ULTRAMAN GINGA with GOD EATER 作:???second
ザイシーモンスは一人残さず殺してやらんとする勢いのまま、周囲の建物や機器を破壊して火の手を上げていく。
ユウは、ザイシーモンスから数百メートルほど離れた位置のプレハブ小屋に隠れ、外の様子を伺う。
「なるほど…そういうことか。だとするとマズいかもしれない」
暴れ狂うザイシーモンスを見て、タロウが危機感を募らせた。
「どういうこと?」
「あの合成神獣と、先ほどの合成神獣とあの合成神獣…おそらく親子だったんだ」
「アラガミに、親子だって?」
自分の問いにそう答えたタロウに、ユウは首を傾げた。そんなことありえない。アラガミはオラクル細胞が集まることで一つの生命体の形を取る。その生態上親子なんて成り立たない。
「正確には、合成神獣のベースとなった怪獣たちがそうなのだ。あの合成神獣の元となった怪獣はシーモンス。夫に当たるシーゴラスと共に東京に大洪水を起こそうとした種で、当時の防衛チームとジャック兄さんが海へ追い払った。その後、子供を出産したのだろう。その子供こそが、さっきシュンが倒した合成神獣の元怪獣『ミニモンス』だったんだ。
シオのような人型のアラガミも現れたのだ。ましてや合成神獣はアラガミでもあるが、オラクル細胞を得た怪獣そのもの…心を持つことがあっても不思議ではあるまい。あのベヒーモスもそうだったしな」
タロウが推察を述べていくうちに、ユウの脳裏に、ボガールとディアウス•ピターの合成神獣だったベヒーモスの殺戮を楽しむ様や、先ほどのザイゴート堕天種の合成神獣…ザイミニモンスの死体と、それを見下ろして涙を流すザイシーモンスが過ぎる。
「じゃあ、シュンがさっきの合成神獣を倒したから、仇を討つために?」
「おそらくそうだろう。怪獣は人間と違い憎しみを抑制できる種はごく稀だ。
気をつけろ、ユウ。奴は子供を殺されたのだ。今にもまた津波を引き起こしてくるぞ。それもさっきの比にはならないかもしれない」
「さっき以上の津波…!」
タロウの見解はあくまで推察に過ぎないが、ウルトラマンとして培った確かな知識からによるものだ。恐らくその悪い予感は、大津波と言う形で今にも現実のものとなる。
そして今、自分たちがいるこの島は、終末捕食に備えて建設されたエイジス島。もし飲み込まれでもしたら、エイジス島のシェルターは水圧で破壊されてしまうだろう。いくらアラガミ素材で作り上げたとはいえ、中心部は内部が見えなくなるまで建設は進み切っているとはいえ、まだ建設段階なのだ。ドームとしての形は、津波に押しつぶされることで崩れ落ちてしまう。
エイジス島が破壊されてしまえば、人類はいずれ起こるかもしれない地球のリセットの巻き添えとなり、実質地球の再生と引き換えに滅亡する。
なんとしても島を守らなければ。たとえ子供の敵討ちという、大いに理解できる動機で暴れているのだとしても、あの合成神獣を止めないと、自分たち人間にとって世界の破滅に等しい。
ザイシーモンスは、ユウたちの隠れているプレハブ小屋とは正反対の方角に侵攻し、その真相方向に添ってひたすら暴れ続けていた。
ユウはプレハブ小屋から外に出て、ザイシーモンスに挑むことにした。
ザイシーモンスがその巨体のまま暴れ回り、エイジスのドーム前は酷い有様になりつつあった。とにかく目についた障害物を壊し、怪獣だった頃に産み落とした我が子を殺した仇の人間を一人残らず殺すべく、怒りのままに猛威を振るう。
「ドームには近づけないで!ソーマとシュンは奴の足を狙って動きを止めて!私たち遠距離組は炎属性バレットで射撃!」
サクヤが、皆にエイジスを守るよう強く言い放った。
一度散った各々は、ザイシーモンスから一定の距離を保ったところで攻勢に転じる。
サクヤ、コウタ、カレル、ジーナが射撃を浴びせていき、ソーマとシュンがザイシーモンスの足を狙って斬撃や捕食攻撃を加えていく。
