シャングリラ・フロンティア〜世界のバグ(魔王軍)ですが、クソゲーハンターに攻略されかかってます〜 作:はとけん
サンラクがリュカオンに敗北し、上半身と足に防具を装備できなくなる『リュカオンの呪い』を刻まれてから数日。物語は原作のタイムライン通り、彼がエリアボスを突破して次の街へと進み、ペンシルゴンやオイカッツォといった「クソゲー仲間」たちと合流を果たしていた。彼らの目的は、七つの最強種が一角――ユニークモンスター『墓守のウェザエモン』の討伐。
だが、ここでイレギュラー(バグ)が発生する。
サンラクのあまりに早すぎる進行速度に激怒したPK(プレイヤーキル)クラン『阿修羅会』が、原作の数倍の戦力を集め、サンラクたちの進行ルートを完全に包囲・圧殺しようと企んでいたのだ。このままでは、ウェザエモン戦の前にサンラクたちがデスペナルティで潰される。
「……やれやれ。神ゲーのシステムを私利私欲で歪めようとする害虫(クソプレイヤー)どもが」
夜の荒野。何百人もの阿修羅会のPKプレイヤーたちが進軍する中、その前に、一本の杖を持った俺(レキ)が立ち塞がった。
「あァ? なんだあのモブNPC。イベントの配置バグか?」
「殺せ殺せ、NPCならデスペナもないだろ!」
ヘラヘラと笑いながら武器を構えるPKたち。
俺はため息をつき、頭上の「NPCマーカー」をパチンと指を鳴らして消去した。
「アルテミス。…… shadowの軍勢を解き放て。ただし、運営にバレないよう『エリア限定のシステムエラー(即死バグ)』を纏え」
「「「――ここに」」」
俺の背後の空間が裂け、前世の最強部下たちが姿を現す。
シャンフルの魔法理論を完全に無視した、広域殲滅極大魔術――『終焉の残光(アルマゲドン)』。
「な、なんだこれ!? 魔法の詠唱エフェクトがバグって―――」
「威力が、おかし―――」
ドガアアアアアアアアアン!!!
一瞬だった。
荒野を埋め尽くしていた数百人のPK(プレイヤーキル)プレイヤーたちが、一撃で、光の塵(リスポーン)となって消滅した。
後に残ったのは、ガラス化した大地と、呆然とする阿修羅会の幹部数名だけだ。
「ヒッ、ヒィィ!? イベントボスか!? 運営の即死ギミックか!?」
ガタガタと震える幹部たちを見下ろし、俺は静かに告げる。
「勘違いするな。俺はただの路地裏のNPC(裏方)だ。……これ以上、あの鳥頭(サンラク)の邪魔をするな。あいつは、この世界を面白くする『主役』だからな。次、仕様(ルール)を破ったら……お前らのアカウントごと、この世界から消去してやる」
冷酷な警告を残し、俺たちは影へと消えた。
しかし、この圧倒的な戦力の行使は、俺の関知しないところで「最悪の二次災害」を引き起こしていた。