両親に1ヶ月、観音崎さんが指定する施設に泊まることを告げる。
研究のためとかいろいろ説明し、両親もわかったと二つ返事で了承してくれた。
私は最低限の荷物をまとめ、殻の中に突っ込んで観音崎さんの屋敷に向かった。
屋敷ではなく、きちんとした研究施設らしい。
ここより少し遠い場所にあるので学校はしばらくお休み。幼馴染の舞とも少しのお別れ……とはならなかった。
舞はお世辞抜きに天才の類であるため、勉強しなくていいやと付き添いでくるらしい。
「こ、ここが研究施設……」
研究施設の中にはたくさんのポケモン(人)がいる。
そして、それぞれのポケモンに合わせた環境もこの施設に作っているらしい。
「火山に住んでいそうなポケモンのために火山とかそれに近い温度の部屋があったり、魚系のポケモン……コイキングとかのために水族館みたいなエリアがあるんです」
「こんな施設日本にあったとは……」
「一年前にはこんな事象が確認されていたそうですし、増えるかもしれないと父が指揮をとり建てたそうです。一応全ポケモンのソフトは置いてありますし、制作しているゲームフリークの方々とも協力体制をとっています」
「へ、へぇ……すごいね……」
「では私たちもそれぞれ適したところに送られると思います。雑に扱われはしないと思いますので、同室の方がいたら仲良くしてあげてください」
職員の方に出迎えられ、私たちの部屋に向かうことになった。
私は水エリアと呼ばれる場所。部屋の大半が水。水族館の大きい水槽のような感じで、ガラスの巨大な水槽があり、海藻なども設置されている。
なんていうか見せ物のような。まあいいんだけど。
「では早速水の中に入ってみてください」
「はーい」
私は水の中にダイブ。
流石は水タイプというべきか、水の中にいても苦しくない。この形状からして私は鰓呼吸するタイプではないのだが、息苦しさはない。
ただ殻が抵抗を生むのか泳ぎづらい。受け止める形になってるから留まるだけならまだしも泳ぐスピードは遅い。
あ、いや、殻を閉じて泳げばいいのか。
殻を閉じてみると、カジキマグロのような形になる。この形だと泳ぐのが速いし、なんか閉じているのに前が見える。
「はえー」
「新入りか?」
「ん?」
私は立ち止まると、なにやらゴルダックが話しかけてきたようだ。
「いいなぁ、君は強そうなポケモンで。俺なんかゴルダックだ」
「はは……。そうですかね?」
「ゴルダックなんて対戦で滅多に見たことねーよ……。すいすいアタッカーならルンパッパとかキングドラ、メガラグラージのほうがいいもんな……」
否定はできない。
すると、今度は優雅に泳ぐアシレーヌがやってきた。
「あら、あなたもいいポケモンじゃない! いいわ、すごくいい!」
「げ、アシレーヌ……。強いポケモン……」
「え、私そんな強いの?」
「チャンピオンズでよく見るポケモンだよ……」
「そーなんだぁ。対戦とかよくわかんないけど強いなら嬉し〜!」
アシレーヌの人が私の周りをぐるぐる回る。
「あっちでお話ししましょ! アタシ、あなたの雰囲気が好きよ!」
「あ、う、うん」
私はアシレーヌに連れられるがまま、岩場のところへ。
「改めて……。私は水元 結菜。名前ぐらいは知ってて欲しいんだけど……」
「水元……あの有名なアイドルの!?」
「あ、知っててくれたんだ! 嬉しい!」
水元 結菜。
最近テレビによく出ているアイドルグループ、ぺんぺこりんの一人。メンバーの中で頭抜けて歌が上手く、顔もよく、演技もこなせるという何を持ち得ないのかわからないアイドル。
そのアイドルが私と同じ……。
「こんな姿になっちゃってさ、メンバーにめっちゃ迷惑かけちゃって。早く治したいからここに来たんだけど治る見込みがまだなくてねぇ。まー、役に立てるならってことで居続けてるんだ」
「そうなんですね……」
「私自身あまりポケモンとかやってこなかったからさ〜。ぽこあポケモン面白いって聞いてやり始めたくらいでこうなっちゃって」
「超新規勢……!」
とっかかりはなんでもいいんだ。ようこそポケモンの世界へ。
「なんの話してるんですか? そんな陰で」
「うわっ、いきなり来ないでよビックリしたぁ」
ヌッと姿を現したのはネオラント。
「もうなーちゃんいきなり現れないでよビビるなぁ」
「なーちゃん?」
「あ、私の友達。夏樹だからなーちゃん」
「よろしく」
「あ、どうも……。五木 悠です」
「良い名前だねぇ」
ネオラント……。
ダメだ。対戦ありきで考えてるせいでネオラントってポケモンいたっけ?みたいな感じになってしまった。いるよネオラント。