第6話 正式な弟子
ビスケが天空闘技場へ戻ってから、フクリの生活は再び騒がしくなった。
朝はウイングの修行。
昼はフクリの試合。
夕方には身体能力を測り、夜は反省会。
ビスケがいなかった半年間も忙しかったが、今は1日の密度がまるで違う。
「右肩が上がってる!」
朝の修練室に、ビスケの声が響いた。
ウイングが慌てて肩を下げる。
「下げすぎ。今度は腰が引けた!」
「はい!」
「返事より先に姿勢を戻す!」
ビスケが胸へ軽く手を当てる。
重心を崩されたウイングは後ろへ転がった。
すぐに受け身を取り、立ち上がる。
「もう一度お願いします!」
「元気だけはあるわね」
ウイングは再び構えた。
半年間、フクリと繰り返した心源流の立ち方。
最初に出会った頃より、形は遥かに良くなっている。
だが、ビスケは簡単には認めない。
右手を伸ばし、ウイングの視線を誘う。
次の瞬間、反対側の腰を押した。
ウイングは1歩下がる。
今度は倒れなかった。
「悪くない。でも、手だけを見たわね」
「では、どこを見れば?」
「相手の全体」
ウイングが困った顔をする。
ビスケは数秒待った後、壁際のフクリを見た。
「説明して」
「俺が?」
「分からない顔をしてるでしょ」
ビスケは感覚で動きを理解できる。
だが、できない側が何につまずいているのかを説明するのは、フクリの方が得意だった。
「手や足だけを追わないことです」
フクリはウイングの隣へ立った。
「拳を出す前には肩が動きます。蹴る前には腰や軸足が動く。攻撃そのものではなく、その前に起きる変化を見てください」
「肩と腰を見ればいいんですか?」
「そこだけへ集中すると同じです。相手の全身を、ぼんやり視界へ入れる感じですね」
「ぼんやり……」
「何か1つへ集中しない、という意味です」
ウイングはビスケへ向き直った。
「もう一度お願いします」
ビスケが右手を動かす。
ウイングの目は追わない。
左足が踏み込まれた瞬間、腰を押される前に足を動かした。
1歩下がる。
姿勢は崩れない。
「今のです!」
「まだ1回よ」
「もう一度!」
「休憩」
「まだできます」
「疲れた状態で雑な動きを続ければ、雑な動きを覚えるわ」
ウイングは悔しそうにしながらも頷いた。
「分かりました」
ビスケが戻ってから3週間。
ウイングは一度も遅刻せず、同じ基礎を繰り返していた。
立つ。
歩く。
押される。
崩れた姿勢を戻す。
拳を出し、余計な力を抜く。
派手な技を求めることはなかった。
その姿を見て、フクリはもう十分ではないかと思い始めていた。
◇
「まだ弟子にしないんですか?」
ウイングが帰った後、フクリは尋ねた。
「まだ3週間よ」
「俺とは半年修行しています」
「フクリは甘いもの」
「必要なところは厳しくしましたよ」
「休みたがりのフクリが?」
「人へ教える時は別です」
ビスケは修練室の端へ座った。
「才能があることは分かってる」
「覚えるのも早いです」
「それも分かってる」
「繰り返すことも嫌がりません」
「見れば分かるわよ」
「なら、何を迷っているんです?」
ビスケは少し黙った。
「怖いのよ」
珍しく、弱い声だった。
「自分が教えたせいで、あの子が間違った方向へ進んだらどうするの」
ビスケは強い。
念にも武術にも才能がある。
しかし正式な弟子を持ったことはない。
自分の言葉が誰かの人生へ残ることを、簡単には考えられないのだろう。
「ウイングの目標を聞いたでしょう」
フクリが言う。
「強さを正しく学び、いつか大切な人へ伝えたい」
「ええ」
「正しいかどうかを決めるのは、ビスケさんだけではありません」
「どういうこと?」
「ウイング自身も考えます」
フクリはデスロの教えをすべてそのまま受け入れたわけではない。
