5、大怪獣のカナリア
ミサクラ=カンナというクラスメートについて、この時点でわたしが知っていたことは三つしかない。
一、背が低くて出席番号はわたしより後ろ。二、休み時間はだいたいスマホをいじっている。三、たまに教室の隅で、机に小さな三脚を立てて何かをしている。
要するに、ほとんど何も知らない。中学のクラスメートというのは三十何人もいて、その半分とは一年間ろくに口もきかないまま終わる場所だ。ミサクラ=カンナは、わたしにとってその「半分」の側の人だった。
今日の昼休みまでは。
「ツキシマさん、ちょーっといい?」
売店から戻る廊下で、彼女はするっと横に並んできた。癖のあるショートヘアに、ちょっと寝不足っぽい目。声をかけられた記憶が、たぶん入学以来はじめてだった。
どうしたのと答えると、ミサクラ=カンナは言った。
「放課後さ、時間もらえない? ちょっとお話ししたくて。バトラさんも一緒に、三人で」
「……ごめん、今日はちょっと用事が」
反射的に営業用の断り文句が出た。知らない人とバトラ込みで三人、この座組にろくな用件があるわけがない。最近のわたしは学習している。
「そっかー、残念……じゃ、しょうがないから先にこれだけ」
ミサクラ=カンナは、まったく残念そうじゃない声で言って、スマホの画面をわたしの目の前に、すっ、と掲げた。
一瞬だ。ほんの一、二秒で画面は引っ込められた。でも、十分だった。
夕暮れの河川敷。紫色の閃光。翅を広げた小さな影とセルヴァム、そして画面の手前を死にもの狂いで走る体操服姿のわたし。
血の気が、引いた。
「……放課後、屋上でね。鍵の壊れてる扉のとこ」
ミサクラ=カンナは、にっこり笑って、廊下の人混みに消えていった。
わたしの避難所の場所まで、知られていた。
約束どおり放課後の屋上に行くと、そこでミサクラ=カンナが待っていた。
フェンス際に三脚が二本立っていて、その横で、ミサクラ=カンナが折りたたみ椅子(持参らしい)に足を組んで座っていた。逆光を背にして、腕組みをして、八重歯の見える口の端をにっ、と上げて。
「……来たね、お二人さん」
……なんだろう。ポーズが、決まりすぎている。
困惑するわたしを他所に、ミサクラ=カンナは口を開いた。
「ようこそ。まずは自己紹介といこうか。あたしの配信者ネームは〈Canary〉。チャンネル名、『大怪獣のカナリア』」
「かなりー……?」
「ミサクラ=カンナで、カナリアで、Canary……あれ、伝わってない? けっこう気に入ってるんだけど」
「あ、うん、伝わった。伝わりました」
大怪獣のカナリアさん――もといミサクラ=カンナは、こほんと咳払いして小悪魔の顔を作り直す。
「登録者数は一千人。怪獣都市伝説界隈では、その名を知らぬ者はいないと言っても過言ではない」
「登録者数千人でそれは過言では?」
「……ちょっとだけ過言かもしれない」
「言い直すんだ」
「でも有名なのは本当だから! モナークの極秘研究施設とか、Gフォースが隠してる新型兵器とか、怪獣黙示録で消された極秘映像とか、そういうのを検証してるの!」
「どれくらい当たってるの?」
「半分くらい」
「高く見積もった?」
「三割」
「まだ高くない?」
「二割弱です」
押しに弱いな、こいつ。
ともかく!と気を取り直し、ミサクラ=カンナはスマホを取り出して、例の動画を再生した。
河川敷を走るわたし。草地を踏み荒らしながら追ってくるセルヴァム。上空から降下し、角からプリズム光線を放つバトラ。手ぶれは少なく、セルヴァムの形もバトラの翅もはっきり映っている。四匹目が川から飛び出した瞬間、カメラが大きく揺れ空を向いたところで映像は終わっていた。
撮影技術だけは本物だった。
「これをどう説明するつもり?」
カンナは椅子の背にもたれ、片方の眉を上げた。
