連鎖の復讐 ~性犯罪の濡れ衣を着せてきた黒幕が30人って何~ 作:冴木甲士
「な、何でお前が……⁉」
白幕の一人、佐藤が化け物でも見るような目を俺達に向けてくる。
そんなに俺らの登場が予想外だったのだろうか。同じ学校なのに。
「何でも何も、この幣原が面白いもんを見つけたんでな。これから先生達やお巡りさんにも見てもらおうとしてたんだ」
と、持っているペットボトルを改めて佐藤の前に突き出した。
「は……それって、おい⁉」
今気付いたか。間抜けな奴め。
「おー、ひょっとしてお前のもんだったか。この
そう、俺は幣原の出る二人三脚をきちんと練習・出場する見返りとして幣原に更衣室を探らせていたのだ。
ちょっと当時を回想する。
「隠しカメラを探す、ですか……?」
「ああそうだ。俺を陥れた犯人の一人が盗撮に手を出してるらしくてな。その証拠を見つけてほしい」
伊藤さん曰く宮澤と佐藤は半グレ集団が売りさばくための盗撮写真を、校内の隠しカメラによって仕入れている可能性が高いとまで調べていた。
あいにく盗撮の物的証拠がないため、俺や菅といった生徒が校内を探し回ることになっていたのだ。
しかし俺は男であり、女性用のエリアに入るのはそもそも不可能。
菅は既に俺の仲間として認識されている以上、佐藤にマークされている恐れがあり、盗撮の証拠を探していることを感付かれたら佐藤に証拠を隠蔽されかねない。
この辺りどうしようかと悩んでいたところに、今回の幣原の取引が頭に浮かんだ。
俺とおよそ接点のない幣原に証拠を探してもらえば佐藤からノーマークのまま見つけられる可能性が高い。
幣原にすれば別に悪いことでも難しいことでもないだけに引き受けてくれる期待も持てた。
「どうだ? これが条件だが」
幣原は少し考えるように黙った後、
「……わかりました。協力します」
と引き受けてくれた。
以上、回想ここまで。
俺と伊藤さんの予想した範囲は女性用の更衣室、トイレ、それからクラスの教室だったが、幣原は一発目の更衣室で証拠となる隠しカメラを見つけてきた。
隠しカメラにはペットボトルなど様々な物に偽装している可能性があるので少しでも怪しいものがあったらレンズがないかよく見てほしい、と伝えていたら見事に幣原がこのペットボトル型のカメラを持ってきてくれたわけだ。なかなかに有能だなコイツ。
俺も伊藤さん(事務所にいるのでペットボトルの画像を送った)も、カメラのレンズがペットボトルのラベルの一部に擬態しているのを確認したことで、盗撮の証拠と確信に至ったわけである。
あまり考えたくないが一応佐藤以外にも盗撮犯がいる可能性があるので、念のため佐藤に直接会ってこのペットボトルを見せびらかしたわけだが、佐藤の反応を見る限り本人が直接設置したもので間違いなさそうだった。わかりやすくて助かるわ、ホント。
「そ、そんなわけあるかよ」
まだごまかせると思ってるのか佐藤が慌てて否定してきた。
「なら今の『それって、おい⁉』って何だ?」
「い、いや、それはだな……」
大して問い詰めてるわけでもないのに汗を流しながらオロオロと答えに窮する佐藤君。
菅や宮澤を相手にしたときでもこんなに
というか、こんなに
「いやー、半グレの末端らしい小心っぷりだなお前」
「な⁉」
またしても驚く佐藤。お前、俺達が何も知らないとでも思ってたのか。
佐藤は半グレ集団に所属しているものの、その立場は末端も末端。
組織内では一番立場が低く、常日頃いいようにこき使われてるのが実情だった。
その組織に所属していない宮澤に対しては連中の名を借りて好き放題操れたようだが、伊藤さんにより組織の内情まで洗っていた俺達にすればとんだ小物だった。
多分コイツが逮捕されることになっても、半グレどもはあっさり切り捨てて「そんな奴知らん」でしらばっくれるんだろうな。
そんなことを奴を煽るために
「フフ……」
心の底から冷えるほどの不気味な笑い声が、小さく聞こえてきた。
最初は佐藤か、と思ったが高さからして女の声。
そして聞こえてきた方角からしてまさか、と思い斜め後ろを振り返った。
そこには気持ち悪いぐらい愉快そうな笑顔を見せながら、手に持ったスマホで佐藤を撮影する幣原がいた。
カクヨム
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