王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶 作:dwwyakata@2024
満身創痍になりながら、どうにか撤退戦を完遂。孤立していた基地の人員の内、救助できる人員の救助には成功しました。
しかし大攻勢による大きな被害は隠しきれるものではありません。
戦線整理をしなければならない状況が来ました。
ユグル大佐の指揮する駆逐艦二隻が、味方戦線にたどり着く。相当数の戦闘要員を失い、ウォーリア隊は半減。
戦闘機も攻撃機も七割近くが落ちた。ドローンは無人とは言え、一機も生還できなかった。
艦内では、非戦闘員や、基地に取り残されていた民間人の治療が最優先。
軍規はしっかりしていて。
それを見て、兵士も襟を正す。
ただしそれは兵士の治療を後回しにすることにもつながり。
撤退はやはり困難を極めた。
それでも、駆逐艦は大きな打撃を受けつつも、味方の戦線内に復帰したのである。地獄のような撤退行だったが。
通信が回復する。
各地の基地周辺では、まだ激戦が続いている。
ズヴァールラ提督が出て、敵の猛攻を防いでいるが、それでも限界がある。
新しい基地ユニットが展開している。輸送船もいる。
宇宙戦闘で用いられる、大型病院船も来ていた。病院船というだけあって、駆逐艦よりもかなり設備が優れているらしい。
大きさは駆逐艦とほとんど変わりがないが。
基地に到着して、すぐに本格的なウォーリア二型の修理が開始される。幸い、宇宙から物資は持ち込まれている。
侵略者が惑星アラタに落着するのは命がけだが。
支援者は比較的安全に降下できる。
ただしやはり地上戦では、侵略者に一日の長がどうしてもある。
それもあって、今はとにかく、前線を支えるしかない。
連絡が来る。
ズヴァールラ提督からだった。
「無事に戻ったようだなミラン中尉」
「はい」
「親衛軍ウォーリアを単騎で倒したと聞く。 近々大尉に出世する辞令が降りる。 より動きやすくなるだろう」
「ありがとうございます」
ズヴァールラ提督は何か通信の向こうで食べている。
食べながら喋るのは流石にあの複雑な形状の顎でも難しいらしく、思考を言語化する装置で喋りかけているようだ。
とにかく燃費が悪いと聞いているから、仕方がない話である。
「西大陸の非戦闘員は、一度東大陸と南極北の亜大陸に退避して貰う。 それくらい西大陸は戦況が悪い」
「ズヴァールラ提督がそこまで言うほどですか」
「ああ。 今戦線の整理をしているところだが、既にうんざりするほど被害が出ている。 宇宙軍から増援を回して貰っているが、戦線が落ち着くまでどれほどの損害が出るか分からないな」
そうか。
その後は、いくつかの話をして貰い。
そして基地でやっと休むことが出来た。
ハコトがウォーリア二型の修理を続けている。不眠不休だが、ロボットだ。整備の時間さえ入れれば、休息はミラン達よりずっと短くていい。
ただしロボットでも壊れる。
そろそろ、休憩が必要な頃だろう。
丸まって休む。
その後は、言われて風呂に入る。
風呂が気持ちいいと思ったことは一度もない。体毛が少ない種族だと、入るとリフレッシュ効果があるらしいが。
新たの民は自分の臭いも落ちるし。
何より毛の手入れが大変なので、入らなければ良いのならそうしたいくらいである。
ただ、他の種族とやっていくためだ。
風呂に入って、汚れを落とす。
これでリフレッシュ出来る種族は羨ましい。
ファーガの栄養液を固めたものを食べる。これが一番リフレッシュする。無言でもぐもぐとやっていると、戦況図が送られてきた。
北極大陸の戦線は、膠着。
工場が一つ落着したようだが、こちらの基地が孤立するようなこともない。押し返す事に成功はした。