「合成じゃない。撮影日時も位置情報も残ってる。あんたが走って、バトラが怪獣を倒した。全部、あたしのカメラが見てたんだから」
わたしはスクリーンを眺め、できるだけ感心した顔を作った。
「ははは。AI生成? すごいねー。最近の技術って、本物みたい」
自分で言っててだいぶ苦しい誤魔化し方な気がするが、これしかない。
そのことはミサクラ=カンナもわかっていたようで、ちっちっちっと芝居がかった仕草で指を振りながら言うのだった。
「誤魔化し方が雑だなあ」
「髪の毛とか見ると分かるんじゃない? 指も六本あるかもしれないし」
「動画の中のあんた、ちゃんと五本だから!」
「さあどうだろう? ほらこことかAIっぽ「ああ、よく映っているな」
わたしが誤魔化そうとしていると、バトラが涼しい顔で割り込んできた。
「これはわたしだ。これはツキシマだな」
ミサクラ=カンナはあんぐりと口を開けたまま、バトラを見る。
わたしもバトラを見た。
「なぜ認めるの」
「事実だろう」
「いま誤魔化そうとしてたの、見てたよね?」
「下手だった」
「成功する可能性は残ってたでしょうが!」
「なかったと思う」
「だからって素直に認めるなあああああ!」
わたしの渾身の時間稼ぎは、当事者の手によって八秒で爆破された。バトラは動画をのぞきこんで、むしろ品評すら始めている。
「ふむ、角度がいい。三匹目を焼いた瞬間だな……ツキシマ、おまえ、画像映りが悪いな」
「うるさいよ! 命がかかってたんだよ!」
ミサクラ=カンナは、ぽかんとしていた。事実を認めさせる工程を丸ごとスキップされて、用意してきた台本のページが三枚くらい無駄になった顔だ。手のひらをもう一回ちらっと見て、たぶん途中を飛ばして、恐る恐る手を挙げた。
「あの……続けていい?」
「どうぞ」
出鼻をくじかれたせいか、ミサクラ=カンナの声から悪役らしい低さが消えていた。それでも姿勢を正し、台本を思い出すように二度瞬きをする。
「なら話は早い。あたしの要求は一つだけ。次に怪獣が現れたら、戦いに立ち会わせて……」
「断る」
バトラの返答も早かった。
「まだ全部言ってない!」
「必要ない」
「必要ある! あんなのがいるってことは、本物がいるんでしょ? 怪獣黙示録の頃みたいな、もっと大きくて、もっと凄いやつが!」
「いる」
「やっぱり! いるんでしょ!?」
ミサクラ=カンナの瞳が輝いた。最後の「いるんでしょ?」だけ声の温度が違って、強請りの台詞のはずなのにそこだけサンタクロースの実在を確かめる子供みたいな声に思えた。
「そいつを撮らせて。独占映像だよ。世界中が見る。チャンネル登録者だって十万、いや百万……」
「断る」
「なっ」
「怪獣との戦いは、見世物ではない」
にべもなかった。ミサクラ=カンナは慌てて手のひらを見た。手のひらのカンペにこの展開はなかったらしい。
すぐに態勢を立て直し、スマホを見せつけながら上から目線の笑みを浮かべる。
「い、いいのかなあ~? 断ったりして。この動画が世に出たら、あんたたちの平穏な学校生活は……」
「載せたいなら載せればいい。好きにしろ」
「いいの?」
「ああ」
「ネットだよ? デジタルタトゥーだよ? 一度載せたら消せないんだよ??」
「それがどうした」
「いや、どうしたじゃないでしょ!」
わたしは二人の間へ口を挟んだ。
「載せられたら、わたしが困るんだけど! 明日から学校で『全力疾走で怪獣の囮をやってる女』って呼ばれるかもしれないじゃん!」
「知ったことか。命には代えられない」
「社会的な生命も護衛対象に含めて!」
ともあれこれで交渉は決裂……かと思いきや、様子がおかしかった。
ミサクラ=カンナは固まったままだった。切り札を「好きにしろ」で受け流された小悪魔は、次の台詞を持っていなかった。組んでいた腕が所在なさげにほどけてゆき、決まっていたポーズも崩れてしまう。
