初代B小町にアイ超えスペック持ちTS転生者が入ってから始まる話 作:るつまと
アクアくんには○んでほしくなかったのでね⋯はい。
ミヤコさんにいろいろと話した日からいくらかの時間が経って、アイさん殺害の黒幕…カミキヒカルって人が捕まったというニュースが報道された。
彼の犯行動機はまったく意味が分からなかったけど、なんか中二病っぽいようなことを言っていたのだけははっきりと覚えている。
命の重みってなんですか(迫真)?
どっかのイカれた宗教の聖句的なのだったりします?
命が重い人を殺したら、自分の命が重くなるみたいなことを言ってたけど…わりと真面目にどういうことなん?
人をたくさん殺したら死刑になるんだから、むしろ軽くなってるじゃん。
本末転倒やん。
頭悪いんちゃう?
ハッ⋯もしかして、法律という決まりをお知りにならない方でした?
ルールばかりに縛られている現代日本に産まれてから、二十年以上もこの国で生きてきたらしいのに?
それとも…もしや貴方の前世は文明の崩壊した世界とかなんですかね?
これだから十五歳で父親になるような倫理観のねじ曲ってるヤツは……やれやれです。
ちょっと日本政府さん、おたくの教育はどうなってるんですか?
いくら少子高齢化し始めている社会だからといっても、さすがにそれはまずいですわよ。
「あっ。やっと起きた、月姫さん。」
トントンと肩を叩かれて、僕は何事かとゆっくりと目を開く。
まばゆい太陽の光を背にしながら、水色の髪を持つ共演者…片寄ゆらさんが僕の顔をのぞき込んでいた。
「ここは…。」
「もしかして寝ぼけちゃってる?今は京都に向かってる新幹線の中だよ。」
京都?新幹線?
あぁ…そういえば、今は恋愛リアリティショーの撮影中だったかも。
んー…僕が寝ぼけていると思われているのなら、その勘違いを都合よく使わせてもらおうかな。
カメラは…うん、向けられているね。
この眼で確認しなくても、カメラで撮られている感覚ははっきりと分かる。
これが長年の経験からやってくる、勘と呼ばれるようなやつなのだろうか?
「綺麗だな。」
「ふぇっ!?そそそ、そんなことないよ。」
うんうん、片寄さんになかなか鋭い不意打ちが決まってくれた。
あとは寝ぼけている人っぽい演技をしながら、抱いている勘違いを正せばいいだけ。
「ゆらのその空色の髪は、ほんとに綺麗だよ。」
一瞬の静寂の後に、片寄さんはどんどんと顔を赤くしていく。
いやなんというか……少し、申し訳ないことをしちゃったかもなぁ。
それと…うぶな反応、ごちそうさまです。
✦★*★✦
僕の出演している恋愛リアリティショー【生徒の皆さん、恋の時間です】という番組。
その内容を簡単に説明するのなら、学園生活恋愛譚と言うべきだろう。
で、僕らは第七話である修学旅行回の撮影のために、京都にやって来た。
いやぁ⋯こんな学生らしいことをできるなんて思ってもなかったよ。
十七歳で普通だったら青春真っ盛りの高校生なんだろうけど、僕は青春要素なんて少しもない夜間学校に通ってるからさ。
「クックックッ⋯俺の魔球を食らいやがれ!!」
「フッ、キミの魔球はもう見切った。これで終わりさ!!」
「そんなバカな!?グハァッ!!」
そんな感じの会話をしながら、旅館の一室で男女間まくら投げ戦争を繰り広げる。
いやぁ、まくら投げってこんなに楽しいものなんだね。やったことのない人は、人生を半分以上損してるかも。
そんなことを考えながら、僕は京都での一泊二日の日常を楽しむのであった。