまだ!」

 

シーザーがさらに踏み込む。

 

その反対側から、ライトが飛び込んだ。

 

「パイセン、援護ありがとっす!」

 

右腕に装着された爆燃動力グローブが唸りを上げる。

 

――ゴォォォッ!!

 

内蔵されたジェット推進が拳を一気に加速させる。

 

「ぶっ飛べぇっ!!」

 

――ドゴォォォォン!!

 

拳が凶悪狂人の腹部へ叩き込まれた。

 

「グガァァァァァッ!!」

 

凶悪狂人の巨体が大きく後退する。

 

「よし!」

 

ビリーが歓声を上げる。

 

「そのまま畳みかけ――」

 

その時だった。

 

凶悪狂人の目が赤く輝く。

 

「……?」

 

ダンテが銃を下ろした。

 

「おいおい。」

 

凶悪狂人が身体を低くする。

 

「来るぞ!」

 

ライトが叫ぶ。

 

凶悪狂人の腕が大きく振り上げられた。

 

シーザーとライトは、それぞれ左右へ飛び退こうとする。

 

だが――。

 

巨大な拳が二人へ迫る。

 

その瞬間。

 

――バチィィィィィッ!!

 

青白い雷光が走った。

 

「――!」

 

凶悪狂人の背後。

 

いつの間にか、ダンテが立っていた。

 

その手には、魔剣アストラル。

 

刀身へ青白い雷を纏わせたまま、ダンテは静かに構える。

 

「悪いな。」

 

「そいつは俺の獲物だ。」

 

「――お前!?」

 

シーザーが叫ぶ。

 

ダンテは一歩踏み込んだ。

 

――バチィィィィィン!!

 

雷光を纏った刀身が大きく振り抜かれる。

 

凶悪狂人が反応し、巨大な腕を振り上げて防ごうとする。

 

だが――。

 

――ズガァァァン!!

 

ダンテの斬撃が腕へ叩き込まれた。

 

「グガァァァァァッ!!」

 

凶悪狂人の腕から雷光が弾け飛ぶ。

 

その瞬間。

 

「今だ!」

 

ライトが叫んだ。

 

「シーザー!」

 

「おう!」

 

二人が同時に突っ込む。

 

ライトの右腕が唸りを上げ、シーザーは盾を構えながら距離を詰める。

 

――ドゴォォォン!!

 

ライトの拳が叩き込まれた。

 

「これでも喰らえぇぇっ!!」

 

続けざまにシーザーの剣が閃く。

 

――ズガァァン!!

 

「グォォォォォッ!!」

 

二人の攻撃が同時に命中し、凶悪狂人の巨体が大きくよろめいた。

 

「まだ倒れねぇか。」

 

ダンテがアストラルを構え直す。

 

凶悪狂人は身体を震わせながら、ゆっくりと立ち上がった。

 

その全身には無数の銃創と斬撃の跡が刻まれている。

 

それでも――。

 

「グォォォォォッ!!」

 

まだ戦意を失っていない。

 

ダンテは小さく息を吐いた。

 

「タフな奴だな。」

 

凶悪狂人が再び拳を振り上げる。

 

しかし、その動きよりもダンテの方が速かった。

 

ダンテは身体を捻り、迫り来る拳を紙一重でかわす。

 

そのまま凶悪狂人の懐へ入り込んだ。

 

「遅いぜ。」

 

――ザシュッ!!

 

アストラルが胴体を斬り裂いた。

 

「グォ……。」

 

凶悪狂人の動きが止まる。

 

ダンテはその背後へ抜け、ゆっくりと振り返った。

 

「これで終わりだ。」

 

アストラルを逆手に持ち替える。

 

「バチィィィィィッ!!」

 

雷光が刀身を包み込んだ。

 

次の瞬間――。

 

ダンテが一気に踏み込む。

 

凶悪狂人の身体を、雷を纏った斬撃が真横に切り裂いた。

 

「グォォォォォォォォォッ!!」

 

巨大な身体が大きくのけ反る。

 

そして――。

 

――ドォン。

 