「え、あ、いや、載せるよ? 載せちゃうよ? 本当に、載せちゃうんだからね……?」
むしろ脅している側のはずのミサクラ=カンナの方が委縮している奇妙な状況。バトラは平然と答える。
「自分で撮った映像をどう使おうが、おまえの勝手だ。だが、それを条件に戦場へ連れていくことはない」
「公開ボタン、ここにあるんだけど」
「押せばいい」
ミサクラ=カンナの親指がスマホの画面の上で止まった。バトラは瞬きもしない。
三秒。
五秒。
ミサクラ=カンナの親指は、じわじわと震え始めた。
「後悔しても知らないからね」
「しない」
「炎上するかもしれないよ」
「怪獣に燃やされたことならある」
「物理の話じゃない!」
ついにミサクラ=カンナがスマホを下ろした。
「何なの、こいつ……脅しが全然効かない……」
「こういう奴だから」
「ツキシマさん、よく一緒に暮らせるね」
「わたしも毎日そう思ってる」
「話が終わりなら、帰らせてもらう」
バトラが出口へ向かおうとする。
「待って!」
ミサクラ=カンナが立ち上がった。勢いが強すぎて椅子が後ろへ倒れ、大きな音が響く。
それでも気にせず、両腕を広げて扉を塞いだ。
「こ、このまま帰らせると思ってるの? Canaryの情報網を甘く見ないほうがいいよ。あたしには一千人の同胞が……」
「チャンネル登録者だろ」
「同じようなもの!」
「違うと思う」
「半年ずっと一千人だけど、同胞は同胞なの!」
叫んだあと、カンナは自分で口を押さえた。
沈黙が落ちる。
「……半年、ずっと?」
わたしが訊くと、カンナの肩が下がった。
「九百八十七」
「細かいね。しかも一千人じゃないじゃん」
「昨日、三人減って、今日一人戻ったから九百八十五……」
「減ってる」
「うるさい!」
ミサクラ=カンナは力なく座り込んだ。
不敵な小悪魔は完全に消えていた。残ったのは、八重歯のある小柄な同級生だけだった。
「広告収入が解禁される一千人まで、あとちょっとだったの。ずっと、あとちょっと。怪獣スポットへ行っても何も出ないし、極秘施設だと思った建物は水道局だったし、インファント島の浜辺に打ち上げられた古代怪獣の怪骨はただのウミガメの骨だったし!」
「それ動画にしたの?」
「訂正動画も出した!」
「訂正したのは偉いけど、最初の動画を出す前に調べようね」
「調べた結果がそれだったの!」
ミサクラ=カンナは聞いても無いことをペラペラ語り続けた。
「学校じゃ、親に機材を買ってもらって遊んでるだけって言われるし。家でも、ネット配信なんかほどほどにして勉強しなさいって言われるし。広告収入がつけば少しくらい本気だって認めてもらえると思ったのに……」
そこで言葉を切り、ちらりとわたしたちを見る。視線が合うと、また強気な顔を作ろうとした。
「べ、別に追い詰められてるわけじゃないけどね。これはあくまで、さらなる高みへ至るための戦略的……」
「追い詰められてるんだね」
「はい」
誤魔化しがきかなくなるのが早すぎる。
……ああ。わたしは、そこでようやく気づいた。ミサクラ=カンナの「小悪魔」、最初からずっと変だったのだ。ポーズが決まりすぎていたのも、名乗りが芝居がかっていたのも、脅し文句がどこか台本っぽかったのも。あれ、練習してきたんだ。たぶん鏡の前とかで何回も。
そして練習してきた演技は、想定外の反応ひとつでこんなふうに音を立てて剥がれる。
「の、載せたら、バズるし? 一千が一万、いや十万いくかもだし? ……いや、でも、それやったらもう二度と本物は撮れなくなるわけで……いやでも背に腹は……ああもう!」
独り言がだだ漏れだった。さきほどまでの小悪魔キャラはもうどこにもいなくて、そこにいたのは手札を一枚しか持っていないのに勝負に来てしまった、追い詰められた顔の中学生だった。
