英雄讃歌 第一章 作:如月@カクヨムとなろうでも投稿しています
ミザー婆さんの家から出た俺はアリスちゃんと共に村を散策していた。
とりあえず、今は村の主要施設を案内してもらっている。何がどこにあるか何も知らないからな。ミザー婆さんのいた道具屋以外に生活雑貨店,酒屋を案内してもらったけど、俺にはどれも関係ない店だろう。
「アリスちゃん。この村の教会は?」
「教会に行きたいの?付いてきてね。」
続いてやってきたのは教会である。周りの店や民家が木製に対して、石造りである。それにステンドグラスも煌びやかに太陽の光を反射しており、他の家々とは一線を駕している。
神をまつる教会は威信を示すということもあり、やはり豪勢である。王都にある教会はもっと大きいため、前世で見た時は驚いたものだ。
「おお、案外に立派だ。」
「そんな事言ったら罰当たりだよ。」
「ははは、そこまで見てはいないだろう。」
なんといって神だ。流石に末端の神殿まで目を通しているわけがないだろう。
とはいえ、交神(限定)なるスキルで【聖女】と同じように神と通話できると思われるから、その時は別だろう。その時は色々と聞きたいこともある。
「お邪魔します。」
「あら、いらっしゃい。イリアさんがここに来るのは珍しいわね。」
「ええ、偶にはお祈りでもしようかと。」
「それはいい心掛けですね。その献身に天上の神々もきっと応えてくれるでしょう。」
「ははは。それならよいのですが。」
交神(限定)。
―――早々に何の用じゃ。
いえ、これは一体どういうことなのでしょうか?流石に女の身体になるとは思っていなかったので、困惑しているのですが。
何かしらの理由があるのでしたら聞きたいと思いまして。
―――ほっほっほっ。何、合致する器がそれだったというだけの事じゃ。たまたまそうなったといったところかのう。
……それにしては、最後にあくどい笑みを浮かべていたみたいですが。仕組んだことではないということですね?流石に悪ふざけでこういうことをされると困るのですが。
―――ほっほっほっ。怖いのう。上司に詰められているようじゃ。今後詰められても困るからのう。管理者権限“技能没収”、対象“交神(限定)”。ではの。中々いい反応をしてくれたのでな。これで許してやろう。
「大丈夫?」
「ああ……。大丈夫だ。」
……明らかに悪ふざけか、嫌がらせの類だな。どのような意図かを考えるのも無駄だろう。なんとも言い難いな。
「悪いな。ちょっと眩暈がして。」
「そうなんだ。体調には気を付けないとね。」
「そうだな。」
ずっと思っているが、アリスちゃん物分かり良すぎじゃないか?
仲良かった子が急におかしな行動を取り始めたのだが、すぐに納得するのか。本当に大丈夫なのだろうか?逆に心配になるな。
それとも俺が入る前からイリアさんは相当にヤンチャな子だったのだろうか。……そう考えると、恐ろしいな。いや、今それを考えても仕方ないか。
この際、スキルの検証でもしよう。他にあったスキルは“英雄賛歌”か。後は光と無属性の魔法だったよな。
「ちょっとスキル使ってみてもいいか?」
「え、うん。大丈夫だよ。」
「じゃあ、“英雄賛歌”。」
うっ、眩しっ。何が起きてるんだ?前が全然見えない。どうやら、俺の身体が光っているようだ。そして、なんとなく視線が高くなってきてる?
それにどこか懐かしい感じが、って男に戻ってる?というか、前世の俺だな。完全に俺に戻った頃には発光も止まって、簡単に男に戻れるようだ。
とりあえず、鑑定!!
CNアルベルト【能力制限状態】Lv86/100 Rank:10
Race:闘人族Lv100/ Job:村人Lv30/30 村人ALv50/50
ラスボス前の村人ALv70/70 勇者Lv82/100
HP 227/10616 MP 117/7648 SP 243/10499
STR 395 VIT 360
INT 305 RES 342
AGI 367 DEX 377
Skill
成長促進,双天撃
聖剣術,聖盾術,豪炎魔法,疾風魔法,聖剣召喚
魔力操作,気力操作,魔気練成,魔纏い,気配察知,空間把握,直感,歩法,呼気法
採集,解体,交渉術,お宝探し
うおっ、ステータスが跳ね上がっているな。ミザー婆さんよりもステータスが高いな。制限状態というのにこれだから、我ながら前世はもっと強かったのだろう。
スキルも元に戻っていることを見るに、生前の力を使うことが出来るわけか。それに、男に戻ることも出来ると。ただし、今の器の力を使えなくなるのか。
これだけの力があれば早々に苦戦したりもしないだろうから、有難いな。
「イリアちゃん?」
なんだ……?視界が真っ白に染まって、意識が保てない?
どういうことだ。まさか、スキルの副作用があるのか。それもそうか、こんな強力なスキルが代償なしで使えるわけがない……か。
くそっ……視界が白に染まる。これ以上はもう、無理だ。
「えっ、大丈夫?」
最後にアリスちゃんの心配そうな表情が見えた気がするが、それを機に完全に意識が暗転した。