凶悪狂人は地面へ倒れた。

 

しばらく。

 

動かない。

 

「……。」

 

シーザーが剣を下ろす。

 

「終わったか?」

 

ライトも警戒しながら凶悪狂人を見つめる。

 

「……みたいっすね。」

 

ビリーも恐る恐る近づいた。

 

「やった……のか?」

 

その瞬間。

 

凶悪狂人の身体から黒いエーテルが噴き出した。

 

「……!」

 

身体が崩れていく。

 

巨大な四肢。

 

異形の筋肉。

 

鋭い爪。

 

それらが次々と黒い粒子へ変わっていく。

 

「グ……。」

 

最後に小さく唸り声を上げ――。

 

凶悪狂人は完全に消滅した。

 

「……。」

 

静寂が訪れる。

 

ダンテはアストラルを軽く振り、刀身に付着したエーテルを払った。

 

「終わったな。」

 

そう言ってアストラルを背中へ戻す。

 

だが――。

 

「……。」

 

誰も返事をしない。

 

「……?」

 

ダンテが顔を上げる。

 

シーザーとライトがこちらを見ていた。

 

いや。

 

正確には――警戒している。

 

シーザーは盾を構えたまま。

 

ライトも拳を下ろしていない。

 

「……。」

 

ダンテが眉を上げる。

 

「何だ?」

 

シーザーはダンテから目を離さなかった。

 

「ビリの字、この男。」

 

「……。」

 

シーザーが剣を構える。

 

「本当に信用していいのか?」

 

ダンテは黙って二人を見る。

 

「おいおい。」

 

ようやく口を開いた。

 

「さっきまで一緒に戦ってたじゃねぇか。」

 

「それとこれとは話が別だ。」

 

シーザーの声は真剣だった。

 

「お前が何者なのか、あたし達はまだ何も知らない。」

 

ライトも拳を構える。

 

「少なくとも、俺らが知ってる人間じゃないっすね。」

 

「……。」

 

ダンテが頭を掻く。

 

面倒な流れになってきた。

 

その時だった。

 

アキラが慌てて二人の間へ入ろうとする。

 

「待ってくれ!」

 

シーザーが振り返った。

 

「プロキシ?」

 

アキラは必死に手を広げる。

 

「ダンテは悪い奴じゃない。」

 

「……。」

 

「一応仲間――」

 

「っ、だ……。」

 

アキラの声が途切れた。

 

「……?」

 

ビリーが振り返る。

 

アキラの身体が、ぐらりと揺れた。

 

「店長?」

 

アキラはそのまま――。

 

「……。」

 

前へ倒れた。

 

――ドサッ。

 

「……。」

 

「…………。」

 

その場にいた全員が固まった。

 

数秒間。

 

誰も動かなかった。

 

最初に動いたのはビリーだった。

 

「店長!?」

 

ビリーが慌てて駆け寄る。

 

「店長、店長! しっかりしろ!」

 

アキラの肩を揺する。

 

「起きてくれ!」

 

「……。」

 

反応がない。

 

「おいおい。」

 

ダンテも近づき、しゃがみ込んでアキラの様子を確認する。

 

呼吸はある。

 

脈もある。

 

怪我をした様子もない。

 

「……。」

 

ダンテはアキラの顔を見た。

 

「気絶してるだけだな。」

 

「……。」

 

しかし。

 

シーザーも。

 

ライトも。

 

何故か妙に深刻な顔をしていた。

 

「……?」

 

ダンテが二人を見る。

 

シーザーは拳を握り、ライトは俯いている。

 

まるで――誰かが亡くなったかのような空気だった。

 

「……おい。」

 

ダンテが声をかける。

 

「そんな顔するほどじゃねぇだろ。」

 

シーザーは黙っている。

 

ライトも黙っている。

 

ビリーだけが必死にアキラを抱え起こそうとしていた。

 

「店長……!」

 

「大丈夫だ。」

 

ダンテが言う。

 

「ただの気絶だ。」

 

「……。」

 

それでも、シーザーの表情は晴れない。

 

「……そうか。」

 

「?」

 

