『Devil May Cry』
――あの戦闘の後。
ダンテは何事もなかったかのように、バレエツインズを後にした。
赤いロングコートを翻しながら向かった先は、自分の事務所。
古びたビルの一室。
そこが、ダンテの拠点だった。
「……。」
机の上には、依頼主から届いた報酬が置かれている。
ダンテはそれを眺め、深いため息を吐いた。
「……まったく。面倒な仕事だったぜ」
椅子へ腰を下ろし、報酬を手に取る。
中身を確認すると、そこにはかなりの大金が入っていた。
「……まあ、金額だけは悪くなかったな」
ダンテは満足そうに笑う。
「さて。しばらくは楽できそうだな」
背伸びをしながら、天井を見上げる。
「のんびり過ごすとするか」
――――
数日後。
新エリー都、六分街。
普段なら仕事以外で歩くことなどほとんどないダンテだったが、今日は珍しく街を歩いていた。
理由は単純。
機嫌が良いからだ。
今回の報酬はかなりの額だった。
しばらくは何もしなくても困らない。
そんな余裕が、今のダンテにはあった。
周囲の人々が、ちらりと彼を見る。
白髪に赤いロングコート。
明らかに街中には馴染まない姿だ。
だが、本人はまったく気にしていない。
「しばらく仕事しなくても問題なし」
「ピザも食える」
満足そうに頷く。
その時。
ふと、あることを思い出した。
「あ」
足を止める。
「そういや、事務所にテレビ買ったんだった」
少し前、報酬が入った勢いで購入したものだ。
そして、それと一緒にビデオデッキまで買った。
「せっかく買ったのに、まだ使ってなかったな」
腕を組み、少し考える。
「……映画のビデオでも買って帰るか」
ダンテにしては珍しく、平和な考えだった。
「問題は……ビデオ屋がどこにあるかだな」
周囲を見渡す。
六分街には、様々な店が並んでいる。
食料品店、機械修理店、ゲームセンター、雑貨店。
しかし、目的の店は見つからない。
「んー……」
「適当に歩けば見つかると思ったんだけどな」
そんな時だった。
ダンテの視線が、一軒の店で止まった。
どこか温かい雰囲気を感じる店。
その看板には、こう書かれていた。
――
ビデオ屋
Random_Play
――
「……Random_Play」
「変わった名前だな」
しかし、なぜか妙に気になった。
「まあ、入ってみるか」
「映画があるなら儲けものだ」
ダンテは扉の前へ立つ。
そして、ドアノブへ手を伸ばした。
カラン。
小さなベルの音が鳴る。
扉が開く。
「いらっしゃいませ」
店内から店員の声が聞こえた。
ダンテは店の中を見渡す。
そこには大量のビデオが並び、どこか懐かしい空気が漂っていた。
「へぇ。結構あるじゃないか」
棚には様々なジャンルの映画が並んでいる。
アクション。
ホラー。
SF。
コメディ。
「こいつは……」
思わず笑みが浮かぶ。
「当たりかもしれないな」
――――
一方、その頃。
ビデオ屋の裏手にある駐車場へ車を止め、買い物袋を手にしたアキラとリンは裏口へ向かっていた。
「……今日も疲れたね」
リンが小さく息を吐く。
「そうだね」
アキラも頷く。
そして扉を開けた瞬間。
二人の目に、店内の光景が飛び込んできた。
白い髪。
赤いロングコート。
見覚えのある青年。
「……」
「……」
兄妹の動きが止まる。
数日前、バレエツインズでイアス越しに見た、あの男。
ヴィクトリア家政と戦い、反乱軍を一瞬で無力化した人物。
ダンテ。
しかし、今の彼には戦闘の気配など一切ない。
棚の前で、真剣な表情を浮かべながらビデオを選んでいた。
「……お兄ちゃん」
リンが小声で呼ぶ。
「分かってる」
アキラも小さく返す。
二人とも警戒している。
だが、それを表には出さない。
その時、ダンテが振り返った。
「あ。店員さんか?」
二人は一瞬だけ固まった。
だが、すぐに普段の表情へ戻る。
「はい」
アキラが答える。
「何か探してますか?」
ダンテは棚を見る。
「映画。おすすめあるか?」
あまりにも普通の質問だった。
リンは内心で困惑する。
(この人……)
(あの戦いの時と別人みたい)
だが、表情には出さない。
「そうですね……」
リンは棚を見る。
「アクションなら、これとか。最近人気ですよ」
「へぇ」
ダンテはビデオを手に取る。
「悪くないな」
そんなやり取りをしながら、二人は自然に接客を続ける。
しかし、頭の中では別のことを考えていた。
――――
そして夜。
事務所へ戻ったダンテは、買ってきた映画を手にテレビの前へ座っていた。
「さて。久しぶりにゆっくりするか」
テレビの電源を入れる。
その瞬間――。
ドォン!!