ザイシーモンスは雨霰の如く自分を襲うバレットの雨に痛めつけられていく。一発一発が致命傷に至るほどのものではないとは言え、皮膚を突き破る痛みが全身を襲っているため、かなり痛手を被っていた。射撃を浴びせているメンバーへ攻撃を加えようとするも、
今度は足元でソーマとシュンが剣を振るって足に傷を負わせていく。
ザイシーモンスはやや追い詰められ、焦りを抱き、その分だけ子供の仇でもある目の前の小さな生き物たちに怒りを燃えたぎらせていくと、頭に生えた一本角をバチバチと光らせる。
「なんだ?」
元から細目だった目をさらに細めるカレル。すると、エイジスに向けて再び強い風が吹き荒れ始め、津波も巻き起こり始めた。
「津波が来る!高台へ!」
サクヤが察した時、最初の波が風に押し流されてエイジスを飲み込み始める。続いて第二波もすかさず雪崩のように押し寄せる。
ゴッドイーターたちは大型クレーンやドームの外壁に設置された通路、とにかく近くにある高台へ登り始める。
…が、ここでシュンは皆と違う行動をとり始めた。
「くっそが、めんどくせぇ!」
彼は痺れを切らすように、津波を避けて近くのコンテナまで登った。ここまでは良かったが、彼はコンテナやクレーンに飛び移り続けた果てに、ザイシーモンスの背中に降り立り、神機で背中を切り始めた。
「何をやってるのシュン!無謀なことはやめなさい!」
「背中さえとっちまえば、こっちのもんだろ!ここでなら津波にも巻き込まれねぇ!神機にこいつのコアさえ食わせりゃ俺の勝ちだ!」
サクヤが通信越しにシュンの独断専行を咎めるが、シュンは聞く耳を持たない。
(あのバカ…また実力の差もわからずに、頭に血を上らせやがったか)
シュンの独断専行は今に始まった事ではない。実際独断で動いた結果、アラガミに痛手を被って任務失敗、撤退したのは数えるのも面倒だ。今回もいつもの彼の悪い癖が出たのだろう。
ちなみにカレルも、大物を仕留められそうだと見た時は独断専行することも多い。その点はシュンのことを言えないが、シュンと違って力量を測れないほど冷静さを欠いてはない。引くべき時はちゃんと見極めることができる。
「シュンさん危険です!早く離れてください!」
「うるせぇんだよ無能の新型!偉そうに命令すんな!」
アリサも注意し後退を促すも、逆にアリサを罵倒する。インカム越しに怒鳴られたアリサは目くじらを立てたが、直後に萎縮する。リンドウの一件を引き合いに出されたのだ。こうされてはもうアリサの口からは何も言えない。
ザイシーモンスは当然シュンを振り落とそうと身を捩る。地震のような揺れが、シュンを襲う。
「この、暴れんな!大人しくやられろ!」
そんな聞き入れられるわけもない要求をザイシーモンスが呑むわけもなく、ザイシーモンスは再び角を光らせると、さっきよりもさらに強い突風がエイジス全域を襲った。その勢いは台風そのものであった。
「きゃあああ!」「うわぁ!」
必死に高台の通路の手すりに捕まっているアリサやコウタの悲鳴が、風の中に吸い込まれる。
他の面々も、何かに捕まって吹き飛ばされないようにするのがやっとであった。援護もままならない。
サクヤはそんな中、現場指揮官としての矜持でなんとか目を開く。
そんな彼女に、あるものが目に入る。
(…あれは)
今彼女は、エイジスのドームの外壁に設置された渡り廊下の手すりにしがみついている。そのドームの外壁の一部が、ザイシーモンスの起こす突風によってひっぺがれていて、内部に続く穴が開いていた。
そこからかすかに見える、エイジスのドーム内の薄暗い金色の廊下。
その時サクヤの脳裏に、あるものが過る。
今は亡きリンドウが缶ビールの裏に隠していた、データディスク。その中に記録されていた、リンドウがサクヤほどの近しい者にも知らせていない、フェンリルの極秘データの数々と、リンドウ自らがエイジスへ潜入を試みていたという情報。そして…『アーク計画』という謎の単語。その答えが、あの穴の先に続いているのなら…
サクヤの足がかすかにそちらへ傾いた、そのタイミングで…シュンの悲鳴が彼女の耳に入り込み、サクヤは正気に返った。
(何をやってるの私…!)
