英雄讃歌 第一章   作:如月@カクヨムとなろうでも投稿しています

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「ふぅ。やっぱり少し緊張するな。」

「ぐるる。」

「……“鑑定”。」

 

 全体的に黒の毛皮で腹の部分が赤い毛で覆われている熊。爛々と光る赤い瞳は獲物を隈なく探しているようで、ひしひしととんでもない強者感が伝わってくる。

 

 CN―Lv23/100 Race:ダークベアLv14/30 Rank:4

 HP 6081/6081 MP 7938/7938 SP 8470/8470

 STR 467 VIT 485

 INT 588 RES 485

 AGI 442 DEX 545

 

 何故これほどまでの魔物が周辺にいるかは不明ではあるが、確かにこのレベルの魔物が出て来てしまえば、今の俺では太刀打ちが出来ない。

 だが、あのスキルを用いればこのスペック差を埋めることができる。というよりは、あれを使わない事には戦闘にもならないというのが正しいけれど。

 

「“英雄賛歌”。」

 

 眩い光に肉体が包まれて、前世の力が一時的に蘇ってくる。それと共に目線が上に上がり、手足が伸びる。でも、これ光るのやめてくれんかな?敵さんが気がついているではないか。

 獲物を見つけたのが嬉しいのか、涎を垂らしながらこちらを凝視してきている。出来れば不意打ちをしたかったところではあるが、そうは言っても問屋が卸さない。このまま戦うしかない。

 ……その前にポーションを服用しないとだな。なんか、締まらないなぁ。

 

 CNアルベルト【能力制限状態】Lv86/100 Rank:10

 Race:闘人族Lv100/ Job:村人Lv30/30 村人ALv50/50

    ラスボス前の村人ALv70/70 勇者Lv82/100

 HP 3293/10616 MP 3083/7648 SP 1284/10499

 STR 395(+5) VIT 360

 INT 305(+5) RES 342

 AGI 367 DEX 377

 

 Skill

  成長促進,双天撃

  聖剣術,聖盾術,豪炎魔法,疾風魔法,聖剣召喚

  魔力操作,気力操作,魔気練成,魔纏い,気配察知,空間把握,直感,歩法,呼気法

  採集,解体,交渉術,お宝探し

 

「さて、やろうか。」

「ぐおおおおおおお!!」

「“爆炎球(フレアボム)”」

 

 業炎魔法の中で中級魔法に属する魔法。爆炎球(フレアボム)。単体火力としては中々のものであり、消費MPと火力を考えるとこのくらいの魔法を扱うのが今は一番いい。制限時間が無ければ上級魔法などが選択に入ってくるのだが。

 どうだ?中々いいダメージ入ったのではないかな?

 

「ぐるる。ぐおっ!!」

「ぐっ!!」

 

 炎の煙幕の先から黒い矢が飛んでくる。どうやら熊公が魔法を使ったようで、闇魔法の一種だろう。先が見えないこともあり除け損ねた。

 体感だがそこそこのダメージが入っている気がする。鑑定で確かめたいところだが、MPも時間も無駄にするわけにはいかない。

 それにーーーーーー

 

「“疾風の刃(エアカッター)”。」

「ぐおっ!!ぐるる!!」

 

 煙幕の中から黒い矢が絶え間なく放たれてくる。熊公の居場所は把握しやすいが、弾幕のように降り注ぐ矢は避けるのに案外苦労して、このままでは熊公の黒い矢に追い詰められてしまう。

 煙幕を消すために放った風の刃は目論見通り熊公ごと切り払ったが、そこまでダメージになっていないのか、熊公は突進態勢を取っており、黒い矢を放ちながらどんっと音を立てて突っ込んでくる。

 

「くっ!!“パリィ”。」

「ぐおっ!!」

 

 小さな盾では熊公の突進の威力を逃しきれずにじんと腕に痺れが残る。しかし、熊公も弾かれたことに驚き数瞬の間ではあるが、動きを止めた。

 この隙のおかげでこちらの態勢を整えることができ、そして、SC、スキルクールタイムが開けた爆炎球(フレアボム)を再度撃つことができるようになっている。

 とはいえ、このタイミングで撃つかは迷うところで、それよりも手に持つ剣で攻撃するのを優先する。

 

「“ブレイブスラッシュ”。」

「ぐおっ……。」

 

 前世で固有に持っていたスキル“双天撃”は接触攻撃のダメージを二度発生させるという強力なスキルだ。汎用性が高く、単純にダメージが二倍になるためスキル回転が実質二倍になるという、我ながらいかれたスキルだ。

 とはいえ、今の俺では能力が制限されているためそこまで大きなダメージを与えることはできない。が、SP消費の攻撃はMPが消費される現在の状況においては最善手足り得る。

 

「“ダブルスラッシュ”、“スラッシュ”。」

「ぐるっ、ぐるううううう!!」

 

 くくく、熊公も焦りのためか唸りがむしゃらに腕を振り回している。実際こういう理性的ではない攻撃は予測しずらく、厄介ではある。あるのだが、生物の可動域は決まっている関係上、絶対に当たらない箇所というのは出てくる。

 そこをつけば面白いように攻撃を避けることができる。このまま行けば勝てるだろうな。

 

「ぐるっ……。」

 

 諦めたか?急に熊公が大人しくなった。唸り声も出さず、静かになる。これはチャンスか。それとも何かの前兆だろうか。前兆であれば、距離を離して魔法戦に移行する方がいいだろう。

 しかし、戦闘開始からいくらの時間が経っただろうか。早々に決着をつけないとMP切れになり敗北する可能性もある。魔法戦もこちらが不利なのも移行したくない。

 ……どちらにしても、このまま接近戦で何かをする前に終わらせるのがいいだろう。

 

「ぐおおおおおおお!!」

「くっ、そっ……!!」

 

 判断を間違えた!!暴走状態。おそらく“狂化”系統のスキル。一時的に莫大なステータスを得る。代わりに持続的に体力を消費するスキル。その強化の比率は現在の減少HP割合*2だ。

 現状半分以上はHPを削っているだろう。つまりは最低でもステータス2倍になっている。その強力なステータスの熊公がすぐ近くにいる。技術で覆せる以上の圧倒的な力。

 このままでは一撃を食らってしまう!!

 

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