私が社長でタイプ・グリーン   作:兼永一真

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合衆国の一番長い日・後編

フェイズ1: 先遣隊によるバックドア・ソーホー経由での進入と橋頭堡の確立、フェイズ2: 補給線の確保、ならびに増援部隊の導入は完了した。

だが、度重なる作戦の遅延により、フェイズ3: UE-1111の撃破または放逐、への移行は15日未明となった。

 

9月15日、午前4時15分。トレードセンター基部へと到達した

 

トレードセンターまで800m、だが前方400m地点にバリケードが構築されている。

「敵火力増大中。なんだありゃ、軽機関銃の火力じゃねぇ。奴ら、何を持ち込んでやがんだ」

 

突入作戦の誤算、それは緋色の王の子らを軽視していたことである。現在拡大中とはいえ、もとは壊滅状態だった組織、そこまで脅威じゃないと考えられていた。だが、現実はこうだ

 

プレス!

オーソライズ!

 

プログライズ!

Giant waking! ブレイキングマンモス!

Larger than life to crush like a machine.

 

イズがブレイキングマンモスを使用し、大型パワードスーツの防御力を生かし、集中射撃を意に介さず前進する。

 

「連中、反魔術の保護を持ってる。爆裂が通らない」

 

「火力支援がないと突破は困難ですよ。」

 

「迫撃砲を積んでた先発隊はトリニティ教会で停止中だ。緋色の王の子らの兵士による継続的な襲撃を受けてるらしい」

 

「どこから来たかなんて聞くだけ無駄だな。奴ら、ゲリラ戦がお好きらしい」

 

『目標まで180m、不明な実体が出現!あれは、』

 

3本の歩行脚と大型の主砲を備えた複数の機械実体がバリケードを破壊して前進し、ブレイキングマンモスを砲撃する。カーキ色の装甲には旭日章がペイントされている

 

「頭が痛くなってきたな。なんだあのおもちゃ」

 

『どこかしらの歩行戦車です。緋色の王の子らは拡大に際して様々な要注意団体のはぐれ者を吸収していますから、恐らく碌な運用実績のないハリボテを引っ張り出してきただけでしょう』

 

「気やすくいってくれますね。イズ」

「いや、そうでもないぞ」

 

歩行戦車が突如として爆散する。将輝が爆裂を発動し、燃料を気化して爆散、破壊したのだ

 

「あいつ、まともな反魔術の保護がついてない。そうなれば爆裂の餌食だ」

 

「ナイスだ将暉。ここは悪魔が少ないってんなら変わった方が良いな」

タカ!ガトリング!

ベストマッチ!Are you ready?

 

「ビルドアップ」

 

天空の暴れん坊!ホークガトリング!

イエーイ!

 

対悪魔用のクジラ消防車から対多の制圧能力に長けたホークガトリングにチェンジし、ホークガトリンガーとドリルクラッシャー・ガンモードの射撃で掃討戦に移行する。

 

「なら、私も」

Wake up!CROSS-Z GIRAFFE!

Are you ready?

 

「クローズアップ!」

 

Wake up burning!Get CROSS-Z GIRAFFE!

イエーイ!

 

右腕に装備されたキリンの頭を模した槍、CZキリネックブリーカーを伸縮させ敵を薙ぎ払っていく

 

「ねぇ、今撃ち倒した奴がカニの親戚みたいに見えるんだけど。なんか全身が甲羅みたいになっててショットガンの弾を弾き飛ばした」

 

『恐らくはヘモマンシー*1由来の甲殻を備えた改造兵士です。第三次中にロシアが開発した徒花の一つですね。強固な骨格以外はさして脅威にはならないかと』

 

「簡単に言ってくれる。ここはサーカス会場か? 数十年は時代遅れな馬鹿どもが揃いも揃って銃を握り込んでるやがる」

 

「ワシントン通りを確保した。ツインタワー直下まであと1ブロック、ここを押し切ればその後はタワーになだれ込むだけだ」

 

『了解しました。ですがブレイキングマンモス(これ)はタワー付近では邪魔になります。通常のゼロワンへと戻ります』

 

「そうしてた方が良い。とにかく頭上で寝てるあの神格をなんとかーーこれは?」

 

頭上からカック灰と共に5㎝大の塊が落下してくる。

 

「雹か、なにか?」

 

「あれは.......砕けたカップケーキ!」

 

『このまま突撃します。急いでトレードセンターへ』

 

あちら側も落下物に戸惑ってるらしい。難を転じて福となすだ、このまま滑り込む!

