地味スキル【荷物持ち】と【逃げ足】による、殺し殺され現代ダンジョン物拾い生活   作:自縛霊

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荷物持ちと逃げ足

 ある日、人類は楽園を得た。

 

 時は現代、場所は地球。ある日世界中の人々が、異世界へ移動する能力を獲得しました。【アップデート1.0】と呼ばれるその日以降、人類はいつでもロビーと呼ばれる無限の土地面積を内包した世界へ移動でき、そしてそこを経由して任意の異世界ダンジョンへ冒険に出ることが可能になりました。

 

「マリー? そろそろ出かけるぞ」

「えっもうそんな時間?」

「そんな時間です、ほらほら準備しなさい」

「はぁい」

 

 そして変化はもう一つ、ロビー及びそこを経由した異世界では、人類は死にません。何度殺されても、復活することができるのです。精神が変質しているので、この状態では痛みや苦しみがとても鈍いです、精神的にも無敵なのです。

 

「今日からミトラ山脈だねー、良いもの見つかるといいなー」

「言っておくが最初は低いとこからだぞ。山頂は良い物も見つかるけど、耐性スキルが不足してると普通に凍死するからな」

「分かってるって~~、死にまくって経験値稼ぐような無茶はもうしないよ」

 

 最後にもう一つ、一番大切な変化が【スキル】です。これは復活能力の副産物でして、生き返る度、肉体は経験した苦難に対応できるよう最適化されていきます。

 例えば、スライムという打撃に強いモンスターが居ます。こいつを体力の限界まで殴って、そしてぶっ倒れたところを窒息死させられた場合。復活した身体には【液体特攻】のスキルが備わり、スライムを殴ってぶっ殺せるようになります。

 とはいえ、最初はそこまで強力な効果は得られません。精々ダメージの通りが0%から2%になる程度です。この過程を何度も繰り返して経験値を稼ぎ、スキルのレベルを高めることで、パンチ一発でスライムを消し飛ばすような力を得ることが出来るのです。

 

「それじゃあいつも通り、戦わないでお金を稼ごーう」

「おーう」

 

 無限の成長性と未知のダンジョン、そして何度でも挑戦できる不死。それらは多くの探索者をダンジョンに呼び、多くの敗北を与え、そして多くの勝利をもたらしました。有限という言葉はここにありません、その情熱がある限り、人々は何処までも進み続ける事ができるのです。

 そしてこの子供たちもまた、そうして挑戦の機会に挑む者たちの一員です。ダンジョンに挑むために必要な情熱さえあれば、年齢など些細な問題ですから。

 これは【荷物持ち】スキルを異常に鍛えた少女マリーが、逃げ回って【逃げ足】スキルばかり鍛えられた少年サナダと物を拾って過ごす物語である…………

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