「さっきの動画さえあれば、って思った。思ったんだけど……載せる前に何回も見てるうちに、分かんなくなってきて。これ一本バズらせて終わるより、この先を撮りたいって。もっと、ちゃんと、本物を撮りたいって」
顔を上げた彼女と、目が合った。次の瞬間、Canaryさんもといミサクラ=カンナは、折りたたみ椅子から滑り降りて屋上のコンクリートに両手をついた。
「だから、その……お願いします」
声が小さくなる。
「撮影させてください」
「駄目だね」
「即答しないでよ!」
バトラに一蹴されたミサクラ=カンナはその場に跪き、そして額を床にこすりつける。
「どうか! どーか、撮影させてくださいっ! お願いしますぅ!!」
土下座だった。
強請りに来た人間が、開始数分で土下座していた。交渉史に残る大敗北である。数分前まで『怪獣都市伝説界隈ではその名を知らぬ者はいない』とかなんとか名乗って、わたしたちを強請ろうとしていた人間と同一人物とは思えない。
「邪魔はしません! 言うこと聞きます! 荷物持ちします! なんなら編集技術で貢献します! だから、だからぁ……!」
「頭を上げろ」
バトラが言った。
「じゃあ連れてってくれる?」
「いや。床が汚い」
「心配するとこ、そこ!?」
カンナは額に埃をつけたまま顔を上げた。
バトラはしばらくその姿を眺め、何かを検討するように顎へ手を当てる。
「いっそ、こいつの記憶を消すか」
「そんなことできるの?」
なにしろバトラはモスラの力を持つ魔法少女である。あるいはリリカルマジカルなモスラパワーでそういうことも可能なのかもしれない。
「やったことはないが、脳は電気信号で動いている。プリズム光線の出力を絞り、記憶を司る部位へ適切な刺激を与えれば……」
「お願いだから絶対やめて」
「え、待って。あたし消される? 記憶消されるの?」
土下座の姿勢のままミサクラ=カンナが顔だけ上げて涙目になった。この座組、本当に大丈夫なのか。どうしよう、この場でまともな倫理観と常識を持っているのがわたししかいない。
「ミサクラさん」
「はい!」
呼んだだけで、ミサクラ=カンナの背筋は伸びた。
「断ったら、どうするつもり?」
「どうもしない。諦めて、家に帰って、勉強するよ」
「嘘でしょ」
わたしの指摘に、ミサクラ=カンナは目を逸らしながら答えた。
「……怪獣の出現情報だけ、ちょっと調べる」
「それで?」
「現場の近くへ行くかもしれない」
「それで?」
「遠くから撮る。安全な場所で」
「今日の動画、どこから撮ったの?」
「川向こうの工事用足場」
「立入禁止の場所じゃない、それ?」
「赤い看板はあったかも」
「断っても、勝手についてくるんだね」
「……善処はする」
「来るんだね」
「はい」
わたしとのやりとりを眺めていたバトラが腕を組みながら低く言う。
「迷惑だ」
「正論だけど、あんたが言うと腹が立つね」
断る、そういうつもりだった。セルヴァムの恐怖を知っている人間として、これが正しい判断のはずだ。
そう言おうとしたとき、ミサクラ=カンナの落ちた肩の横に畳みかけの三脚が見えた。使いこまれて、脚のゴムがすり減った三脚。予備バッテリーでぱんぱんのポーチ。「Canary」なんて、誰にも伝わらない名前。半年伸びてないチャンネル。鏡の前で練習してきた、下手くそな小悪魔。
……ああ、やだ。
知ってる。わたし、こういうの、知ってるんだ。
本当の自分のままじゃ、教室で空気になっちゃうから。キャラを作って、演技をして、それでなんとか自分の居場所をつくる。演技が下手か上手いかの違いだけで、やってることは「感じのいいツキシマさん」と何も変わらない。
下手な仮面が剥がれて土下座してるカンナを笑える資格が、わたしにはなかった。
「……はあ~~~~」
気づいたら、今日一番深いため息をついていた。断りきれない自分に、一番腹が立つ。
「認めてもらいたかったのは分かった。でも、だからって人の秘密を脅しに使っていいことにはならないからね」
