メガテニストに捧ぐ。
どうも俺はメガテンⅢの主人公に憑依…もしくは転生したらしい。
最初はパニックだった。
現実が理解できなかった。
自分の顔や駅員さん、友人らしきTELの向こう側の男の子のセリフから推測は出来た。
代々木公園で出会ったヒジリさん。
彼がプレゼントしてくれた呪いの雑誌【月刊──妖──】によって嫌々ながら俺にとっての
街中で聞こえたセリフにライドウくんの目撃情報が混ざっていた。メガテンは大昔に無印版をプレイした記憶があるだけで、マニアクス以降の知識は無い。
予備知識のないアトラス作品…それはつまり。
「ヤバい…これ、絶対に死ぬ…!!」
俺は逃げた。
正確には逃げようとした途中で東京受胎に巻き込まれた。世界が裏返って卵になって、その内側に新しい世界の可能性を秘めた残酷な
何処とも知れない地…死の影響からか記憶が曖昧だが、妙に赤いイメージがあるのでマントラ軍関係の施設だと思うが、そこで
それで終わったなら、まだ幸せだったのかも知れない。
死の激痛と自分が消えていく恐怖に発狂していた俺は、気付けばまた駅の中に居たのだ。
当然…俺は逃げた。
東京の外に逃げればワンチャンあると思った。
(…実は2度目は1度目に経験した死のフラッシュバックで駅にループした直後そのまま失禁して気絶。職員さんに介護されている間に東京が受胎してゲームオーバーした。その時も思念体になっていたが、悠々と肩で風を切って進むオルトロスさんが気まぐれに頭を丸かじりしてくださって死亡した記憶が残っている。なので、これは3度目の挑戦の記録)
…その結果は───惨敗。
丸くなった東京が引き起こす未曾有の大災害を乗り越えられるような豪運は俺には無かった。
普通に死んで、当たり前のように駅の中にループした。
「ループ…なんで…ループ………??」
気落ちはした。
何をどうやっても逃げられない。
その事実が胃の中にストンと落ちた感覚。
精神は狂う寸前だが肉体は至って正常。
八方塞がりだと自覚して仕方なく病院に行った。本来の主人公が辿るルート。そこへ行く以外に選択肢が浮かばなかったからだ。
けど、結局は閣下に出会うのが怖くて地下室に行けずにモジモジしていたら予告なく東京受胎が始まってしまった。
悪魔の世界で、人間の俺はゴミカスだった。
チアキさんと協力体制を取り付けたまでは良かったものの、俺のせいでチアキさんがフォルネウ氏に見つかって殺されかけて。
ミスを挽回しようとしたのかな? 死の影響か、恥からか…記憶が曖昧なんだが、気付いたら俺はフォルネウ氏に特攻して、二人仲良く丸かじりされて死亡していた。
◆
ルルル…ルルル………。
また、電話が鳴る。
駅の中。
人修羅になる運命を背負った子供。
その中に封じ込められた別人の精神。
死にたくない…死にたくない…死にたくない。
電話に出るまではデフォルトだ。
俺の意思に関係なく腕が持ち上がり、通話ボタンを押す。またイサムくんのセリフを聞き流して───【坊っちゃまはお怒りです】───!?
背中に汗が吹き出す…いや、噴き出す。
死の恐怖を生温いと思える圧倒的な重圧。
シットリとした奥方様の美声に魂が凍える。
【貴方にはまだチャンスがあります】
理解出来ない。
ここは、ゲームの世界じゃ無いのか??
いや現実だ。
嫌でもここは俺にとっての
だが───。
【創世…貴方が望むのなら、世界は貴方の願う通りに形を変える。この意味が理解できないのなら、もう貴方には用はありません】
創世…世界を………創る。
【意思を見せなさい、今はそれだけで許してやる…心優しい坊っちゃまはそう仰っていおいでです】
電話越しのプレッシャーで倒れそうになる。
けれど、これは間違いなく本当の最後通告だ。
倒れれば、絶対に『次』は無い。
【………期待しておりますよ?】
そう。
こうして始まったのだ。
あまりにも苦しい道のり。
遠く霞んで見えない未来。
そこへ至る為の。
修羅の命が。
◆真◆・◆女◆神◆転◆生◆Ⅲ◆
2066.7.31
半世紀ぶりにメガテンをプレイしたくなった。
【真・女神転生Ⅲ〜full dive edition〜】
原作の発売が2003年なので、そこから数えれば63年も昔のゲームになるのか。
遠い昔に俺が遊んだのは無印版だけ。
確かそっちのエンディングは全部見たから、たぶん最低5週はしとんな。
悪魔の中ではオルトロスが一番好きで、物理と氷結の吸収か反射をつけて、あとは火炎ブースト系のスキルとプロミネンスで攻撃、咆哮系でデバフしてた気がする。
歌舞伎町の牢獄辺りでレベル上げして無理やり召喚、その後は最終決戦まで毎回ずっと一緒に旅をしていた。
最後に遊んだのは2016年頃だったか。
あの頃はまだチンコもビンビンだったんやが…。
いやはや…寄る年波には勝てんて。
流石にもう、どう考えてもその頃のデータは無い。
けれど遊び方は覚えてる。
俺はまだボケてないんやわ。
普通に遊ぶんじゃ面白くないし、プロの遊び方は面倒くさい。そんな訳で独自ルールを作ったんよ。
『セーブ機能は使えるけど、道中で一度でも死んだらデータリセットして最初からやり直し』
このルールで遊んで、半世紀前の当時はどっかのブログに旅の日記を書いてた記憶がある。
今回購入したのはPS8のリメイク(フルダイブ)版だから、たぶんマニアクスとかそっち系のシナリオが入ってるハズ。
そんな訳で、目の前で臨場感たっぷりにあの頃のキャラが動いて喋る事に浮かれながらプレイ開始。
難易度は当然ハード1択。
人修羅くんの名前は『1』『号鬼』くん。
あだ名はゴウキ。
死んだら『1』が『2』になるんやね。
わかりやすいね。
自販機のドリンクをしっかり回収しながらイベントを進めて、ついに初戦闘。
無印版ではエレベーター前にウィル男くんが2体だったのに、こっちのバージョンでは変な赤い世界へ連行された上、ウィル男くんの後にガキまで追加されてやがった。
しかも強い。
知ってた事やが、当たり前に運ゲーを押し付けてくる。あん? フルダイブだから人力モーションでヒットさせよ? …コレ、型落ちのPS8の作品やぞ? そんな機能ある訳が無かろうて。
…ん? 結果?
フツーに1回攻撃ミスって死んだわな。
コレコレ。
強制イベントでアッサリ死んじゃうこのクソ具合が良いんだわ。
流石は神ゲーだぜ。