他の
……という事で、キルティ=パッチワークのファッションショーが開催される。
「次はこれかなー? 『
彩りは黄色。ドレスと呼ぶよりは、極限まで布を薄く仕上げたスポーツウェアのような
実際に着用して実感する。軽い。動きやすい。人体の可動域まで計算に入れた素晴らしい運動着。
「風属性……物体を動かす事に長けた魔法だったかしら」
「そーそー。『
強そうに見える、が。
『
同じように、この『
「風属性って光属性とは離れているよね?」
「え、ええ……そうね?」
六属性の相性表を思い返す。
光
火 水
風 地
闇
真逆とは言わずとも、物体操作の風属性は単純強化の光属性には程遠い。
「自己加速って言うのは、まあ瞬間的には強いかもしれないけどさ……
「……そう、ね」
「火属性や水属性なら兎も角、風属性がその方向性を目指すのは……致命的だよ」
『
風属性の
「はいはい。じゃあ続きまして……エントリーナンバー三番、『
続いての衣装は重々しい
苔むしたような深緑の色合いに、
「固有魔法は
ずずずず、と地面が盛り上がって生まれる。
自動で戦闘する
同時に創造できる数に制限こそあるが、一体一体が強力で、着用者の指示がなくても動くという利点が大きい。
「これは地属性の方向性としても正しく、今まで紹介した失敗作の中でも一番惜しい所まで行った
「……どういう事かしら」
「一度言ったよね。
「…………」
「『
一撃受けるだけで砕ける貧弱な防御魔法。
そもそも使えない攻撃魔法と回復魔法。
他者との協力という前提があるならばまだ使えるが、単体の性能として落第。それが『
「あとあと、『
本日四着目の
『
どう考えても火属性。真っ赤に彩られた無数の羽は炎を表現しているようだった。
「火属性の強みは遠距離攻撃。通常はゼロ距離でしか通用しない攻撃魔法が、火属性の場合は砲撃に様変わりする。……だから、うん、まあ『
キルティは一着前の
攻撃魔法を光線として放つ最も単純で火属性らしい固有魔法。
カッッッ‼︎‼︎‼︎ と閃光が弾ける。
着弾の瞬間、光線は無数に枝分かれして周囲一帯を焼き尽くした。
汎用魔法を削るほど強力な
高射程、高火力。
更にその気になれば連射さえ可能。
単純にして最強。それが火属性の真髄。
……
「なに、これ……スゴイ、体がダルい……」
「神秘枯渇だね。『
瞬間的には最強格の『
「『
ナクアの話を聞きながら、『
製作者には悪いが二度と着たくない。それだけ疲労感の強い
「あとは……これとかも着てみたらどうだい?」
「アナタが神秘枯渇だって説明したんでしょう。もう魔法は使えないわよ」
「あー、そうだったね。残念。じゃあ歩いてみて回ろうか」
その後も、ナクアの説明を受けながら『
失敗の理由というのは多くあるが、基本的には初めに見た四つと同じ。
着用者にデメリットがあるか、向いていない分野に特化しているか、固有魔法の代償が大きいか、使用できる条件が限られている。
何となく
……と言っても、まだまだ固有魔法の構想は思いつかないのだが。
「以上、主な失敗作はおーしまいっ」
「もう? まだまだいっぱいあるけれど」
摩天楼のような室内を見上げる。
『
とても一日で見て回れる量ではない。
「大体の失敗理由は分かっただろう? これ以上の知識を詰め込んでも、既存の
「……それもそうね」
「じゃあ、最後に僕からアドバイス。……これは評価の高い
静かに、ナクア=アラクネーは語る。
「魔法というのはね、想いの発露とされている。ここにある
「……それって、固有魔法もかしら」
「そうだね。色々見て回ったけど、結局は思い入れが深くて自分好みの
例えば、と。
ナクアは自らが纏う『
「僕の実家──アラクネー伯爵家は糸を特産品としている領地でね。僕は昔から様々な糸に触れてきて、僕自身も糸を愛している。だから、僕の『
「………………、」
「君はどうかな、キルティ=パッチワーク。君には何か好きなモノがあるかな? 君の人生の中で、他の何かには代えがたい……愛するモノが」
「……………………………………………………」
キルティの、好きなモノ。
他の何かには代えられない愛するモノ。
……そんなの、あるだろうか。
ゴミ山に生まれ、
◇◇◇◇◇
『
属性:風
メインカラー:黄
『
自身の肉体を操作して、高速で動き回る固有魔法を持つ。速度だけで言えば非常に強力だが、近接格闘性能は光属性に劣る。
『
属性:地
メインカラー:深緑
『
泥人形を生み出す固有魔法を持つ。同時に創造できる数には制限があるが、一度創造すれば指示がなくても自動で戦う。ただし、固有魔法が強力な代償に汎用魔法が削られている。
『
属性:火
メインカラー:紅
『
攻撃魔法を光線として放つ固有魔法を持ち、光線は着弾の瞬間に弾けて爆発する。高火力かつ高射程、連射能力も高い強力な魔法だが、燃費が悪いため一瞬だけしか使えない。