勢いよく扉が開いた。
「……」
ダンテが振り返る。
そこには、見覚えのある顔が並んでいた。
白銀の髪。
メイド服。
鋭い目。
ヴィクトリア家政。
そして、その隣にはビデオ屋で会った店長――リン。
エレンが呆れたようにため息を吐く。
「……やっぱり、ここだったんだ」
ライカンが一礼する。
「改めまして。お話があります」
ダンテはリモコンを置いた。
「話ねぇ……」
そして、少し笑う。
「まさか映画を見る時間まで邪魔されるとは思わなかったぜ」
――――
ダンテは椅子に深く腰を下ろしたまま、目の前にいるヴィクトリア家政の面々を眺めていた。
「……で?」
ダンテが口を開く。
「わざわざ俺の事務所まで来て、何の用だ?」
エレンが答えようとする。
しかし、その前にダンテが店の扉を指差した。
「それより、さっき誰だよ。俺の店の扉を蹴破ったのは」
「……」
エレンが目を逸らす。
ライカンは一礼した。
「その件につきましては、大変申し訳ございません」
「……」
ダンテはしばらく黙った。
そして、ニヤリと笑う。
「まあいい」
「便利屋『Devil May Cry』へようこそ」
ダンテはソファの背もたれに腕を乗せる。
「荷物運びからテレビの修理まで受け付けてるぜ。あと、シャワーを借りたいってんなら勝手にしな。トイレも裏にある」
「……」
一同が沈黙する。
エレンの眉がぴくりと動いた。
「……何なの、この人」
カリンも困ったような顔をする。
「えっと……普通に営業案内されました……」
リナは苦笑する。
「緊張感がありませんね」
「俺の事務所だからな」
ダンテは平然と答える。
すると、ライカンが一歩前へ出た。
「失礼いたしました」
「改めて、ご挨拶を」
ライカンは優雅に一礼する。
「私はフォン・ライカン。ヴィクトリア家政にて執行責任者を務めております」
「先日の件では、我々もあなたの実力を十分に拝見させていただきました」
ダンテは片眉を上げる。
「そいつはどうも」
ライカンは続ける。
「そこで、一つお尋ねしたいことがございます」
「何だ?」
ライカンの目が細くなる。
「あなたが噂に聞く――」
「ホロウの赤い悪魔、ですね?」
「……」
ダンテの表情が止まった。
「……は?」
数秒の沈黙。
「赤い悪魔?」
ダンテは自分の赤いコートを見る。
「俺が?」
「はい」
ライカンは頷く。
「ホロウ内で異常な戦闘力を持つホロウレイダー。赤い外套の男。そうした噂が、ここ最近広がっております」
「……」
ダンテは頭を掻いた。
「いつの間に噂なんかできたんだよ」
エレンが呆れたように言う。
「自覚なかったの?」
「俺は仕事して、飯食って、寝てるだけだぞ」
「それだけで噂になるんですか……」
カリンが小さく呟く。
しかし、その場の空気は再び張り詰め始めていた。
ライカン。
エレン。
カリン。
リナ。
全員がダンテを警戒している。
ダンテもまた、彼らの動きを見ていた。
「……」
一触即発。
誰かが一歩動けば、戦いが始まる。
そんな空気だった。
その時――。
「ちょっと待ったァァァ!!」
突然、外から声が響いた。
「……?」
全員が振り返る。
バタバタバタッ!