「……そうだよな。」

 

「何だ?」

 

シーザーが小さく首を振る。

 

「いや。」

 

「なんでもねぇ。」

 

「……。」

 

ダンテは目を細めた。

 

何だ。

 

この空気。

 

妙に重い。

 

ビリーはアキラを心配している。

 

シーザーは沈痛な面持ち。

 

ライトも何故か深刻そうだ。

 

そして――。

 

「……。」

 

ダンテは悟った。

 

このままでは。

 

絶対に何かが始まる。

 

「……。」

 

ダンテは腕を組む。

 

「……こりゃ、面倒なことになりそうだな。」

 

こうして凶悪狂人との戦いは終わった。

 

しかし。

 

ダンテにとっては――。

 

これから始まる出来事の方が、よほど面倒なものになりそうだった。

 

 

――

 

 

アキラが意識を失ってから、数時間が経った。

 

――ブレイズウッド。

 

郊外にある、カリュドーンの子の拠点。

 

その一角では、郊外特有の植物がいくつも飾られていた。植物に囲まれたソファーの上では、アキラが静かに眠っている。

 

本人はただ気絶しているだけなのだが。

 

その周囲には、何故か妙に重苦しい空気が漂っていた。

 

「……クソっ。」

 

シーザーが腕を組み、沈痛な面持ちでアキラを見つめる。

 

「責任感じるぜ……。」

 

そして、拳を握りしめた。

 

「カリュドーンの子は、客人をキッチリと弔ってみせっからな!」

 

「ライト!」

 

「棺はオマエが担げ!」

 

「責任重大だな……。」

 

ライトはサングラスの位置を直した。

 

「パイパー!」

 

「ん~?」

 

トラックの傍で座り込んでいたパイパーが、気だるげに顔を上げる。

 

「霊柩車は安全運転でな!」

 

「はいよ~。」

 

パイパーは大きな欠伸をしながら答える。

 

「ゆ~っくり走るぜい。」

 

「……。」

 

ダンテは無言でその様子を眺めていた。

 

そして。

 

「バーニス!」

 

「おぉ~っ!」

 

バーニスが元気よく返事をする。

 

「強火で送ってやってくれ!」

 

「任せて!」

 

バーニスは嬉しそうに火炎放射器を構える。

 

――ボォォォォォッ!!

 

左右から勢いよく炎が噴き出した。

 

バーニスは楽しそうに火炎放射器を振り回す。

 

「骨になるまで燃やしちゃうんだね!?」

 

「そうだ!」

 

シーザーが力強く頷く。

 

「……。」

 

その隣では。

 

何故かダンテ自身も片膝をついていた。

 

アキラの眠るソファーへ向かい、静かに手を組む。

 

「……。」

 

そして目を閉じる。

 

「わが友アキラよ。」

 

「どうか安らかに眠ってくれ。」

 

「……。」

 

シーザーも深々と頭を下げる。

 

「すまない……。」

 

「私達がふがいないばかりに……。」

 

「……。」

 

ダンテは祈りながら、ちらりとシーザーを見る。

 

完全に茶番だ。

 

だが。

 

「……。」

 

ダンテは特に止めようとはしなかった。

 

むしろ。

 

妙にノリノリだった。

 

その時。

 

「……ん。」

 

ソファーの上で、アキラの指が僅かに動いた。

 

「……。」

 

誰も気づかない。

 

「んん……。」

 

アキラがゆっくりと目を開ける。

 

ぼんやりと天井を見つめる。

 

「……ここは……?」

 

ゆっくりと身体を起こす。

 

「……。」

 

目をこする。

 

「……僕、どうして……。」

 

そして。

 

目の前に広がる光景を見た。

 

大量の植物。

 

自分を囲むカリュドーンの子のメンバー。

 

そして――。

 

目の前で祈りを捧げているダンテ。

 

「……。」

 

アキラは数秒、固まった。

 

「……何してるの?」

 

ダンテが目を開く。

 

「お。」

 

アキラと目が合う。

 

「おはよう、アキラ。」

 

「……おはよう。」

 

ダンテはアキラの顔を見て、少しだけ笑った。

 

「生きてるな。」

 

「うん。」

 

アキラは周囲を見回す。

 

「……なんでみんな、僕を囲んでるの?」

 

ダンテは少し考えた。

 

そして。

 

「さあな。」

 

その時だった。

 

「ルーシー!」

 

シーザーが突然叫んだ。

 

「……?」

 

ダンテが振り返る。

 

遠くから。

 

――ブォォォォォン!!