ただし押し気味に戦っていた北極の戦線は、これで工場への攻撃作戦を中止せざるをえなくなった。
西大陸近くの亜大陸二つは、現在苦戦中。
親衛軍ウォーリアは現れていないが。
それでも戦線を維持するので手一杯。
孤立した基地は早めに放棄して、どうにか脱出に成功したらしいのだが。
被害は決して小さくなかったようだ。
そして、西大陸。
基地二つを失い、他の地域でも戦線が大きく崩されている。
此処に工場ユニットが多数落着したためだ。
宇宙ではまだ侵略者が追加の工場を落とそうとしているらしく、宇宙軍が必死に防いでくれているらしいが。
敵は味方より少なく、より大きな被害を出しているにもかかわらず。
おぞましいまでの執念で、惑星アラタに工場を落とそうとしているらしい。
厄介な話だった。
戦況図を見ていると、兵士達が行き交っている。
「ワーカーだ。 また押し寄せてきたらしい」
「工場が増えて、基地が落ちた。 それで活気づいていやがる……」
「落ちた基地のウォーリア隊は全滅だってよ……」
「ああ。 基地の人員も、かなりの被害を出したらしい。 それで連中、調子に乗ってやがるんだ」
ばたばたとしているが。
まだミランに出撃の指示は出ていない。ウォーリア二型の修理が不十分だからである。
通常のウォーリアで出ることも可能だが。
現時点で、その指示は出ていない。
一応行動のグリーンライトは貰っているが。
これだけ戦線が広がっている状態だ。
ミランの勝手で、勝手な場所に出撃するわけにもいかないし。
カスタム機とはいえ、たかがウォーリア一機で戦況をひっくり返せるほど世の中は甘く出来ていないのだ。
親衛軍ウォーリアほどの改良がされていれば或いは、だが。
あれは通常のウォーリア五十機分くらいのコストが掛かっているらしいし。
流石にそれは贅沢であるだろう。
今は待つしかない。
ほどなくして、ウォーリア二型の修理が完了する。
充分に休憩を取った。
ユグル大佐が連絡を入れてくる。
「しばらく、私が、指揮をとり、ます」
「分かりました」
「ミラン中尉、さっそくですが、この地点に向かいます。 ワーカーの大軍に味方が苦戦しています。 迎撃をお願いします」
「了解」
すぐにウォーリア二型に乗り込むと、待機していたキャリアに乗り込む。
駆逐艦は最後の一隻まで出払っているのもあるが。
比較的近くの戦線だ。
というか、この拠点のすぐ近くまで戦線が来ていると言って良い。
今必死に戦線を整理してくれているズヴァールラ提督ですら、これだけ押し込まれているのだ。
駆逐艦も大破しているものが数隻出ているらしく。
戦況は良くない。
現地には、多数の戦車や陸上兵器も向かっている。
ウォーリアは基本的に車輪が着いたり、ホバーで移動するキャリアで現地に向かうことが多い。
これはウォーリアが動力を非常に喰うからで、戦場に着いたら即時に戦闘開始出来るようにするための措置だ。
移動中、ミランは戦線の状況を確認しておく。
多数のドローンが出て、イーターを封じているが。
谷間の地形で、そこからあふれ出しているワーカーを、押し返せずにいるようである。ブレイカーが何体か出てきていて。それで被害が拡大したのもあるらしい。
味方部隊は必死に火力を集中しているが、ワーカーの数が多く。
イーターもかなり出てきているので。ウォーリア隊が前衛を支えきれず。何カ所かで崩れ。
それで後方の地上兵器部隊が、大きな被害を出しているようだ。
ハコトが連絡を入れてくる。
「装備は前回の状態と同等です」
「分かりました。 よく頑張ってくれましたね」
「いえ……すみません。 強化の依頼も出ていたのに」
「まずはこれで充分です」
そろそろだな。
戦闘音が聞こえてきた。
丘を越える。
分厚く布陣している味方の砲兵が、激しい砲撃を浴びせているが。ワーカーの勢いが確かに凄まじい。