たった今、独走した結果とはいえ、仲間が危険にさらされているのだ。それを、仲間の命を放って真実なのかも不確かな秘密に迫ろうとは。これではリンドウに会わせる顔がない。気を取り直して、サクヤはザイシーモンスの方に視線を戻し、いつでも発射できるよう神機の銃口を向けるのだった。
「うおおおおおおぉぉぉ?!」
豪烈な風とザイシーモンスの地震のような揺すりに、シュンは耐えきれずに振り落とされてしまう。この時すでにエイジスは津波の影響で大洪水となっていた。それが不幸中の幸いにも、30m近い高さから落ちたシュンの命を救った。
だが、だからといってこの時点で助かったとは言えない。寧ろもっと恐ろしい形での死がシュンに迫っていた。何せシュンはザイシーモンスにとって子供の仇でもあるのだから。
しかも確実に追い詰めんと、ザイシーモンスは口から白い息を吐き出した。
「うわあ!さ、さぶ!!」
その白い息…冷凍毒ガスは周囲の熱を奪い、シュンの周囲の水を…まるで北極の海域に浮かぶ流氷のように凍り付かせてしまった。その結果、半径約数十メートルの範囲に及ぶ氷の小島が出来上がった。その氷に、シュンは下半身を取り込まれる形で身動きを封じられてしまった。
「な!海が凍った!?」
「ザイゴート堕天種が融合している影響かしらね、津波を起こして氷に閉じ込める…」
そう、これはシーモンスにはなかった能力…超低温を生み出す毒ガス、氷属性のザイゴート堕天種の得意技だ。津波を起こすシーモンスと、超低温を生み出すザイゴート堕天種の毒ガス。合成神獣として、相性が良すぎる組み合わせであった。
「っぐ、っぐ…くそ!!」
「シュン、早く脱出しろ!」
「わーってるって!けど、抜けねぇんだよ!」
カレルから言われるまでもなく、シュンは氷の地面に埋まった自分の下半身を引っこ抜こうとするが、酷く固められているせいで全くびくともしなかった。神機もろくに振るえないし、旧型の近接型である彼はまさに格好の的。それでも必死に脱出を試みるが、もうその時既に、ザイシーモンスの前足が今度こそシュンを真上から捉えた。
「!!!」
今自分がいるのは水上。泳いで逃げるには、いくらゴッドイーターとして強化された肉体でも逃げきれない。
シュンはただ、一瞬先に訪れるであろう死に、硬直していた。
その時であった。
「うわ!」
シュンとザイシーモンスの間に、一発の黒い球体が投げ込まれ、それが暴発すると同時にまばゆい光が、ザイシーモンスの視界を白く塗り潰した。スタングレネードの光だ。とはいえさっきシュンが使った時と同様の、事前通告なしの突然の投擲。シュンにもグレネードの効果があった。眩い光にシュンは目を閉じる。
「そこでじっとしてろ!」
目が一時的に見えなくなったシュンの耳に入ったのはソーマの怒鳴り声。それを聞いてシュンはちっと露骨に舌打ちした。
「この死神野郎…余計なことすんなよ!あいつは俺の手で」
「んな状態でまだ馬鹿なことほざいてんのか!いいからそこ動くな!」
シュンが意固地になって喚くが、さらに大きな怒鳴り声でシュンの声を遮ったソーマは、刀身にオラクルエネルギーをチャージしていき、ザイシーモンスの視界がまだ回復していない隙を突いてバスターブレードを一気に振り下ろした。遠くから、突風が止まったのを見計らって銃型神機による援護射撃が入ってザイシーモンスの動きを止める。
その間にソーマがチャージを完了、チャージクラッシュの重い一撃が、ザイシーモンスの顔に深い切り傷を負わせた。
「ギイイオオオオオオ!!」
ザイシーモンスの悲鳴が上がる。また、今のチャージクラッシュの重みに耐えきれず、シュンを固めていた氷にも亀裂が入り込んだ。
さらにそこへ、シュンの周りに行き渡る亀裂に、遠くからの銃撃が鳴り響いて亀裂をさらに広げていく。ヒビだらけになってようやく氷が柔くなったのを見計らって、シュンは無理やり下半身を引っ張り出した。
「くっそが!あのザイゴート擬き野郎!」
「やめろシュン!もうこれ以上無理に戦ったら君の体がもたないぞ!」
遠くからそう叫んでいたのは、銃形態に神機を変形させていたユウ。さきほど氷の亀裂を銃撃で広げてシュンの脱出を促していたのは彼であった。
「ざけんな!俺はまだやれ……あ…」
それでもなお、執拗に自分はまだ戦えるのだと主張するシュン。しかし、言葉と意思と裏腹に、彼の体はそうではなかった。超低温の氷にがっしり固められ、身動きを封じられていた後遺症として、彼の下半身は肌の部分が酷く赤く染まり、動かそうにも全くがちがちになって動けなくなっていたのだ。