誰かが走ってくる。
そして、勢いよく扉から飛び込んできたのは――。
「羊飼い!?」
リンが驚く。
「……」
羊飼いは肩で息をしながら、その場にいる全員を見渡した。
「何やってんの!?」
「店からすごい音がしたと思ったら……」
そして、ダンテを見る。
「っていうか、リンちゃんまでいるじゃん!」
「ど、どうもー」
ダンテは手を上げる。
「よう、羊飼い」
「よう、じゃねえよ!」
羊飼いは頭を抱える。
エレンがリンに尋ねた。
「あなた。この人と知り合いなの?」
「知り合いっていうか……」
羊飼いは少し考える。
「まあ、情報屋として付き合いがあるっていうか」
「……」
今度はダンテが驚いた。
「へぇ。そういう繋がりだったのか」
羊飼いは苦笑する。
「パエトーンとも付き合いがありますし。俺はその辺の情報を扱ってるんでね」
アキラが頷く。
「そういうことだったのか」
そして、羊飼いは言う。
「でも、この人。別に悪い人じゃないですよ」
エレンがすぐに反応する。
「……悪い人じゃない?」
「少なくとも、無意味に人を傷つけるような人じゃないです」
羊飼いは先日の話を思い出す。
「依頼を受けたら、その依頼の範囲内で仕事をする。それだけです」
「……」
ライカンはダンテを見る。
ダンテは何でもないように肩をすくめた。
「まあ、だいたい合ってる」
「だいたい、か?」
羊飼いが苦笑する。
「細かいことは気にすんな」
「……」
ライカンはしばらく沈黙した。
そして、静かに構えを解く。
「なるほど」
「先日の件も、我々への敵意があったわけではない、と」
「そういうことだ」
ダンテは答える。
「俺は仕事をしただけだ」
エレンも、ようやく警戒を解いた。
「……まあ、敵じゃないなら、それでいい」
カリンもほっと息を吐く。
「よかった……」
リナは微笑む。
「これで、ようやくお話ができますね」
「最初からそうしてくれよ」
ダンテは呆れたように言う。
「扉を蹴破って入ってくるから、てっきりまた戦うのかと思ったぜ」
エレンが目を逸らす。
「……それは、ちょっとだけ勢い余った」
「ちょっとか?」
ダンテが笑う。
「まあいい」
そして、椅子へ座り直す。
「話を聞こうじゃないか」
ライカンも向かい側へ腰を下ろす。
「ありがとうございます」
羊飼いは胸を撫で下ろした。
「……やっと話し合いになった」
――――
ライカンは静かに口を開いた。
「では、本題に入らせていただきます」
ダンテはソファに深く腰を下ろしたまま、テーブルの上に置かれたリモコンを弄んでいる。
「どうぞ」
その前に、ライカンは一度姿勢を正した。
「先ほどは失礼いたしました。改めて、自己紹介をさせていただきます」
ライカンは一礼する。
「私はフォン・ライカン。ヴィクトリア家政にて執行責任者を務めております」
そして、隣にいるエレンへ視線を向ける。
「こちらはエレン・ジョー。同じくヴィクトリア家政のエージェントです」
「……どうも」
エレンが軽く手を上げる。
続いて、ライカンはカリンを見る。
「そして、カリン・ウィクス」
「は、はい!」
カリンが慌てて頭を下げる。
「ヴィクトリア家政でメイドとして働いております!」
最後に、ライカンはリナを見る。
「こちらはリナ。我々のサポートを担当しております」
リナが優雅に微笑む。
「よろしくお願いいたします」
「よろしく」
ダンテは軽く手を上げる。
そして、自分を指差した。
「俺はダンテ。便利屋『Devil May Cry』をやってる」