ウォーリア隊が苦戦している。
80機は出ているのに。
「ドローンより連絡! 後方にはまだ最低でも数千のワーカーがいる模様! 更に増えています!」
「冗談じゃないぞ! ずっと戦い続けなんだ!」
「他の戦線だってそうだよ! 此処を崩されると、後がない! 基地にこいつらが殺到するぞ!」
「くそっ!」
ミランはキャリアから降りると、長槍を構え。ブースターをふかす。
前線に躍り出る。
「こちらユグル大佐。 第十七陸上戦闘師団、現着」
「おお、助かった!」
「英雄だ! 親衛軍殺しが来たぞ!」
「よし、押し返せ!」
味方の士気が上がる。
ミランはワーカーの群れに突っ込むと、まずは手始めに数機を屠る。敢えて突っ込んだ後、すぐに下がる。ワーカーが殺到してくるが、味方の十字砲火をもろに食らって粉砕される。
狙うはワーカーではなく、厄介な動きをしているイーターだ。
戦況のレーダーを見ながら、ややこしい動きをしているイーターを、冷静にパルスレーザーで潰して行く。
味方の陸上兵器を狙っている奴。
ウォーリア隊に水平射撃をしている奴。
それらを先に潰して行くことで、味方の負荷を減らす。
味方部隊が丘に布陣しているが、其処への浸透を防ぎきれていない。空軍機はここ数日の損害が大きく、簡単には出られないようだ。
確かにミランも、基地からの撤退戦で、空軍機が多く破壊されるのを見た。全戦線であんな様子では、簡単には出られないだろう。
敵を散らしながら、味方の支援を中心に立ち回る。
淡々とワーカーを打ち倒しつつ。
やられそうな味方ウォーリアを支援。
手が届く範囲では、助ける。
手が届かない範囲では、どうしようもない。
谷間の上に陣取っているイーターを見つける。あれがかなりドローンを落としているようである。
しかも嫌な位置にいる。
狙撃も簡単にはできない。
味方部隊も、丘近辺まで浸透しているワーカーもある。簡単に前には出られないようである。
しかたがない。
とにかく、ワーカーを削るしかない。
丘の後方に、大型のキャリアが到着。
指揮所と、簡易の基地が作られる。前哨基地という奴だ。簡単な修理機能を有している。更に多数の医療設備を乗せた戦場用救急車も来たようである。
これで、やっと互角だ。
まだ押し返せない。
焦っても駄目だ。
とにかく、確実にワーカーを潰す。
羽を広げてエネルギーを回復しながら、黙々と潰して行く。倒した敵の数など、覚えてもいない。
味方に飛びかかるワーカーを、パルスレーザーでたたき落とす。
「14番機、今のうちに下がれ」
「了解! 助かった!」
「数が多すぎる!」
味方の泣き言が聞こえるが。
とにかく今はやるしかない。
ワーカーは際限なく来る。それに、だ。
なんだか嫌な予感がする。
敢えて下がって、回復を開始。その予感は、すぐに現実となっていた。
谷間を広げるようにして、ブレイカーが姿を見せる。
うまく崩落を避けながら、谷間を崩していた。もっとも、ちょっとやそっとの岩の崩落なんか、ワーカーには効かないのだが。
谷間を広げられると、ボトルネックになっている地形が解消されて、更にワーカーが押し寄せてくる。
ドローン部隊はまだまだ後続が来る事を告げてきていて。
このままでは、押し切られかねないのだ。
「ユグル大佐」
「どうしたのかね」
「前に出ます。 あのブレイカーを潰さないと、被害が拡大します」
「分かった。 可能な限りの、火力投射をする」
相変わらずユグル大佐は口調がたどたどしいが。
それでも、その命令は的確で迅速だ。
即座に迫撃砲部隊が一斉射を開始。
自走砲も、集中投射を開始して、敵の陣列をこじ開ける。
かなりギリギリだが、やるしかない。
ブースターをふかして突っ込み、敵の群れの中を行く。ワーカーが仕掛けてくるが、右左に斬り倒す。
