研究施設に来て二か月。
私はボールを投げられていた。
「いてっ」
こつんと体にボールがぶつかったと思うと、私の身体がどんどん小さくなっていき、そのままボールの中に収納されたのだった。
「やったァ!」
「成功!」
モンスターボールの開発。
本来は一か月程度のはずだった滞在が二か月にのび、ようやく研究の結果が見え始めた。小さくなるという原理を理解し、その細胞をピンチだと誤認させることで小さくすることに成功、私はボールの中に収められてしまった。
まぁ見た目はだいぶ不格好なモンスターボールだが。
「まさかモンスターボールができるとは……。私が言っておいてなんだけどマジで出来るんだこれ」
「私も正直ビビってる。日本すげー……」
モンスターボール越しからでも声は聞こえてくる。
外の情報はわかるようにはなっていた。まぁ中から外の様子は見れないっぽいが。
「国からせっつかれているのもあり、死ぬ気で開発したのだ。アメリカなどから技術の提供もあったのがでかい。すまん、私はいったん寝る……」
茂治さんは倒れるように眠ってしまったようだ。
私はボールから出され、自分のボールを見る。ゲームのように赤と白を基調としたボール。
なんというか、一周回ってオシャボよりこっちのほうがいいですよね(モンボ厨)
「でもこれを量産しないといけないのが難点だと」
「……開発費おいくらくらい?」
「400億……」
「ぶっ」
「量産するとなると一つ辺り2万円とかなんとか……。それでもちょっときついらしいけどな」
利益度外視とかいってたけどそれでもそんなにするのか……。
「まぁ国から予算が下りたからそこはよかっただってよ」
「ほへぇ……」
「とりあえず今施設にいる人たちには全員声をかけてみて、モンスターボールに詰められてもいいか聞くみたい。で、中どうだった?」
「うーん、狭いっちゃ狭いけど窮屈な感じも不思議となかったし、領域展開ってこんな感じかぁって」
「うーん、わからん」
暗いけどなんか安心するというか。
暗いの怖いとかなら普通に嫌かもしれないけど、めっちゃ居心地がいい。モンスターボールって実際あんなのなのかな。
「じゃ、私ボールに戻るから」
私はボールの突起に触れ、そのまま中に入っていく。
少し振動は感じるらしく、それがゆりかごのような状態となってすごい心地いい。ただ外の景色とかわかったらなぁと心から思う。なんも見えない、ただただ音や声が聞こえてくるだけなので外の状況とかやっぱわかりづらい。
人間は視覚で7割情報を得ているっていうし、やっぱ視覚って大事なんやなって……。
「なんていうか、今の私ってポケモントレーナーだよな」
「最初のポケモンが準伝説からってどこの強くてニューゲーム?」
「あ、そういやそれって自力で出れる? アニメじゃ出れたよな?」
「やってみるか」
私は体を頑張ってデカくしてみると、ボールの中から放り出された。
やっぱ出来るんだ。モンスターボールってすげー。現実とアニメでそっくりじゃん。この調子でオシャボ作ってほしい。私はぜひラブラブボールにいれてくれ。ムーンボールでもいい。
「ま、やっと結果が出た研究だし、しばらくは茂治さん大丈夫かな。モンスターボールを開発するというのは盲点だったね」
「あとようやく帰れる。ヨッシーとか帰っちゃったしな……」
「えー、もう少しいようぜ。学校なんてだるいじゃん」
「私らはまだ学生だからダメでしょ。卒業できずに留年とか……一か月休んでるから出席日数も足りるかどうか」
「はぁ~……わかったよ」