「荷物運びから護衛、怪物退治。テレビの修理まで、金さえ払ってくれりゃ大体何でもやる」
少し間を置いて、ダンテは付け加える。
「……まあ、テレビの修理は俺より詳しい奴に頼んだほうがいいかもしれないけどな」
「便利屋なのにですか?」
カリンが思わず尋ねる。
「便利屋だからこそだ」
ダンテは胸を張る。
「できるかどうかは別として、依頼は受け付ける」
「それは便利屋というより……」
エレンが呆れる。
「何でも屋じゃない?」
「似たようなもんだろ」
ダンテは笑った。
その様子を見て、リンは苦笑する。
(……この人)
(本当に掴みどころがないな)
すると、ライカンが一枚の資料を取り出した。
そこには、ホロウ内で撮影されたと思われる映像写真が載っていた。
赤いコート。
白い髪。
そして、巨大な剣を背負った男。
ダンテだった。
「……」
ダンテは写真を見る。
「へぇ。随分と綺麗に撮れてるじゃないか」
「感心している場合ではありません」
エレンが呆れたように言う。
「この写真、あなたが撮られたものじゃないでしょ」
「もちろん。誰かが勝手に撮ったんだろ」
ダンテは興味なさそうに写真を指で弾く。
ライカンは続ける。
「先日のバレエツインズでの一件。我々は、あなたの戦闘能力を確認しました」
「そして、反乱軍に対する対応も」
ダンテは肩をすくめる。
「殺してないだろ?」
「はい」
ライカンは頷く。
「そこが重要なのです」
「あなたほどの実力があれば、彼らを殺すことも容易だったでしょう」
「ですが、あなたは武器だけを破壊し、戦闘不能にした」
ダンテは鼻で笑う。
「殺す必要がなかったからな。それだけだ」
「……」
ライカンは目を細める。
「なるほど」
エレンが腕を組む。
「じゃあ、一つ聞いていい?」
「ん?」
「あなた、何のためにホロウに入ってるの?」
ダンテは一瞬だけ黙った。
「仕事」
「……それだけ?」
「それだけだ」
即答だった。
エレンは小さくため息を吐く。
「本当に分かりやすい人」
「褒め言葉か?」
「違う」
「そうか」
ダンテは気にした様子もない。
すると、カリンが恐る恐る手を挙げた。
「あの……一つ、聞いてもいいですか?」
「もちろん」
「ダンテさんは、どうしてそんなに強いんですか?」
「……」
事務所の空気が少しだけ変わった。
ダンテはカリンを見る。
「強い?」
「はい」
「先日の戦いでも、私たち全員を相手にして、ほとんど本気を出していませんでしたよね?」
ダンテは少し考える。
そして――。
「さあな」
「分からないんですか?」
「いや。説明するのが面倒なんだ」
「……」
カリンが困った顔になる。
エレンが額を押さえた。
「やっぱり面倒な人」
「だから褒め言葉か?」
「違うって」
そのやり取りを見て、リンは思わず小さく笑った。
「ふふっ」
ダンテが振り返る。
「何だ?」
「いえ。なんだか、思っていたより普通の人なんだなって」
「おいおい」
ダンテは苦笑する。
「そりゃ俺だって人間だからな」
その言葉に、アキラとリンはほんの一瞬だけ顔を見合わせた。
――人間。
本当に、そうなのだろうか。
数日前、イアス越しに見た戦闘。
あの速度。
あの剣技。
そして、銃撃。
到底、普通の人間とは思えない。
だが、目の前にいる男は、ただの便利屋のようにソファへ座っている。
「……」
アキラは考える。
この人には、まだ何かある。
そんな気がしてならなかった。
その時、ライカンが資料を閉じた。
「我々が本日伺った理由は、あなたを敵として扱うためではありません」
「むしろ、今後、何らかの形で協力できる可能性を考えたためです」
