王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶 作:dwwyakata@2024
強力な親衛軍ウォーリアである潰し屋を倒したミラン。有利になり始めた戦況もあって、ズヴァールラ提督が動きます。
この機に一気に南極の侵略者工場を破壊するのが目的です。
しかし侵略者も黙っている訳ではありませんでした。
序、南極大陸の決戦
南極大陸に、ズヴァールラ提督率いる駆逐艦艦隊が来る。西大陸や、その周囲にある島々、或いは亜大陸を狙うという情報もあったのだが。不意に大挙して南極に押し寄せてきていた。
ミランも来てほしいと言われたので、ズヴァールラ提督の座乗艦に出向く。
そして、敬礼をかわす。
ズヴァールラ提督は、相変わらず足のとげを自分に向けながら、差し伸べてくる。それが最高位の敬意を示していることは知っているので、こちらも礼をしていた。
「あの潰し屋を打ち倒したこと、実に素晴らしい。 これより余勢を駆って、南極を落とす。 南極にある基地については把握も出来ている。 資源地帯である南極を取り返せば、敵の状況は更に苦しくなる」
「分かりました」
「西大陸のことが心配か。 白い親衛軍ウォーリアが暴れているからな」
「はい」
そう言うと、顎をかちかちと鳴らした後。
ズヴァールラ提督が立体映像を出す。
白い親衛軍ウォーリアに対しては、早期警戒を行い、相手にしない方向で進めている。現在衛星軌道上に展開している狙撃部隊が、出撃し次第狙撃。
それでも倒せてはいないようだが、白い親衛軍の被害をかなり減らせているようだ。
それに、である。
「あの白い親衛軍ウォーリアは明らかに遅滞戦術をしている。 それ故にわざわざ相手にしないことを決めた。 まずは西大陸を孤立させる」
「それで、南極から、ですね」
「そうだ。 この大陸にある工場全てを落とす。 君には前衛として、ウォーリア部隊の中核となってほしい」
「了解です」
その後は、駆逐艦隊が動き出す。
途中でミーティングが行われるが、この間の潰し屋の撃破の事もある。もう少ししたら、大尉への昇進があるそうだ。
あまり嬉しくはない。
ましてや部下を持たせるとかの話になったとしても。
親衛軍を相手にするとなると、面倒を見ている暇がない。
勿論周囲と歩調を併せて戦う事の重要性は知っているが。
それと指揮をすることは別問題。
それに指揮官の適性はないとミランは自己評価していた。
苦戦が続いていた南極の各基地からは、部隊は出ない。宇宙軍から捻出された地上部隊が追加で加わっているようだけれども。
規模はあまり代わっているようには見えない。
猛将として知られるズヴァールラ提督だが。
その分激戦地での戦闘も多い。
周りの士気は高いが。
皆、死ぬことの覚悟は決めてしまっているようだった。
ウォーリア部隊の展開が指示される。
ハコトは連れてきているが、これは専属の整備員として配属されているからである。周りもそれは説明をしてある。
移動しながらの戦闘だから、駆逐艦内部のドックでウォーリアを整備することになるのだが。
少し基地に比べると手狭だ。
如何に巨大とは言え、基地に比べるとどうしても狭苦しくなるのは仕方がないだろう。もっと巨大な宇宙艦になると、話は違うのだろうが。
次々と降下していくウォーリア部隊。
ミランのウォーリア二型も続く。
更に速度を上げたい。
そう言って、スラスターを追加して貰った。
ブレイカーとの戦いでも、ウォーリアには速度が足りていないのではないかと、ミランは思っていた。
勿論対G等の色々な問題があり。
速度がどうしても制限されるのは理解している。
それでも速度や、初速が変われば、回避できる攻撃がある。
それもまた分かっているので、せめて自分の機体で成果を見せて。それで説得をしたいところだ。
着地までに、スラスターの状態を確認。
悪くない。
長槍についても、より鋭く、より硬く強化して貰ってある。
これはこの間の潰し屋との戦いで、変形槌と打ち合って最終的には壊れてしまったからである。
今度は、正面から打ち合えるようにしてほしい。
勿論打ち合う時の力のかけ方などの、技量の問題もあることは承知している。
だからこそに、強化は必須なのだ。
ただし使い捨てることもある武器だから、あまり贅沢は言えないのも事実だが。
着地。
