皇帝に成りたくない男の不本意奴隷ハーレム   作:サイリウム

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ご指摘ありがとうございました。
前話は少しだけ変更させて頂いています、細かな表現変更及びセリフ調整なため大筋はあまり変わっていません。また頂いた感想等は後ほど返信させて頂きます。
今後ともお付き合い頂ければ幸いです。


36:軍部長官

 

さて、というわけで軍部長官の彼。

 

『ランツァル』と会うために城内部の練兵場に来たわけなんですけど……。

 

 

「お! 坊ちゃん! 坊ちゃんじゃないですか!」

「え、マ?」

「うわエド様じゃん! おひさでーす!」

「え、というかあの横にいるのって……、奴隷!!!」

「は? エド様が奴隷買うとかあり得な……。奴隷連れてる!?」

「はぇ~、あぁいうのが好みだったんだなぁ。」

「胸スキーか……! なるほど、良い酒が飲めそうだ!」

 

「ま、まぁそうなりますよね。お久しぶりです皆さん。これ差し入れですので、お時間ある時に食べてくださいね?」

 

「「「あざーすッ!!!!!」」」

 

 

響き渡る彼らの声。

 

ま、まぁこうなるのは薄々解ってたんですけど、やっぱり君たち気安すぎじゃない? 一応私伯爵家の四男よ? 皇位継承権持ちよ? も、もうちょっと適切な距離感というモノが……。あ、昔の私が気安くしろって言った? そ、そうでしたね……。

 

そんなわけで一瞬にして私達を囲んで話し出したのが、我が家が誇る常備兵の皆様。それもこの城の防備を任されている最精鋭の方々だ。兄たちに付いて行く常備兵の方々とは違い、ずっと城にいるため自然と会話する機会が多く結構仲良くさせて頂いている。

 

 

(人の眼の無い所じゃ本当に友人らしく振舞ってくれるから、昔からかなり助かってるんだけど……。)

 

 

変に畏まられると色々困るので気安くしていいと言ったのは確かだが、みんなこう、凄く“陽”なのだ。部活の気のいい先輩というか、常に元気な男子高校生のノリというか。インドア派の自身からすればちょっとだけ苦手意識があるのは秘密ですね、はい。

 

っと! ちなみに今日の差し入れはサンドイッチです。相変わらず私が厨房に入ろうとしたら止められたので、貴族向けの料理人方が作った凄く美味しい奴ですね~。あ、料理人さんにはこちらから追加の手間賃を支払っておいたので気にせず食べてくださいな。

 

 

「は~、にしてもあのエド様が性奴隷を引き連れてるとはぁ……。子の成長を見守る親ってこんなきもちなんですねぇ。」

「然り然り。」

 

「あ~。一応訂正しておきますが戦闘奴隷と、知識奴隷です。そう言う目的ではありませんよ? あと手は出してませんし。」

 

「「「は???」」」

 

 

そう言った瞬間、一斉に此方に視線を向ける彼ら。

 

ま、まぁお二人とも非常にお綺麗ですからね。そういう勘違いをされることも解らないでもないですが、一応2人の名誉のためにも訂正しない訳にはいかない訳で。あと一応この世界でも性奴隷を連れ歩く人って『人間にそっくりな大人の玩具を抱えながら歩いてる人』みたいな扱いなので、少なくとも主人の息子に言っていい言葉じゃないですからね?

 

……え? そういう言われ無き誤解を回避するために、性奴隷に護衛役の服装着せて輸送するとかよくある? ま、まぁそれはそう。

 

 

「うっわそうだった。この人死ぬほど奥手だったよ……。」

「色々用意されたのに全部拒否したの、クソ有名だもんな。」

「俺なら絶対手出すもん。未来の皇帝様は何考えてるのかわからん。」

「そう言う目的込みで買われてるだろうし、コイツらも可哀想に……」

「だよな、エルフの方、メッチャ首を縦に振ってるし。」

 

「り、リシエラ!?!?!?」

 

 

流石に他人の前で“さん付け”するのは彼女の身に危険が及ぶので呼び捨てにしたんだけど……、なんで高速で頷いてるんですか貴女!?

 

奴隷が許可なく口を開くのは問題なので、確かに『外ではこの世界の常識通りに動く』ってことにしてますけど! ここで頷けるとかどうなってるの貴女の胆力! もし奴隷が主人を馬鹿にしたと取られたら速攻で切り殺されてもおかしくないんですよ!? 隣で静かにしてるライカちゃんもエグいレベルで慄いてますからね!?