ダンテが眉を上げる。
「協力?」
「はい」
「ホロウ内には、我々だけでは対処しきれない事案も存在します」
「あなたほどの戦闘能力を持つ人物なら、依頼という形で仕事をお願いすることもできるでしょう」
「なるほど」
ダンテは顎に手を当てる。
「つまり、仕事を持ってきたってことか?」
「現時点では、可能性のお話です」
「なんだ」
ダンテは少し残念そうな顔をする。
ライカンが微笑む。
「もちろん、報酬については適切な額をご用意いたします」
その瞬間、ダンテの目が輝いた。
「話を聞こう」
「切り替え早っ!」
エレンが思わず突っ込む。
羊飼いも笑いながら頭を抱えた。
「やっぱりそこなんだ……」
リナが苦笑する。
しかし、その時だった。
事務所の電話が鳴った。
ジリリリリ――。
「……」
全員が電話を見る。
ダンテは立ち上がった。
「おっと。仕事の電話かな?」
受話器を取る。
「はい。便利屋『Devil May Cry』」
「荷物運びからテレビの修理まで――」
そこで、ダンテの表情が止まった。
「……何?」
一同が彼を見る。
数秒後。
ダンテはゆっくりと受話器を置いた。
「どうしたんですか?」
リンが尋ねる。
ダンテは、珍しく真剣な顔をしていた。
「……ホロウで、妙な奴が出たらしい」
「妙な奴?」
ライカンが尋ねる。
「ああ」
ダンテは頷く。
「依頼人の話じゃ、数時間前、とあるホロウの内部で通常のエーテリアスとは違う奴が確認されたらしい」
「通常とは違う?」
「ああ」
ダンテは続ける。
「エーテリアスの群れの中に、何体か妙に強い奴がいたそうだ」
「大型の個体ですか?」
カリンが尋ねる。
「それだけなら、別に珍しくない」
ダンテは答える。
「問題は、そいつがエーテリアスを従えてたってことだ」
「……!」
ライカンの表情が変わる。
「エーテリアスを、統率していた……?」
「そういうこと」
ダンテは続ける。
「しかも、そいつと遭遇した連中は、全員ほとんど何もできずに逃げてきた」
「映像は?」
アキラが尋ねる。
ダンテは首を振る。
「まともな映像は残ってないらしい」
「ただ、一つだけ妙な報告がある」
「何でしょう?」
リンが聞く。
ダンテは少し間を置いた。
「そいつ、人間みたいに喋ったらしい」
「……」
部屋が静まり返る。
「エーテリアスが……喋った?」
エレンが眉をひそめる。
「それだけじゃない」
ダンテは赤いコートへ手を伸ばす。
「依頼人が言うには、そいつは俺のことを知ってたらしい」
「……」
ライカンの目が鋭くなる。
「あなたを?」
「ああ」
「名前まで」
「……」
ダンテは笑った。
「どうやら、向こうさんも俺に会いたいらしい」
「それで、あなたを名指しして依頼してきた、と」
「そういうことだ」
ダンテは玄関へ向かう。
「じゃあ、仕事の話。続きは帰ってからにしようぜ」
エレンが立ち上がる。
「ちょっと。行くの?」
ダンテは振り返る。
「俺は仕事に行くだけだ」
「……」
エレンはライカンを見る。
ライカンは静かに頷いた。
「では、我々も同行いたしましょう」
ダンテは笑う。
「おいおい。団体旅行じゃないんだぜ?」
羊飼いが苦笑する。
「でも、たぶん、あんた一人で行かせるよりは安全だと思うぜ」
ダンテは肩をすくめる。
「好きにしな」
そして、扉へ手を掛ける。
「さて」
ダンテはニヤリと笑った。
「久しぶりの仕事――悪魔狩りだ」
赤いコートが、ゆっくりと翻る。
新エリー都の夜。
その先で、また一つ。
奇妙な事件が動き始めようとしていた。