神器がバスタオルだなんて聞いていない! ボロ宿から始める、温泉宿✖️異世界バトルファンタジー   作:maiboo

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第5話 新たなるStage。

 《 Stage1 ー流布(りゅうふ)ー 》

 

 《新スキル【水纏状態(すいてんじょうたい)】解放》

 《技能変動:【布界収納・極小】→【布界収納・小】/【形態変化】+【伸縮自在】→【変幻自在】》

 《能力:変幻自在=形態変化&伸縮に加え“鋼質化”を解放/水纏状態=布丸に水の魔力を宿す。《雫裂》を常時発動可能》

 

「ランクが……変わった……!?

 って、変わるのかよ!!?」

 

 そう驚いた瞬間だった。

 

 黒獅子の胸で“黒紋”が脈打ち、

 次の瞬間、獅子は咆哮とともに 雷撃を一直線に母子へ放つ。

 

「うわああああっ!!」

 

 咄嗟にカイは布丸を伸ばした。

 

「――変幻ッ……自在ッ!!」

 

 白布が空気を裂き、数メートル先へ一気に伸長。

 先端が鋼化し、雷の奔流と正面衝突する。

 

 ズガァァァァァン!!

 

 爆光と火花が弾け、広場じゅうが白く染まる。

 それでも布丸は折れず、しなり、食いしばり――

 母子の前に“壁”として立ちはだかった。

 

「……間に合った…!」

 

 震える手で布丸を握りしめるカイ。

 

 だが、獅子も止まらない。

 

 

 「さっそく試してみるか…!水纏状態!」

 

 布丸が、淡い水の膜をまとい、光を揺らめかせている。

 

 布の端は“刃のように鋭く”、

 しなやかに形を変えながら揺れる。

 

 まるで――

 “水の精霊が踊っている”ような神秘的な動きだった。

 

「すごいな布丸!なんだこれ!?……って気を取られている場合じゃないな!」

「行くぞッ!!」

 

 踏み込み、《雫裂》を振り抜く。

 

 シュバァァァン!!

 

 透明な刃の軌跡が空を裂き、

 黒獅子の肩に浅い裂傷を刻む。

 

 だが黒獅子は怯まず、

 雷光をまといながら逆に踏み込んでくる。

 

 「まだだッ!!」

 

 カイは続けざまに《雫裂》を叩き込み続けた。

 水と光が斬り結び、雷と衝突し、

 小都市ノクタニアの広場は――

 光と水と闇がぶつかり合う戦場と化していた。

 

 それでも――決定打には届かない。

 

 (なら……全部、賭ける!)

 

 カイは布丸を天に掲げた。

 

 「全部……絞り出す!!」

 

 変幻自在――最大解放。

 

 布丸は巨大な鞭のようにしなるほど伸び、

 その全体に水纏が走って輝く。

 

 同時に、黒獅子も黒紋を脈打たせ、

 喉奥に雷を溜め始めた。

 

 雷咆――!

 

 「来いッ!!」

 

 必殺と必殺が衝突する。

 

 「《雫裂》ッッ!!!!」

 

 ズガァァァァァァァァァン!!!!!

 

 戦場の空気が震え、

 光の奔流が街を呑み込む。

 

 永遠にも思える数秒ののち――

 雷が霧散した。

 

 黒獅子の巨体が、

 ゆっくりと……崩れ落ちた。

 

 ◆

 

 胸の黒紋は先ほどよりも弱弱しいが、なおも鼓動のように脈打っている。

 

 「……吸えるのか? 本当に……?」

 

 カイは布丸をそっと触れさせた。

 

 「……《黒喰》」

 

 白布が黒紋を吸い込み、

 光と闇が交差するような奇妙な現象が起こる。

 

 黒霧が溶けていき、

 黒獅子の毛並みは――

 ゆっくりと、白へ戻っていった。

 

 剣士たちの息が止まる。

 

 恐怖より先に、

 静けさと神秘さが広場を満たしていた。

 

 だが、カイの視線は消えゆく黒紋から離れない。

 

(……あの黒紋は、一体なんなんだ)

 

 ただの紋様ではない。

 

 まるで生き物のように脈打ち、魔物を漆黒へと染め上げていた。

 

 そして今、布丸はそれを”喰らった”。

 

 (あれが力の源だったのか……? それとも、もっと別の何かが――)

 

 胸の奥に、小さな疑念が静かに芽生えた。

 

 ◆

 

 剣士たちは重傷だ。

 市民も倒れている。

 

 カイは転換布癒を使って走り回るが――

 

 (……回復が追いつかない……!)

 

 息も絶え絶えに、案内された宿へ。

 カイは湯に浸かり、疲れ果てた身体を沈めた。

 

 「……俺にできること……もっと効率よく治す方法、ないのかな……」

 

 ふと、布丸を湯へ浸す。

 

 その瞬間――

 

 《観測:湯質変動ーー微細な癒力エネルギーを検出》

 《特殊スキル【微癒(びゆ)湯化(とうか)】発現》

 《能力:微癒の湯化=軽度の傷・疲労回復/自然治癒力の向上》

 

 ふわぁ……と湯面が淡い桜色に輝く。

 

 ただの湯が、

 ほんの少しだけ――癒しを宿している。

 

 揺らめく光は、まるで花びらが散るようだった。

 

「……これ……

 “癒しの湯”を、俺が作った……?」

 

 湯が波打つたび、柔らかな桜色の光が広がっていく。

 

 布丸が“水”を媒介に力を拡散している。

 

 胸が熱くなる。

 

 その瞬間――

 

「カイさん!!そ、外で……獅子が……!」

 

 宿の扉の向こうから悲鳴に近い声。

 

「なんだって!?」

 

 

 

 ――――外でいったい何が……!?

 

 

 第6話へ続く。

 

 

 

 《神器“布丸” ランク:Stage 1 ー流布ー》

 《スキル:変幻自在/布界収納・小/水纏状態》

 《限定スキル:雫裂》

 《特殊スキル:黒喰/転換布癒/微癒の湯化》

 

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