 

 

「と、なるとこのいぬっころが戦闘奴隷か。……これやっぱエド様の趣味入ってね?」

「やっぱりタイプだったか……!」

「弱くね?」

「あ~、でも努力の後は見えるな。」

「この人のことだし、今後の成長込みって奴か?」

「正直、こんなんよりも俺ら側に付けて欲しいけどなぁ。」

「いや難しいだろ、他の所との兼ね合いあるし。」

「やっぱ性奴隷……」

「いい胸をしている……!」

 

「み、皆さん? そこまでで、ね?」

 

 

ライカも頑張ってるんだからね、ね?

 

確かに今は常備兵の人たちに比べれば彼女はまだまだ弱いけど、スキルの『分身』含めて将来有望な成長株なんだから、ね? ほら本人も悔しさからかちょっと震えてるし、そこまでにしてあげてくださいな!

 

ほ、ほらライカ! この人たち奴隷に対してもある程度会話できる人たちだからね? 指導は難しいカモだけど、私のお気に入りって風に見られてるから模擬戦くらいなら大丈夫そうだから! ケガさせずに相手してくれると思うから! ね? 今度時間用意するからね? 最初は負けちゃうかもだけど、経験積めば勝てるようになるだろうからね、頑張れる?

 

……あ、出来る! うんうん、偉いね! さすがライカ!

 

 

(あぁなるほど、性癖は父娘的な感じか。業深いなぁ……。)

(いやでも実際の子供に手を出すよりは健全じゃね?)

(確かに、奴隷で発散できてるだけマシか。)

(どうりでこれまで食指が動かなかったわけだよ。)

(……いやこれお世継ぎ問題どうするんだ?)

 

「うん? 皆さん何かありましたか?」

 

「「「いえ、何も。」」」

 

 

そうですか? なら別にいいんですけど……。

 

 

「と、ところでエド様? 何か御用で? これまでも偶に来てくれてましたが、差し入れどころか奴隷連れて来たってことは何かあるんでしょ? 手合わせぐらいならやっても良いですが……」

 

「大変ありがたいですが、別日で願います。実はランツァル殿にご挨拶を、と思いまして。」

 

「長官ですか? だったらあちらの倉庫ですね。アレだったら人払いしときますけど。」

 

 

頼めますか? と返せば、もちです! と答えてくれる彼等。色々とノリが合わない時もあるけれど、基本いい人たちばかりでありがたいんだよねぇ。

 

ということで倉庫に案内してもらい、その周囲の人払いをお願いしておく。

 

まぁ軽く周囲に『鑑定』を掛ければ母の部下である護衛の皆さんや、兄たちの陣営にいる暗部さんがチラホラ。単に隠れていない人を追い払ったというレベルでしかないんだけど……。こちらを気遣ってくれている彼らには感謝せねばならない。私がわざわざ彼に会いに行くのって結構な珍事だからね、何かしらの意図があると察してくれたのでしょう。

 

 

(……もしかすると昨日の夕食会の醜態込みで、既に伯爵位争奪戦の話が出回っているのかもだけど。)

 

 

あの時の母上、普通に第一夫人様と殺し合っちゃってたから身内の恥認定されそうなんだよなぁ。それはあっちの陣営にも当てはまるんだけど、安全に傍観者に徹してた“次男陣営”が広めてそうで困る。

 

そんなことを考えながら、直前でリシエラさんと詰めた『言うべきこと』と『言ってはいけないこと』のリストを思い浮かべ、倉庫の中に足を踏み入れる。

 

ここから先はアドリブで熟す事も多い、気合入れていきませんと。

 

 

「ん? おぉエド坊ちゃん! お久しぶりですな!」

 

「どうも、ランツァル殿。今お時間よろしいですか?」

 

「勿論ですとも! 我ら軍はいかなる時も……。例のうわさは誠でしたか。」

 

 

自身の後ろに続く奴隷たちを見て、思わずといった感じで言葉を零してしまう彼。

 

この筋骨隆々過ぎて人間を辞めてそうなおハゲさんこと『ランツァル』殿。彼こそが我が家の軍部を束ねる軍部長官さんだ。普通に指揮も出来る方だが、自分が前に出て戦う方が強いので基本的に指揮官先頭しかしてないヤバい人でもある。……あ、性格的には酷く真面な人だよ? 貴族出身だから差別意識はあるけどね。

 

というか今日顔合わした人全員に驚かれてるんだけど、何? 流行ってんの?