ビスケやネテロの言葉も同じだ。
自分で考え、納得できたものを残した。
「師匠が完璧でなければ、弟子が必ず間違うわけではありません」
「私は完璧だけど」
「今の話を聞いていました?」
「聞いてるわよ」
いつもの調子へ戻った。
「全部正しいと思い込む人間なら、ビスケさんが弟子にしなくても、いつか別の誰かを間違って信じます」
「だから、自分で考えることも教えろと?」
「はい」
ビスケは少し考えた後、立ち上がった。
「もう少し見るわ」
「どれくらい?」
「私が決める」
それでも、迷いは少し減ったように見えた。
◇
その日の午後。
フクリには150階への昇格戦が予定されていた。
対戦相手はミレン。
長い手足を生かした蹴りと掌底を使う、長身の女性だった。
過去の試合映像を、フクリはウイングと確認していた。
「右の蹴りが多いですね」
ウイングが言う。
「右へ意識を向けさせて、左の掌底を当てています」
「よく見ていますね」
「相手の全身を見るようにしました」
教えたことをすぐ実践している。
ビスケは2人の後ろから映像を眺めた。
「間合いの使い方が上手いわ。蹴りを避けて近づいても、膝と掌底がある」
「場外へ運ぶのは難しそうですね」
「また上へ浮かせる?」
「使える形になれば」
「試合を練習台にしないでよ」
「実戦でしか分からないこともあります」
「怪我をさせないって言いながら、毎回ぎりぎりになるのよ」
反論はできなかった。
前回、大柄な相手の重心を上へ崩し、空中で回転させることには成功した。
ただし落下直前に背中へ手を添え、安全な角度へ修正している。
今回は最初から、受け身を取れる回転を作りたかった。
◇
リングへ上がる。
ミレンはフクリより頭1つ分ほど背が高かった。
踵を僅かに浮かせ、いつでも動ける姿勢を取っている。
「押し出す男」
「最近は、上へ飛ばす男とも呼ばれています」
「気に入ってるの?」
「どちらも微妙です」
「今日は触らせないわ」
「頑張ります」
試合開始。
右の前蹴りが胸へ伸びる。
フクリは横へ避けた。
そのまま脚が横へ薙ぎ払われる。
途中で軌道を変えていた。
腕で受ける。
衝撃に身体が横へ動く。
踏みとどまった時には、すでにミレンは脚を戻していた。
「硬いわね」
「鍛えていますから」
「でも遅い」
左の掌底。
上体を引いて避ける。
前へ踏み込もうとした瞬間、膝蹴りが腹へ向かって上がった。
両腕で受ける。
身体が押され、距離が開く。
再びミレンの間合いへ戻されていた。
長い距離では蹴り。
近づけば膝と掌底。
映像で見るより厄介だった。
◇
フクリはリングの中央を守りながら、攻撃を避け続けた。
ミレンの右脚が伸びる。
外側へ回った瞬間、身体の回転を利用した反対の蹴りが飛んできた。
肩へ直撃する。
「っ!」
「避けたと思った?」
「はい」
「素直ね」
「嘘をついても変わりませんから」
試合前に確認しただけでは、すべての動きは読めない。
同じ右蹴りでも、止める。
曲げる。
回転へつなげる。
何通りもの使い方がある。
正面から近づくのは難しい。
これまでなら、練と絶による威圧感の差を使うところだった。
強く見せ。
急に存在感を消し。
一瞬だけ相手の判断を遅らせる。
だが、ミレンは過去の映像を見ている。
フクリが練を強めると、ミレンは警戒するように足を引いた。
「それね」
やはり知られている。
フクリは絶へ入った。
威圧感が消える。
ミレンは動かない。
すぐに踏み込んでくると読んでいる。
迎え撃つ構えだった。
フクリは前へ出なかった。
絶を解く。
だが、練へは戻さない。
薄い纏だけを保つ。
威圧感はほとんど戻らなかった。
ミレンの表情が僅かに変わる。
