英雄讃歌 第一章   作:如月@カクヨムとなろうでも投稿しています

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 アリスちゃんと共に初心者の洞窟に向かう日々を送っているわけだが、ふと思ったことがある。もっと効率的にレベルアップすることは出来ないのか?

 ということで、今回は検証のためにアリスちゃんを連れて初心者の洞窟の浅層にやってきている。

 

「今日は何をするの?」

「ふっふっふっ。聞いて驚くなよ。スライムを自分で育成して倒そうという計画だ。」

「えぇえええ!?魔物を育てるの?それ、大丈夫?」

 

 くくく、経験値の取得量は数値化されていないため、こちらが知ることはできない。が、強い魔物を倒すほどレベルが上がるのが早いというのは一般的に知られていることだ。

 なら、最弱のスライムを育成して討伐することが出来れば、簡単に経験値を獲得できるのではないだろうか。そういうことである。

 

「なんといっても最弱の魔物だからな。問題ないだろう。どうせ倒すしな。」

「う~ん。まぁ、そうだけど。」

「何、安心しろ。最悪、婆さんに倒して貰えばいいんだ。俺らより全然強いだろ。」

「そうだね。分かったよ。」

 

 くくく、こうしてアリスちゃんを巻き込むことに成功して、経験値がっぽがっぽ計画は始動したのである。

 とりあえず、王都の偉い人情報によるとスライムは魔力を与えることでレベルアップすることが確認されているらしい。それがスライムという魔物の成長特性だとか。

 ちなみに人間の成長特性はどのような行動でも経験値を得ることが出来るというものらしい。例えば生産活動を行うのでも経験値が得られるというわけだな。偉い人が言うんだから間違いないのだろう。

 

「さて、こうしてスライムを捕まえました。」

「あ、うん。なんだか可哀そうな気がしてきたよ。」

「ははは、魔物だぞ。別にいいだろ。」

 

 CN―Lv4/100 Race:スライムLv3/30 Rank:1

 HP 518/518 MP 452/452 SP 374/374

 STR 29 VIT 44

 INT 41 RES 28

 AGI 33 DEX 43

 

 さて、これが捕まえたスライムのステータスであるが、こいつに対して魔力操作のスキルを用いて魔力を分け与えます。

 

「アリスちゃん、魔力操作のスキルでこいつに魔力を分けるんだ。」

「う、うん。分かったよ。」

 

 二人して魔力を空にした結果、スライムのステータスはどうなっているのだろうか。

 

 CN―Lv8/100 Race:スライムLv7/30 Rank:1

 HP 755/755 MP 677/677 SP 574/574

 STR 35 VIT 53

 INT 50 RES 34

 AGI 38 DEX 53

 

 おおっ、レベル上がっているな。これは中層並みの魔物が誕生したというわけか。くくく、くはははは。計画が上手くいきそうではないか。

 あっ、というか自分の魔力を渡すのってアホでは?こいつにダメージを与える手段を減らしてどうするのって感じだよな。

 ま、まあいいか。とりあえず、この日のために買ってきた魔力回復薬も与えてやろう。その数なんと20本。2000の魔力を与えるのと同義なのである。では、ばっしゃばっしゃかけて行こう。

 

「スラちゃん。」

「スラちゃん?」

「この子の名前、スラちゃんにしようよ。」

「はい?こいつ倒すのだが。」

 

 アリスちゃん、君って子は。まさかこの短期間でスライムに情を移したというのか?餌やりをしているようなものだし、ぷるぷるしているだけだから可愛く思えるかもしれないけど、こいつ魔物だよ。

 人類の敵だからな。あー、テイマーという職業があるのは知っているから、従魔にすればいいのも確かだけど、検証できなくなるから、ダメだよ?

 赤い瞳をウルウルさせてもダメなものはダメだからな。

 

「可哀そうだよ。」

「いやいや、元々そのつもりで育成しているんだけど?」

「ダメ。もうこの子はうちの子だから。」

 

 いやいや。いやいやいや。え?困るのだけれど。こんな展開は予想外だ。2000も金つぎ込んでいるし、俺のほぼ全財産だからな。自分用の回復薬とかは流石に残しているけど、もうお金ないんだよ。

 でも、アリスちゃんのウルウルアイには勝てそうにない。くっ、何たることだ。今回はもう諦めるほかないか。はぁ~、今度一人で検証しよ。

 

「分かったよ。ちゃんと面倒見るんだよ。」

「うん。スラちゃん、おいで。」

「……。」

 

 傍から見たら感動的な光景かもしれないけど、俺からしたら金がただ単に溶けただけだ。それに流石にアリスちゃんから金を取ろうなんて言い出せないし。

 とりあえず、鑑定。

 

 CNスラちゃんLv10/100 Race:スライムLv9/30 Rank:1

 HP 873/873 MP 790/790 SP 675/675

 STR 37 VIT 58

 INT 55 RES 36

 AGI 41 DEX 58

 

 Skill

  光属性魔法,闇属性魔法

  魔力操作

 

 あ、スラ“ちゃん”までが名前なのね。それは置いておいても、こいつ光と闇属性の魔法を使えるようになってる。これ、俺とアリスちゃんのせいだよな。

 うわぁ、絶対やばい気がするけれど、俺はもう知らない。アリスちゃんの従魔ということで押し通るとしよう。

 

 今日の成果。

 収入。

  なし。

 支出。

  魔力回復薬、二十個。

  アイテムの補充額、100*20=2000。

 

 利益・損益

  0-2000=-2000。

 

 いつにもないくらいの大赤字であった。これからはアリスちゃんのいないところで検証しよう。トホホ。

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