 

 

「いやだって坊ちゃんが女奴隷買うとか……、ねぇ? 確かにセンスの欠片も無い坊ちゃんがダンジョン攻略する場合、奴隷は必須です。故に購入するとは考えていたのですが、てっきり“同性”なものかと。」

 

「……当初はそうでしたよ。」

 

「はっはっは! どうやらそういった欲はしっかりおありの様で! 安心ですな!」

 

 

あ~、顔見知りに揶揄われるのキツイ……!

 

けどここで激高したりしたら色々こじれて面倒になっちゃうから、苦笑いで耐えきるしかない。というか普通に女性がいる前でこういう冗談飛ばせるのすごいよね、ほんと。ある程度付き合いがあればまだ“冗談”で済ませられるけど、前世じゃセクハラからのコンプラ違反一直線じゃん。職失うぞ?

 

と、考え事は程々にして話をしませんと。

 

 

「して、何をしていらっしゃったので? 見るからに武器倉庫、軍部長官ともあろう方がいらっしゃる場所ではないと思うのですが。」

 

「なに、単なる点検ですとも! やはり武人たるもの、武器の手入れを欠かすわけにはまいりませんからな! ……それに、ここは少々特殊なつくりになっておりまして。」

 

「他者の眼が入りにくい、と?」

 

「えぇ! しかしこの身に隠す様なことなどありませんがな!」

 

 

そう言うとまた大きく笑い始める彼。

 

その見た目から武力一辺倒に見えるランツァル殿であるが、あの父が自身の直轄。軍のトップとして指名する様な人物だ。当然腹芸も出来るし、政治にも深い理解がある。本来対立しやすい文官と武官の衝突を“就任以来一度も引き起こしていない”と聞けば、彼のその道への適性を深く理解することが出来るだろう。

 

まだ幸いなのは彼は気遣いの人であること。『目的のためなら味方を切り捨てられる』人物であるため信用することはできないが、その人となりは信頼できる。

 

経験の差もあり、彼を出し抜くことが自身では難しい以上。ある程度正直に曝け出しながら話した方が好感を得やすいタイプ。その点に注意して応対していくべきだろう。

 

 

「すでに知っていらっしゃるとは思いますが、一応の確認です。“父上から何か”?」

 

「ふむ。エド坊ちゃんからそのような言葉が出て来るとは思いませんでしたが……、後継者の話でしょう。でしたら命を受けております、聡明な貴方であればわざわざ説明せずとご理解為さっておりますな?」

 

「えぇ、“関与するな”でしょう。」

 

 

自身の答えに満足したように強く頷く彼。

 

色々と狂気的な父でも、その能力は非常に高い。私達息子たちが武力により衝突した際、もしその争いに『常備軍』まで投入されてしまうと後々の統治に様々な問題を引き起こしてしまうのは確実に理解しているだろう。

 

なにせ仲間内で潰し合うのだ。帝国崩壊後の戦乱に備える貴族たちからすれば、他人の不幸は蜜の味。もちろんそう言った“今後”に目を向けていない者もいるだろうが、弱みを晒して食いつかない貴族はいない。我が家が自滅したと大喜びし、嬉々として攻め込んできてもおかしくはない。

 

だからこそ、それは理解できるのだが……。

 

 

「ですが何事にも例外があります。この問題は戦力が分散し互いにつぶし合うからこそ起きるわけで……。誰かの元で既に一つになっていれば、問題にはなりません。」

 

「ほう! 仰る通りですな! しかし忠実な我らは“奴隷”では無いのです。正式な命令であれば従いますが、それ以外であれば兵たちの自由意思を尊重せねばならないでしょう。つまり、エド坊ちゃんどころか、他の坊ちゃんでも無理ということですな!」

 

 

そう言うと再度大きく笑う彼。

 

まぁここまでは想定範囲内。というか彼は武闘派で、同様に武に重きを置く“長男派閥”に心を寄せていたはずだ。それを考えると真面に取り合ってくれると思っていなかったので、若干拍子抜けなのだが……。付き合ってくれるのならば、話が早い。このまま『実りの無い雑談』を交わしながら。

 

 

(覗き込ませて頂く。)