「来ないの?」
「今からです」
フクリが踏み込む。
強い圧力が戻る瞬間を攻撃の合図として待っていたミレンは、反応が僅かに遅れた。
右の前蹴り。
外へ避けず、内側へ入る。
蹴りの付け根まで近づけば威力は出ない。
ミレンは膝を曲げ、そのまま近距離の膝蹴りへ変えた。
フクリは右手を添え、上がってくる力を外へ流す。
左の掌底が続く。
頭を下げて避けた。
肩を、ミレンの胸へ当てる。
「捕まえました」
「まだよ」
ミレンは腰を落とし、足幅を広げた。
横へ押し出されないための姿勢。
リングの端までも遠い。
だが、今のフクリは場外だけを見ていなかった。
◇
肩を通じて、相手の重心を探る。
ミレンは下へ強く踏ん張っている。
前後左右へは動かしにくい。
それなら、床と接していない方向。
上。
フクリは一度、腰を沈めた。
ミレンは押されると思い、さらに床を蹴る。
重心が僅かに上へ戻る。
その瞬間、フクリは全身を伸ばした。
足。
膝。
腰。
背骨。
肩。
両手をミレンの胸と腰へ添える。
力を真上へ流す。
「なっ……!」
ミレンの両足が床から離れた。
力任せに持ち上げたわけではない。
ミレンが踏ん張るために床を蹴った力へ、フクリの力を重ねた。
足裏が離れた瞬間、低い重心も意味を失う。
フクリは胸へ添えた右手を上と後ろへ。
腰へ触れた左手を上と前へ動かした。
異なる方向へ力を流す。
ミレンの身体が空中で回転した。
前回より速い。
だが、今回は最初から回転軸を斜めにしている。
頭から落ちる方向ではない。
半回転。
ミレンの背中が床へ向く。
本人も空中で顎を引き、腕を広げた。
受け身。
大きな音とともに、背中からリングへ落ちる。
フクリは追って横へ回った。
掌を胸元へ止める。
ミレンが起き上がれば、次の攻撃が届く位置だった。
ミレンはフクリの手を見た後、息を吐いた。
「降参するわ」
「勝者、フクリ!」
◇
観客席から歓声が上がった。
「また飛ばした!」
「今度は綺麗に回ったぞ!」
「上へ押し出してるんだから、押し出す男でいいだろ!」
「回す男だ!」
「それは格好悪い!」
フクリの許可なく、呼び名だけが増えていく。
審判が試合終了を確認した後、フクリはミレンへ近づいた。
「怪我はありませんか?」
「ないわ。驚いたけどね」
「受け身を取ってもらえて助かりました」
「取れるように回したんでしょう?」
「そのつもりです」
「前は、落ちる直前に相手を支えたそうね」
「今回は最初から安全な方向を狙いました」
「私を使って改良したの?」
「すみません」
ミレンは呆れたように笑った。
「あなた、見た目より性格が悪いわね」
「よく言われます」
「次は浮かないわ」
「その時は別の方向へ押します」
「やっぱり性格が悪い」
2人は握手を交わした。
◇
「88点」
控室へ戻ると、ビスケが言った。
「前より上がりましたね」
「最初から安全な回転を作れたから」
「90点でもいいでしょう」
「二段目の蹴りを肩へ受けた」
「避けたと思ったんです」
「思っただけで避けてない」
「厳しいですね」
「絶から薄い纏へ戻した判断は良かったわ。威圧感が戻る瞬間を待たれていたものね」
「見えなくても、使い方は読まれる」
「そういうこと」
念そのものを知られていなくても、急に圧力が強くなる。
逆に、何も感じなくなる。
その変化と動きの規則性は、試合を見れば対策できる。
「上へ崩す技術は?」
「まだ自由とは言えない」
「今回は成功しました」
「相手が踏ん張って床を蹴った瞬間だったからよ。どんな状態からでも、好きな方向へ崩せるようになって初めて自由と言えるわ」
「先は長いですね」
「だから修行するの」
デスロと同じ言葉だった。
