王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶 作:dwwyakata@2024
東大陸攻防戦を制した支援者の艦隊。ミランも大きな功績を立てました。
結果、一旦ミランは苦戦が続いている南極大陸の戦線に回されます。
東西南北に大陸がある惑星アラタの南極は最も寒い大陸であり、同時に豊富な鉱物資源を有しています。
此処には新たの民は元々殆ど住んでおらず。侵略者の到来とともにそのわずかな民は殺され尽くしてしまいました。
現在では資源だけを巡っての争いが続いていて、敵に資源をとられないためという理由での戦闘は、配属された戦士達の士気を著しく下げていました。
寒いですし。
ちなみに天然の毛皮持ちなので、ミラン達新たの民は寒さには強いです。
序、平和は続かない
ズヴァールラ提督の艦隊はそのまま戦力を補填して、次の攻略目標の撃破に動くと連絡を受ける。
現在、ミランがいる北基地に何隻かの駆逐艦が停泊していて、修理をしている。
南極北の亜大陸から攻略する。
そういう話がされていたが。
前回の戦いでの損害が大きく、すぐには動けないらしい。
ミランもウォーリア二型の修理が終わってからは、調整を続ける。その状況下で、連絡を受けた。
大佐に呼び出されると、言われる。
「南極の防衛戦ですか」
「そうだ。 南極は現在、この星でも特に劣勢な土地でね。 在住の新たの民はいないものの、戦略的拠点として守らなければならない。 地下資源が豊富で、此処に基地をそのまま残しておくと、際限なくワーカーが供給されて、各地にシーキャリアで運ばれる。 極めて厄介だ。 戦略的に必要だから守らなければならないという理由で命を賭けなければならないから、士気も低い」
「……」
この間の勝利の余勢を駆り。
動ける部隊を動員して、相手の工場を潰す。
だが、当然親衛軍ウォーリアが出てくる可能性もある。
それに、である。
「実は、親衛軍の戦士を生産できる工場は限られていることが分かっている」
「生産……」
「侵略者の指導者は、自分以外の全てをモノとして扱っている。 それは侵略者も例外ではない。 基本的に侵略者は使える使えないで判別されて、そもそも現在では生殖能力も奪われ、全てが遺伝子情報からタンパク質を組み合わせることで作り出されているのだそうだ」
滅茶苦茶だ。
しかも逆らっても即座に殺すのだという話だし。
一体どうしたら、そんな存在が長になったのか。
ミランには理解が出来ない。
「親衛軍はそういった生産設備の中でも、特に限られた工場で生産されているらしい。 少なくともこの大陸にあった工場には、それらの生産設備はなかった。 逆に言うと、生産設備がある工場を残しておくと、親衛軍ウォーリアが何度でも攻め込んでくると見て良いだろう」
「親衛軍の砲艦は大丈夫でしょうか」
「現在第十三艦隊と宇宙で交戦している侵略者の中に、親衛軍砲艦は確認されていないそうだ。 地上で砲艦を生産するのは不可能だし、しばらくは出てこないだろう。 少なくとも、親衛軍ウォーリアが湧いてくるのを潰せば、戦況は更に楽になるだろうな」
無言になる。
いくつか説明を受ける。
侵略者のクローン作成技術はかなり支援者より進んでいて、全盛期の肉体を持つ存在を一瞬で作り上げられるらしい。
これに対して支援者のクローン技術は、子供から生産するので、そう簡単にはいかないそうだ。
例えば戦士としての優秀さが認められたミランは、既にクローンが作られ始めているそうだが。
実戦に投入されるのは最低でも十期先になる。
しかしながら、優れている点もあって。
支援者のクローン技術は、無理に急速成長させないこともある。通常の存在と、寿命は変わらないらしい。普通に生きることも出来る。クローンどうしで、まったく別の人生を送ることも多いそうだ。
これに対して侵略者のクローンは、全盛期の肉体まで急速成長させ、その後もナノマシンで強制的にその状態を維持。維持できなくなったら廃棄して次に記憶などを引き継ぐらしい。
文字通りの使い捨てだ。
クローン自体が様々な物議を醸す技術であるらしく、支援者の中にも使う事を反対する者はいるらしいのだが。
現実問題として、侵略者に全滅寸前まで追い込まれた種族を復活させたり。
更には足りない兵士を補うためには、自主意思での繁殖ではどうしても限界が存在している。
それも理由であるそうだ。
「親衛軍に対応する意味もあるんですか」
「実のところ、親衛軍には対応が徐々に進んでいる」
確かに足止めさえ出来れば、何度か親衛軍ウォーリアを倒すことは出来た。
この間は遁走にまで追い込めた。