既に制空権をドローンと戦闘機隊が抑えている。敵基地からは相当数のワーカーが湧いて出てきているが。
駆逐艦からの容赦のない砲撃が行われ。
更には空軍と連携して、上空から叩いている。
ウォーリアの役割は、前衛での敵攪乱。
ミランはウォーリア二型で、最前衛の少し後ろくらいに出て、味方の支援に徹する。通常機よりも出力が高いパルスレーザーを用いて、効果的にワーカーを倒し、喰われそうになっている味方を支援する。
通信。
有利に戦えていると思うが。
状況は刻一刻と変わるものだ。
ズヴァールラ提督が通信を入れてきた宇宙軍の士官らしい人物と話をしているのが分かった。
「敵の大規模な増援が接近している!?」
「はい。 規模は五十万隻に達するようです。 こちらも更に艦隊を追加するつもりのようですが、更に宇宙での戦闘が混乱を極めるのは確実かと」
「いくら何でも妙だな。 この星に侵略者が仕掛けてきてから、十数期程度しか経過していない筈だ。 ここまで固執する理由が分からない」
「不可解ではあります。 現在、味方の増援をいれると同時に、敵が戦力を割いた戦線に攻勢を掛けているようです。 それで侵略者が兵を引けば良いのですが」
ウォーリア二型の羽を展開。
回復しつつ移動。
味方は押しているが、増援が来る。
それを聞くと、嫌な予感しかしない。
確かこの間小耳に挟んだが。
今宇宙では、支援者の艦隊が70万隻程度。侵略者の艦隊が40万隻少しいるとか。
ただ侵略者の艦隊は大型艦の比率が多い上。
親衛軍が危険要素となっているので、必ずしもこれで圧倒しているとはいえないらしいが。
ただそうなると。
五十万隻が相手に加わって兵力が逆転すると、極めて危険なことになるだろう。
最悪この星を放棄。
そういう話が出るかも知れない。
ミランはいやだ。
だが、多くの新たの民を守るために、支援者は既に後方の安全な星を用意してくれている。
そこからこの星を取り戻すための作戦に加わる手もある。
勿論ミランは侵略者と戦う。
今まで非道の限りを見せられているのだ。
平穏に暮らしたいのはあるが。
それは侵略者を片付けてから。
ましてやこの星をとられたりしたら。
どれだけ取り返すのに時間が掛かるのか、分からないのが事実だった。
前線が進む。
味方の自走砲や戦車が支援攻撃を続け、定点目標である工場に、激しい攻撃を加えている。
質量兵器を使う事も多いが。
工場が展開しているシールドを破るために、位相なんとかいう攻撃を行っているそうである。
侵略者が使っている……リバースエンジニアリングして支援者も使っているシステムであり。
少なくとも宇宙艦艇くらいの動力が必須らしいのだが。
それでも、相当なダメージを中和することが可能なもので。
それでシールドと言われているらしい。
位相を変換してどうのこうのと言われたが、理解できなかった。ともかく、その位相の変換を中和して、シールドを弱体化させる。
その後、駆逐艦などの砲撃で貫く。
工場のシールドが崩壊しつつある。
ワーカーが更に出てくるが、既に大勢は決した。
冷静に処理を続ける。
最前衛のウォーリアには、戦意が高揚して突出する者もいたが。ミランは冷静に通信を入れて。
援護しつつ、下がるように促す。
頭に血が上っている戦士は、それでも進もうとする者もいて。
助けられない場合もある。
切り替えていく。
「敵工場、シールド喪失!」
「よし、撃て」
「主砲斉射!」
駆逐艦が一斉に射撃を浴びせて、工場を吹き飛ばす。
これで片付いたか。
更に上空に駆逐艦が出ると、工場が地下に伸ばしている資源採掘システムを、爆撃で根こそぎ吹き飛ばす。
これでこの工場は死んだ。
残敵の掃討を行うのは、ドローンがやる。
ウォーリア隊は後退して、修復を開始。
楽勝だったな。
そう楽観的に見ている声が聞こえる。ミランはいちいち釘を刺す気はない。敵の増援が接近しているというのが、気になるからだ。
休憩を入れる。ハコトにウォーリア二型の整備を任せる。
とりあえず、ウォーリア二型は今回の戦闘であまり大きい一撃は貰っていない。多少擦る程度のは貰ったが、それほど大事ではない。
基礎的な整備だけで大丈夫だろう。
仮眠から起き出して、それでシミュレーションマシンでも使うかと思っていたら、声を掛けられた。
同じ新たの民のウォーリア乗りらしかった。
「ミラン中尉」
「そうですが、どなたですか」
「南極で戦い続けてきたルリルだ。 よろしく」