 

イズが1階ロビー壁面を破壊し、私たちは転がり込む

 

「すぐに付着物を潰せ。部隊の数は?」

「中隊の三割ってところだ。残りはーー」

 

小規模な爆発がいくつか発生した後、一斉にカップケーキが起爆する。爆発音と悲鳴が連続して聞え、ガラスの割れる音が複数響く

 

「ーー部隊の残りはあそこだね。生存者不明。機甲戦力がアスファルトごと掘り返されて、状況の掌握にしばらくかかるだろうね」

 

「というか、なんでカップケーキが爆発するのよ」

 

「恐らくは悪夢姫と呼ばれている現実歪曲者でしょう。彼女は対物作用に特化した能力者で自在な作用を引き起こすカップケーキを生成できます」

 

「あのカップケーキは敵味方の区別なく爆殺してるからな。敵の頭数が少ないうちにロビーを確保して、焼け跡から本隊を呼び込むぞ」

 

「この開けた場所で100人ばかりで粘れって?クレッフィー、無茶言うぜ」

 

ロビーのエレベーターシャフトが爆破され、30名程度の戦闘員がロビーに侵入している。戦闘員の顔と背格好は完全に均一で、一般的なシャツやジーンズにハーケンクロイツが縫い付けられている。戦闘員の顔面は蒼白で肉が削げ落ちており、一見して死体のように見える

 

「そうら、お客さんだぞ」

「背水の陣ね。なにせ後ろは火の海よ」

 

「行くぞ!」

ラビット!タンク!

ベストマッチ!Are you ready?

 

「ビルドアップ」

 

鋼のムーンサルト!ラビットタンク!

イエーイ!

 

ジャンプ!

オーソライズ!

 

プログライズ!

飛び上がライズ!ライジングホッパー!

A jump to the sky turns to a rider kick.

 

ドリルクラッシャーをブレードモードへ変形させ、戦闘を開始する。

 

 

 

 

 

将暉が両腕に機関砲を装備した機械実体を爆裂で破壊し、14階の制圧が完了する。そのタイミングで新たな次元異常が展開され、隔壁のように作用し先を見通せない。

 

一応、生き残った別部隊が2の方*2を制圧してるらしい。

 

「ここからは高速エレベーターで78階のスカイロビーまで一直線に到達できます。そこから先は徒歩ですが」

 

「人員はともかく問題は弾薬だ。最上階どころかあと2~3階制圧するだけで底をつくぞ」

 

「聖水の持ち込みがあだになりましたね。まさかここまで悪魔実体がいないなんて」

 

ヒューム値が極端に低いここじゃ現実改変には予期せぬ伝播のリスクがある。いざってとき以外は取っておくべきだな

 

「確認完了。エレベーターシャフトは異常なし、まともに動くことを祈ろう」

 

「この先待ち伏せされてるだろうがな」

 

「エバーウッド?ヘリぐらいは持ち込んでるよな?これからウスノロどもがわんさかいる場所に突撃するんだ。タワー外からの支援がなきゃ話になんねぇぞ」

 

2の方の指揮官に通信を繋ぐ

 

『武装ヘリコプターとフライトユニットなら運び込まれていますが、悪夢姫を抑える必要があります。彼女が手を加えた雲が60階より上を覆っていますから、カップケーキ爆撃は依然として最大の脅威です』

 

「そいつは循環論法だろ」

 

「誤用に聞こえるが」

 

「いいか、シャフトを上昇途中で爆破されたら全てが終わりだ、何としても私たちは最上階に辿り着かなきゃなんねぇ。だからっつって外からの接近は不可能だ、その上クソ爆弾魔がタワー全体に菓子爆弾を撒き散らした。タワー全体がTNTの塊なんだぞ、奴の気を引いて数十秒ばかり俺たちの命を守る盾になってもらわなきゃならん、分かるか?」

 

『理解していますが、その役を武装ヘリ部隊に担わせるのは困難です。彼らの仮想敵は脱走した生物オブジェクトであって、クラスIV現実改変者の終了におけるフィールド支援訓練など──』

 

「そういうことなら我々にもできることがあるな」

 

そう言ったのは一緒に転がり込んできた排撃班6350”Hound Dog”の隊長だ。よほどの策があるらしい

 

「何だ?」

 

「クライミング訓練なら、我が隊は成績が良くてね。」

 

 

 

「作戦は理解したな。イズはタワー内の指揮をまかせた、じゃあ行くぞ!」

 

タカ!ガトリング!

ベストマッチ!Are you ready?

 

「変身」

 

天空の暴れん坊!ホークガトリング!

イエーイ!

 

 

ホワイト!

 

レイドライズ!

コンバッテイングレオパルド!

White suit is combat garment.

