魔法少女育成計画「青」 ―La Pucelle: Alive Chronicles 4―   作:神谷萌

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第11話

「──────── なので、魔法少女は本来、その活動は無償奉仕、つまりお金を取らずに人助けをするのが正しい姿ではあるのですが……────」

 カルコロが授業をしている。

「しかしながら、経済的に困窮、つまりですね、生活のためのお金が足らなくて、生活していけなくなった結果、犯罪を起こしてしまう魔法少女もいて────」

 カルコロは、自分は少し狡くなったな、と思った。この内容も、繰々姫がやってきて、ハルナがイライラしているドサクサにねじ込んだものだ。

 ハルナは理想の魔法少女をつ(・)く(・)り(・)た(・)が(・)っ(・)て(・)い(・)た(・)。清く正しく、強く逞しく、私利私欲に走らず、誰かに使われず、正しいことを自分で正しく行える。そんな魔法少女だ。

 ハルナ個人は、魔法少女がその力を使って利益を得るなど不届き千万、とまでは言わない。言わないが、そもそも“魔法の国”全体の魔法少女に対する観(み)方(かた)が、魔法少女とは奉仕者であるべき、魔法の国以外の一般社会から利益を得るべきではない、という方向に偏っている。

 だが、カルコロは、もともと魔法の国の犯罪学を研究していたこともあって、指導要綱を編集している際に、それが正しいのかという疑問にぶつからざるを得なかった。

 清く正しく、強く逞しく、私利私欲に走らず、誰かに使われず、正しいことを自分で正しく行える。 ──── これと、無報酬の活動を良しとする非明文の規律とは、実は矛盾する。

 収入がない、生活に困窮する。その結果、犯罪に手を染める、あるいは望ましくない組織や実力者の走狗に成り下がる。これは人間社会の普遍的構造だ。

 3年 ──── そう、年を数えて3年前。犯罪に手を染めた例ではなかったが、魔法少女部門で少(・)し(・)揉(・)め(・)た(・)ある事案があった。

 

 

 ─☆──☆──☆──☆─

 

 もともとの発端は、リップルこと岸辺華乃が10歳の細波華乃だった頃の話だから、ちょうど干支ひと回り、所謂ひ(・)と(・)昔(・)前(・)のことだ。

 『魔法少女マジカルデイジー』というテレビアニメ番組があった。

 花の国からやってきたお姫様が、悪の組織と戦う作品だ。

 ──── これが、実は実話をもとにしつつ、脚色したシナリオの作品だった。

 魔法少女マジカルデイジーは実在する。ただし、“花の世界から留学してきたお姫様”というのは脚色設定で、実際には当時は一介の中学生だったのだが。

 アニメ『マジカルデイジー』は、“魔法の国”の魔法少女部門・広報部が主体的に関わって制作した、魔法少女PR番組だ。

 “魔法の国”は公然にはその存在が厳重に隠匿されている。だが、実際には他の一般社会と密接に絡み合っている。 ──── というのは、今更だが。

 なので、魔法とか、魔法少女とか、そういったもののイメージアップの為にこのような活動もする。そして、回り回って魔法少女や魔法使いの候補となる人材、あるいは在野での協力者を発掘する下地にするわけだ。

 話を戻そう。当時中学生だったマジカルデイジー、本名 八雲(やくも)菊(きく)は、魔法少女としての活動が広報部員の目に留まり、上申を経てアニメ化されることになった。

 中学生はそろそろ夢から醒めだす頃だ。岸辺颯太も姫河小雪も自分の夢をおおっぴらに言わなくなったのもそれくらいだ。

 それでも、当時の菊にとって、マジカルデイジーになり、アニメになって公共の電波にのって放送されたことは、誇らしいものだった。そのために魔法少女活動をすることも含めて、胸がワクワクすることだった。

 ──── だが、これはまったくの無報酬だった。

 したがって、八雲家の経済状況にはなんら寄与しなかった。中学生の菊は、まだまだ親の庇護下にいれば少なくとも食いっぱぐれることはない身分だったから、そのことを深く考えなかった。

