初代B小町にアイ超えスペック持ちTS転生者が入ってから始まる話 作:るつまと
このTS転生者…やったわ。
どしゃ降りの雨の中。
なんでか知らないけど、僕は無性にガリ◯リ君が食べたくなってしまったがためにコンビニに向かって全力疾走していた。
いやほんとに今さらだけど、なんで僕はこんなことをしちゃったんだ?
家の中にはガリ◯リ君じゃないけど、ハーゲ◯ダッツがあったんだからそっちにすれば良かったのに。
傘をさしているのにも関わらずびしょびしょに濡れてから、僕はそんなどうしょうもない後悔を抱いた。
こうなったらガリ◯リ君を買い占めてやらぁ!!
と、そんなバカみたいなことを考えていたのがつい先刻のことである。
結局、ガリ◯リ君の買い占めはできたのかって?
んーとね…今はそれどころじゃないんだ。
「落ち着いて。ここにキミの敵はいないから。だから落ち着くんだ。こんなところで唯一の命を投げだそうとするんじゃない!!」
「いやぁ!!離して、離してぇ!!」
なんか歩道橋の上から飛び降りようとしてた少女を引き留めようとしてる最中でございます。
なんで僕はこんなにも面倒ごとに巻き込まれるんすかねぇ(半ギレ)。
うら若き少女の自殺シーンを面倒ごとと言っちゃうのは良くないかもしれないけどさ。
「ふぅ…。ギリギリだったけど、間に合って良かったよ。それで…キミはこんなところで何をやっていたんだい?黒川あかねさん。」
十年も前にやった恋愛リアリティショーのために習得した王子様モードを使いながら、僕は全身ビショビショの少女…黒川あかねちゃんに問いかける。
なんか既視感あるな~って思ってたら、アクアくんと同じ番組に出てた娘だったよ。
それも今、世間でめちゃくちゃに燃えてる…燃やされてる娘。
「わた、しは…。」
彼女はその双眸に恐怖を灯して、身体を小さく身震いさせた。
ようやく自分がなにをしようとしてたのか、理解が追いついてきたみたいだね。
ならあとは─────
「その大きな苦しみを一人で抱え込もうとするんじゃなくて、少しでもたくさんでもいいから私たちにも分けてくれ。そうすれば大丈夫だ。キミはもう、大丈夫だ。」
彼女を力強く、されど優しく抱きしめて、僕はそうささやく。
黒川ちゃんは僕の胸の中で、ただただすすり泣くのであった。
✦★*★✦
「ありがとう、月姫さん。アンタのおかげで、あかねの命が助かった。」
警察署の片隅で、ルビーちゃんの双子の兄であるアクアくんが頭を下げてくる。
「別に構いませんよ。私がその場に居合わせたのはたまたまですし。それより……これからどうするつもりですか、アクアくん。」
たぶんあかねちゃんはさらに燃えるだろう。
炎上真っ盛りの中での自殺未遂は、火に油を注ぐような行為の一つだから。
人が死のうと思うほど追い詰められていたのに、そこへさらなる追い打ちをかけるだなんて…この国の民度がうかがい知れるというものだよ。
僕の問いかけに、アクアくんは水晶のごとき目を伏せて沈黙する。
そうすること数秒ほど、ゆっくりと目を開き────
「あかね。お前、これからどうしたい?」
冷徹に成り切ろうとしているのに、本人の意思を無視して動こうとしないところが可愛らしいよね。
薄い笑みを浮かべながら、アクアくんたちの会話に耳を傾ける。
こんな目に遭ったのにも関わらず、あかねちゃんは番組を続けようと思っているらしい。
若いっていうのは素晴らしいね。
番組の出演者たちが一致団結できているっていうのも良いことだ。
……なんか悪役みたいなセリフになっちゃったよ。
まぁそれはさておき、アクアくんがこうやって動こうとしてるってことは、足掻くことになんらかの意味があるということだろう。
「ここからが、本当のリアリティショーだ。」
そんな決めゼリフのようなものをミヤコさんに言い放つアクアくんであった。
厨二病かな?
厨二病だよね?