連鎖の復讐 ~性犯罪の濡れ衣を着せてきた黒幕が30人って何~ 作:冴木甲士
宮澤は、とにかく
高校に入学して数日経った頃、宮澤は
小泉という男を犯罪者に仕立て上げて苦しめてこい、と。
宮澤は小泉のことを全く知らず、命令を下した側も与えた情報は外見ぐらいのもので、詳しいことは教えてもらえなかった。
しかし、宮澤にとって命令してきた人物は逆らうことができない恐るべき立場にあり、さしあたり小泉を陥れる手段を講じることになった。
自分のポケットマネーで釣られるような女を適当に見繕い、菅に狙いを絞り、その結果菅が小泉を首尾よく冤罪を被せたところまではよかった。
だがその後に菅が小泉にしょうもないミスを突かれ、冤罪のことを正直に打ち明けたことで事態が一気にまずくなった。
このままでは自分も冤罪の共犯として世間から裁かれるかもしれない。
仮にそれを免れたとしても、あの人からの制裁が待っているのは間違いない。
何とか挽回を図ろうとしたところ、菅も小泉に仕返しをしたがってるようなので、宮澤は菅とともに再度小泉への策を練ることになった。
ちなみにその日の宮澤は表面上何食わぬ顔で学校生活を過ごしていたが、授業中でも昼食の間でもずっと気が気でなかった。
放課後となり、宮澤と菅はとある空き教室で落ち合った。
菅の手引きであり、見るからに人が普段立ち寄る気配のないのが明らかな場所だった。
「ここは何だ」
「明日辺りに小泉をおびき寄せようとしてる予定の場所」
「は?」
宮澤を先導していた菅は、宮澤の方へ体を反転させる。
「小泉にこの前のことを警察に言わない代わりにさ、こういう人の寄りつかない所で『どんなことでもするから許してください』って懇願したんだ。そしたらアイツも乗り気になって私と一緒に明日ここへ来ることになった。そこでアイツが妙なことを私にしてる現場を宮澤が抑えれば……」
「アイツは正真正銘の犯罪者になるってわけか」
宮澤は菅の説明にほくそ笑んだ。
先日の冤罪は全くのでっち上げだったが、今度は小泉の悪事の証拠をバッチリと取った上での
効果のほどなんて、いちいち比較するまでもない。
「面白え。明日のこの時間に決行すんのか?」
「うん。だから当日はここに待機してて」
「おう」
かくして、宮澤と菅の明日の行動の方針が決まった。
そして、翌日の放課後。
「……おい、どういうことだ?」
宮澤は菅を問い詰めていた。
「……おかしいな、もうとっくに来ててもおかしくないんだけど」
菅が小泉とともに来る予定になっている空き教室。
そこにいるのは宮澤と菅の二人ばかりで、小泉の姿はどこにも見当たらなかった。
「ひょっとして、不審に思って帰っちゃった?」
「はぁ⁉ お前、ちゃんとアイツにやって来るのを確認したのかよ⁉」
「いや、別に。最初にこの話を持ち掛けたときすごいやる気に見えたし、ブッチするなんて思わなかったし」
平然と言い訳を重ねる菅に
「お前ふざけん……」
と殴り掛かろうとした。
したが、その行為は発言とともに未遂に終わった。
「おー、二人揃ってどうした?」
「は⁉ 小泉⁉」
小泉が空き教室の出入り口から堂々と入ってきたからだ。
このまま本題に入るのも何だかもったいないという気分になったので、少し宮澤とトークといくか。
「いやー、ひょっとして二人で何か盛り上がってたか?」
「な、お前一体何を!」
「いやアンタ事情わかってんでしょ」
「な⁉」
菅がアッサリと俺らの共謀を暴露しちゃった。
「おいネタバラシがはえーよ。もうちょっとそこは後に回してからの方が」
「今そんなのいらないだろ」
「宮澤を見ろ。自分にとって理想的な展開に胸を膨らましてたら予想のずっと
「マンガとかなら大炎上のパターンじゃん」
「そういう超展開は最終回まで取っておいてこそ爆発の威力が最高潮になるってもんだ」
「炎上どころか
「俺の炎上を楽しみに待ってくれてる熱心な
あれ、結局宮澤じゃなくて菅とのトークになっちゃった。ま、いっか。
それはそれとして、ここ数日で宮澤の悪事の証拠がこれでもかとタップリ抑えられたわ。
一昨日の、菅へ嗾けた冤罪への詰問。
昨日の、菅とともに俺を再び陥れようとする悪巧み。
そして本日は、その悪巧みをみずから証明するような菅とのやりとり。
これら全ては俺や菅のスマホに、音声や動画の形式で収録済み。
昨日以前のデータはクラウドでもバックアップ済み。
したがって、宮澤にもう冗談だの何だのと申し開きする術はないわけだ。
「お前ら、俺をハメやがったのか⁉」
「まあ、そういうことになるな」
「私も、小泉に協力することになったから」
「おい協力なんて殊勝なこと言うな。お前の手なんて微力が精一杯だろ」
「さすがにそんなことなくない? 小泉一人じゃ
「そんなことない。俺ならお前の手を借りずともこの身に宿した能力でそこのバカをここへ引き寄せることもできた」
「何言ってんの?」
「俺の能力は
「お前本格的に頭おかしくなってない? あと能力の名前と内容と直訳が全部めちゃくちゃになってない?」
「但し操ってる間はずっと肉眼で対象者を見つめ続けてないといけないんだ」
「日常だとすごい使い勝手悪そう」
「あと1回やるごとに体重を300kg消費する」
「即死じゃん」
「てなわけで仕方なく、それはもう本当に仕方なくお前の微力、それはもうもう微小で微細で微妙なお前の力を借りるハメになったんだ。わかるか? 俺の気持ち」
「そこまで知らないよ。それと、そこの宮澤放っといていいの?」
「そりゃあお前……」
またしても
「いいわけねえだろ」
俺と菅のいる方をあからさまに動揺した様子で見てくる宮澤が、この上なくみっともない姿に見える。哀れなもんだな。
「じゃ、ここからが本題だ。明日の朝、菅がやったのと同じく俺へやったことをクラスメイト達のいる教室で全て話して、俺に謝罪しろ。それさえやれば警察に突き出すのは勘弁してやる」
とりあえず、こちらの要求を宮澤に突きつけたところ、
「ふざけんな! そんなことやってられっか!」
とにべもなく突っぱねた。
「じゃあとりあえず警察に行ってくるわ。菅、行くぞ」
「うん」
「く……テメーら、二人がかりで卑怯なマネしやがって……」
負け惜しみっぽいことをほざいた宮澤に、
「……ク、ハハハハハハ」
思わず腹を抱えて笑ってしまったよ。
「何がおかしいんだよ!」
「いや、あまりに的外れなこと言うもんだからな」
「あぁ⁉」
「お前さ、今回のことをお前に指示した奴がいるだろ」
「⁉ い、いや、何のことだ……?」
わかりやすくうろたえる宮澤。
コイツにすれば相当おっかない兄貴分らしく、この
「ソイツと菅、そしてお前を合わせれば三人。俺とは三対一でケンカを売ってきたってのに、いざこうやって大ピンチになったお前のことを、残った二人は何一つ救ってくれやしない」
ホント、何でこんな奴らなんかに。
「そんな、頭数だけ揃えたお前らの連携のザコっぷりがすっごく笑えてきてな」
何でこんな奴らなんかに
「……覚悟できてんだな?」
「あ?」
宮澤が宣言した瞬間、俺の方へと向かってきた。
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カクヨム
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にて本作を先行で連載しているので、
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