 そして、デイジーの栄光の日々は長く続かなかった。

 もともと、本来4クール52話、1年サイクルの『キューティーヒーラー』シリーズに2クールほどの制作ギャップができて、その間の穴埋めコンテンツとして、国内4大ネットワークの在阪局制作扱いでの2クール26話の企画ではあった。しかし、『キューティーヒーラー』シリーズほどの注目作ではなかったものの、そこそこの反響があって、放送枠を平日18時に移して第2期の制作が決まった。その制作期間の間のつ(・)な(・)ぎ(・)として、OVA2本の制作も決まった。その矢先のことだ。

 魔法の国から送り込まれた制作アドバイザーが、シナリオに口を挟んだ。それが事(・)故(・)っ(・)た(・)。第1期22話のことだ。

 魔法少女の華やかさとアクション&バイオレンスが同居することで人気を得た『マジカルデイジー』だったのに、そのアドバイザーは自分の理想とする、地味な草の根活動を描いたものにしようとした。そこまでならまだいい。そのアドバイザーはなにを考えていたのか、魔法少女の象徴である衣装まで隠して、魔法少女であることまで秘匿しての活動を強いた。

 結果は散々なものだった。Web上で派手に炎上した。直接、制作局に抗議の電話やメールを送る者も少なからずいた。

 結局、元の路線に戻すことになったが、そのせいで制作局が膾を吹いてしまった。契約済みのOVA2本と2期は制作・販売・放映されたが、そこでシリーズの命脈は途切れることが決まってしまった。

 その後のデイジー、菊は、テレビアニメ期のマスコットだったパレットともお互い不本意に別れることになり、高校生、大学生と齢を重ねるうちに、その夢は捨てきれないまま、しかし栄光は色褪せていった。

 幸いといっていいのか、工場を経営している実家は、折からの中小零細製造業不足の状況で多少羽振りがよかった。だから、生活状況はお世辞にもよくなかったものの、大学までは決定的に困窮することなく卒業させてもらえた。

 しかし、結果できあがったのは、普通第一種自動車免許すら持っていない、ひたすらノースキル・ノーライセンスの大卒生だ。そういったものは魔法少女には不要なものだと、菊は思っていた。しかしその結果、22にもなって魔法少女以外に能のないニート予備軍になってしまった。

 実家の会社を継ごうにも、そのために必要な資格が充分ではない。

 そんな、菊が人生の袋小路に入りかけていたときだった。

 

 マジカルデイジーに絡んだ事件があった。

 実は『マジカルデイジー』において、“悪の組織”とは『キューティーヒーラー』のような一定の敵対組織ではなかった。現実に存在する反社組織だった。

 10年近くが経過していたが、かつて壊滅させたある反社組織の残党から、所謂“お(・)礼(・)参(・)り(・)”をされた。

 そいつらは、高い報酬を約束して別の魔法少女を雇い、デイジーに復讐すると同時に、裏社会での名を上げて再起しよう、という算段をしていたようだ。

 しかも、地元から離れた都内、秋葉原に出ていた時を狙われた。デイジーひとりだけが身を守って反撃するならいくらでもやりようがあったが、一般人がひしめく場所ではそう簡単ではない。

 巻き添えを出すか、自分が殺されるか、そこまで追い詰められたときだった。

 それはたまたま偶然だった。突然、剣士の魔法少女が降(・)っ(・)て(・)き(・)た(・)かと思うと、反社側の魔法少女にフライング・ボディ・アタックをかまし、デイジーから引き離した。

 反社連中も、忍者の魔法少女から足元に未使用のDVD-Rディスクを投げつけられ、そのまま地面に転がされた。

 最後はデイジーと剣士の魔法少女で反社側魔法少女を制圧した。

 

 その話がパレットの耳にはいった。

 パレットが広報部でなんとか上申し、アニメ『魔法少女マジカルデイジー』のリバイバル企画の立ち上げが始まった。

 菊は23歳になっていたが、まだまだ華のある年齢だ。なにより、以前の作品の視聴年齢層が上がっていて、釣り合いが取れる大きいお友達の潜在は見込めた。

 まず、OVA全6話。その展開の最中に、定期放映・配信のアニメの話が来た。以前の制作局とは別の系列の在京局で、地上波ではなくBS深夜・CS専門チャンネル・Web配信だが、分割2クールで打診が来た。