親衛軍砲艦は、ズヴァールラ提督の旗艦と連携してだが、それでも打ち倒すことが出来ていた。
それを考えると、確かに親衛軍は強いが無敵ではない。
被害さえ目をつぶれば、倒すことは可能なのだろう。
「ただ、それでも被害を少なく倒せるのならそうしたいところだ。 君には期待しているぞ」
「分かりました」
敬礼をすると、指示まで休む。
そして、しばらくぼんやりしていると、辞令がきた。
中尉に昇進。
更には、南極の防衛戦線に転属、ということだった。
南極は支援者の部隊が守っているが、かなり劣勢であるそうだし。此処で何かしらの作戦をするのかも知れない。
或いはだが。
南極北の亜大陸の工場を破壊するついでに。
南極での敵工場に圧力を掛けて、親衛軍の再出現を防ぎに行くつもりなのかも知れなかった。
ともかく作戦については具体的には分からない。知ることが出来る立場にいないからだ。
駆逐艦が迎えに来たので、ウォーリア二型とともに乗り込む。
今回はペインは南極北の亜大陸に向かうそうなので、別行動だ。この間からメールをやりとりしていて。
それで色々と話を聞かされる。
なんでもある宇宙の戦線で、侵略者を押し返しているそうであり。
星系を奪取できるかも知れない、ということだ。
侵略者は基本的に領地にしている星系の星は、全て自分たちに暮らしやすいように改造するそうだが。
今回もそうやって改造された星を奪い取れるらしい。
問題は、その星が。
現在支援者で保護している種族の一つの母星だと言うこと。
支援者が劣勢だった頃に奪われて、400期くらい経過しているそうだ。
その種族は母星に帰りたいと望んでいるそうだが。
奪い返しても、まずはテラフォーミングを再度やり直して。彼らに住みやすい土地を戻さなければならない。
そういうところから始めなければならない上に。
敵の抵抗も排除する必要がある。
色々と大変だろうと、ペインは言っていた。
ちなみに階級が上なので人前では敬語で喋る。
あくまでプライベートや、個人通信ではため口でいい。
そういうことだ。
それについてはミランも理解しているので、どうこうというつもりもない。軍隊組織というのは、色々と面倒なのだ。
駆逐艦で編隊を組んで、南極に移動する。
見るからに外が寒くなっていく。
南極には元はわずかな新たの民が住んでいたらしいが。侵略者が出てから短時間で皆殺しにされてしまった。
それもあって、今では住んでいる新たの民はいない。
移動中、色々な通信が入ってくる。
「敵基地を偵察中。 やはり高度なステルスを使っており、親衛軍ウォーリアが逃げ込んだ先かは特定できません」
「出来るだけ絞り込め。 情報を少しでも集めて、今後の被害を減らす」
「分かっていますが、こればかりはどうにも……」
南極につく。
基地で支援の戦力を下ろすと、駆逐艦は行く。
この間の二十隻編成のまま、各地の工場を叩くのだが。損害が回復しきっていないのである。
それもあって、すぐに作戦とはいかないらしい。
基地の司令官と敬礼をミランもかわす。
相手は大佐であり。
知らない種族だった。
全身が触手で出来ていて、大きな殻を背負っている。
話を聞くと、パルフォーラという種族だそうで。思考を司る臓器などは全て殻に入っているそうだ。
知能で言うと支援者に保護されている種族の中ではかなり高いそうで、母星にいた頃は水中で生活をしていたらしい。
「カメイラ大佐だ。 親衛軍ウォーリアを何度も撃退し、親衛軍砲艦を打ち倒した君の活躍は知っている」
「ありがとうございます。 ただ撃退したのは最後の戦いだけ。 それ以外は、ただ生き延びただけです」
「謙虚で結構だ。 早速だが、基地の内部を案内させよう。 この基地は守るだけで精一杯でな。 とにかく工場からの圧が強く、君も油断しないで対応してほしい」
周囲を見るが。
ウォーリア乗りの戦意が低いな。
やはり此処が劣勢だから、或いは戦略的意味だけでは命を賭けるには軽い、からだろうか。
「作戦指揮は出来るか。 中尉はウォーリア部隊では隊長を任せるのに充分な地位なのだが」
「いえ。 経験がありません。 それに親衛軍ウォーリアを相手にしていると、それ以外の余裕がないのが事実です。 親衛軍は一度獲物と定めた相手を執拗に狙うという話もあります。 それを考えると……」
「そうか、そうだな。 分かった。 君の戦力を加味して、行動のグリーンライトを渡しておく。 ある程度自由に動いていい。 ただし、作戦については、行動前に必ず申請するように」
「はい」
敬礼をかわす。
その後、円筒形のロボットが来たので、その後に続いて基地を見る。
冷気を防ぐために、非常に防寒設備が整っている基地だ。壁の内側は、天井も覆ってしまっている。
