シャングリラ・フロンティア〜世界のバグ(魔王軍)ですが、クソゲーハンターに攻略されかかってます〜 作:はとけん
それでもよろしければ見ていってください。
「まったく、異世界転生ってのは二度やっても慣れないもんだな」
始まりの街「ファステイア」の薄暗い路地裏で、俺――レキは、自分の粗末なNPCの衣装を見下ろしてため息をついた。
俺の魂の遍歴は少々ややこしい。
1度目の人生は、現代のゲーム会社で数々のクソゲーを調教した「伝説のデバッカー」。
2度目の人生は、ダークファンタジーな世界に転生し、前世の知識(仕様の穴)を突いて世界を統一した絶対的な「魔王」。
そして3度目の人生である今、あの神ゲー『シャングリラ・フロンティア(シャンフロ)』に、戦闘力ゼロの背景NPCとして転生してしまった。
(プレイヤーじゃなくて、NPC転生かよ。しかも戦闘能力ゼロ……詰んだな)
そう思った瞬間、脳内にシステムメッセージが響く。
【NPC専用スキル:『裏口解読(バックドア)』が解放されました】
【効果:世界のシステムログ、及び全プレイヤーのステータス・原作既定イベントの進行度を閲覧・干渉できます】
さらに、画面の隅で不気味なエラーログが跳ねる。
【警告:サーバー内に『未識別オブジェクト(規格外NPC)』が検出されました】
【スキル『裏口解読』により、前世の配下:合計7名のサルベージ(実体化)に成功しました】
「……主(あるじ)よ。ついに、ついにあなた様を見つけ出しましたッ……!」
頭上の空間が歪み、漆黒のローブを纏った美女が音もなく跪いた。
彼女の名はアルテミス。2度目の人生で、俺が自ら育成し、世界を滅ぼしかけた「神代魔法の極致たる超越者(NPC)」だ。彼女の背後には、かつて俺の帝国を支えた、いずれもレベル上限(カンスト)クラスの化け物たちが影のように控えている。
「よく来てくれた、アルテミス。だが、この世界は前の世界とは違う。ここは高度なAI(アリス)が管理する『神ゲー』だ。お前たちが暴れすぎると、運営にアカウントごと消去(パッチ修正)される」
「はっ……。では、いかに?」
「俺たちは『NPC』の仮面を被り、この世界の裏社会(仕様の闇)を支配する。そして、この世界をガタガタに壊しかねない『危険なプレイヤーたち』を裏からコントロールするんだ」
俺は不敵に笑った。
ちょうどその時、俺の『裏口解読』のシステムログが、ある「変態」の接近を告げたからだ。
『警告:鳥の頭を被り、パンツ一丁のプレイヤー(サンラク)が街に接近中』
「さあ、お仕事だ。最強の部下(部隊)を従えた、最弱のNPC(番頭)のな」