「っち」
前のめりに転んだシュンの元へソーマがすぐに駆け寄り、リンクエイドをかける。
まずい。たった今、ザイシーモンスがこちらを怒りに満ちた眼光を放ちながら見下ろしていた。遠慮もなく、強い冷機の毒ガスを浴びせていき、それをソーマがタワーシールドを展開してシュンと自分の身を守る。だが、直接浴びずとも超低温クラスとなると盾の陰に隠れるには不十分。盾にしている神機諸共、次第にソーマとシュンに更なる冷気が襲い掛かり、全身を突き刺すような冷たさに包み込まれていく。
「ぐっ…体が…」
ザイシーモンスの冷気はやがて、二人の肌を真っ白な雪のように白く染め上げ、固め上げてしまっていた。
「ソーマ!シュン!」
二人を案じて、銃形態の神機を担いだユウが必死に走って近づきながら二人の名を呼ぶが返事はない。
「いかんぞユウ!強い冷気を浴びて、意識を失っている!」
胸ポケットからタロウが二人の容態を遠巻きに見て危機感を口に出す。そしてザイシーモンスが、二人を食らおうと口を広げていた。
「させるか!」
ここに来れば選択肢はひとつ。
ユウはギンガスパークを取り出し、現れたウルトラマンギンガのスパークドールズをリードした。
【ウルトライブ、ウルトラマンギンガ!】
銀河系の形状をした光に身を包み、ユウはウルトラマンギンガへ変身。即座に二人から引き離すようにザイシーモンスを蹴飛ばした。
突如現れたウルトラマンギンガに、蹴飛ばされたザイシーモンスは立ち上がる。最優先で倒すべき敵を彼と見定め、彼に向けて突進を繰り出した。
「ヌウウウ…フッ!」
正面からそれを受け止め、ギンガは少しの拮抗の後、逆にザイシーモンスを押し返す。押し出されたザイシーモンスだが、子供の仇討ちに執念を燃やしているためか、退く姿勢を全く見せない。先ほどよりも強い突進をかまし、応じようとしたギンガの体を軽々としゃくりあげた。
「ウワ!?」
宙を舞い、落下と同時に再度しゃくり上げられ、それを2、3度繰り返し、水浸しのエイジスに落ちるギンガ。落下したギンガにのしかかり、ザイシーモンスは口を開けて迫る。アラガミの本能からか、彼を捕食しようというのだ。ギンガは鋭い牙を剥き出すザイシーモンスの上顎と下顎をそれぞれ両手で掴んで押し返そうとする。そこでザイシーモンスは、再び白い息…超低温の毒ガスをギンガの顔に浴びせる。
「グウウ!」
思わず両手を離し、顔を覆うと、ザイシーモンスの顎がギンガの左腕をとらえた。
「グアアァ!」
苦悶の声を上げるギンガの左腕に噛みついたままの状態を維持して右を向き、そして左にも首を動かすザイシーモンス。彼の腕を食いちぎろうとしていた。元より強靭な肉体を持つギンガだからこそそうはならずに済んでいるが、激痛に加えて体の自由を奪われ続けていた。千切れないとわかると、首を上下に捻ることで、ギンガをひっくり返して水面に叩きつけた。
このままでは本当に腕を千切られてしまう。ギンガ…ユウは全身のクリスタルを黄色に光らせる。電撃技〈ギンガサンダーボルト〉だ。
が、ここでタロウがテレパシー越しに待ったをかけた。
『ダメだユウ!今、シーモンスが起こした津波で浸水しているこの場で雷を使った攻撃は、皆を巻き込むぞ!』
「っ!そうだった…」
自分の浅はかさを自覚するユウ。今仲間たちはソーマたちを救助しに向かっている。ここで電撃を伴えばエイジス全体に大量の電撃が行き渡って皆を黒焦げにしてしまうだろう。改めて別の技を仕掛けることにした。今奴は、自分の腕に噛みついている。自分も身動きが取れないが、それは同時に…奴自身がギンガから離れていないことを意味する。
それならばと、ユウはクリスタルを紫色に染め、頭部のクリスタルから光線を至近距離から発射した。
〈ギンガスラッシュ!〉
「シュア!」
ザイシーモンスはギンガの光線を受けて彼の腕を口から放して後退する。次の敵に動きに備え、ギンガはじっと身構えた。しかし、左腕の手首…ちょうどユウ本来の姿にて付けているゴッドイーターの腕輪近くを噛まれていたため、左手首のダメージが残っていた。できればこの部位を悟られないで済ませたい。
すると、ザイシーモンスもギンガに対して遠慮してる場合ではないと判断したのか、角をバチバチと光らせる。あの大津波発動の前兆だ!