◇
ウイングが駆け寄ってくる。
「すごかったです!」
「ありがとうございます」
「持ち上げたんですか?」
「相手の力を利用しました」
「相手の力?」
「踏ん張るために床を蹴った力へ、自分の上向きの力を重ねたんです」
「回転は?」
「胸と腰へ違う方向の力を加えました」
ウイングは自分の手を見ながら、動きを真似しようとする。
「今はやらないでください」
「なぜです?」
「相手の重心を感じず、形だけ真似すると腰を痛めます」
「僕にも、いつかできますか?」
「基礎を続ければ」
「フクリさんは何年かかりました?」
「5年以上です」
「ビスケさんは?」
「もっと早かったわ」
「覚えていないくらい?」
「そうね」
ビスケは当然のように答えた。
ウイングは少し考えた後、尋ねた。
「才能がなければできませんか?」
「いいえ」
答えたのはビスケだった。
「時間はかかるかもしれない。でも、できないとは限らない」
以前のビスケなら、才能の差をもっと強く口にしただろう。
フクリと過ごした5年間で、少し考え方が変わったらしい。
「ただし、才能があるからって基礎を飛ばしたらできなくなる」
「はい」
「今日の試合から何を学んだ?」
「同じ方法を何度も使えば、対策されます」
「ほかには?」
「相手の力へ逆らわず、同じ方向へ重ねる」
「ほか」
ウイングは少し考えた。
「フクリさんは、相手を怪我させないようにしながらも、試合が終わったと勝手に判断しませんでした」
ビスケの表情が僅かに変わる。
「どうしてそう思ったの?」
「ミレンさんが起き上がる前に、次の攻撃が届く場所へ移動していました」
投げて終わりではない。
受け身を取られた後の反撃まで考える。
相手を傷つけたくない。
だが、軽く見ているわけでもない。
「よく見てたわね」
「ありがとうございます」
「フクリより観察力があるかも」
「それは困りますね」
「そんなことはありません!」
ウイングが慌てて否定する。
「そこまで強く否定されると、それはそれで傷つきます」
「どうすればいいんです?」
「放っておけばいいわ」
ビスケが笑った。
◇
その夜。
ビスケはウイングを100階の個室へ呼んだ。
机の上には、ウイングの名前や目標、これまでの修行内容をまとめた紙が置かれている。
「この3週間、あなたを見た」
「はい」
「才能はある。でも焦りやすい。覚えるのが早い分、できたと思うのも早い」
「はい」
「返事が大きい」
「は――はい」
「少しは学んだわね」
ビスケは紙へ目を落とした。
「正直、弟子を取るつもりはなかった」
ウイングの表情が曇る。
「自分の修行もある。ハンターとしてやりたいこともある。誰かの人生へ責任を持つのは、面倒だと思ってた」
「はい」
「今も面倒だとは思ってる」
「そこまで言わなくても」
フクリが口を挟む。
「黙ってて」
「はい」
「でも」
ビスケはウイングを見た。
「教えて無駄になる子ではないと思った」
ウイングが顔を上げる。
「私の教えが全部正しいとは言わない」
「師匠でも間違うんですか?」
「当然よ。師匠の言葉を何も考えずに信じるだけなら、弟子ではなく人形だもの」
ウイングは真剣に聞いていた。
「自分で考えなさい。分からなければ聞く。納得できなければ反論する」
「はい」
「でも、修行中に文句ばかり言わない」
ビスケの視線がフクリへ向く。
「俺を見ないでください」
「悪い例として覚えて」
「ビスケさんも、かなり文句を言いますよ」
「私は師匠だからいいの」
「理不尽ですね」
ウイングが少し笑った。
ビスケは改めて彼を見る。
「それでも、私から学びたい?」
「はい」
迷いはなかった。
ウイングは椅子から立ち、深く頭を下げる。