 

バイクのエンジン音が響いてきた。

 

「……え?」

 

アキラが首を傾げる。

 

次の瞬間。

 

一台のバイクが凄まじい勢いでこちらへ突っ込んできた。

 

「ル……ルーシー!?」

 

シーザーが目を見開く。

 

バイクに乗っていたのは、赤い瞳と金髪のサイドテールを持つ少女――ルーシーだった。

 

「茶番は――。」

 

バイクが大きく跳ねる。

 

ルーシーがその勢いで飛び降りる。

 

「終わり、ですわッ!!」

 

「げっ。」

 

シーザーの顔が引きつる。

 

ルーシーの手には一本のバット。

 

――ゴンッ!!

 

「ぐおっ!?」

 

シーザーが慌てて盾を構える。

 

バットが盾へ叩き込まれ、鈍い音が響いた。

 

「怒んなよ!」

 

シーザーが盾越しに叫ぶ。

 

「荼毘に付すって、やってみたかったんだ!」

 

「客人で遊ぶんじゃありませんわ!!」

 

ルーシーはシーザーを睨みつけると、すぐに周囲を見回す。

 

そして。

 

「バーニス!」

 

「はーい!」

 

「しまいなさい! そんなの!」

 

「え?」

 

バーニスは未だに火炎放射器を構えていた。

 

「これ?」

 

「それですわ!!」

 

「でも、まだ火が出てるよ?」

 

――ボォォォォォッ!!

 

「だから消しなさい!!」

 

「はーい!」

 

バーニスは素直に火炎放射器を止める。

 

その直後。

 

ルーシーが頭を抱えた。

 

「あーーもう!」

 

そして、地団駄を踏む。

 

「アホまみれですわ!!」

 

「……。」

 

ダンテはその光景を眺めていた。

 

「……。」

 

ダンテは思わず口元を緩める。

 

「賑やかな連中だな。」

 

その時。

 

「お兄ちゃん!」

 

聞き慣れた声が聞こえた。

 

アキラが顔を上げる。

 

「リン?」

 

リンが慌てて駆け寄ってくる。

 

「だいじょぶ!?」

 

「怪我はない?」

 

「うん。」

 

アキラは自分の身体を確認する。

 

「どこも痛くないよ。」

 

「よかった……。」

 

リンが胸を撫で下ろす。

 

「本当に心配したんだからね。」

 

リンはアキラの肩を軽く叩いた。

 

その様子を見ていたシーザーが、頭を掻く。

 

「悪ぃ悪ぃ。」

 

「つい興が乗りすぎた。」

 

「興が乗りすぎたで済ませるんですの!?」

 

ルーシーが即座に噛みつく。

 

「死者を弔うどころか、生きている客人を焼こうとしていたでしょうが!」

 

「焼いてないよ?」

 

バーニスが首を傾げる。

 

「まだ燃そうとしてただけ。」

 

「それがダメなんですわ!!」

 

「えぇ~?」

 

「えぇ~?ではありませんわ!!」

 

ルーシーが再び叫ぶ。

 

その様子を見ながら。

 

ダンテは肩を揺らして笑った。

 

「ははっ。」

 

「……?」

 

アキラがダンテを見る。

 

「ダンテ?」

 

「いや。」

 

ダンテは笑いながら立ち上がる。

 

「面白い連中だな。」

 

「そうかな……。」

 

アキラは苦笑する。

 

「まあ、何はともあれ――。」

 

シーザーはニッと笑う。

 

「灰から蘇ったな!」

 

「歓迎するぜ!」

 

郊外の一日はまだまだ終わりそうになかった。

 

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