 そして、パレットは菊の窮状を知っていた。だから、今度は多少なりとも印税が入るように手配していた。

 コミカライズの話も来た。

 かつてほどではなかったが、ファン界隈は盛り上がった。

 OVA『魔法少女マジカルデイジーRETURNS』、新TVシリーズ『魔法少女マジカルデイジーUnlimited』はそれなりに成功した。それ相応の印税が菊に支払われた。

 菊はそれを今度は自分に投資した。実家の会社で勤められるよう、魔法少女活動の傍らで資格取得に努めた。

 

 『Unlimited』では、24歳のヒロインということで、ようやく自動車免許を取った菊が、往年の名車、L111SK型 ダイハツ リーザ スパイダーの黒を颯爽と走らせるシーンもあったりした。

 これも、先の事件で居合わせた忍者の魔法少女が、黒のセルボ・モードに乗っていた、ということにインスパイアされたらしい。

 

「ねぇ、華乃?」

「なに? 小雪」

「『デイジーRETURNS』にデイジーの味方として登場する、この、西洋剣と日本刀をそれぞれ使う、2人の謎の仮面の剣士って……」

「……チッ…………ノーコメント」

「あーっ! やっぱりそうちゃんとリップルなんだ!!」

「行きがかりで巻き込まれただけ」

「ずーるーいー!私も出たかったー!!」

「だいぶ盛られてるぞ。そもそも、30分アニメ6話分になるほどのものじゃないし」

「それでもずーるーいー!!」

 

 

 ─☆──☆──☆──☆─

 

 ──────── マジカルデイジーの件はめでたしめでたしで解決したが、魔法の国の都合で動かされる魔法少女の大半がこうなりがちだ。

 カルコロの同僚繰々姫や、界隈では悪名高い袋井魔梨華あたりは、魔法少女になった時点で手に職持っていたり、不動産所得があったりした。あるいは主婦のトップスピードもこの範疇に含めてもいいかも知れない。こうした背景の魔法少女が経済的・社会的に窮することは少ない。

 しかし、小中学校の時分に魔法少女になって、そちらに傾倒して一般社会からドロップアウトしてしまった魔法少女は、生活するためには悪事に手を染めるか、有力者に阿るしかない。この構造を打破しなければ、人材の質を向上しても結果は変わらない。犯罪学者としてはそう結論づけざるを得ない。

 だから、

「魔法を売り物や見世物にするのは“魔法の国”として看過できませんが、その身体能力を使って対価を得ることは考えてもよいのではないでしょうか? 皆さんはどう思いますか? そのことについて手元の用紙に思うところを書いてみてください」

 と、こうした。

 ──── 魔法少女教養の時間、生徒たちも、カルコロも、基本は変身していない。だが、その中で、ツグツィーヌ・パイトだけは、変身した姿でいた。

 始業前に取り乱した後、1時限目は職員室で落ち着きを取り戻させた。

 早退も勧めたが、本人が固辞した。

 そこで仕方なく、魔法少女に変身した状態のまま、すべての授業に参加することを認めた。

 魔法少女になると、精神系も強靭になり、ストレスに強くなる。もっともツグツィーヌが不意に泣き出してしまうような記憶を抱えている以上、対症療法に過ぎなかったが、本人が早退も医療機関の受診も拒んでいる以上、これぐらいしか考えつかなかった。

 

「あ」

 職員室でコーヒーを啜っていた繰々姫は、壁にかかっているTHE・家庭用という感じの壁掛時計を見て、短く声を出した。

「そろそろね……」

 時計の針は11時40分を指すところだった。木ノ実が復帰したという話は聞いていない。

 繰々姫は、

「よっこいしょ……」

 と、言って立ち上がり、職員室を出た。

 

