私が社長でタイプ・グリーン   作:兼永一真

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せ~かい終わった。未曾有のテ~ロのその下で


合衆国の一番長い日・前編

9月11日、9時3分。ハイジャックされた3機の大陸横断路線の旅客機がトレードセンターに衝突したらしい。

5分以内に約4.5㎢の領域が異常次元に崩落、現実性が急激に下がり連鎖的に周辺空間への侵食が始まった。

かくして二年間の安寧は3機の銀翼によって破られた。

 

「どうすんだよ」

 

せっかくあいつらとブルックリンのうまい店行こうって約束してたのにこんなのってないだろ

 

「アルト様.......」

「分かってるよイズ。嘆いてたって始まんない」

 

あいつらはすでに避難させた。遺書はすでに書いてる。あとは後悔のないようやるだけだ

 

「まずは情報だな。イズ、D.C.al.fineのとこに案内しろ」

「承知しました」

 

 

 

「は?」

al.fineからわけが分かんねぇことを聞かされた。

「ここにピチカートを?」

 

「最終手段が必要とされている場合、それを渋っていられるほど我々には時間がないのですよ」

 

実際問題、このテロの起こしたのが”緋色の王の子ら”であろうが衆人環視の中で世界最大の人口密集地を焼き払う行為は、ただちに全世界的な正常性維持への直接的疑念に発展するだろう。108評議会は一枚岩じゃねぇ。承認までには恐らく2日はかかる。たった2日、されど2日

 

「それでも多少は待っていただけるんだろ?淑女のお情けで」

 

「そんなに情緒的ならどんなによかったでしょうね。ノルニルに言わせるまでもなく、これは必然。ある意味予定調和ですから。いつかは来るべき反動、むしろ想定の中ではよい方です」

 

「東海岸に永遠に人が住めなくなってもか?」

 

「私たちはGlobal Occult Coalition(世界の連合)なのですよ、エージェント。合衆国のではなく。少なくとも地球も、人類も滅ばない。国の1つや2つに代えても宜しい」

 

「嫌になるほど清々しいじゃないか。ま、賭けてもいが私たちはうまくやるさ」

 

「では私は胴元です。多少の目溢しは期待しても良いですが、それ以上のことは自分でおやりなさい。穴蔵の中にまで届く目は用意できませんから。」

 

「白と橙の一握りぐらいは期待しても?」

 

「はぁ、早く行きなさい。エージェント・ウクレレ」

 

 

 

今絶賛会議中の場にドアを蹴破って侵入する。

 

「今どういう状況だ」

 

「この場の最高位役職者の私が報道管制官に任命されて、4機目の飛行機がペンタゴンに突っ込んで、3000体の悪魔実態がエンパイア・ステート・ビルにせまってるらしい」

 

ジャックが!?予想以上にヤバい状況らしい。”緋色の王の子ら”ならあれは緋色の王を呼ぶための儀式だと思ったが違うのか?

 

「エージェント・ウクレレ、これは記録回線です。ドアを蹴破っただけのアイデアを出してほしいものですね」

 

「臨時管理官、仕事してるふりをしたいならそのまましゃべっていい。本当に役に立ちたいならとっとと黙れ、クソ最悪なニュースが聞けるぞ」

 

「これ以上最悪の状況があるのか?アルト」

 

「新鮮取れたて、お偉方の口をこじ開けて手に入れた情報だ。脳みそのゆで上がったカスどもはピチカートを計画しているらしい」

 

「ちょっと待ってください。ピチカートってあのピチカートですか?水爆とかミサイルとか原潜に関連付けられたあの、つまはじきのピチカート?」

 

「俺の耳が昨日のコニャックとラムでイカレてなきゃな」

 

「そういや今日聞いたんだがアルト、君は未成年らしいな」

「今はもっと優先すべき話があるだろ。ジャック」

 

「そうだ、我々は数十万人を飲み込んだ思わしき異界の徒に対して有効打を見出さねばならない。哀れなる非典の民といえど安全を確保せねば」

 

