王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶   作:dwwyakata@2024

10 / 11







4、敗者への仕打ち

基地に戻った親衛軍ウォーリアの操縦者、親衛軍NO4_009123は、指導者の叱責に曝されていた。

 

いや、それは叱責ですらなかった。

 

既にこれから行われること。

 

それが決まっていたからである。

 

指導者に「間違い」はあり得ない。

 

作戦が失敗した場合は、基本的に「部下が使えないから」である。

 

完璧な指導者にミスなどある訳もなく。

 

作戦が失敗した場合の責任は全て部下が背負うことになる。

 

それが侵略者という種族が行ってきたこと。

 

指導者という存在の前には、どれだけの精鋭だろうが、どれだけの高位の地位にいようが、関係なかった。

 

ひとしきり無能、使えない、役立たずと罵声を浴びせた後。

 

指導者は親衛軍NO4_009123の体内ナノマシンを発火させる。

 

当然だ。

 

使えない部下は処刑する。

 

当たり前の話である。

 

ましてや今回は、「指導者が好む天然物の肉」を持ち帰るための作戦だったのだ。それを失敗した以上、万死に値するのが当然だっただろう。

 

問題はこの先である。

 

基地で即座に、親衛軍NO4_009123が再生される。

 

遺伝子情報が全て記録されている。

 

そしてコストさえ掛ければ、即座に肉体を全盛期の状態で再生することが出来るのだ。更には、記憶をこれからインストールすれば。親衛軍NO4_009123は復活するのである。

 

ただし、復活の際に。

 

今回の不手際の罰として、極限の痛みを与えられることになるのだが。

 

のたうち回る親衛軍NO4_009123に、指導者は告げる。

 

「これは貴様のような無能に対する罰だ」

 

「は、はいっ! 私が無能だった故に罰を受けます!」

 

「次は更に過酷な苦痛を与える。 無能で使えない者は必要ない」

 

「はいっ! 必ずや戦果を挙げます」

 

悲鳴を上げながらのたうち回っていた親衛軍NO4_009123は、ほどなく記憶のインストールが完了して、それで気絶した。

 

ウォーリアの修理には手間が掛かる。

 

それだけコストが掛かる機体なのだ。

 

それに指導者と超光速通信で直接やりとりできる基地は此処だけ。更に言えば、親衛軍戦士の再生が出来る設備も此処だけだ。

 

指導者は自身では絶対に認めないが、臆病者だ。

 

自分の技術が流出した時にもっとも取り乱す。

 

最初は有利に戦っていた敵……支援者だが。支援者に次々に技術をリバースエンジニアリングされ。

 

特にウォーリアがリバースエンジニアリングした時にはもっとも激怒した。

 

その怒りは恐怖から来るものだった。

 

その時の怒りのとばっちりで、当時の侵略者の科学者や戦士、兵士は9割以上がその場で殺された。

 

そして再生するまでの時間で、支援者は大いに戦況を巻き返したのだが。

 

そういった落ち度を、絶対に指導者は認めないのだった。

 

親衛軍NO4_009123は、呻きながら、ウォーリアが組み上がるのを見る。

 

指導者に逆らうことは死。

 

疑念を持つことは死。

 

だから、あの敵。

 

即座に殺せなかった相手に、指導者の絶対性を否定された時に、動揺した。

 

もしも疑念を抱いたら死なのだ。

 

そして疑念を抱いた場合は、今の比ではない苦痛を浴びせられ、当然処刑もされる。今まで親衛軍NO4_009123は何度も何度もそうされてきた。

 

ちなみに親衛軍NOの下三桁は個人名である。

 

ベースとなる「優秀な存在」のクローンは、どのクローンも800体まで同時に存在する。

 

ウォーリア戦闘に特化した親衛軍の戦士は8種類いるのだが。その中の一人。接近戦特化型の「白い悪魔」。そのクローンの123体目。

 

それが親衛軍NO4_009123だ。

 

今までに400年以上各地で戦い続け。

 

既に戦死した数、指導者に殺された数。合計3000回。

 

それでも指導者は気に入っているという話で。

 

どれだけ殺されても再生され。

 

記憶を植え付けられて、また戦わされるのだった。

 

「続いての作戦を指示する」

 

「はい」

 

「あの貴様と抗戦した生肉はどうでもいい。 とりあえず、データを収集し転送することに注力せよ。 天然物の肉は素晴らしいが、まずはそれを養殖できるように準備を整える」

 

「分かりました」

 

要はゲリラ戦だ。

 

これから、敵は地上部隊を集中運用し、工場を潰しに掛かってくる。

 

それを遅滞戦術で出来るだけ遅らせるというわけだ。

 

侵略者の支配圏内にあるテラフォーミング済みの惑星で、この星と環境を共通させ。この星の生物を再生産し。

 

そして指導者が食べる。

 

余り物は他の侵略者にも与えられる。

 

ただしいずれも一番うまいものは指導者だけが独占する。

 

それが侵略者の社会の仕組みだ。

 

それに疑問を持つことは許されない。持った瞬間に殺される。

 

ただ、指導者が満足するように戦い続けなければいけない。そして戦いが明らかに負けに傾き始めている今。

 

更に殺される回数は増えていくだろう。それは親衛軍NO4_009123も理解していた。

 

 

 

(続)







侵略者の支配者である指導者はとにかく強権的な存在で、自己肯定の極地にいる存在でもあります。

「彼」(実際には性別は存在しない)がイエスと言えばそれは真実になりますし、ノーと言えばそれは真実ではなくなります。

どこかの戦線で勝利があれば彼の手腕によるもの。敗戦があれば全て部下の責任です。

最悪の統治者ですが、このような存在が支配者になったのには、これまた色々と事情があるのです。




感想評価などよろしくお願いします。励みになります。

本作にどういった要素がほしいですか。要望があれば遠慮なくどうぞ。

  • 詳細なマシンデザイン
  • 圧倒的な武力による蹂躙
  • 緻密な人間ドラマ
  • 種族や文明の描写
  • 近接した力量のライバルとの死闘
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。