 その頃、木ノ実の方はと言えば、────

 配膳台車を押して、旧校舎に向かっていた。

 まだ完調とまではいかなかったが、中庭で壁に向かった時に、立っているのも辛くなってきた状況からは、かなり回復していた。

 11時に事務室に職務復帰を告げて、そのまま給食の授受、配膳に取り掛かった。

 1年F組のための配膳台車を引いて、旧校舎と繋がる渡り廊下のある新校舎2階、被服実習室、そして第1調理実習室の前を行く。

 

「────……!」

 俯きがちだったツグツィーヌが、はっと顔を上げた。

「え?」

 教室内を俯瞰していたカルコロだったが、その突然の行動に、一瞬面食らってしまう。

 ツグツィーヌは、教室内、と言うより、向けたその視線の先の教室の外まで見るかのように、周囲を見回した後、

 ガタッ

 と、なにも言わずに、椅子を鳴らして立ち上がり、駆け出す。

 ガララッ

 教室下手側の扉を乱暴に開けて、飛び出していく。

「…………」

「あっ!」

 カルコロが立ち尽くしてしまいかけたその一瞬、真っ先に声を上げて立ち上がったのは、OR・治コだった。

 彼女もまた、教室を飛び出していく。

「なんだ? なにがあったんだ?」

 ノワール・ミーが言う。

「…………ッ」

 次に、ベルが立ち上がって、やはり後を追い出す。

「ベルさん!?」

 ランユウィが声を上げた。彼女と、プシュケ・プレインスも立ち上がり、今度はベルの後を追い出す。

「おい、待てよ!」

「ちょっと!」

「なにがあったのよ?」

 ブラン・キーやノワール・ミー、プリンセス・ライトニング、そして後はゾロゾロと上手側下手側両方の扉から、生徒達が飛び出していく。

「待って……待ってください……!!」

 カルコロが、最後尾となってそれを追う。

 

 先に飛び出したツグツィーヌを追って、治コは駆けていく。

 階段の踊り場から、階段を全段飛ばす勢いで下り階段を飛び降りる。その空中で、由ニ親金代の姿からOR・治コへと変身した。

 

「えっ?」

 すでに1階に下り、渡り廊下へと向かっていた繰々姫の脇を、ツグツィーヌが疾走(はし)り抜けていく。

 繰々姫も立ち尽くしかけたが、その直後に、今度は治コが抜き去っていく。

「!」

 何事かがあったと、繰々姫は直感して、自分も駆け出す。駆け出すのと同時に、希の姿から繰々姫の姿へと変身した。

 

 ちょうど、渡り廊下を木ノ実が渡り始めたところだった。

「!?」

 旧校舎側の、ハメ殺しのダミー扉の向こうから、ツグツィーヌが飛び出してきた。

 ツグツィーヌは、木ノ実に向かって手をのばす────

「手を、私につかまって──」

 

 カムスイッチが捻られる。

 ──── カチッ

 

 ドバァン!!

 渡り廊下の新校舎側の接続部が、爆破された。

「!?」

「な、なにがあったんです────」

 ギギギギィッ……!!

 この渡り廊下は自身の支柱を持っていない。新校舎側の梁に接続されていた支承部と、その周囲のエキスパンションジョイントが破壊され、新校舎側の固定部を失った渡り廊下の梁が不気味な軋みを上げ、傾きかける────

「!」

 べちゃっ、バシャバシャッ

 まるで突然空中に放り出されたかのように、給食の料理が床にぶちまけられた。

「早く脱出してください! そんなに持ちません!」

 やはりダミー扉を抜けてこちら側に来ていた治コが、そう叫ぶ。

 脱落しかけた新校舎側の接続部に、アルミやステンレスが張り付いて、一時的に崩落を阻止している。

 これがOR・治コの魔法、“金属を液体のようにして自由に操れるよ”だった。鉄だろうがアルミだろうがステンレスだろうが、銅だろうが銀だろうが金だろうが、イリジウムだろうが、まるで水銀のように形(・)状(・)可(・)変(・)の(・)状(・)態(・)にして、その上で自由に操ることができる。