 

排撃班6350"Hound Dog"の隊長以下、ホワイト・スーツを着用した隊員四名はトレードセンター壁面を登攀、俺と将輝は壁から1m以上離れないように飛行する。

 

『現在73階、目標までもうちょいだ』

 

『陽動作戦は順調に進行、部隊は49階で押し合っています。現状、アルト様たちの不在には気付かれていないはずです』

 

ガイドビーコンを埋め込みながら5分間、上がり続ける。

 

「76階、窓の向こうに戦闘員四名。横たわって動いてないが連中の自爆兵かもしれない」

 

『私たちは突入する。とっとと増援を送ってくれよ』

 

『承知しました。幸運を』

 

『あぁ、そっちにもな』

 

無線封鎖が行われ、私たちは78階に到達する。第2スカイロビーには陣地が構築され、エレベーターホールに複数の機関銃と擲弾砲が設置されている。緋色の王の子らの戦闘員が多数確認される。悪夢姫の姿は発見できない。4人は所定の位置につく。VERITASスキャンにより戦闘員の配置が特定される。私は信号弾を打ち上げる

 

「全セーフティー解除!突入、突入!」

 

ラウンジの強化ガラスを破壊し、私たち6人はスカイロビーに突入する。最初の掃射でほとんどの戦闘員が撃破される。ハウンド2はエレベーターホールを確保し、複数のバリケードを破壊する

 

「8時方向、対戦車火力、致死性。6時方向、フラット変異確認、致死性。」

 

「将輝、背後を注意しろ。」

 

『ハウンド2。エレベーターホール確保、安全確認中──よし、シャフトに爆発物はない。ピクニック籠は安全だ。すぐに第一便を出せ』

 

『了解しました。積み込み開始、そちらまで200秒です』

 

VERITASが警報を発するが、ハウンド3は反応が遅れ背後で起爆したカップケーキの反動で西側の土産物屋に突っ込む

 

「来やがったか、バケモノが。こっちも全力だ」

缶型アイテム、ラビットタンクスパークリングを振って内部の成分を活性化させ、ビルドドライバーに装填する。

 

ラビットタンクスパークリング!

Are you ready?

 

「ビルドアップ」

 

シュワっと弾ける!ラビットタンク!スパークリング!

イェイ!イエーイ!

 

「ハウンド2催涙弾、ハウンド4は聴覚最大、呼吸音を聞き逃すな」

 

複数の爆発が発生し、ラウンジの20%程度が崩落する。天井の構造材が破断して79階の床が落下し、エレベーターホールの壁面に穴が開く。崩壊した天井と床面から、自爆兵が複数出現する

 

「ハウンド4。センサーをやられた、聴音不可」

 

「バックラッシュを確認した。アポートだ!奴は空間跳躍をしてる」

 

ハウンド2がそう叫ぶ。同時に催涙弾で弱った自爆兵を将暉が爆裂で処理する

 

「センサー系は生きてるな?4、全員のVERITASを同期してバックラッシュの兆候を確認しろ。3、探知系のセンターに入れ。ガスの効果が切れる前に燻り出して片付ける」

 

ハウンド1がそう指示する。

 

「ハウンド2大丈夫か?」

 

「あぁこの程度問題な」

前触れなくハウンド2の足元の床が爆発し、ハウンド2は吹き飛ばされてエレベーターシャフト外壁に激突する

 

「指向性爆発、転移──バックラッシュ捉えた、下の階! 発生源は奴の右手だ!」

ハウンド3の指示で全員同時に階下への掃射を開始する。

 

床を貫通した弾丸がバックラッシュ発生源を正確に破壊し、爆発によってスカイロビー西側の広範囲の床が破壊され崩落する。

崩落地点の中心部にはうずくまる人影が確認できる

 

「即時射撃!」

 

巨大なカップケーキが人影の周囲に出現し、弾を完全に弾く

 

「防弾使用?どういう密度と硬度だよ」

「色相変化を確認。攻撃的なーー作り変えてる、離れろ!」

 

カップケーキが変異し、針状構造に形成され、爆発と共に射出される

 

「甘ぇんだよ」

 

大粒の泡インパクトバブルを生成し、破裂時の衝撃で針を撃ち返す

 

「上だ!」

 

咄嗟に小粒の泡ラピッドバブルを発生、破裂させ瞬時に悪夢姫の背後に回りドリルクラッシャーで攻撃する。

が、生成されたカップケーキに阻まれる

 

「まずは一人。右腕の礼、受け取ってくれる?」

「こいつは物質変異型のグリーンだ。現実性に直接干渉できない以上、肉体は人間と変わらん。火力で畳み掛けて殺せ。」

 

全員の掃射が命中する。これでおわr.......

