地味スキル【荷物持ち】と【逃げ足】による、殺し殺され現代ダンジョン物拾い生活   作:自縛霊

32 / 33
このイベントの締めに公開処刑を!

 イベント「紅白キル合戦」は大成功に終わりました。イベントポイントは無事に上限まで集まって、我々運営が頑張って用意した「星空のヘアピン」も無事に探索者たちの手に渡ります。殺しても奪われない系のアイテムって作るのが地味に手間なんですよね、ポョムが無理言って作ってもらったのが無駄骨にならなくて良かったですよマジで。

 さて、そうして迎えたイベント最終日。暗躍を続けイベントを成功に導いた立役者たる戦争推進委員会の面々は…………

 

 

 

 

 

「それではこれより! 戦争推進委員会たちの公・開・処・刑!! はっじまっるよー!!!!!」

 

 歓声と拍手喝采が巻き起こり、処刑台の戦争推進委員会たちに降り注ぎます。

 そう、彼女たちは手足を縛られ、観衆の元で処刑される時を待っているのでした。

 

「何でじゃー! 何でマリーちゃんたちが処刑されなきゃならないんじゃー!!」

「不当逮捕だー! 不当処刑だー!!」

 

 マリーとサナダがギャイギャイと文句を言っています、そりゃイベントマップに来て速攻捕縛されたらこうなりますわ。

 

「いやぁダメでしたねぇ、社長」

「なんとか逃げ切れると思ったんだけどね」

 

 一方【ダルマ落とし】のオウミとヒノは腹を括っている様子、落ち着き払っていますね。

 

「カッカッカ! この程度で捕まるとは儂もまだまだじゃのう!」

「せめてもう10人は斬りたかったッスね」

 

 こちらは【人斬りスズメ】のロウシとサブマスターです、捕縛に来た刺客の群れを返り討ちにできなかったことを嘆いている様子。二人合わせて150人くらい斬ってたんで常軌を逸した強さには違いないんですけどね、結局数には勝てなかったよ。

 

「うん、公開処刑程度で済むなら安い物だね」

「イベント報酬は取り切れたし、必要経費だな」

 

 【デスマーチ】のサイトゥスとハナマルは処刑を何とも思っていない様子。何千回もランダムダンジョンで即死し続けたせいで感覚が麻痺したのでしょう、良い調子です。

 

「みんなー! クズ共の命乞いが聞きたいかー!!」

「「「聞きたーい!!」」」

「必死に言い訳する無様を嗤いたいかー!!」

「「「もちろーーん!!」」」

「全部聞けるぞー! クズ共の斬首ショー! はじまりはじまりー!!!」

「「「イェーーイ!!!」」」

 

 司会進行を務めるのはあのギャルちゃんです、憎きマリー達を皆殺しに出来る喜びでハイになってますね。かわいい。

 

「それじゃあまずはデスマーチの二人から! 君たちには『大量のポイント鉱石を横領した容疑』がかかってるよ! 言い訳はあるかな~?」

 

 メガホン(電子式ではない)がサイトゥスの口元にあてられます、観衆に聞こえるよう命乞いしろということでしょう。

 

「当然したに決まっているだろう、十分なポイント鉱石を渡したら君たちは日和って和解し始めるんだから」

「確かにそうだねー、でもムカつくから処刑はするよー! ほらほら! ハナマルさんも命乞いしてよっ!」

 

 今度はハナマルにメガホンが渡りました、一体彼はどのようなマイクパフォーマンスをしてくれるのか。

 

「あー、そうだね。せっかくのイベントを台無しにしようとしたテメーらのリカバリーをしてやったんだから感謝しろと思いました、死ね」

「恨み言頂きましたー! 確かに私たちはイベントを台無しにしようとしたね! でもこれから死ぬのは君たちなんだよー!? ザマァーー!!!」

 

 ギャルちゃんの罵倒に会場が熱狂します、本当に楽しそうですね。

 

「それじゃあ次はダルマ落としの二人! 君たちには『ポイント鉱石を売り逃げして私たちのマスを不当に奪った容疑』がかかってるよ! 私のお金も持ってかれたから早く死んでほしいなっ!!」

 

 ダルマ落としの二人はポイント鉱石を格安販売して大量のマス(ロビーの通貨)を得ました。ちなみにその後ポイント商店を閉店したので、探索者たちの買ったポイント鉱石はただの石ころです。石ころに大量の金を払ってさぞ悔しいでしょうねぇ。

 あと戦争推進委員会の存在が露呈したのもこれが原因だったりします、二人が派手に稼いだ結果怪しまれたのです。

 

「じゃあ着物のキマってるオウミちゃんから命乞いしよっか! できるだけ無様に喚いてほしいな!!」

「ふむ、私たちの悪徳商法に文句のある者はイベント終了後、ダルマ落としの拠点に来なさい。全員私がぶちのめしてあげます」

「ほっほう! まさかの宣戦布告だー!! みんなで押しかけてボッッコボコにしてあげようねー!!!」

 

 楽しく殺し合う口実ができるのですから、オウミからすれば望むところでしょう。

 

「そして次は何故かイケイケの水着を着ているヒノちゃんの番だよ! 何で水着なの……?」

「そりゃカワイイからに決まってるでございましょう。ロビーは現世と違って薄着でも問題なく過ごせるのですから、好きな服を着て何の不都合がございましょうか」

「露出狂じゃん」

 

 そっすね。まあロビーでは性欲に制限がかかってるので、別にいかがわしい展開にはなりませんよ。問題ありません。そういうことは同意が無ければやる気にすらならないのです。

 

「んじゃあ水着のナイスバディが斬首される特殊性癖にエサをくれてやるヒノちゃんも命乞いをどうぞ」

「カモの皆様、今後ともダルマ落としを御贔屓に」

「いっそ清々しいまでのディスだね! 処刑が依然楽しみになってきたよ!!」

 