天井は空から物資を受け取る以外は閉じていて。
逆にその時だけは開閉できるようだ。
外は分厚く雪が積もっている。
寒さに弱い種族は非常に苦労する環境であるらしい。
ミラン達新たの民は、体が毛深い事もあって、寒さには強い。この程度の寒さだったら、活動は十全に可能……とまではいかないが。即座に行動不能になるような事はない。
外の様子も視察する。
ロボットは問題なく活動できるので、ワーカーの残骸を回収することも出来るそうだが。
それはそれとして、戦いの跡が凄まじい。
ミランがいた北基地も散々だったが。
此処は基地の壁にまで肉薄された事が幾度もあったようだ。
それも修復し切れていない。
基地が陥落したことが何度かあったと聞くが。
それもこの有様を見ると納得できる。
「対親衛軍ウォーリアの装備はありますか」
「ああ、用意はしてあります」
「後は味方ですね」
味方のウォーリア乗りとも顔を合わせる。
新たの民が二人。
それなりのベテランだ。どっちも相当に戦えそうだが、ワーカーの物量を相手にしているとどうしても死ぬ時は死ぬ。
掃射砲などの射手として、かなり若い新たの民が来ている。年老いた新たの民は、見たことがない毛並みだ。違う大陸の出身だから、だろうか。言葉も昔は違っていたのだが。現在は翻訳装置のおかげで、意思疎通は難しくない。
ファーガも飼われていて、安心した。
或いはだが、新たの民のモチベを挙げるためかもしれない。
守らなければいけないと思うし。
ファーガの栄養液は新たの民の力だ。
それを考えると、したたかなやり方だなと思う。
問題は支援者のウォーリア乗りで、あまり士気が高くなさそうだ。なんとか生き残っている。
そういう顔をしている者が目立った。
顔がよく分からない種族の者もいるが。
「親衛軍ウォーリアを倒したのは本当か?」
「攻撃を耐えきって、味方の支援で追い払っただけです。 まだ相手より強いとは思っていません」
「そうか。 便りにさせて貰うぞ」
「はい」
そう、隊長らしい中尉に言われる。
見た感じ、ペインより二段くらい腕が落ちる。
それでも、親衛軍ウォーリア相手に無力なのは皆同じだ。今はともかく、此処で敵を防がなければならない。
雪、だ。
雨の日は、ワーカーの攻撃が増える傾向がある。
そして、アラームが点灯。
警告音が響いていた。
流石に士気が低くても、それでも誰も死にたくないのだ。即座に動き出す。ミランもウォーリア二型に乗ると、さっき視察してきた辺りで、調度良さそうな位置を見繕いながら、移動。
前線を構築する。
あまり個人戦の腕は良くなくても、それなりの経験を積んでいるのだと分かる。隊長の指示は的確だ。
「ワーカー接近! 数は600! 後続もいる模様!」
「イーターはいますか」
「姿は確認できません」
「分かりました」
イーターがいないなら、脅威度は大分下がる。高空からの攻撃は出来ないのか確認するが、無理らしい。
後方の航空基地は、別の基地の援護で出ずっぱり。
そっちの方が、同時により苛烈な攻撃を受けているのだとか。
同時攻撃か。
ともかく、どうにかするしかない。
接近してくるワーカーは、雪をものともせず蹴散らしてくる。既に火砲での支援は開始されているが。ウォーリア乗りが逃げ腰だ。
「他の基地からの援護はないだと……」
「仕方がない! いつものようにやるぞ」
「失礼します」
「おお、ミラン中尉。 どうした」
まず、パルスレーザーの火力が大きいこと。エネルギーチャージに時間が掛かる事は先に告げる。
そして、射程については、今見せる。
即座に射撃して、先頭のワーカーを蜂の巣にする。一マガジンぶん打ち切って、十体以上を血祭りに上げた。
羽を広げて回復。
おおと声が上がり、ウォーリア乗りの士気が上がる。
「流石カスタムタイプだ!」
「よし、訓練通りにやる! 冷静さを常に保ち続けろ! 相互リンクしながら、敵をたたくぞ!」
「了解!」
戦闘開始。
ミランは動きながら、エネルギーをきらさないようにこまめに回復を続ける。機動し続けるのは、親衛軍ウォーリアが狙撃してくる可能性を考慮しての事だ。
やられそうな味方を率先して助ける。
戦意が高すぎても問題だが。
戦意が下がりきると、最悪背中から襲われる。それは避けないといけない。射撃を続けて、冷静に敵を削る。
基地からの火力が弱いな。
掃射砲はちゃんと準備できているだろうか。
不安はある。
密集した敵にパルスレーザーを撃ち込んで、効率よく削っていく。後続も含めると相手の数は1500から2000というところか。
三十機いるウォーリア部隊では、押さえ込むことは難しい。