勿論余裕などではない。
みるみるエネルギーの残量が削られていく。
ブレイカーが見える。
ブレイカーはミラン機を確認すると、いきなりブースターをふかして、全力で突貫してきた。
凄まじい速度、勢い。
それもそうだ。
本来は宇宙戦闘で暴れる兵器だと聞く。速度が出るのは当たり前だろう。
地面を抉りながら、突っ込んできたブレイカーをかろうじて回避。
だがブレイカーは、ドリフトしながら、即座に次の突撃を仕掛けようとしてくる。ワーカーはデータリンクでもしているのか、その動きを一切妨げない。
前に出る。
突っ込んでくるブレイカー。
フルパワーで、スラスターを噴かす。
相手も調整してくる。
だが、ブースターでの推力も併せて、一気に加速。火花を散らしながら、突撃を紙一重で回避。
掠りでもしたら吹っ飛ばされて、たちどころにワーカーに集られる。
回避しつつ、長槍でブレイカーを貫く。
浅い。
刺さり方が浅くて、ブレイカーは破壊できない。地面に突き刺さると、即座にブースターを噴かして、ブレイカーがバック。そのまま振り返りに掛かる。
だがその時。
ミラン機は下がりながら、パルスレーザーを連続してたたき込む。ブレイカーはうっとうしそうに突撃してくるが。
その動きは、明らかに鈍い。
狙いはブレイカーの機体についているスラスターだ。
それが破壊するには充分。
動きが鈍ったブレイカーの突撃を回避しながら、長槍をつかむと。
今度こそ、深々と貫いていた。
致命打。
ブレイカーが粉砕される。
長槍を引き抜くと、敵地からの脱出を図る。ワーカーが殺到してくるが、自爆特攻するドローンが、それらをある程度削ってくれる。
また、味方の支援砲撃も助かる。
合間を抜けながら、一気に敵の群れを脱する。
敵が追撃してきて、食いついてくるが。
密集したところに迫撃砲が炸裂して、数十機のワーカーがまとめて吹き飛んでいた。
「噂には聞いていたが、ブレイカーを単騎でやりやがった!」
「本当にエースなんだな……」
「皆、まだ油断は、出来ません。 敵はまだまだ来ます」
「了解!」
ユグル大佐が窘めると。
兵士達は士気も回復したのか、ワーカーに向かっていく。
ミランも安全地で羽を広げて回復しながら、ワーカーを狩っていく。
とにかく、今は敵の頭数を減らすしかない。
戦闘して小休止を入れ。
それからまた出撃する。
三度それを繰り返した時点で、やっとワーカーの勢いが落ちてきた。
水を飲む。
ファーガの栄養液がいいが、今はそうも言っていられない。味方の兵士も、かなり疲労が激しいようだ。
「北の戦線が厳しいらしい。 親衛軍が出たそうだ」
「あれだけ工場が追加で降ってきたんだ。 親衛軍くらい出るだろうぜ」
「そうだな……」
丸まって休む。
とにかく、今のうちに出来るだけ回復するしかない。
前哨基地に、ハコトも到着。休んでいる間に、ウォーリア二型の整備をしてくれる。そっちは出来ないから、全て任せるしかない。
仮眠を取った後、あまり美味しくない食事を取る。
食べ過ぎないように、敢えて美味しくしていないそうだ。
戦場の後方では、まともな味の食事が出る。それもあって、色々と複雑な気分である。簡単なメディカルチェックも受ける。
今の時点では問題なし。
味方の兵士が、騒ぎ出して。取り押さえられて、連れて行かれるのを見た。
PTSDというのだったか。
それを発症したらしい。
あの兵士はしばらく病院で回復だろう。種族によっては、心の傷を回復する治療が既に確立している。
ミラン達新たの民はまだデータの収集中らしい。
心が壊れると、取り返しがつかない可能性もある。あまり無理は出来なかった。
「ミラン中尉」
「はい」
ユグル大佐が来る。
相変わらずのっぺりしていて、動きもゆっくりしている。