「物理部門は排撃班を島外から動員してる。すぐさまピチカートってのは避けたい」

「こっちとしては確証が欲しい。さっきセントラルパークの動物たちは大丈夫って言ってきたばっかなんだ」

 

「事務総長がどれだけ意見のまとめに時間を割くかですね。少なくとも明日までには」

 

「あー、1つ策があるが聞く気はあるか」

 

「真面目ならばいつでも」

「誠実であるのなら、意志あるものよ」

 

「どこぞのクソッタレのおかげでこの街に特大のクソが擦り付けられたがそれに対するプロフェッショナルを私は知ってる。むず痒くなるような祈りの言葉を暗記してワインを頭にふりかけて、それでもって、イカしたローブの下にハンマーを隠してる、分かるな。」

 

「イニシアチブの事なら交渉が進んでいます」

 

「それを待ってる間抜けぶりを言ってんだ。次元崩落は毎時100メートルで広がってる、それが広がり続けるのを待つのか?それとも丸ごと焼いちまうか?」

 

「個人的には綺麗に掃除したいところだね」

 

「今は俺がしゃべってんだぞ?とにかく今は俺たちに出来る範囲で武器をかき集めてバカの脳天をかち割りに行くしかねぇ」

 

「後からどうこう言うのは監督官に任せましょう。科学者たちが到着するまでの時間稼ぎが急務です。相互の連絡を密にして、悪魔どもを島に閉じ込める必要がある」

 

「境界線イニシアチブへはこっちからも呼びかけを行おう。今は時間が惜しい」

 

 

 

「何でいんだよ」

 

会議室から出てイズと合流したタイミングで何故か居た愛梨たちと出会った。テロが起こった段階でマンハッタンから出ろって言ったのになぜ?

 

「あなただけに負担をかけるわけにはいきませんから」

「水臭いぞ。クレッフィー」

「今度は戦わせてくれ、アルト」

 

「・・・イズ、」

 

「この状況では戦力となる者は受け入れるべきです。信頼できる者なら特に」

 

「そりゃそうか。分かった、俺と同じ部隊に配属されるように掛け合ってみる。ただし、遺書は書いとけよ。お前ら死んだら迷惑する人間がそこそこいるんだから」

 

 

 

9月12日。

イニシアチブとの協力が締結されたらしい。悪魔どもを相手にするってなったら奴らはプロフェッショナルだ。突入作戦をするにしたって放棄した南側以外の市民は逃がさなきゃなんないからな、これはデカい

 

今は国際連合本部ビルの前で州兵と共にバリケードを構築している。

「なぁ、クレフ。あんな装備で大丈夫なのか?」

 

イニシアチブ戦闘員の多くはモーニングスターやパイク、サーベルで武装し、胸に十字架のアミュレットをかけている。複数の戦闘員は小版の聖書を武器に収納し、あるいは括り付けている

 

「まぁ確かに銃の有効性は否定しないけどさ、悪魔との戦闘においては板金鎧と十字架、そして聖句はライフル銃に勝る威力を発揮する」

 

「そんなもんなのか」

「そんなもんだ」

 

「アルト様、アポーテーション用のポータルが起動可能になったようです」

 

「ジョージ!もう行けるってさ」

 

「分かった。じゃあ、行ってくる」

 

「行ってら~」

「活躍してこいよ。ジョージ」

 

ジョージが呼ばれたのはスタテン島にあるサイト310。そこであの異空間に対する共同研究が行われるそうだ。ジョージは加重系のカーディナルコードが空間工学に広く応用できることからそれを買われて呼ばれた。

他にはプロメテウス社*1の次世代移動能力研究委員会、ディア大学*2の異常構造数理学研究室、赤斑蛇の手のホヤ女史*3、理外研の超次元力学研究グループ、ICSUT*4マサチューセッツキャンパス教授会なんかが呼ばれてるらしい

 

「アルト様、エンパイア・ステート・ビルが陥落し、前線はパーク街を保持しつつセントラルパークまで後退しました。」

 

