王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶 作:dwwyakata@2024
親衛軍NO4_009123は遅滞戦術を行っている最中で聞かされた。
親衛軍NO4_072144が倒された。
それも親衛軍NO4_009123が敗退させられた同じ肉にだ。それを聞いて、戦慄する。
指導者が作戦を練った。
だから、それについて疑念を持つことは許されない。
絶対に間違っていないと考えなければならない。
作戦が失敗だったのなら、それは親衛軍の責任。
作戦が成功したら指導者の戦果。
それは前から決まっている絶対で。それに疑念を持つことは許されないのだ。
宇宙でも親衛軍NO6_311081が倒されたと聞いている。宇宙の方での300番台……戦闘機乗りは消耗品だ。ある程度は仕方がない。だが指導者はウォーリア乗りが倒されると怒るのだ。
それも、関係ない戦場にいる者に八つ当たりが入ることも珍しくはない。
ぞくりとした。
八つ当たり、等と考える時点でまずい。
一度帰投する。
基地では、案の定。
指導者が怒り狂っていた。
この場に指導者がいるわけではない。
だが端末から漏れてきている声は、苛立ちと怒りに満ちていた。
「あのクソガキが私の授けた作戦を失敗しおって……どいつもこいつも役に立たない無能ばかりだ!」
「心中お察しいたします」
「……お前も同類だ。 たかが肉ごときに何度も負けおって! お前等親衛軍を生産するのにどれだけの物資を使うと思っている! 専用カスタム機を生産するのにも、通常のウォーリア五十機分の資源を用いるのだぞ!」
やはり激怒している。
作戦失敗は全て親衛軍や、量産されたクローン兵の責任だ。
それに疑念を持った瞬間死ぬ。
更に死んだ後、苦痛を与えられた上で再生されるのだ。
親衛軍NO4_009123も、それは嫌だった。
「それで如何なさいますか。 NO4_009123は、NO4_072144は血の気が多く、何度向かわせても同じ結果になるかと愚考いたします」
「……しばらくは遅滞戦術に務めろ。 この星を維持するために、近く増援を送る」
「増援でありますか」
「何か文句でもあるのか? あるのなら言って見ろ!」
勿論ない。
文句など言ったらその場で殺される。指導者の方針に懸念を示しても殺される。
古くはそういう「諫言」をする存在もいたらしい。
しかし指導者は、「諫言」が大嫌いだ。
指導者が嫌えば、それは悪になる。
指導者の機嫌を損ねることは、そのもの全てが悪なのである。
そして悪は滅ぼされる。
激甚の苦痛とともにだ。
「役立たず。 貴様は遅滞戦術を続けろ」
「分かりました」
「作戦を立て次第指示を出す。 それまでに死んだら更に苦痛を与えてやるからな」
「……」
通信がきれた。
カスタム機を自動で修理するロボットを見ながら、NO4_009123は思う。
この星に増援。
各地の戦線は膠着状態どころか押されている。いくつかの戦線は崩壊寸前で、一度戦線が崩されると一気に後方の生産拠点が潰される。
ここ100年は戦線が崩されるばかりだ。
新しく進出した土地も、即座に敵が来る。何かしらの肉を見つけても、横取りされる。肉は結束し、まとめて向かってくる。全てが悪い方向に向かっている。
ロボットは無言で働いている。
そもそも自分以外は思考する必要がない。
そう考えた指導者は、ロボットにAIを搭載していない。
全部プログラムで、対応するように動くだけだ。
これはワーカーなどの戦闘兵器も同じ。
敵のウォーリアに対応できないのも、それが理由。指導者は自分を脅かす全てを滅ぼさないと気が済まず。
何もかも自分のものだと信じて疑わない宇宙の全てを手に入れるまで満足しない。
いや、宇宙の全てを手に入れても満足するかどうか。
修理が終わったので、出撃する。
休憩など与えられない。
ほとんどの場合強制的に薬物で眠らされて、それで栄養も決まったものだけを与えられる。
味など関係ない。
指導者は天然ものの肉などを食べているというが。
そもそもどこにいて、どのような食事をしているのかはさっぱり分からない。
親衛軍ですらそうだ。
既に市民という概念が消滅して久しいが。
それでも、指導者がどこで何をしているのか。どのような顔をしているのか。それすら知られていない。
NO4_009123も、見たことがなかった。
出撃する。
駆逐艦が出てきている。
その砲撃は脅威だ。ウォーリアではどれだけカスタマイズしても対応できない。接近戦を挑むとしても、倒すのにはいくつもの準備がいる。
今回は遅滞戦術が主体だが、既に南極北の亜大陸は陥落した。
ドローンからの情報を見る限り、敵は一旦戦力の回復をしながら、次は南極を落とすつもりのようだ。下手にNO4_072144を出したので警戒されているのか。
或いはそう見せかけているだけで、何か別の作戦行動を取るつもりかも知れない。
いずれにしてもNO4_009123に出来る事も。
考える事も許されていない。
今はただ、指示された地点に出向き。
機械的に肉を潰すだけだった。
(続)
基本的に侵略者の指導者については、支援者も行動原理を一切理解できていません。
此奴がヒステリーを起こしては部下に当たり散らしているのは何度か確認されているのですが、なんでそんなことをするのか支援者は解析できておらず、困惑するばかりなのです。
そしてそのヒステリーの被害を最も受けるのは、侵略者の指導者がお気に入りだと(勝手に)考えている親衛軍の者達なのです。
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