 

 

昨日の夕食会のように、自身を遮る遮蔽物は無い。そして彼は目の前にいて、少し歩けば握手できそうな距離にいる。『鑑定』を遮るモノは何もないだろう。

 

彼のプライバシーを侵害することにはなってしまうが、もし軍部長官の彼が『武闘派の長男の方が良いし、全軍そっちに参加させよう』などと考えていれば即ゲームオーバーなのだ。しかし“覗き込める”のであれば、彼の頭の中にしか無い作戦でも、先んじて潰せる可能性が出てくる。

 

少々嫌な使い方にはなるが、弱みを握って脅すことも可能。

 

今この場において、使う以外の選択肢は無い。

 

余計な前世の価値観を一旦隅に送り、『鑑定』を起動する。

 

 

「……うん? 何かありましたかな?」

(すこし表情が……、気のせいか?)

 

「いえ、何も。ただ少々残念に思いまして。」

 

 

なるほど、この人も見抜ける感じか。今は疑問で終ってスルーしてるみたいだけど、回数重ねちゃうと普通に露見するタイプだね。……複数回の鑑定は不可、この一度で全部抜き取らないと。

 

 

「何がですかな?」

(やる気がないと思っていたが……、伯爵位に興味が出たのか?)

 

「いえ。ほら私、酷く戦闘センスが無いでしょう? これで長兄のように動けていれば即座に頷いて頂けたのかなぁ、と。」

 

「はっはっは! 確かに昔から酷いものでございましたからなぁ! あ、もし優れていたとしても閣下からの命令は絶対ですから、何処かに靡くとかは無いでしょう!」

(……いやこの方はやる気は無くとも能力はある。でなければ伯爵閣下からの支援を受けられるはずがない。となると何かの政略。表向きは『奴隷を見せる』ことで所有者を明確にしいらぬ諍いを起こさぬように。となると裏は……、引き抜きか? いや、それが不可能だと彼も理解しているはずだが……)

 

「ま、ですよねぇ。」

 

 

うん、やっはり出来る人の思考は整ってて見やすいね。

 

これなら話を“併せ”やすい。

 

内心そう考えながらも、彼との雑談を進めて行く。その内容が『センスが無さ過ぎて投槍の訓練で、前に投げたのに背後にいたランツァル殿の顔に突き刺さりにそうになった』という過去の恥を奴隷の二人に暴露されている気がするが、とにかく彼の思考と記憶を閲覧していく。

 

……やはりというか、彼は“長男派閥”。自身の長兄であるタルクトに類する存在の様だ。一定のパイプが出来上がっており、多少の情報をやり取りした記憶が存在している。今もなお機能しているようなので、『ここでの会談は露見する』と考えた方が良さそうだ。

 

 

(けれど此方に対する悪感情は無い。……父が『エドを皇帝にする』と言っているからか?)

 

 

相当父に入れ込んでいるのは確かの様で、その言葉に疑念らしい疑念を覚えていないことが見て取れる。確かに『どうやって即位させるのか』に関する疑問はあるようだが、父ならば何とかするだろうという信頼があるようだ。まぁつまり、この身を未来の皇帝とみているわけだね。

 

今は伯爵家の四男でしかないが、今後すべての貴族が跪くトップになるので丁寧に接しているという感じ。

 

……なら私の黒歴史晒すの止めない? それで私が“どう反応するのか”を見極めてるにしてもさぁ! 恥ずかしいのは恥ずかしいの!!!

 

 

(んで、肝心の『常備兵』についてだけど……。)

 

 

彼も帝国が崩壊し、戦乱の世が来そうなのは理解しているのだろう。

 

それゆえに“武力”に重きを置く長兄陣営に対し期待を寄せているのだが、それは“期待”だけ。覗き込む限り、やはり我らが父に対する敬意の念が深い。つまり父の命令であれば即座に頷き、それ以外の言葉に対してはのらりくらりと明言を避けられてしまうことだろう。

 

本音を言えば、三男の彼。ザーン兄上の離間工作のためにも“形だけでも”貸して欲しかったところだが……、致し方あるまい。むしろ彼が敵対しないことが解っただけでも、収穫と言えるだろう。

 

っと! んじゃこの内容を後ろ手のハンドサインでリシエラさんに報告しときましょう。

 

 

「……んもう、辞めてくださいよランツァル殿!」

 

「はっはっは! 少々虐め過ぎましたかな? しかし反応が大層良かったモノで! これであの時殺されかけた恨みも薄れるというもの!」

 

「いやマジで悪かったですから……。っと! 本題と言うわけでも無いのですが、一応奴隷を購入しまして。外にいた兵の皆さんには伝えましたが、ご挨拶にと。何せ初めてなものですから、手違いがあれば申し訳ないと……。」

 

「成程! そうでしたか!」

(表向きは、想定通り。直前で兵たちに話しているのは此方も把握している、引き抜きに関する話かと思ったが、未だに出てこない。何を考えている……?)