「思ったより早いな。シャイニングの調整は?」

 

「すでに完了しています。」

 

「OK。んじゃ、いざってときには手筈通りに」

「承知しました」

 

翌、9月13日午前10時。次元崩落の中核であると推測される神格実体(UE19-1111に指定)の将来的な顕現に伴う終末論的事象の危険が明確化されたことを受け、世界オカルト連合は正式にマンハッタン島全域に対するピチカート手順*5の発令を通告した。世界オカルト連合事務総長D.C.al Fineは午前10時に書簡を発表し、避難民に対する人道的配慮から48時間の猶予が設けられること、9月15日の午前10時までに神格の排除が完了しなかった場合、終結トリアージが執行されることを宣言した。

 

突入作戦はこうだ。違法に展開された一時的なポータルを拡張して初期人員を送り込み、内部にあるサイト28を使用して橋頭保を確立する。

カック灰*6は携行型及び車載型スクラントン-アンカーの持ち込み、物理的なカック灰への接触または吸入を継続することはアキヴァ被曝による重度の健康被害を招く恐れがあるため、防塵マスクが別途配備された。

補給線及び撤退経路は新規ポータルの開裂で対策する。ジョージ達による共同研究の結果、内部と外部から同時に対応する座標への空間工学的操作を加えることで、短時間であれば比較的大型のポータルを作成可能であるらしい。

内部に居る敵対存在達は先制攻撃と大規模火力でどうにかする。これに関しては超重交戦殻(Ultra-Heavy Engagement Chassis)オレンジスーツの使用が許可された

神格実体に関しては有効な対策が見いだせていない。考え付いたのは1個あるが不確定すぎるし、危険すぎる

 

突入作戦の準備が行われる一方でSCP-2911-JP指定領域の拡大が加速し、セントラルパークを失陥した防衛部隊はコロンビア大学を拠点に抵抗を開始した。境界線イニシアチブはハーレム区の教会を要塞化し、避難民の受け入れが行われた。日没までにマンハッタン島の75%が侵食を受け、ハドソン川の対岸にも被害は拡大した。

 

9月14日、午前0時。作戦開始

*1
パラサイエンス由来の商品を開発・販売している企業。本作ではその技術を生かして高性能のCAD作成していたりする

*2
http://scp-jp.wikidot.com/about-deer

*3
http://scp-jp.wikidot.com/gumiho

*4
International Center for the Study of Unified Thaumatology、国際統一奇跡論研究センター。世界オカルト連合の著名な教育部門

*5
http://scp-jp.wikidot.com/goc-supplemental-basic-guide

これのチャプター6を参照

*6
神格実体から放たれるエネルギー、アキヴァ放射で死んだ生物から生成される灰




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Dr Clef's Personnel File
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原版:http://www.scp-wiki.net/dr-bright-s-personnel-file
和訳:http://ja.scp-wiki.net/dr-bright-s-personnel-file

エージェント・ウクレレ
by Nanimono Demonai
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PHYSICS部門フィールドマニュアル2からの抜粋:装備と器材
by krystalos
http://scp-jp.wikidot.com/goc-supplemental-equipment

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by SOYA-001
http://scp-jp.wikidot.com/groups-of-interest#scarlet-king

狂騒序曲
by islandsmaster
http://scp-jp.wikidot.com/september-eleven-prequel

マンハッタン次元崩落テロ事件 - Wikipedia
by Tark_IOL
http://scp-jp.wikidot.com/wikipedia-september-11-attacks-1998-ver

マンハッタン・クライシス ハブ
by O-92_Mallet
http://scp-jp.wikidot.com/1998-911-hub

SCP-2911-JP
by islandsmaster
http://scp-jp.wikidot.com/scp-2911-jp

ある自殺者のメモ
by Kiryu
scp-jp.wikidot.com/a-suicide-note

SCP-3216
by Hasuma_S
http://scp-jp.wikidot.com/scp-3216
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