「というわけで……松木と五木、古田がポケモンとやらになってしまった。みんなも気をつけ……られるかはわからないがあまり揶揄わないでくれ」
あの後また一人ポケモンになってしまった人が来た。
来たは良いのだが、なんだかとても悲しそうな声だった。古田 勝、クラスのムードメーカー的な存在だった彼が……。
「なんで俺コラッタなんだよ……。もうちょっとカッコいいのとか強いのいただろ……」
コラッタになった。
普通のネズミよりかはひとまわり大きいが、コラッタはコラッタ。序盤ノーマルポジション。
アローラの姿でもなく、普通の紫色のネズミ。
「俺ポケモンになってもコラッタはやだわ……」
「かわいー」
「可愛いっていうな! コラッタだぞコラッタ! こんなが弱くなってしまった俺は情けない……」
古田くんは机の上でワンワン泣いていた。
「五木はすごい当たり引いたよな」
「そお?」
「カプレヒレだろ? 準伝説! すげーじゃん。準伝説なんて俺初めて見たぜ」
「足が殼にひっついてるくらいで手もあるし顔もあるし口もあるし……。美しい。いいなぁ。私もポケモンになるんだったらこういう見た目がいいポケモンがいい」
「世はルッキズムか……。コラッタでもいいよな?」
「え……あー、まあ、強さはあるものとして……」
古田くんは再び泣いた。
「それにしてもポケモンになるってなんでなんだろな。なんか○○団!みたいな悪の組織がこういうことしてんのかね?」
「だとしたら一部じゃなくこの町の人間全てとかそういうことするんじゃない? わざわざ人間のまま居させる意味もないっしょ」
「それもそっかぁ」
それなんだよな。
一体誰がどんな目的で私たちをポケモンにしたのだろう。そもそもポケモンになる人も、覚えてる技とかもなにもかも不思議だ。
私たちにとってポケモンはあくまでゲームの中の話であり、現実の話ではない。それが今現実の世界に絡んできている。
「はいはいそこまで。そろそろ授業始まるよ」
「そうだな……。古田、その姿でノートとれんの?」
「頑張ればできる……」
古田くんは二足歩行で立ち上がり、シャーペンを両手で持つ、
私は三本の指で握るようにペンを取った。指があるとはいえ水かきがすごい邪魔。そして三本という人間とは違った指の数。慣れねぇ〜。
「悠」
「おん?」
「観音崎さんが呼んでる」
「ん、わかった」
私は廊下の外にいる観音崎さんのところに向かう。
「お呼びしてしまい申し訳ございません」
「あ、いえ……。何かお話が?」
「実はポケモン化のことを父に相談してみたところ、あなた方の話も聞きたいとのことでして。あ、私の父は今現在ポケモン化のことを調べてるんですよ」
「わかりました。なら放課後……」
「はい。放課後またよろしくお願いしますね」
観音崎さんの父さんが調べてる、か。
なんかわかればいいけど……。