英雄讃歌 第一章 作:如月@カクヨムとなろうでも投稿しています
さて、今日はアリスちゃんに他の用事があるようで、俺は一人で村の散策をしていた。流石に一人で初心者の洞窟に行くのは厳しい気がしており、この村の探査を進めようというわけだ。
とりあえず、武器屋に向かうことにする。というのも聖剣は便利だけど、接近戦をするなら今の攻撃力では使い物にならないというのが正直なところ。
光と闇属性を使えるスライムが増えたこともあり、後衛が三人というのは少しばかりバランスが悪いと言うしかない。それを解消するためにも接近用の武器と盾を用意したいのだ。
「いらっしゃい。……おや、イリアちゃんか。珍しいな。」
「あはは、今日は剣を見せてほしくて。」
「ほう。まぁ、好きに見て行ってくれ。壁に立て掛けてあるのと、それに傘立ての中に入っているのが売り物だ。」
「分かりました。」
う~ん。大したものは売っていないなぁ。これなら別に今の聖剣のままでも問題ないような気がする。ほとんどがランク一の装備だし、基礎能力値と強化値どちらも大したことがない。
アビリティが付いているものは稀だし、そういうものは値段が高くなる傾向にあるからな。つまりは手を出せないというわけだ。
一つ、傘立ての中にマシそうなものは入っているけど、どうなんだろうな。
EN:魔鉱の剣+3 Rank:2
攻撃力 28(+3)
今の聖剣よりは攻撃力が高いけれど、魔法攻撃時に補正がつかない剣だ。近接戦闘だけで用いることを考えたら問題ないかもしれないけれど、都度聖剣召喚で持ち替えるのは面倒と言う他ない。
これが聖剣なら聖剣召喚をしたときに自動で異次元にしまわれるのだが。
「すみません。この店って聖剣なんて売ってませんよね?」
「ぶっ……聖剣なんて普通の店に売ってるわけないだろ。王都の店にもそうそう売られるものじゃないんだぞ。」
「あっ、ですよね。まぁ、今回はご縁がなかったということで。」
「そうかい。」
残念ながら魔鉱の剣君は採用見送りということで。今の聖剣を用いて戦う他ないかな。近接戦闘するには攻撃力が低いけど、まぁ諦めるか。
さて、続いて行くべき場所は防具屋である。盾は確定購入するべきものだからな。盾を持つだけで防御力が上がるし、敵の攻撃を防御することが出来るようになる。持たない理由がない。
唯一持たない理由があるとすれば、かの【剣聖】や【冒険家】がやったように二刀流でもする時くらいだな。大剣を使う時もバックラーのような腕に装着する形の盾なら装備できるし。
「いらっしゃい。」
「やいやい店主。いい感じの盾はないかな。」
「イリアちゃんか。今日もまた変なテンションだな。」
「今日もって何ですか?今日
やっぱりイリアさんって俺が入る前から変な子だったのか?だから俺が変なことをしても皆スルーしてるのかな?なんとも悲しい事実だ。アリスちゃんが仲良くしてくれているのが有難いものだな。
そんなことはどうでもよくって、とりあえず盾を出しなさい。俺は盾を見に来たのだよ、店主さん。
「はいはい。盾はあそこの列にあるからな。好きに見て行ってくれ。」
「はいよ。」
おおっ、結構種類置いてあるじゃん。木製のものから鉄製のもの。魔鉄製のものまで。また、バックラー、シールド、シールドウォールなんてものまで。選り取り見取りだな。
とはいえ基本的に聖剣を用いることを考えるなら、バックラータイプのものに確定だけどな。安いって言うのも大きな理由だ。
バックラー、シールド、シールドウォールの順に使用する素材の量が多くなっていくからな。当然、バックラーが一番安くなるのだ。その分、防御範囲が狭くなるのだが。
やはりと言うべきか、魔鉄製のものが一番防御力が高いな。それにお値段も高い。そのお値段なんと1600である。盾にしては安いと思うべきか、でも最近とある悲しい事件により2000も吹き飛んでいるからな。
その後で、何回か初心者の洞窟に向かったから同じだけの金額は払えるけど、1600かぁ。命には代えられないよなぁ。
「店主。この魔鉄製のバックラーが欲しい。」
「あいあい。じゃあ、1600だな。」
「くぅ、はいよ。」
所持金が、所持金がぁ。こんなにお金で苦労することになるとは。おかしいな。前世はここまできつくなかった気がするのだけれど。気のせいなのかな。
と、今回買った盾はこのような能力値である。
EN:魔鉱の盾+2 Rank:2
防御力 12
まぁ、悪い買い物ではなかっただろう。初期装備でランク2の盾が手に入ったのだからな。こういうところは鑑定様様だ。
さて、必須級の買い物をした後は何もやることはない。特にあてもなくぶらつくのもいいけど、それではつまらないというものだ。とりあえず、俺が初日に倒れたところに行ってみよう。
触れた瞬間気を失うなんておかしいからな。おそらく、タイミングの問題だろうが何らかの理由があるなら、排除しない理由はない。
ということで、広場にやってきたが何やら三人の少年たちがたむろしている。
「おい、イリアじゃねぇか。」
「あ、マジじゃん。今日はあの格好じゃないのか。」
「何しに来たんだよ。」
「あー、君たちは?」
あの格好ってイリアの装備のことだよな。あんな恥ずかしい格好をしていられるか。初心者の洞窟にいく時でもないと、あんなものは来ませんとも。当然、今は村人の服を着ているさ。
それにしても、少年たちよ。あの格好を見れないのは残念だったな。男からしたら福眼だよな。分かるぞ、その気持ち。
「は?俺らのこと忘れたのかよ。」
「ふっ、あれだけ面倒見てやったのにな。」
「はは、また覚えさせてやればいいさ。」
え?何この剣呑な雰囲気。何で女を手籠めにしようって感じじゃなくて、ボコボコにしてやるって感じなの?イリアさん、あなた何をしたんですか。あなた美少女のはずだよな。それを女の子扱いされていないとは。
しかし、久々の対人戦か。俄然盛り上がるというもの。くくく、少年たちよ。ボコボコにし返してやろう。前世英雄を舐めるなよ?
「くくく、かかって来い。返り討ちにしてやる。」