 ただし、この場合の“金属”とは、化学上の厳密な金属元素全体のことではない。治コが見た目に自然に金属だと認識できる物体にしか効かない。それに、効果は視界の中だけで、一度視界から出てしまうとその時点の形状で固定されてしまう。

 今のは、配膳台車と、給食のアルミバットや汁物容器をその対象にして、渡り廊下の接続部に“パッチ”を貼ったのだ。

 …………と、言っても、量も充分でなければ、素材自体、所詮食品を運ぶ機材のものに過ぎず、建造物用のような強度も期待できない。

 ミシッ、と軋む音が聞こえる。

 渡り廊下の鉄骨は見えない。それを治コが修正するには歪み始めた鉄骨の部分がすべて見えている必要がある。だから渡り廊下の構造物を新校舎側に再接続することは不可能だった。

「早く!」

「!」

 治コが急かすが、木ノ実は立ち竦んでしまっていた。ツグツィーヌが瞬時に判断し、木ノ実を抱えて、旧校舎側に飛び出す。

 治コもそれを見届けて、ダミー扉の転移門をくぐって旧校舎側に入る。

 バキ! バキン!!

 治コの応急パッチが、破壊音を立てて剥がれる。

 地面高さが違うことと古い建物の鉄筋の強度余裕のなさと、それと完全に構造物を接続してしまうと建築基準法で新旧校舎が1つの建物と看做されてしまうこととから、旧校舎側は、地上に直接基礎を打って固定されていたが、とてもそれだけで長尺物の反対側の重量まで支えきれない。

 渡り廊下は新校舎側から落ち込んでいき、崩落した。

 幸い授業時間中で、外側の地上で、その場に居合わせたものはいなかった。

 

 繰々姫を先頭にして、1年F組の面々が立ち尽くしている。

「はいっ、すみませんっ!」

 立ち尽くしている生徒達の上を、魔法少女に変身したカルコロが飛び越える。魔法少女時の装備である、一見は西洋で発展した計算器である軸式アバカスにも見えるが、珠数は日本式の1・4で仕切られた、配色が鮮やかな算盤を、スケートボードのように操り、繰々姫の更に前に出た。

 するとそこへ、ダミー扉の転移門の向こうから、治コと、木ノ実を抱えたツグツィーヌが出てきた。ダミー扉は旧校舎側の構造物に固定されているため、脱落はしなかった。

「なにが……何がありましたか?」

 カルコロが、3人に問いかける。

「誰か、この教室に悪意を持っている侵入者が……────」

 言いかけて、ツグツィーヌははっと目を見開く。

「えっ?」

「いけない、後ろ!!」

「後ろ?」

 ノワール・ミーが怪訝そうな表情をして言った。

 新人組で変身していたのは、治コを除くと、ノワール・ミーとブラン・キーだけだった。一方で、潜入組は全員がすでに変身していた。

 していたが────

 

 ターン…………!

 

 ベチャッ

 集団の最後尾の方から様子を伺っていたライトニングの胸が爆ぜた。

「?」

 ライトニングは、なにが起きたのか自分では理解していない表情だった。その表情のまま、その場に崩れ、倒れた。

「…………ッ……!!」

 プリンセス・デリュージが、表情を恐慌させる。

「イヤァアァァァァァァッ!!」

 

「まずは、1人目……」

 明らかな改造の痕跡が外見からもありありと分かる、20式小銃を手に、侵入者 ──── シャドウゲールは、旧職員室の中に身を顰めつつ、口元に狂気の笑みを浮かべた。

「私、戦いますよ、お嬢────」

 

「なんなのよ…………これ……」

 床に血をぶちまけて倒れているライトニングの身体を前にして、ブラン・キーが、愕然とした表情で言う。

 頭を振り乱しているデリュージを、治コと繰々姫、ツグツィーヌがなんとか宥めようとしている。

 ブラン・キーは、この場にいる全員の気持ちを代弁するかのように、もう一度言う。

「なんなのよ…………これ!!」

 





具体的な感想をいただけると、続きを描くことが捗ります。
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