『ユウ!あの津波が来るぞ!防ぐんだ!おそらく奴は、あの大津波に呑まれた君を氷漬けにするつもりだ!』
タロウが再びテレパシー越しで警告を入れてくる。
「防ぐって、あんなのどうやって!」
『ジャック兄さんの技がある!今回の場合、ブレスレットを使わずに〈ウルトラバーリヤ〉を使うんだ!』
「わ、わかった!」
ウルトラブレスレットは、確かに攻守ともに優れた武具を使用できるようになる優れた装備だ。もちろん防御用に搭載されている盾〈ウルトラディフェンダー〉もある。だが、あれは敵の攻撃を防ぐためのもの。ザイシーモンスの能力によるものとはいえ、自然現象を相手に盾だけで防ぐというのはこの土壇場で試すこと自体無謀であった。下手をすればディフェンダー…ブレスレットそのものを風に飛ばされ行方が分からず、と言った危険もあり得る。なら、タロウのアドバイス通りジャックの技でどうにかするべきだ。
ギンガのインナースペース内にて、ユウはウルトラマンジャックのスパークドールズを取り出し、それをギンガスパークでリードする。
【ウルトライブ!ウルトラマンジャック!】
ギンガが右手を上げると同時に、十字型のまばゆい光がギンガを包み込み、ウルトラマンジャックへ再変身した。
その時すでに、エイジス今にも覆い尽くそうと、津波が押し寄せてきていた。
「シュア!」
ジャックは両腕をクロスさせ、その身を高速回転させていく。回転してく彼の体から念力が放出されていき、ジャックは回転を止めると、津波の方に向けて右手を、ボールを投げつけるように突き出す。
すると、光の明滅が起こり、津波が時を止めたように停止、ジャックはそれに対し両手を掬い上げるように上げると、静止していた津波は、発生させたザイシーモンスを逆に押し流していく。ウルトラマンを排除するために全力で放とうとしていたのか、その勢いはザイシーモンスを容易く飲み込むほどであった。
エイジスを飲み込もうとしていた津波は、次第に海へ流れていく。収まった時には、ザイシーモンスの姿は消えていた。
(な、なんとか…防ぎきれた……っ!?)
ほっと安心したユウだが、直後…彼の前身に虚脱感が起こる。ウルトラバーリヤで島一つ飲み込みかねない津波を一気に押し返したことで、エネルギーを多量に消費したのだ。変身した状態を維持できず、ジャックはたちまちユウの姿へ戻ってしまう。
「ユウ、大丈夫か?ジャック兄さんのウルトラバーリヤは規模が大きい分エネルギーを使い果たしてしまう」
変身が解けて大の字に倒れているユウのもとに、タロウがテレポートして現れた。先ほど使った技が、エネルギーを膨大に使う大技だと今になって教えられ、ユウは深いため息を漏らした。
「先に言ってよ…」
「あぁ済まない。だが安心したまえ。仲間が来るまでは私がここで君を守ろう。念力で追い払うくらい、今の私でもわけないさ」
説明不足を詫びながら、タロウはユウのポケットに姿を隠す。
思った以上に疲労感が強い。それに、戦いで受けた冷気のダメージもある。ユウは、遠くからアリサが駆けつけてきているのを見つけたが、この時すでに視界がぼやけていた。彼女が自分の名を呼びながら大急ぎで駆けつけてくるのを見ている内に、ユウは眠気に勝てず意識を失った。
「申し訳ありませんでした」
アナグラに戻った第1・3部隊だが、エイジスを守り抜いたという意味では失敗ではないが、満足のいく成功とも言えなかった。ウルトラマンによって合成神獣は海へ追い払われたとはいえ、その合成神獣を仕留めきれずコアの回収に失敗、しかも負傷者を出してしまった。
現場指揮官としてその責務を全うしきれなかったことを、作戦指令室にてサクヤはツバキに陳謝する。彼女の後ろで、ソーマとユウを除く両部隊のメンバーたちが横逸列に並び、特にアリサとコウタが不安そうにサクヤの背を見つめていた。