「よろしくお願いします」
相手はかなり年配だ。ウォーリア乗りとしてはそろそろ限界が近いと見て良いだろう。
軽く話をする。
ルリルは母親で、三人子供がいたらしいが。皆侵略者との戦いで死んだそうだ。二人はウォーリア乗りとして、戦場で死んだらしい。
一番上の子は、ミランと同じくらいの年だったと聞いて、それはと悲しくなった。
「子供らの情報からクローンを作ってくれたそうだが、同じ体でも同じ子供じゃない。 今更また育てようとは思わない」
「私もクローンを作るそうです。 進捗については聞いていないので、既に作られているかもしれませんが」
「世も末だ。 さっさと侵略者を追いはらってしまいたいものだが」
「……」
増援がこの星に迫っている。
いや、星系というのだったか。
それについては、この人は知らないらしい。
知らない方が良いだろう。
死ぬなよと言われたので、敬礼をかわして別れる。この人は優秀な戦士だが、それでも年齢に限界がある。
シミュレーションマシンを用いて、戦闘をして。
白い親衛軍ウォーリアとの戦闘を何度かやってみるが。
味方の支援ゼロの状態だと、まだ勝てるかはかなり怪しい。
今までの全ての戦闘がそうだったが。
親衛軍を、いまだ一度も。
単騎の独力で、倒せて等いないのだ。
これは英雄などと持ち上げられても困るな。そう、シミュレーションマシンから降りながら思い。
ファーガの栄養液を固めた一般的なミランの食事をする。
軽く水分を飛ばすだけで固まり。
かなりの長期間もつので、保存食としても利用される。塩を少し加えるだけでうまいし、そのままでも充分に食べられる。
今日は塩だけ振って食べているが。
ハコトが興味深そうに様子を見に来た。
「それがファーガの栄養液ですね」
「はい。 それで整備は出来ましたか」
「問題ありません。 工場の方では、残敵掃討も終わり。 調査部隊が出ているようです」
「分かりました」
とりあえず、しばらく戦闘を続けたあの基地は大丈夫か。
問題は増援だ。
その増援とやらが、また工場を落としてきたら、色々と洒落にならない事態になる。
特に安全になったばかりの東大陸にでも工場が落ちたら、地獄絵図だろう。
今は。
コンディションを万全にするしかない。
「ハコトは中身に関しては支援者製だそうですね」
「はい。 搭載しているAIなどもそうです。 ただ……」
「ただ?」
「実は、侵略者が封印していたAIがあって。 それを試験的に人格データの一部に利用しているんです」
AIについては知っている。
侵略者は忌み嫌っているようで、絶対に使わないらしいのだが。支援者は有効に活用している。
しかし、侵略者が封印していたと言うことは。
昔は使っていたのか。
「バックドアなどは大丈夫ですか」
「それは徹底的に調査されたので、問題ありません。 ただ、この人格データだと、私は見かけの年齢でもう少し年上で、優しいお姉ちゃんがいたんです。 勿論お姉ちゃんという設定のAIですけれど」
「……それはなんとも苦しい話ですね」
「あの、私整備員として頑張ります。 そうしたら、お姉ちゃんの人格データを入れたロボットが用意してもらえるかも知れないって聞いています。 だから……」
それを聞いて。
ますます負けられなくなった。
家族なんて一人も残っていないミラン。
それ自体は、新たの民には珍しくもない悲劇だ。
そして繁殖意欲が湧かない以上、恐らく今後ミランに家族は出来ないと見て良いだろう。
ならば。
今、自分を慕ってくれる存在を大事にしたい。
それがロボットであろうとだ。
「分かりました。 専属の整備員はもっと必要になるはずです。 私の方からも、上申してみます」
「ありがとうございます!」
「いえ……」
通信が入る。
ズヴァールラ提督からだ。
7日後。
敵の大艦隊がこの星系に到着し。敵の規模が倍になる。
味方もほぼ同数が同じ日に到着し、更に後続もいるということだが。
問題は其処ではないという。
敵がこれだけの規模になると言うことは、それだけ本腰と言うことであり。親衛軍も様々な形で出てくる可能性が高いとか。
「親衛軍は、戦訓的に10万隻の艦隊に一体程度いるのが普通でな。 それも宇宙軍に所属する親衛軍が10中で7から8体なのが普通だ。 現在惑星アラタの地上で確認された親衛軍は、はっきり言って多い。 これに敵が50万隻加わると、更に親衛軍が地上に現れる可能性が高い」
