バオッキーで暴れた人は隔離された部屋に一時的に連れていかれたらしい。
建物を燃やしていた罪がどうなるかは茂治さんの裁量では決められないらしいので、国の通達を待つのみなんだとか。
「いきなり水技を打ってくれとか言われてびっくりしたねぇ。ああいう人増えてくのかな」
「まぁ、増えてくんじゃないか? ポケモンって耐久も人間以上だし力もあるだろう。人間側に対応する策がないのだから、個人の善性に問われているのが今の現状だ」
水面に浮上しながら、蛙前さんたちと話していた。
なんというか、人類がポケモンになったことによる弊害がどんどん出てきて、新たな問題もどんどん出てきて……。
昔子供のころポケモンの世界に行きたいなぁって思ってたけどあれはきちんと整備された世界だからこそだった。今のこの世界はディストピアすぎる。
「まー、気にしてたってしょうがないよね。気楽に戻れるのをまとーよ」
「そうだな。俺らができることは何もない。気長に待つのみ……」
しかないのかな。
私は横になって休んでいると、エリアの扉が開かれる。ネムが入ってきたようだった。疲れたような顔をしたネムは私に抱き着いてくる。
「悠~~。疲れたぁ~~」
「お疲れ。大変そうだね」
「大変だよ……。悠からもらったカプ・レヒレの細胞とかも一応調べてるんだけどさァ! なんもわかんねー! って研究者の日と悩んでる。私は下っ端だからまだいいけど茂治さんがめっちゃ苦労しててきつそうなんだよね」
「あー……」
「国からはせっつかれるし、かといって結果がなかなか出ないしという二重苦とかで。ほんとお疲れさまだよ」
茂治さん苦労してるんだなぁ。
「それと……」
「それと?」
「あ、なんでもない。じゃ、私仕事あるからよ。じゃーな」
そういってネムは走って戻っていったのだった。
一体何なんだろうか。それと……のあとが気になる。まぁ、何か隠してるんだろうけど……。今は気にすることじゃないだろう。
問題は今後のことだ。ポケモンになって悪さをする人がいた以上、そういう事例も増えていくだろうし、私たちも出動する事態も増えていくだろう。
「何かしら対応策を……」
根本的なものがあるじゃないか。
「モンスターボール……」
「モンスターボール? なにそれ」
「ポケモンたちを入れておくボールだよ! それ開発したらいけるんじゃね!?」
と、私はエリアから出てネムを追いかける。
ネムは廊下を溜息をつきながら歩いていた。すると、職員の人に捕まって、なんだか長話をし始める。
「……殺処分」
「避けられませんかね……」
「人間側に対抗策がない以上殺すしか……」
……あー。
私はネムの後ろに立って盗み聞きしていた。
「……ってあっ!」
「え? あ、悠!? 今の聞いてた?」
「もちろん」
「……そうならないようにするから、ね!?」
「まー、最終的にそういう判断になるなら私は別にいいけどさ……。介錯はネムの手で頼むよ。それぐらいのわがままは許して」
「悠……」
「まぁそれはいいとして、ネム。モンスターボールを今すぐ開発すべきだって思い立ってきたんだよ」
「モンスター……ボール……」
なんで今まで気が付かなかったんだろう。
私は茂治さんのところに一緒に向かい、モンスターボールのことについて説明をする。モンスターボールはその名の通りポケモンを小さくして持ち運ぶためのボール。あれが檻にもなるだろう。
「だが原理は?」
「ゲーム内だとたしか……。ポケモンには小さくなる機能が元から備わっており、そのボールが強制的にそれを発動させてしまうという設定だったはずです」
「……そういう機能があるのか」
「ゲーム内でもまぁまぁ未知の生物ですから。原理的にはその機能を強制的に発動させられることができたら可能なはず……」
「私を実験台にしていいので! 開発してみませんか?」
「……ああ。してみよう」
モンスターボールの開発。今の日本において一番必要なのがモンスターボールだ。
……まぁ作り方なんてさっぱりなんだけど。