英雄讃歌 第三章   作:如月@カクヨムとなろうでも投稿しています

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「今日は王都の散策をするか。レオンには軽く説明してもらったけれど、中は見ていないからな。」

「うん。楽しみだね。街ではアクセサリもいいものなかったし、防具も今のものより強くないよね。」

「ああ。」

 

 イリア一行が王都に着いた日にレオンによる王都の紹介が軽くなされていたが、店の中までは見ていなかった。そのため、実際にどのようなものが売っているかをイリア一行は知らない。

 今日は実際に店内に入ることでどのような商品が店に並べられているかを確かめることを目的としている。それとは別にただ単純に売り物を見るのが楽しいということもある。

 

「まず、一軒目は武器屋だね。」

「外装だけでも街にあった店とは全然違うな。」

 

 イリアの言う通り街にあった武器屋も外装と内装共に豪華なものであったが、この王都の武器屋は一線を駕していた。

 店の外から見える武器たちの数も数倍の量が見える。裏側にある在庫まで考えると、街より優に4倍程度の武器が存在しているだろうか。王都というだけあって、様々な武器種を取り扱っていることも、それに拍車をかけているだろう。

 

「早速入るか。」

「いらっしゃいませ~。」

 

 ――――――カランカラン。イリアが扉を開けると来店の合図を示す金が響く。天井の吹き抜けや、柱の少なさから店内に入ると、外から見えていた時よりも大きく見えるだろう。

 イリアたちを出迎えてくれたのは店外からも見えていた数多の武器たち。それが武器種ごとに一コーナーとして展示してある。

 

「すごいね。」

「ああ、レオンが自慢するだけある。……おっ、あれなんて良さそうだな。」

 

 アリスは店内に入ると圧倒されたように驚きに目を見張った。その時に開いた口もぽかんとそのまま開いており、王都の武器屋の凄さを表していた。

 そんな中でイリアが鑑定を発動して、一つの武器の元に行く。そこにある表示にはR5断絶の顎と記載されており、お値段は18万である。今のイリア一行では買えるものではないが、R5相当の武器が標準として置いてあるのが王都という場所なのだ。

 

「180,000。全然足りないな……。」

「遥か先に感じちゃうね。」

「これ以下の値段のものは置いてないんだよな。」

 

 ここは王都の中でも標準な店であるが、そのメインターゲットは鉄級程度の初級冒険者ではない。最低でも銀級クラスの中堅冒険者と呼ばれるものたちなのだ。

 王都には他にも初心者用の店であったり、上級冒険者用の店もあるが上級冒険者用の店は紹介制の所が多い。そのため、今のイリア一行では来店することさえ出来ないのだ。

 

「お探しのものはございますか。」

「あ、いえ。……そう言えば、目の前にある店も武器屋みたいですけど。」

「そちらの店舗でしたら、ドラコ様の管轄となります。少しお値段が控えめですが、品質は当店のものが優れておりますので、是非ご覧ください。」

 

 実のところ、イリアたちのいる店の前にも同じような武器屋が存在している。今いる店がレオンの管轄の店であり、目の前の店がドラコの管轄の店である。お互いが特色を別としているが、企業競争としてよりよい店舗づくりのために派閥が作られているのだ。

 レオンの店の特色としては品質が良いところだ。専属の職人が作った武器はドラコの店の商品よりも良いものが多い。反面、値段が少し高くなっている。

 反対にドラコの店の特色は価格の安さだ。専属の職人であるのは同じだが、より短時間でコストをかけずに作成する方面で舵を切っている。そのため、値段が安いが品質はレオンの店よりも劣ってしまう。

 

「悪いことを聞いてしまったようで……。」

「いえ、お尋ねになられるお客様は大勢いらっしゃいますので、慣れております。」

「ははは、そうなんですね。」

 

 イリアが申し訳なさそうに眉を下げると、店主は人のよさそうな笑みを浮かべる。そのことにイリアは申し訳なさそうな表情を浮かべながらも、ほっと一息ついた。

 そして、その店主の案内で店の中を回ったのだった。

 

 

 

「武器屋で何も買わないのは心苦しかったな。」

「でも、お金が足りないからね。」

「そうだよな。悲しいなぁ。」

 

 結局、R5の武器が基準となる店ではお金が足りなかった二人はそのまま退店することとなった。そのことに少し落ち込んだ様子のイリアであるが、買えないものは買えない。次来た時は買おうと決意して、前を向くしかない。

 その後、いくつかの店を回ったイリアたちであるが、そのほとんどでレオンとドラコの店が品質と価格という軸で競争し合っていた。品質はレオンが、店舗数と価格はドラコが勝っている結果となっていた。

 

「唯一買えたのは、それか。」

「ダークブレスレットだね。」

 

 アリスの手首には黒いブレスレットが嵌められている。このブレスレットは闇属性攻撃を増強してくれるため、アリスの戦闘力がまた一つ上がっただろう。

 が、それ以外の商品は値段の関係や必要性の薄さから買われることはなかった。王都にいる間は宿泊費がかからないと言えど、そう簡単に買えるほどお金を稼げないのであった。

 

「今日は楽しかったね。そろそろ解散かな。」

「そうだな。付き合ってくれてありがとう。」

「えへへ、こちらこそ。」

 

 こうして戦利品としてダークブレスレットを得て、王都散策は幕を閉じた。

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