 

 

うんうん、ちょうどいい感じの警戒感を保ててるね!

 

確かにこういう話では相手の警戒を薄れさせる方が良いんだけど、私の場合既に彼に評価されてしまっている。こうなると後から思い直した時に『あの時に警戒を解かれた? やはり危険かもしれない』となる可能性が高いのだ。あんまり"評価"され過ぎると繋がってる長男陣営が武力制圧に出るかもだし、ほどほどで良いんですよ。

 

それに、こういう賢いタイプとなると『常に一定の警戒』を抱かれていた方が、行動を想定しやすい。

 

鑑定は便利だけど、視線が通ってないと使えない。見てない時の動きも考えるのであれば、コレ位がちょうどいいんですよねぇ。

 

 

(さて、見るモノは見たしこれくらいで撤退……。うん?)

 

 

少し気配を感じ視線を横にずらしてみれば、後ろでにこやかな笑みを浮かべるリシエラさんの姿が。

 

あちらも私の視線が向いたことに気が付いたのだろう、ランツァル殿の視線が他。ずっと立っていたがゆえにほんの少し姿勢を整えたライカに向いた瞬間、自身にハンドサインを送って来る。

 

成程、2番の手紙を、7番の想定で渡せばいいのね? ……流石エルフ、性格が悪い。

 

 

「っと! お忙しい所、申し訳ない。そろそろ私は失礼させて頂きますね?」

 

「いえいえ、とんでもないですぞエド坊ちゃん! 我らは皆様を守るためにいるのですから、いつ何時訪ねて頂いて構いませんとも。ま、一部の奴らは坊ちゃんより、坊ちゃんが持ってくる差し入れが待ち遠しいようですがな!」

 

「そういうもんでしょう。自身としては何か会った時に万全の働きをして頂ければ、それで。……あぁそうだ、実は先ほど“ネヴァーク兄上”とすれ違いまして、こちらを渡してくれと頼まれたのです。」

 

「次男殿か? ……頂きます。」

 

「では、用は済みましたので。それでは。」

 

 

そう言いながら、ライカたちとともにこの部屋から出る。

 

え? いつの間に次男と会っていたかって?

 

いーえ、昨日の夕食会から一度も顔を合わせてませんよ? にしても……、ウチのエルフ。エグイこと考えるよねぇ。幾ら『鑑定』で答え合わせ出来るとは言えここまでやるとは、やっぱこの人恐ろし。

 

 





〇奴隷たちのこしょこしょ話

「んふふふふ! やっぱエド様の鑑定ヤバいわぁ♡ こういうのって相手の行動とか結果で答え合わせしていくんだけど、その場で解っちゃうなんて! 動きやすいったらありゃしない! しかもエド様も十分に暗躍出来てるじゃない! こういう程々に頭の性能も良い奴は、自分の思い通りに事が進んでも『想定通り』で済ましちゃうもの! 鑑定で覗いた相手の想定に合わせながら、違和感持たれないようにランダムな動きも入れていく! しかも直前で決めた符号をちゃんと覚えて、指示に合わせて実行できるなんて! ふふふ、こういう“おあそび”も欲求不満の解消になっていいわよね……♡♡♡ まぁ溜まるものは溜まるけど。食べたい。」

「……よわくないもん、いぬっころじゃないもん。でもアイツら全員アタシより強かった。うぅぅ!」

「あら? ……お~ぅ、やっぱ“人間の軍”は若干トラウマになってる感じねライカちゃん? んじゃ早めに模擬戦でもして貰って乗り越えちゃいましょうか。んじゃアレをこうして、あぁすれば……、多分行けるわ! 少し後になるけど、一緒に頑張りましょうね! にしても思ったより使用人や兵士へのエド様のウケが良くてびっくり! 活用のしがいがあって助かるわぁ♡」




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