 そうして次はロウシたちの番です。とは言っても大して言うことも無いようです。

 

「人斬りスズメの二人には『敵味方問わず殺しまくった容疑』がかかってるよ! ただの殺人鬼じゃ-ん!!」

「まあ事実じゃな。強そうなヤツが居るんじゃから、そりゃ挑むじゃろう」

「良い修行になったッスね、良ければまた手合わせ願いたいッス」

「開き直ってるねぇ! この二人に復讐したい人は人斬りスズメの拠点へGOだ! いつでも相手してくれるそうだよ!!」

 

 思った通り、人を斬る事しか考えてない人達でした。好き放題してます。

 

 そして最後はマリーとサナダです。子供が斬首される倫理に中指を立てる所業ですが、イベントでロビーに慣らされたセーフゾーン民たちに止める者は居ません。

 

「最後はサナダとマリーのちびっ子コンビだよ! 二人にかかってるのは『大量のポイント鉱石を盗んだ容疑』だね! シンプルに犯罪!!」

 

 二人は各陣営の国庫からポイント鉱石を大量に盗みましたし、探索者を何人も暗殺してポイント鉱石を強奪しました。これは参加者を貧乏にすることでポイント鉱石の奪い合いを加速させる戦争推進政策の一環でしたが、当然ギャルちゃんたちの知ったことではありません。

 

「ねえねえどんな気持ち? 煽りまくった私に生殺与奪握られるのってどんな気持ち?? 必死の命乞いを見せてくれよぅマリーちゃん! ねぇ!!」

「はーっ!? 別になんとも思ってませんけどー!? 私らがいなけりゃイベント一つ満足に遊べなかった分際で生意気なんだよアンタたちはぁ!! バーカバーカ!!!」

「くぅぅーーっっ!! 最ッッッ高!!! 復讐ってこんなに気持ち良いんだね!? 脳ミソに喜びをバケツ一杯叩き込まれたような気分だよぉ!!」

 

 ギャルちゃんが歓喜に打ち震えています、本当に楽しそうです。

 

「それじゃあサナダ君も命乞いしよっか!! なるべく吠え面をかくようにね!!」

「はい、せっかくマリーが楽しみにしていたイベントを台無しにしやがったお前らが苦しんでくれてとても嬉しいです。これに懲りたら二度と巫山戯たマネはしないように、殺すぞ」

「うんうん! 私らも集めたポイント鉱石を台無しにされたからおあいこだね!! それじゃあぶっ殺すねーー!!」

 

 そんなこんなで命乞いパートが終わったので、次は斬首パートとなります。人混みの中から処刑人が現れました。

 

「やあ、斬首剣専門職人のウードンだ。最高の処刑を約束しよう」

 

 そう、例の斬首剣マニアです。

 

「こちらのウードンさんは斬首剣のスペシャリスト! この最高の公開処刑をするに相応しい人材だー!!」

「斬首剣が如何に良く斬れるものか、少しでも伝えられれば幸いだ」

「彼女の作品はマーケットで販売中! 気になった人は是非チェックしよう!」

 

 公開処刑に斬首剣、これほど相応しい組み合わせも中々無いでしょう。

 

 

 

 そんなわけで処刑タイムです、まずはサイトゥスから。

 

「まあ、楽しかっただろう?」

「それはそう。それはそれとしてとりあえず死ねぇ!」

 

 ギャルちゃんが叫ぶと同時にウードンが首が切り落としました。一振りで処刑を成功させる技量は驚異の一言です。

 

 次にハナマル。

 

「お前らは経験値増加の有難さを知らないからこんなことが出来るんだ、どうせ掌を返すクセに」

「うんうん。掌返した後に謝るから、今は殺すねー」

 

 そうして彼も斬首されました、落ちた首が不満げな表情のままでちょっとシュール。

 

 次にオウミ。

 

「みんな、復讐のカチコミ待ってるよ」

「はーい! 後で皆殺しにしてあげるから待っててねー!」

 

 またもや一発で斬首成功、穏やかな笑顔が床に転がります。

 

 そしてヒノ。

 

「薄着をしたいなら氷海で死にまくるのが良いでしょう。寒冷耐性が上がりますゆえ、寒い場所でもミニスカート履き放題となれます」

「そう言われると行ってみたくなるね……んじゃまあバイバーイ」

 

 今回の斬首は少し失敗ですね、手元が逸れて胴体も切れてしまいました。

 ああ、ポロリはありません。運営陣《ウチ》にいる運命干渉や精神操作等のスキル持ちを総動員して、ロビーには鉄壁のセキュリティを敷いてあるのです。我々運営は公序良俗に配慮した経営を心掛けておりますから、お子様も安心してご参加いただけます。

 

 次にロウシとサブマスター。

 

「いつでもウチに遊びに来てくれ!」

「待ってるッスよー!」

「楽しそうでムカつくなー! 死ね!」

 

 今回は斬首成功です。ニッコニコのまま転がる首がちょっと怖いです。

 

 そして最後にマリーとサナダ。

 

「…………まあほら、マリーちゃんの可愛さに免じて許してくれない?」

「マリー、流石にそれは通らない」

「そうそう、大人しくぶっ殺されて私を笑顔にしてよ! ねっ!!」

「しょうがないにゃあ……」

「まあ仕方ないね」

 

 そんなわけで二人の首も問題なく切り落とされました。公開処刑の完遂に万雷の喝采が鳴り響いています。ウードンも斬首剣のプロモーションに成功したのが嬉しいようでニッコニコです。これだけの人を笑顔にできるのですから、公開処刑も捨てた物ではありませんね。命が無限のロビーでは実質タダで催せますし。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。