「こいつはダミーだ。防御態勢をとれ!」

 

ハウンド4が爆発に巻き込まれてタワーから落下し、ハウンド2、ハウンド3のバイタルが途切れる

 

「これで終わりだ」

そうして悪夢姫は再度カップケーキを生成しようとする。が、そこで違和感に気づく

 

「血の、雨?」

「よう、バケモノ」

 

「私は人間だ、貴様らみたいな役立たずとは違う」

「そうかい。ま、私も同類なんだけどね」

 

血の雨が凝固し、悪夢姫を拘束する。

 

「そう、それであなたはなんで犬なんかに」

 

「それが俺の知る限り人でいられる唯一の方法だったからだ」

 

「そう、そして人として死ぬと愚かなことね。」

「いいや、愚かなのはお前だし死ぬのもお前だ。チェックメイトだ、レディ?」

 

凝固した血が爆発し、悪夢姫の体に重大なダメージが発生する。

 

「な、にを」

 

奴は物質変異型のグリーンだ。故に現実性に直接干渉できず、ヒュームフィールドの展開もできない。内部ヒュームの関係上、直接干渉こそ防げてもそれ以外の魔法は意識しない限り防げねぇ

 

ready go!

スパークリングフィニッシュ!

 

空間を自在に歪める泡「ディメンションバブル」によって出現したワームホールに悪夢姫を拘束し、泡を纏った飛び蹴りで粉砕する。

 

「ナイスだ、将輝」

この作戦の肝は将輝の存在をいかにして気取られないか。奴との戦闘が始まった瞬間に将輝に意識が向かないように立ち回り続けた。

他へと注意を逸らし、意識外から致死性の攻撃を一秒以内に叩き込む。それがグリーンの終了方法だ。

 

「来たか」

エレベーターからイズたちが到着する。それと同時にハウンド1、2が起き上がった。

 

 

 

「これで最上階まで行けるわけだがどうする?」

 

「策がある。ただ、これは私一人で行わなくちゃなんない」

 

臆病風に吹かれたわけでもないだろう。ここまで来てそんなことを思ってるやつなど一人もいない。結局生きるためには勝たなきゃなんねぇからな。ただ、奴に関しちゃまともな対策がない。だから、考える時間を作るために私が一人で向かった

 

「ピチカート発動までもうちょいか」

 

ここはもう私だけ。なら、禁断のアイテムを使用する。

ハザードオン!

 

ラビット!タンク!

スーパーベストマッチ!

 

ドンテンカーン!ドンテンカーン!ガタガタゴットンズッタンズタン!タガタゴットンズッタンズタン!

Are you ready?

 

「ビルドアップ」

 

アンコントロールスイッチ!ブラックハザード!

ヤベーイ!

 

真っ黒な装甲に目だけに色が灯る。

 

最上階のレストランでは緋色の王の子らの儀式技術者がせわしなく動いている。

 

「さぁ!ロックンロールの時間だ!」

 

数十秒で技術者を殲滅する。だが、儀式は止まらない。

 

「コウモリ男?」

 

そうとしか表現できない人型実体がいたが煙とともに消えた。なんかの悪魔実体か?まぁいい

直後、謎の霊的実体が現れた。

 

「悪魔でも何でもいい、力を貸せ。対価?俺に払えるとでも思うのか?ブライトに言え」

 

 

 

「やっぱあれか」

 

トラ!ユーフォー!

スーパーベストマッチ!

 

ドンテンカーン!ドンテンカーン!ガタガタゴットンズッタンズタン!タガタゴットンズッタンズタン!

Are you ready?

 

「ビルドアップ」

 

アンコントロールスイッチ!ブラックハザード!

ヤベーイ!

 

ピンク色のUFOを展開して屋上の、繭の上空に陣取る。

 

マックスハザードオン!

 

ドンテンカーン!ドンテンカーン!ガタガタゴットンズッタンズタン!タガタゴットンズッタンズタン!

Ready Go!

 

オーバーフロー!

ヤベーイ!

 

禁断のアイテム、ハザードスイッチは強化剤を使用することでスパークリングを超える力を私に与える。ただ、それが脳にまで行くと私は意識を失い戦闘マシーンへと早変わりだ。だが、今はこれでいい

 

Ready Go!

ハザードフィニッシュ!

 

ハザードトリガー+その状態での必殺技発動+現実歪曲。更にさっきの悪魔からバフを受け取り、機能を強化。

 

異空間への転送ゲートと縮小光線、自動回収装置を使用し、トレードセンター最上階ごと神格実体をこの世界から引きはがす!

*1
Hemomancy、操血術。肉体や血液を変化させる妖術の一種で、サーキシズムに関連する儀式で頻繁にみられる。

*2
9.11の後、跡地には現在クレフ達がいる1ワールドトレードセンターを含めて6つの超高層ビルと記念碑が再建されている。




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