王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶 作:dwwyakata@2024
基地に戻った親衛軍ウォーリアの操縦者、親衛軍NO4_009123は、指導者の叱責に曝されていた。
いや、それは叱責ですらなかった。
既にこれから行われること。
それが決まっていたからである。
指導者に「間違い」はあり得ない。
作戦が失敗した場合は、基本的に「部下が使えないから」である。
完璧な指導者にミスなどある訳もなく。
作戦が失敗した場合の責任は全て部下が背負うことになる。
それが侵略者という種族が行ってきたこと。
指導者という存在の前には、どれだけの精鋭だろうが、どれだけの高位の地位にいようが、関係なかった。
ひとしきり無能、使えない、役立たずと罵声を浴びせた後。
指導者は親衛軍NO4_009123の体内ナノマシンを発火させる。
当然だ。
使えない部下は処刑する。
当たり前の話である。
ましてや今回は、「指導者が好む天然物の肉」を持ち帰るための作戦だったのだ。それを失敗した以上、万死に値するのが当然だっただろう。
問題はこの先である。
基地で即座に、親衛軍NO4_009123が再生される。
遺伝子情報が全て記録されている。
そしてコストさえ掛ければ、即座に肉体を全盛期の状態で再生することが出来るのだ。更には、記憶をこれからインストールすれば。親衛軍NO4_009123は復活するのである。
ただし、復活の際に。
今回の不手際の罰として、極限の痛みを与えられることになるのだが。
のたうち回る親衛軍NO4_009123に、指導者は告げる。
「これは貴様のような無能に対する罰だ」
「は、はいっ! 私が無能だった故に罰を受けます!」
「次は更に過酷な苦痛を与える。 無能で使えない者は必要ない」
「はいっ! 必ずや戦果を挙げます」
悲鳴を上げながらのたうち回っていた親衛軍NO4_009123は、ほどなく記憶のインストールが完了して、それで気絶した。
ウォーリアの修理には手間が掛かる。
それだけコストが掛かる機体なのだ。
それに指導者と超光速通信で直接やりとりできる基地は此処だけ。更に言えば、親衛軍戦士の再生が出来る設備も此処だけだ。
指導者は自身では絶対に認めないが、臆病者だ。
自分の技術が流出した時にもっとも取り乱す。
最初は有利に戦っていた敵……支援者だが。支援者に次々に技術をリバースエンジニアリングされ。
特にウォーリアがリバースエンジニアリングした時にはもっとも激怒した。
その怒りは恐怖から来るものだった。
その時の怒りのとばっちりで、当時の侵略者の科学者や戦士、兵士は9割以上がその場で殺された。
そして再生するまでの時間で、支援者は大いに戦況を巻き返したのだが。
そういった落ち度を、絶対に指導者は認めないのだった。
親衛軍NO4_009123は、呻きながら、ウォーリアが組み上がるのを見る。
指導者に逆らうことは死。
疑念を持つことは死。
だから、あの敵。
即座に殺せなかった相手に、指導者の絶対性を否定された時に、動揺した。
もしも疑念を抱いたら死なのだ。
そして疑念を抱いた場合は、今の比ではない苦痛を浴びせられ、当然処刑もされる。今まで親衛軍NO4_009123は何度も何度もそうされてきた。
ちなみに親衛軍NOの下三桁は個人名である。
ベースとなる「優秀な存在」のクローンは、どのクローンも800体まで同時に存在する。
ウォーリア戦闘に特化した親衛軍の戦士は8種類いるのだが。その中の一人。接近戦特化型の「白い悪魔」。そのクローンの123体目。
それが親衛軍NO4_009123だ。
今までに400年以上各地で戦い続け。
既に戦死した数、指導者に殺された数。合計3000回。
それでも指導者は気に入っているという話で。
どれだけ殺されても再生され。
記憶を植え付けられて、また戦わされるのだった。
「続いての作戦を指示する」
「はい」
「あの貴様と抗戦した生肉はどうでもいい。 とりあえず、データを収集し転送することに注力せよ。 天然物の肉は素晴らしいが、まずはそれを養殖できるように準備を整える」
「分かりました」
要はゲリラ戦だ。
これから、敵は地上部隊を集中運用し、工場を潰しに掛かってくる。
それを遅滞戦術で出来るだけ遅らせるというわけだ。
侵略者の支配圏内にあるテラフォーミング済みの惑星で、この星と環境を共通させ。この星の生物を再生産し。
そして指導者が食べる。
余り物は他の侵略者にも与えられる。
ただしいずれも一番うまいものは指導者だけが独占する。
それが侵略者の社会の仕組みだ。
それに疑問を持つことは許されない。持った瞬間に殺される。
ただ、指導者が満足するように戦い続けなければいけない。そして戦いが明らかに負けに傾き始めている今。
更に殺される回数は増えていくだろう。それは親衛軍NO4_009123も理解していた。
(続)
侵略者の支配者である指導者はとにかく強権的な存在で、自己肯定の極地にいる存在でもあります。
「彼」(実際には性別は存在しない)がイエスと言えばそれは真実になりますし、ノーと言えばそれは真実ではなくなります。
どこかの戦線で勝利があれば彼の手腕によるもの。敗戦があれば全て部下の責任です。
最悪の統治者ですが、このような存在が支配者になったのには、これまた色々と事情があるのです。
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