モンスターボール、慣れてきたら意外と快適。
移動は人間に全任せに出来るし、なにより割と落ち着く。小さくなってる私の身体は不思議な物だけど、なんかポケモンって感じで悪くない。
なにより満員電車の辛さとか体験しないで済むのが割と偉い。
「はーい、到着。ほら、出てこい」
「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーんっと」
「カプレヒレ! ハイドロポンプ!」
「任せ…‥ってなんで打たせんの?」
「ちっ……ジムバッジがないから言うことを聞かないか……」
学校にハイドロポンプを打たせんな。火事でもなんでもないだろがい。
ネムとふざけながら教室に入ると、教室は地獄絵図だった。
「どしたの!?」
「……あっつ!」
全員机に突っ伏している。
たしかになんか蒸し暑いような……。エアコンがあるはずなんだがエアコンがかかってないのか?
「あ、おはよぉ……」
「おはようさん。エアコンかかってないの?」
「昨日ぶっ壊れた……」
「なんで!?」
「わかんねー……だって。この教室ただでさえ日当たりいいのにエアコンないとか罰ゲームだろ……」
クラスメイトは暑くてダウンしている。
私は仕方がないので吹雪を吹きつけようとしたがやめる。人間は思ったより脆いので吹雪なんてしたら凍え死にそう。真夏に凍死とか都市伝説の類だ。
私はこのポケモンになってから暑さはあまり感じなくなった。
「……悠」
「なに?」
「あー、悠の身体ひんやりしてて気持ちいい〜」
「マジ!? 抱かせろ!」
「わ、私も!」
クラスメイトが私に次々と抱きついてくる。
「うわ、マジでひんやりして気持ちいい……」
「でも今ひとつだな……。氷タイプだったらよかったのに」
「抱きついてきて文句言うなよ……。氷タイプの技覚えてるけど使ってやろうか?」
「え、なに?」
「吹雪」
「すんませんした」
だがエアコンがないとこの暑さは人間にとってはだいぶキツイだろう。
ポケモンの力でどうにかなる問題じゃないし、早いところエアコンの業者が来るのを待ったほうがよさそうだ。
「あーー……。6時間プール授業にならねーかな」
「みんな席に着けー……。今日は臨時休校だ」
「え、なんで?」
「この暑さは死ぬだろ。今全教室のエアコンが壊れてんだ。この暑さでは俺らも死ぬ。エアコンの業者は夏休みに来ることになったからな。少し夏休みの日をずらすことが決定されたから明日から夏休みだ。当然夏休みが終わるのも早くなるからな」
なんてことでしょう。殺人的な暑さのせいで夏休みが早まった。
「……私たちバイト続けててもよかったな」
「結果論だよそれは……」
結局一学期はほぼほぼ学校にいなかったことになってしまった。
「あー、あと五木、朝凪はちょっと俺と一緒に来てくれ」
「え、なんすか?」
「お前ら一学期来てなかったからな。話がある」
……なんかやばい話ですか?
昨今の暑さでエアコンなしは死ねと同義