「僕を弟子にしてください」
ビスケはしばらく黙っていた。
やがて、小さく息を吐く。
「分かった」
「今日から、あなたを私の正式な弟子にする」
ウイングが顔を上げる。
「ありがとうございます、師匠!」
「声が大きい!」
「すみません、師匠!」
「それも大きい!」
正式な師弟関係は、ビスケの怒鳴り声とともに始まった。
◇
「フクリも前へ来て」
「俺も?」
「ウイングの基礎を半年間教えたのはフクリでしょう」
「一緒に修行しただけです」
「その言い方、もう諦めなさい」
「では、少し教えました」
「少しではありません」
ウイングまで否定する。
「これから武術と念は、私が正式に教える」
ビスケが続けた。
「でも、フクリから学んだ基礎を捨てる必要はない。私とフクリで言うことが違う時もある」
「どちらに従えば?」
「自分で考えなさい」
「弟子になった直後から難しいですね」
「それが修行よ」
ウイングは頷いた。
「それから、フクリを先生と呼ぶのは好きにしていいわ」
「やめてください」
「分かりました、フクリ先生」
「どうしてそうなるんです?」
「師匠から許可をいただいたので」
ウイングは楽しそうだった。
◇
簡単な弟子入りの祝いを終え、ウイングが帰った後。
部屋にはフクリとビスケだけが残った。
「お疲れさまでした、師匠」
「からかってる?」
「半分は」
「残り半分は?」
「本当に向いていると思っています」
ビスケは机の上に残された、半年分の記録を見た。
ウイングの姿勢の癖。
できるようになったこと。
失敗した場所。
焦っていた日。
疲れていた日。
「フクリが最初に教えたから、弟子にしようと思えた」
「俺が?」
「ウイングの立ち方を見れば、何を大事に教えたか分かったわ」
「師範から習ったことを伝えただけです」
「それだけじゃない。できない理由まで考えてる」
「俺もできなかったので」
「それが私には足りなかった」
「今は考えられていますよ」
「少しはね」
ビスケは記録を丁寧に畳んだ。
「だから、これからも手伝って」
「何を?」
「ウイングが分からない顔をした時の説明」
「正式な師匠はビスケさんでしょう」
「補助よ」
「報酬は?」
「毎週、身体能力を測ってあげる」
「元からやっていましたよね」
「嫌なら自分でやって」
「手伝います」
即答すると、ビスケが呆れたように笑った。
「本当に、楽できることには素直ね」
「自分で測るのは面倒なので」
「知ってる」
◇
フクリは150階へ到達した。
190階まで、あと40階。
身体能力は時間とともに上がり続けている。
相手の重心を崩し、押し出す方向を変える技術も形になり始めた。
前。
横。
後ろ。
そして上。
相手の力を利用して浮かせ、回転させ、安全に落とす。
まだ自由自在とは言えない。
使える瞬間も限られている。
それでも、心源流で積み上げた基礎と、天空闘技場で得た経験が、少しずつ1つにつながっていた。
そして今日。
ビスケには初めての正式な弟子ができた。
将来、心源流の師範代となるウイング。
フクリとビスケが教えたものを、いつか次の世代へ伝える少年。
「明日は何を教えるんです?」
フクリが尋ねる。
「立つ」
「正式な弟子になったのに、また最初から?」
「正式な弟子になったから、最初からよ」
「ウイングが泣きそうですね」
「泣いても立たせる」
「厳しい師匠だ」
「フクリにも付き合ってもらうから」
「俺も?」
「補助でしょ」
「午後は試合です」
「日の出前なら間に合う」
「断っても?」
「駄目」
やはり決定権はなかった。
それでも、嫌ではない。
ビスケ。
ウイング。
そして自分。
3人で過ごす天空闘技場の日々は、思っていた以上に楽しいものになっていた。