佐渡侵攻から2日後、疲れ切った体を休め本調子とは言わないまでも動けるようになった。2日で2回もビルドとバルカンの同時使用して、その上現実改変まで使わされた。
『エージェント・ウクレレ。いくつか話しておかねばならないことがあります』
『どうぞ。D.C.al.fine』
今日も惰眠をむさぼろうと二度寝タイムしようとしたが秘匿回線から通信が入ったので起き上がることにした。無視するなんて選択肢は私にはないし、聞きたいことも山ほどある
『まず第一に我々の第2任務が限界を迎えました。先日発生した佐渡侵攻、こちらではイベント・ペルセポネと呼称していますがその影響によって隠蔽が不可能になりました』
なんでも某インフルエンサーがリアルタイム衛星写真を使った企画の配信を行っていたところ佐渡島が動いたことを発見したらしい。まぁ、あんな大規模なもの隠蔽できるわけないか。
『ですが2092年における全面的正常性の破綻については2067年に珪のノルニル、アース神族教団のルーン占術師たちとICSUTの予言研究グループ、理外研デーモニクスの保有するスパコンを使用した悪魔召喚プログラムが予測しています。ノートルダム教理大学の学者たちによれば、『ノストラダムスの予言集』は2090年代の "大規模な社会の変革" に言及していたそうです。』
ーー15年前にこの事態は予測できていたと。まぁじゃなきゃこんな冷静にならねぇか
『ヴェール崩壊後のシナリオについては精神部門及び108評議会で議論が交わされています。恐らくは24時間以内に声明が発表されるでしょう。イベント・ペルセポネに参戦していた唯一のGOC構成員ということでひとまずの安寧が訪れるまではあなたにも多忙な日々を強いることになるでしょう』
『勝手にしろ。どうせ私には断るなんて選択肢ないんだから』
GOCに従うことはタイプグリーンたる私が人権を手に入れる唯一の方法だ。それ以外の方法じゃ、私は良いとこ魔王扱いだ
『次に日本に3人目の戦略級魔法師*1が確認されました。名前は石動惣一、空軍所属の軍人であるというのが表向きの経歴ですが複数の資料を総合した結果、矛盾が見られました。軍に入るまでの経歴は擬装、恐らくは調整体魔法師でしょう』
『What did you say!?自分の言ってることを理解してるのか?お前』
戦略級の調整体なんてどうやって作ったんだよ。どっかのクソが手を貸したのか?
『そして、恐らくあなたの疑問の一つでしょう国防軍の不介入についてですが軍内で一つのプロジェクトが動いていたのが要因であると考えます』
プロジェクト?それが他国から攻められてる佐渡島を見捨てる理由になるのか?
『プロジェクト名は”負号計画”。計画の目的は人工的な魔法戦力の確保、恐らくは十師族に変わる戦力を生み出そうと考えているのでしょう』
そういう計画で負号と言われると負号部隊を連想してしまう。まさかあの旧日本軍の亡霊が関わってるのか?
『その集大成として戦略級魔法の使用が確認されました。場所は大亜連合及び新ソ連領にある軍港です。』
確か港がクレーンの経年劣化?とかで被害被ったからって作業員型ヒューマギアの発注が来てたな、そういえば
『新種の戦略級魔法、性質からブラックホールと呼称していますが』
『ちょっと待てブラックホールってなんだ?』
『そのままの意味です。異常な力場を発生させてブラックホールを発生させています』
『そいつ、俺達レベルでヤバいんじゃねぇのか?普通に世界滅ぼせるだろ』
『大半のリソースをホーキング放射を抑え込むのに使ってますから人間のEVE量から言えばそれは不可能です。現状は
そうまで断言されると悲しいような嬉しいようなよくわからんというのが感想である
『今後の事は追って連絡します。それでは』
「それで、体調は?おかしなところない?」
「大丈夫ですよ、昨日も言ったように健康そのものですから。あ、でも触診したいですか?それなら言ってくれればいつでもお好きなように」
「元気そうで何よりだよ。クローズドラゴンの負担は未知数だかな」
ビルドドライバーはタイプグリーンたる私のために作られ、私が改良したものだ。故に
詳細は省くがタイプブルーがエイドスを改変しているのに対しタイプグリーンは現実そのものを改変しているためだ。だからタイプグリーンは魔法式に存在する時間制限が存在しない*2
世界と喧嘩できる改変力をデフォルトで持っている私のためのアイテムなど魔法師が使えば演算領域がオーバーヒートする。例え十師族レベルであってもだ
だからクローズドラゴンを作った。内部に組み込んだ特殊反応高炉ボルケニックチャージャーでフルボトルの成分を2倍にまで増幅させ単一フルボトルでの変身を可能にすることで演算内容をよりシンプルに、構造知性の技術を応用して作ったAIユニット、トラストブリンガーで演算の一部を肩代わりすることでようやく魔法師でも使えるものになる
ちなみにゼロワン及びプログライズキーの技術は純粋科学で作られたもの故に魔法師どころか一般人でも使える。ビルドドライバーは性質上奇跡論*3由来の技術が含まれているため魔法式の重複を避けるために魔法師はビルドドライバーを使うべきじゃない。愛梨は基本移動魔法しか使わないから身体能力全てを強化できるクローズを使った方が良いのかもしれないが
午後にはGOCから全世界へ向けて公式声明が発表された
一色家には諸々の説明はすでに終わらせているため、家中で大きな混乱はなかったが将輝に呼ばれた。父親から話があるらしい
「君がアルト・クレフ君か。いや、今はエージェント・ウクレレと呼ばせてもらおう」
「すでにGOCからそのあたりは聞かされてますか。それで、何の用ですか?」
「情報共有と行こうじゃないか。君は私よりも連合について知っていて、私は君の知らない情報を提供できる」
winwinnではあるか。GOCの情報は、取捨選択すれば大丈夫だろ。一応一条家とGOC協力関係にあるわけだし
「分かりました。それで、どんな情報をお望みで?」
「連合から国防軍へと佐渡侵攻の件は伝えられていると聞いた。なぜ連帯規模の部隊の配備があそこまで遅れた?」
「あぁ.......軍内で戦略級の調整体魔法師を作る計画が進行していたらしいです。その集大成として大亜と新ソの港にドカンですよ」
「ーー臨時の師族会議内でその話題は出ていた。調整体である可能性は議論されていたがまさか事実とは」
「まぁ世界が滅びるようなものでもないんで大丈夫ですよ。それでは」