下がりつついなしていくが、どうしても圧が強いと感じる。逃げ腰になっている味方も、それを加速させている。
「そ、掃射砲はまだか!」
「まだだいぶある! 少しでも削れ! また壁に食いつかれたら大被害だぞ!」
「でも、そんなこと言ったって!」
「削ります」
仕方がない。前に出る。
そして、長槍を振るって、腰が引けているウォーリアの代わりに前に出ると。親衛軍ウォーリア相手に渡り合った長槍の威力を存分に振るって、次々ワーカーを仕留める。味方の士気がそれで上がる。
侵略者の指導者は、使える使えない云々で相手を判断しているそうだが。
ミランだって、単騎で出来る事なんて知れている。
恐らくは、あの絶対的恐怖である親衛軍ウォーリアの操縦者だってそれは同じ事だろうと思う。
そして侵略者の指導者だってそうだ。
能力が仮に他に隔絶していたとして。
相手を使える使えないだので判断して見下すことが、どれだけ馬鹿げているのか。こういう戦場で、ミランは実感する他ない。
ある程度斬り伏せて、それで下がる。
ワーカーに飛びつかれた味方を、下がりながらパルスレーザーで助ける。必死に下がってくる味方機は、前面を痛々しく抉られていた。
被害はどうしても出る。
それでも敵を減らして、それで掃射砲の範囲に引きずり込むと、後は殲滅に任せる。掃射砲で仕留めきれない相手は、ミランが片付ける。勿論他のウォーリアも、壁を背にして、ワーカーを打ち倒し続ける。
どうにか戦闘は終わり。
味方機は大破6だが、喰われた者はいなかった。
運が良かった。
この間の東大陸の防衛戦を思うと、この程度の損害で済んで良かった、としか言えないが。
それでも、矢玉は使う。
早速雪中でも活動できるロボットやドローンが出て、ワーカーの残骸を回収する。戦闘を終えてドッグに。
味方の被害なしは久しぶりだと感謝の声を貰った。
敬礼だけ返しておく。
「次は助けてください」
「分かった。 尽力する」
そうカメイラ大佐と会話すると。
後はウォーリアの修復作業で修羅場になるドッグを後にする。いても邪魔になるだけだ。
ロボットが多数働いている。
その中に、以前聞いた侵略者の通常個体に近い姿をしている者がいた。同じく休憩に向かう途中だった新たの民のウォーリア乗りに話を聞いてみると、詳しい話が聞けた。
「昔聞いた話なんだが、ロボットの技術もかなり侵略者からリバースエンジニアリングとかいうので取り込んだらしいんだ。 あれらのロボットには色々型番があるらしいんだが、あれはその一番古い奴らしいな」
「そんなのがまだあるんですね」
「侵略者はロボットを自身に似せて作ったらしい。 それでいながら、絶対に侵略者に逆らえないように、逆らっても勝てないように力も意図的に弱くしたそうだ。 それで欲望のはけ口とかにもしていたそうだ」
「……」
そうか。
ロボットの扱いについては、支援者の間でも意見が分かれていると聞くし。なんならミランも敵工場の破壊作戦の時、生身の人に代わって働いてくれるロボットには感謝していた。
侵略者はそのようなことは一切せず、消耗品で、虐待する相手で、馬鹿にする相手としていた訳か。
なんだかますます理解できなくなってきた。
ともかく今は。
この職場で、少しでも敵を押し返していくしかないとミランは思った。
※掃射砲
主に基地に配置されている大口径のオートキャノンです。
支援者の基地は侵略者の工場と同じくユニット化されているのですが、それに標準的に装備されているものですね。基本的に四方を守る四門が一つの基地に配置されていて、特に対地攻撃力は圧倒的です。
発射しているのは宇宙空間ではレーザー、地上ではレールキャノンが主体です。
非常に破壊力が大きい分持ち運びは困難で、移動式の掃射砲は高価な兵器となります。
一方地上向けのカスタムを受けている駆逐艦などには、対地攻撃兵器として標準装備もされています。圧倒的な猛威を振るう兵器ですが、これを使っても敵を圧倒とはいかないのが厳しいところです。
本作にどういった要素がほしいですか。要望があれば遠慮なくどうぞ。
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詳細なマシンデザイン
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圧倒的な武力による蹂躙
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種族や文明の描写
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近接した力量のライバルとの死闘