英雄讃歌 第一章 作:如月@カクヨムとなろうでも投稿しています
「ふぅ。落ち着け。何かの間違えかもしれない。」
鑑定!!
CN: イリア=ローズベルLv1/100 Rank:1
Race:天使族Lv1/30 Job:村人Lv1/30
HP 207/207 MP 190/235 SP 221/221
STR 15 VIT 15
INT 18 RES 20
AGI 18 DEX 18
Skill
英雄賛歌,交神(限定)
光属性魔法,無属性魔法
鑑定
……さっきと何も変わっていないな。
アリスちゃんのステータスの半分とは、貧弱にもほどがあるだろう。鑑定もMPを使う技能なのか。特典と言っていたから、代償はないものだと思っていたのだが。
「大丈夫?」
「ああ、大丈夫。というか何が起きたんだ?」
「イリアちゃんがあの剣に触れたら突然倒れたの。」
剣?ああ、あの墓みたいな石の前に突き刺されたぼろっちい剣か。
生前使っていた剣と同じくらいの大きさの剣だけど、今の身体と、それに剣の状態を見るに使えたものではないな。錆びついて今にも朽ち果ててしまいそうだ。
あんなのが倒れた原因には思えないし、おそらくタイミングの問題なんだろう。単純に神が魂を送ったタイミングが今というだけなんだろうな。
「そうか。ま、あんなの置いておこう。それより、お腹すいてない?」
「え?さっき一緒に食べたばっかりだよ。」
「あー、うん。色々あったから体力使ったんだろう。」
「んー?私の家来る?軽くなら出せると思うよ。」
「おっ、いいのか?ありがとう。」
この身体、イリア=ローズベルの記憶が引き継がれていないみたいだから、この子の家もどこか分からないんだよな。この子がどういう子で、どういう生活をしていたか分からないためどういう態度を取ればいいか分からない。
もはやアリスちゃんに対しては今更取り繕っても無駄だろうから、そこはよしとするしかない。これに関してはタイミングが悪かったからな。
で、ここがアリスちゃんの家か。
なんと言うか、不気味としか言えないな。まさしく魔女の家みたいな風貌だ。窓の付近には薬草の束が天日干しされており、薬草の乾かした独特な香りが広がっている。
それに薄暗く、光が入らないことも不気味な雰囲気に拍車をかけている。
「入っても大丈夫だよ。」
「あ、ああ。ありがとう。」
こういうところって本能的な恐怖を感じるよな。
別に本当の魔女が住んでいるわけでもないし、特に何かがあるわけではないのは分かっているのだが、どうにも苦手だ。
「いらっしゃい。」
「うわっ。……お、お邪魔しまーす。」
まさか家主らしき人物がいるとは。誰かがいるとは思っていなかったから、身構えることも出来なかった。この人はアリスちゃんのおばあちゃんかな?
しわがれた肌に紫色の瞳。本物の魔女のような、そんな様相である。だけれど、何だか懐かしいような気がする。230年後に知り合いもいるはずがないし、おそらく気のせいだろう。どれ、鑑定!!
CNミザーLv24/100 Rank:2
Race:色人族Lv29/30 Job:魔術師Lv30/30 魔法使いLv17/50
HP 2365 MP 2564 SP 2305
STR 150 VIT 149
INT 167 RES 168
AGI 163 DEX 177
Skill
杖棒術,火属性魔法,闇属性魔法
魔力操作,魔力探知
詠唱短縮,錬金術,料理,製薬
おお、中々強いのか?当然、俺とアリスちゃんよりは強いけど、英雄の頃の自分と比べると、おそらく強くないんだろうな。
推定にはなるが、銀級の冒険者になる前に挫折したような感じだと思う。銀級冒険者の一歩手前までは行ったけれど、それ以上やるには肌が合わなかったとか。そのような雰囲気だ。
銀級の冒険者一歩手前とは言ったが、今でも冒険者ギルドは残っているのだろうか?
昔は魔物討伐を主として、商業ギルドや工業ギルドなどの依頼を請け負い雑務をこなすような組織だったが、今ではどうなっていることやら。世間の常識も学んでいかないといけないな。
「……。」
「え、っと。どうかなさいました。」
「ふん。礼儀のなっていないガキだね。」
「なっ……!!」
まさか、鑑定しているのがばれたとか?それとも単純に驚きを表に出してしまったから?不躾に観察していたのは確かである。
とはいえ、ここまで心地よいとは思えない視線を向けられるいわれはあるのだろうか?過去の仲間でも【隠者】は偏屈な女であり、このような視線を向けられることは多々あったが、気持ちのいいものではない。
「いや、すまないな。」
「礼儀や物事の順序はしっかり守らないとね。大切なものを見落としてしまうよ。」
「はぁ?」
急に何を言っているのだろうか。ミザーと言っただろうか。どうにも意図が読めない発言だな。単純に挨拶をしなかったとか、そう言うことだと思えばいいのか?
どう対処すればいいのか悩ましいものだ。
「……申し訳ないな。だが、そこまで不躾な視線を向ける必要はないのではないか?」
「そうかね。……お詫びと言っては何だが、これをあげるよ。」
ミザー婆さんから渡されたのは短剣。柄にツタと葉の装飾がされており、鞘も何やら豪華である。お高そうな品をポンと渡す気が知れない。詫びとは言うが、果たしてどのような糸だろうか。
それにしてもこれは剣?いや、これは……剣の形をした杖なのか?剣としての使用を想定しているよりも、何か魔法の媒体にすることを想定しているような微かな違和感。
とはいえ、剣としての性能が皆無というわけでもなさそうだ。
「聖剣エルメシア。所有者に英知と祝福を与えるとされる聖剣だよ。」
「はぁ。何故これを?」
「ふん。少しは物事を冷静に見る眼というのを養うべきだよ。」
「……そうですか。」
冷静に、ね。これは長く生きてきた人物からの助言何だろう。何かしらの意図があるのは分かるが、それが何かは分からない。
だが、今後冷静をかくことがあればミザー婆さんの言葉を思い出すこととしよう。
「これもやろう。種族転化の種。いずれ必要になる時が来るよ。」
種族転化の種とは聞いたことがないが、つまり種族を変えることが出来るということだろう。どんな種族に変化できるのか、それも分からないが、持っていて損はないだろう。
「ありがとうございます。」
「素直に礼を言うとは、祝福の聖剣を贈った甲斐があるよ。」
……何故こうも無駄な一言が多いのだろうか。【隠者】ハーミットもそうだったが、普通に話せば真っ当な奴なはずなのにな。