私が社長でタイプ・グリーン   作:兼永一真

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プロローグ
はじまりはじまり


私がこの力を理解したきっかけはかなり大きなことだった。

 

ーーおっと、その前に自己紹介をしておこう。私はAlto(アルト)H(飛電)Clef(クレフ)、世界的大企業飛電インテリジェンスの創業者 飛電是之助(ひでんこれのすけ)の孫、そしてタイプ・グリーン(現実歪曲者)だ。

 

話を戻そう。アレは私が5歳の時だった。

 

 

 

父、飛電・其雄(ひでんそれお)は祖父、是之助の開発した人工知能搭載人型ロボ:ヒューマギアのスターリンクを目指し、通信衛星アークの研究を行っていた。

 

2084年、遂に完成したアークの打ち上げが行われた。

だが、悲劇が起きた。ロケットブースター接合部のゴムが低気温によって弾性を喪失、それによって密閉不良が起き、高温のガスが外部燃料タンクを破壊し爆発が起きた。

 

結果、アークの打ち上げは失敗し責任者であった其雄は世間からのバッシングに耐えきれず自殺。

 

2年後、改良された通信衛星、ゼアの打ち上げが成功し親子の悲願は成された。

 

 

 

ーーここまでが世間知られている事実だ。だが、真実は異なる。

 

この通信衛星爆発事故の原因、それは私だ。

一応、言っておくと俺に悪意があったとか、細工したとかそういう訳ではない。大体、一幼稚園児が細工できるほど甘いセキュリティじゃない、たとえ俺が責任者の息子で父と祖父の影響で当時でも相当な科学の知識があったとしてもだ

 

当時、私は打ち上げ現場にいた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

たった5歳の子供の無邪気な疑問はすぐに現実となった。

 

父さんが死んだ。いや、私が殺した。そう思わずにはいられなかった。

 

その事は誰にも話さなかった。私と同じか、それ以上の悲しみをみんなも背負ってると思ったから

唯一の例外は教育係のヒューマギア、イズだ。感情なんてないと思って精一杯泣いて、慰めてもらって、ハグしてもらった

 

その後、日本に居ては辛いからと母とイズと共に母の実家のあるUSNAへと引っ越した。ちなみに母はイングランド系アメリカ人で父は日本とフランスのハーフ。私は結構渋滞した血筋なのだ

 

日常会話くらいなら英語は出来たし、血筋のおかげか日本人離れした容姿とちょうど小学校という年齢のお陰か交友関係も問題なかった。

一つ不満があるとすれば飛電を名乗れなくなる事だった。飛電の御曹司という立場はともすればかなり危険な目に合う。それを危険視してかUSNAでは母方の性であるClefを名乗り、飛電はミドルネームになって、基本的に名乗ることを禁じられた。別に母の性が嫌という訳ではないんだけどね

 

まぁ、そんなこんなで私は生きてきた。その中でイズから色んなことを学んだ。次期社長として必要なこと、護身術、etc.........。その中でも魔法についてはかなり助かった。ほとんどできなかった能力*1

の制御に概ね成功した。

 

 

 

もう10歳になろうかというある日、日本から祖父の老衰の知らせが届いた。

 

急いで身支度を整え、日本へとプライベートジェットで向かった。祈りが通じたのか最後を見届けることができた

 

「アルト、お前には多いな運命が待ち受けている。一人で抱え込むな。周りを頼れ」

 

「分かってるよ。じいちゃん」

 

2089年8月30日、ヒューマギアを開発し人口が大幅に減った世界の維持に貢献した偉大な男が死んだ。享年75歳、まさに大往生と言った最後だった

 

 

 

一週間後、じいちゃんの意向を汲み、細々とした葬儀が行われた。

 

「少しいいかな」

葬式後、声を掛けられた。確か福添さんだったか、じいちゃんの右腕的存在だったと記憶している

 

「大丈夫ですよ」

 

「そうか、なら話しておきたいことがある。君のお爺さんの遺言についてだ」

 

「内容に関してはある程度予測しています。おそらくは私が次期社長に指名された、そうでしょ?」

 

「あぁ。だが役員会議では幼すぎるという理由から反対が多い。もちろん私もだ」

 

まぁ、実際そうなんだよな。イズからいろいろ教わってるとは言え所詮は中坊にもなっていないガキだ。創業者の遺言であろうともさすがに無理だろ

 

「ーーそれは困りますね」

 

どこからか女の声がした。辺りを見回すと喪服に身を包んだ女がいた

 

「彼には初めまして、ですかね。私はD.C.al fine、世界オカルト連合の事務総長を務めています」

 

「ご丁寧にどうも」

渡された名刺にも同じことが書かれている。知らない組織だがまぁあるんだろう

 

「D.C.al fine?なぜあなたがここに」

 

「そこの彼に用があるのですよ。Mr.福添」

 

「まさか、彼をGOCに!?」

 

「それが亡きMr.是之助との契約ですから」

それを聞いた途端、先ほどまで抗議していた福添さんはそそくさと去っていった。

 

「あなたには能力がある。それを世界のために生かす気はありませんか?」

「ーーあります。」

 

即答だった。

 

「よろしい。ようこそ世界オカルト連合へ」

 

そこからは死ぬほど忙しかった。次期社長という立場の都合上、本社のある日本に移住しなければならなかったし*2、学校とGOCを行き来しながら合間に社長業をこなしていく、そんなハードスケジュールを3年ほど過ごした。

 

生活にも慣れ、終了した現実歪曲者(グリーン)が9体になった。社長業の方も何とかはなっている。

 

「アルト社長、大丈夫ですか」

 

「大丈夫だよ、イズ。いや、ホントに大丈夫だから。試験勉強忙しかったけどそろそろ夏休みだし」

 

そう言っていたところで秘匿回線から通信が入る。

 

『来る8月12日、新ソビエト連邦によって佐渡島の襲撃が予測されました。佐渡島の異常性、異常実体の戦場への試験的投入の可能性を鑑み、佐渡島の防衛を要請します』

 

『了解しました。エージェント・ウクレレ、ミッションを遂行します』

*1
魔法というよりはサイキックに近いがそれとも違いそうだと判断したため

*2
これに関しては祖母の血縁から一色家に頼ってどうにかなった




この世界、財団が居ません。なので最大手はGOCです





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