英雄讃歌 第二章   作:如月@カクヨムとなろうでも投稿しています

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 さて、気を取り直して攻略を進めていたところ、ついに第一階層の点検ポイントの把握と

次の階層への階段を見つけることができた。

 見つけることができたというのは正しくなく、完全にヴァンに道案内してもらっているだけである。とても有難く思っているよ。ナンパとか言ってごめんな。

 

「ついに第二階だよ。これからは罠もあるから、気を付けなくちゃいけないよ。」

「はは、そうだな。でも、ヴァンが全部解除してくれるんだろ?」

「ふふん。任せておいて。このダンジョンで一番の斥候の名は伊達ではないさ。」

 

 確かにこれまで先制を取られたことないし、一番最初に魔物を見つけているのもヴァンだからな。決して嘘のつもりはないのだろうな。

 信頼していい人間なんだろう。変な挙動は一切なかったのだし。唯一気になることは戦闘に参加しない事だろうか。最初に言ったとおりに戦闘能力は皆無なのか。

 

「二階も変らないんだね。」

「このダンジョンは最低でも七階までは変わらないよ。十階だけは壁が吹き抜けで外が見えるという話らしいよ。」

「へぇ、七階までは潜ったことあるのか。秘密って言うのは十階にあるのか?」

 

 アリスちゃんの言う通りに一階から上がったにもかかわらず、風景は一切変わりなく大理石調の六柱と神秘的かつ厳格な雰囲気が漂っている。

 そこにヴァンによる補足が入るが、最低でもということはきっと、ヴァン自身の目で見た範囲ではということなのだろう。十階に関しての噂は興味深いものだけれど、今の段階では目指せるものでもないから、残念だ。

 

「……そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。」

「ん?曖昧な表現だな。」

「僕も曖昧な事しか聞いていないからさ。もう少し具体的な話しも聞けるかもしれないけれど、話してくれる人が気分屋で神出鬼没だからさ。」

 

 なるほど。ヴァン自身もそれが本当の事であるかも分からないのか。ただ第三者からのまた聞きか。文庫などを解読したのかと思っていたが、そう言うことではなかったのか。

 それにしても気分屋で神出鬼没って、怪しいな。冒険者としては正しい姿勢なのかもしれないな。とはいえ、捕まらないのは困るよな。

 

「それは大変だな。」

「もう慣れましたよ。僕が生まれる前からなので、治らないよ。」

「あぁ、筋金入りの……昔にそういうタイプと知り合いだったな。」

「イリアさんもそういう経験が?」

 

 懐かしいな。前世の仲間である【冒険家】カルア。世界最高峰の斥候でありながら、極度のめんどくさがり屋で、自分に正直な気分屋。ふらりと旅に出たかと思ったら、数日後に何故かパーティー内に戻ってきていたりと、行動が読めなかった。

 カルア自身もヴァンと同じように戦闘を得意とはしていなかったが、環境を武器にして戦う、敵にしたら非常に厄介な手合いだった。一度本気で怒らせたときに家中を罠だらけにされて、降参するしかなかった。

 猫獣人ということもあるからなのか、本当に猫みたいなやつでカルアの気まぐれには困ることも多かったが、総じて楽しい思い出だ。

 

「まあ、な。……それより、秘密というのは結局何なんだ?」

「僕も詳しくは知らないよ。ただ、秘密の部屋がある。そこへの道は意外なところにある。とだけ言われたよ。」

「それは確かに分からないな。」

 

 つまり、ダンジョン内の隠し部屋を見つけたってことなのか。それなら、本人が探索していそうなものだけれど、どうなんだろうな。意外な道というのも分からないし。本来隠し部屋に繋がる通路とは違う場所に入るための通路が用意されているのか。

 十階のボス部屋?壁が吹き抜けになっているって話と、本来ボス部屋は破壊できないという前提条件が崩れているダンジョンということなのか。

 

「ボス部屋にある可能性が高いと踏んでいるのか。」

「その通りだよ。ボス部屋に隠し部屋があるのは聞いたことがないからさ。」

「……面白いな。興味が出てきた。」

「気分屋で神出鬼没だけど、会ってみるかい?」

 

 気分屋で神出鬼没なのに?そんな人間が簡単に会ってくれるとは思えないけれど。それとも、何かしらの呼べる手段でも持っているのか。何でもいいが、会ってみても面白いかもしれないな。

 会えるものなら会ってみたいものだ。

 

「会えるのか?」

「問題ないよ。絶対に会える手段を使うさ。」

「楽しみにしておく。」

 

 もう、ヴァンを臨時パーティーに入れるのは確定事項だな。これだけ優秀な斥候は中々いないし、本人が組んでくれるというのだから、非常に運がいいことだろう。

 人格的にも問題ないし、秘密を解決できたとしても、同じパーティーに所属してくれたりすると嬉しいかもしれない。斥候がいるかいないかで全然快適性が違うからな。

 

「ついに罠があるね。」

「おっ、ついにか。よく気がついたな。」

「探知は風魔法できるよ。床や天井、壁に風を巻き起こして変な凹みがないかを確認するのさ。」

「風魔法って便利だよなぁ。」

 

 風魔法だけ相当やれることが多いと思う。戦闘でも有利だし、探索も出来る、もちろん防御壁を作ったりも。唯一回復だけが不得意という感じか。それ以外はほぼすべてこなせるのではないかな。

 特に探索に関しては風魔法の右に出るものはいないから、冒険者の適性においては風魔法が一番かもしれないな。

 

「ですよね。僕も風魔法に適性はあってよかったと思うよ。風に適性は無かったら、今事どうなっていたことか……今となっては関係ないけどさ。」

「……。」

「さて、罠も解除したよ。先に進もうか。」

 

 人には人の歴史あり。ヴァンがその内話すだろうその時を待つだけだ。話さなくてもいいなら、それは至上であるのだから。

 まだまだダンジョンの探索は続く。

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