「サクヤ、お前は確かに現場指揮官としてこいつらを御しきれなかった。だが、だからといってお前ひとりの責任にするわけにもいかん。今回の任務の状況報告から見て…」
ツバキは視線を……シュンに向けていた。その視線に睨みつけられ、びくっと身を震わせる。
シュンも凍傷が酷かったが、ソーマのリンクエイドによる応急手当と、彼が代わりにザイシーモンスの攻撃の盾となったおかげで、ソーマほどの大きなダメージを追わずに済んだのだ。この場に集まる前もルミコたち医療班の治療の甲斐もあって、ユウとソーマよりも早くに復帰したのだが…怪我の回復の速さは今、問題ではなかった。
「シュン。貴様は何をやっていた?常々私は言っていたはずだ。現場指揮官とオペレーターの指示には従うように、と。だがこれまでお前はそれを無視し、チームプレイを乱してきた。同じ班のカレルやジーナはそれでも息を合わせてくれていたようだが、それを怠った結果が今回の任務の結果だ。貴様はこれまで失敗した任務の数も多数。いったいどれだけ言わせる?」
シュンは蛇に睨まれた蛙のように怖気づいていた。かつて、神機がまだピストル型の小型(現在では第0式神機と言われている)だった頃の戦士で今は相談役に回っている百田ゲンに対しても無礼な態度を取るほど、ある意味怖いもの知らずな彼だが、さすがにツバキ相手ではそうはならなかったようだ。
シュンはツバキの視線に委縮しつつも、なんとか言い返そうと視線を返している。が、いつも通りならユウやソーマ、加えてアリサに対する偏屈な鬱憤を言葉に出せそうだが、ツバキに対して委縮しきっているため言葉が喉から出ない。
「何か言いたそうな顔だな。だが、もう我々はお前の子供じみた無責任な言動を聞く余裕などないし、そんな義理もない」
その心情を読み取られ、さらに目つきが鋭くなるツバキに、一層言葉が出なくなるシュン。返す言葉もないが、反省しようとする意志が見られず、謝罪よりも言い訳の方を出したがっている…とツバキは察した。
これまで通り素直に反省しようとしないのならば、こうするしかない。
「本時刻を持って、小川シュンを1か月の謹慎処分とする」
この先シュンが己を省みないなら、任務に行かせること自体許されない。自分自身が死ぬ可能性を高くするし、今回のユウとソーマがそうであるように、任務を共にする仲間を危険に晒すとなるともっと最悪だ。
「つ、ツバキ教官!」
さすがにそこまですることは、とサクヤは情に訴えるが、ツバキは首を横に振り、これは決定事項なのだと暗に伝える。
シュンは縋り付くように助けを求めて、同じ部隊のカレルとジーナに目を移す。しかし、カレルは呆れた様に息を漏らして目を逸らし、ジーナは肩をすくめている。こればかりはどうしようもないのだと。シュンは、フォローの一言すらもなかった二人の反応を見て愕然とした。
「他の者は、ウルトラマンが追い返した合成神獣に備えて各々のコンディションを維持するように。話は以上だ」
ツバキがそこでミーティングを切り上げてしまい、その場は解散となった。
○津波神獣ザイシーモンス
(津波怪獣シーモンス+ザイゴート堕天種(氷属性))
シーモンスのスパークドールズを捕食したザイゴート堕天種が変貌した姿。
角を明滅させることで大津波を起こすシーモンスの能力と、ザイゴート堕天種の熱気を奪う毒ガス放射能力を兼ね備えている。ただしシーモンスと違い、単独で災害を引き起こせる。
外見的特徴は、ザイゴート堕天種の単眼付きの黒い卵のような部位がシーモンスの頭となっていること、ザイゴートの女体部位がシーモンスの背中に添って張り付いていること。
『7w76kxZ/Nc』さん、今さらになってしまいますが合成神獣のアイデアをありがとうございました。場合によっては少し手を加える形になっていますが、送ってくださったアイデアはしっかり今後に利用できるよう保管しております。