翌日、佐渡侵攻戦没者追悼式が行われた。
「ーージョージ」
「僕は大丈夫だよ。将輝」
この世界でも吉祥寺真紅郎の両親は死んだ。研究員ながら義勇兵として前線にも出られるとは優秀な魔法師だったんだろう。
やりきれない
そんな気持ちが心の中でとぐろを巻いている。もっとやりようがあったんじゃないか?愛梨を最初から呼ぶとか、さっさとバルカンを使うとか
そんなタラレバが脳を支配し続ける。
「ねぇ、アルト」
「どうした?ジョージ」
「一つ聞いてもいいかい」
「あぁ、私が答えられることならな」
「なんでGOCは君以外の人員を派遣しなかったんだい?」
「ーー俺たちが戦ってたタイプレッドを除けば、侵攻部隊の装備、人員ともに正常なものだった。だから上は俺一人で十分だと判断した」
冷酷だが仕方のない事だ。私たちは日本のものでも、新ソのものでもない。私たちは
「そうか、そうだよね。将輝、アルト頼みたいことがある。僕を金沢魔法理学研究所に入れてくれ」
「分かった。何とかしてみる」
「OK。お義父様に言ってみる」
これより世界は2年間の安寧に入る。その安寧を三機の銀翼が破るのはまた別のお話
次回より超絶圧縮マンハッタンクライシス編に入ります
SCP_foundationはクリエイティブ・コモンズ表示-継承3.0ライセンス作品です(CC-BY-SA3.0)
Dr Clef's Personnel File
by DrClef
http://scp-wiki.net/drclef-member-page
http://ja.scp-wiki.net/drclef-member-page(翻訳)
Global Occult Coalition Casefiles
by DrClef
http://www.scp-wiki.net/goc-hub-page
http://ja.scp-wiki.net/goc-hub-page
Excerpts from PHYSICS Division Threat Entity Database
by DrClef
http://www.scp-wiki.net/goc-supplemental-threat-entities
http://ja.scp-wiki.net/goc-supplemental-threat-entities
Termination_Order
by DrClef
http://www.scp-wiki.net/termination-order
http://ja.scp-wiki.net/termination-order
An FAQ; Or, What The Hell Is A Hume?
by Jekeled
http://www.scp-wiki.net/and-this-one-explains-humes
http://ja.scp-wiki.net/and-this-one-explains-humes
An Faq Part Two; Or, Your Hume Questions Answered
by Jekeled
http://www.scp-wiki.net/an-faq-part-two-or-your-hume-questions-answered
http://ja.scp-wiki.net/an-faq-part-two-or-your-hume-questions-answered
Transcript of a lecture given by Professor ████████████ on Applied Thaumatology.
by DrClef
http://scp-wiki.wikidot.com/goc-supplemental-thaumatology
http://scp-jp.wikidot.com/goc-supplemental-thaumatology
Transcript of a lecture given by Professor ████████████ on Aetheric Energy and Aspect Radiation.
by DrClef
http://scp-wiki.wikidot.com/goc-supplemental-arad
http://scp-jp.wikidot.com/goc-supplemental-arad
Transcript of a lecture given by Professor ████████████ on Thaumatic Workings.
by DrClef
http://scp-wiki.wikidot.com/goc-supplemental-thaumworkings
http://scp-jp.wikidot.com/goc-supplemental-thaumworkings
Transcript of a lecture given by Professor ████████████: Conclusion, Q and A.
by DrClef
http://scp-wiki.wikidot.com/goc-supplemental-qandq
http://scp-jp.wikidot.com/goc-supplemental-qandq
Magic Orientation
by thedeadlymoose
http://scp-wiki.wikidot.com/another-goddamn-magic-system
http://scp-jp.wikidot.com/another-goddamn-magic-system
エージェント・ウクレレ
by Nanimono Demonai
http://scp-jp.wikidot.com/agent-ukelele
PHYSICS部門フィールドマニュアル2からの抜粋:装備と器材
by krystalos
http://scp-jp.wikidot.com/goc-supplemental-equipment
"負号部隊"のアーカイブ
by kidonoi
http://scp-jp.wikidot.com/archives-f
アシッドの提言
by FattyAcid
http://scp-jp.wikidot.com/fattyacid-s-proposa