「厄介ですね」
「地上に駆逐艦を更に増援として出してくれるほか、地上戦で戦果を挙げてきた部隊を回してくれると聞いている。 君もそれらと連携して、親衛軍ウォーリアを迎え撃つ準備をしてほしい」
「了解です」
7日後までに。
可能な限り南極の敵工場を潰す。
そういう話もされた。
西大陸については、今は専守防衛。各地の島や、まだ解放していない亜大陸も同じように対応するそうである。
解放した地区には重点的に対空砲火を配備。
敵の工場ユニットの落着を防ぐという。
また工場ユニットが落着した場合、展開前に破壊するべく、宇宙軍も準備をしてくれているとか。
正しい判断だとミランは思う。
ともかく補給を済ませ次第出る。
次の工場を落とすのに二日。
ブレイカーも出たが、前線で戦って破壊する。弱い相手ではなかったが、それでも既に倒している相手だ。
侵略者の兵器は、昔は凄まじい速度で進歩していたらしいのだが。
最近は進歩が明らかに遅いという。
親衛軍ウォーリアも、新しいバージョンの装備を出してくる事はあっても。根本的なバージョンアップをしてくることはなくなってきており。そういう観点では、支援者のウォーリアが性能でも迫りつつあるとか。
だが、油断は出来ない。
戦闘が起きれば、毎回大勢死ぬのだ。
そういえば、ペイン大尉はどうしたのだろう。
聞いてみるが、どうやら別戦線に異動になったらしい。同じような地上戦が行われている惑星があって。其処で声が掛かったらしかった。
無事ならそれでいい。
更に次の工場を陥落させ。敵の反撃を完全に沈黙させる。
この辺りでは生物をワーカーが殺すことがないからか、工場をつぶしても、おぞましい食肉を詰め込んだコンテナは見つかることはなかった。
何度かコンテナを見つけたが、あれのなかに加工された新たの民やファーガが詰め込まれていると思うと。
ミランだって冷静な心を保つのに、苦労しなければならなかったのだ。
工場からは、資源が大量に見つかるが、それは肉にされた新たの民じゃない。
ロボットも、何が見つかったかは知らせてくるし。
それらがどうこの星に戻されるかも、計画が提示されていて。説明を受ける。
戦艦やウォーリアの材料となる資源は、宇宙の各地にいくらでもある無人の星や、ブラックホールなどから回収しているということで。
それらの仕組みについてはよく分からないが、いずれ時間を見て勉強して理解しておきたい。
今は戦う。
そして、侵略者を。
この星から、出来るだけ追い出し。
新しく来る侵略者もいるのなら。それを叩き潰すだけだった。
※ブラックホール展開機
本作世界での資源の回収は主にこれから行われています。
簡単に言うとブラックホールというのは吸い込むと同時に実は物質を(正確には粒子として)放出もしています。小型のブラックホールはこの傾向が特に顕著で、短時間で「蒸発」します。これをホーキング輻射と言います。
この現象を利用した兵器の一つがヤマト2199以降の波動砲ですね。
また大型のブラックホールも長い時間は掛かりますが、結局は蒸発します。
この蒸発を早めることにより、ブラックホールに圧縮された膨大な物質を回収するのがブラックホール展開機です。
このテクノロジーは現在侵略者、支援者両方で使われていて、宇宙戦艦を作り出すような多くの物資は此処から得ています。
侵略者が工場で掘っている物資は、現地での任務のために調達している分ですね。星なんか掘り返すよりも、ブラックホールから掘り出した方がずっと早いのがこの時代なのです。
逆に言うと、支援者が鉱山だのなんだのを作って惑星環境をあらさなくてもいいのも、これがあるからですね。特に支援者は銀河系中枢を抑えているため、ほぼ無尽蔵の資源を銀河系中枢の超巨大ブラックホールから得ることが出来ています。
本作にどういった要素がほしいですか。要望があれば遠慮なくどうぞ。
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圧倒的な武力による蹂躙
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種族や文明の描写
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近接した力量のライバルとの死闘