「……うん」
「そこを謝れないなら、話は終わり」
「ごめんなさい、もうしません」
「わかった……条件、つけるから」
「!」
カンナが、がば、と顔を上げた。
バトラが「おい」という顔でわたしを見たので、わたしは応えた。
「この人、多分断っても勝手についてくるよ。勝手についてきて邪魔になったり、勝手なことをネットに流されたりするよりは、こっちでちゃんと把握していた方がましでしょ」
このまま放っておけば、ミサクラ=カンナはまた一人で怪獣を追うだろう。それでセルヴァムに目をつけられたときに逃げ切れるとは思えないし、バトラも勝手にやってきた人間まで必ず守れるわけではない。勝手についてきた人間なんて放っておけばいいのかもしれないが、それで死んだりしたら流石に後味が悪い。
「……そうか」
わたしの理屈にバトラも納得したようだった。バトラが腕を組みながら頷いたところで、わたしはカンナに告げた。
「一、こちらから許可した現場以外には来ない。二、指定された観測地点から動かない。三、撮った動画の公開は、ぜんぶこっちの許可制。四、退避命令には無条件で従う。逃げろと言われたら、機材を捨ててでも逃げる……一個でも破ったら、その時点で終わり。いい?」
「機材を捨てるのはちょっと……」
「いまの話、なしにする?」
「捨てます! 命に比べたらカメラなんて消耗品です!」
「本音は?」
「できれば回収する時間を三秒ください」
「駄目」
「一秒!」
「値切るものじゃないから」
カンナは立ち上がり、埃のついた額を袖で拭った。さっきまで泣きそうだったくせに、もう口元が緩んでいる。
「ふふふ。ついにCanaryが、大怪獣の真実の闇へ踏み込むときが……」
「その笑い方、やめたほうがいいよ」
「何で?」
「似合ってない」
カンナの顔が引きつった。
「あと、その動画のコピーは全部処分して」
「コピーはないよ?」
「嘘でしょ」
「……一個だけ」
「本当は?」
「クラウドストレージに一個と、家のパソコンに一個」
「全部捨てて」
「鬼!」
「やっぱやめようかな」
「呑む! 呑みます! 全部呑みます!!」
即答だった。土下座から跳ね起きたカンナの目は、もう小悪魔でも小物でもなくて、ただただ遠足前の子供みたいに輝いていた。
バトラがカンナを上から下まで眺めたあと、口を開いた。
「一つ訊く」
「何?」
「おまえ、足は速いのか」
なんでそんなこと聞くんだろう、という顔でカンナは答えた。
「体育は……まあ、人並み?」
「百メートルは」
「最後に測ったときは、十八秒台」
「遅いな。セルヴァムからは逃げ切れんぞ」
「……はい?」
「戦闘が始まったら、わたしの指定した場所から動くな」
バトラの言っていることの意味をようやく理解したのか、カンナの顔から血の気が引いた。セルヴァムからは逃げ切れない、つまり運が悪ければ見捨てられるということである。
「……機材を捨てたら、助けてくれる?」
「間に合えばな」
「間に合わなかったら?」
「死ぬ」
「加入初日に見捨てないで!」
こうして、わたしたちの奇妙な取引に、もう一人、奇妙なのが加わった。
怪獣配信者Canary。自称、およそ一千人の同胞を従える禁断の観測者。百メートルは十八秒台。
ものすごく不安だ。
好きなキャラは?
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バトラ
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ツグミ
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カンナ
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アヤノ