無機生命体ということもあって、他と色々と違っているのだ。ちなみに食事も岩が好物であるらしい。
有機物は栄養にならないそうだ。
「既に兵士達から、聞いているかもしれませんが、北の戦線が危険です。 親衛軍が出ました」
「やはりウォーリアですか」
「いえ。 戦闘機です」
「戦闘機との戦闘は、あまり経験がありません」
これは事実だ。
敵親衛軍ウォーリアが、味方戦闘機を落とすところは以前見たが。
あれは親衛軍ウォーリアの無茶なスペックがあって初めて出来る事だ。ウォーリアでは、機体性能、装備、双方の観点から厳しい。
ただ戦闘機に勝てないかというと、そういうこともない。
互いに担当分野が違う兵器だ。
戦闘機は制空権を握るための兵器で、対空に特化している。
古い時代は戦闘機は戦場の王だったこともあるらしいが、今では対地攻撃力はかなり限定的なのが実情だ。
これに対して、ウォーリアも対空戦闘は決して得意ではない。
というかそもそもとして。
侵略者の兵器の動きを鈍らせるから、前衛を張れるだけ。
兵器としては、別に戦場の主役でもなんでもない。
親衛軍ウォーリアがおかしすぎるだけなのだ。
「戦闘機の対処は、味方がどうにかします。 貴方は崩れかけている味方戦線を、支えてください。 それだけではありません。 敵にはまた新しい親衛軍ウォーリアが来た可能性もあります」
「また新しい親衛軍ウォーリアですか……」
「現在この星系での戦闘規模を考えると、来ているのがむしろ自然です。 この戦線は幸い落ち着きました。 貴方がいる地点が激戦区になるのはある程度仕方がありません。 行ってください」
「了解」
すぐに移動開始。
移動を開始すると、後ろで兵士達がやんややんやと声を上げていた。
感謝の言葉が、色々な種族のやり方で発せられている。
ブレイカーは倒したが、それほど大した活躍は出来ていない。
エースが来た。
それだけで、味方の士気が回復した。
だが、それでいいのなら。
それで被害が減るのなら。
ファーガとテフとともに、静かに暮らしたいのはある。
まだ大いに未練としてある。
しかし今はそれより先に、侵略者を押し返さなければならない。
現在、安全地帯に、西大陸の新たの民が移動中だ。東大陸や南極は、宇宙軍がなんとしても工場ユニットの落着を防いでくれるという話だ。
逆に敵の密度が上がっている西大陸は、更に敵が増えてもおかしくない。
無言で移動中、戦意を練る。
キャリアで移動中、ハコトが整備をずっとしてくれていた。助かる。
そして、しばしして。
仮眠から醒めると、もう戦場がすぐ近くだった。
「こちらタータス大佐」
「ミラン中尉です」
「辞令だ。 君は今朝から大尉になる」
「ありがとうございます」
すぐにウォーリア二型に乗り、戦況図を見る。
これはよくないな。
さっきと違って平原での戦闘だ。味方の陣地が激しい攻撃に曝されていて、いくつも陥落の危機にある。
タータス大佐はかなり大柄な種族だ。見たことがある。支援者六種族の一つ、プラパルダ。
ズヴァールラ提督と似たような戦闘が得意な種族で、新たの民より一回り大きい。
俊敏で力も強く、見かけも似ていて、体中が体毛に覆われている。
雌雄に別れているのは新たの民と同じだが。
見た目があまり変わらない新たの民と違って、プラパルダは男性が頭に一から三本の角を持ち。
女性は顔の後ろにたてがみを持っている。
女性の方が体が大きく戦闘力が高い種族だが。
タータス大佐は、見た感じ男性のようだ。
「エースが来てくれて助かる。 早速、指定した地点への援護をお願いしたい」
「心得ました。 親衛軍戦闘機が来ていると言うことですが」
「ああ、それなら問題ない。 今対処を進めている」
そうか。
ともかく、キャリアから降りると、戦場に向かう。
後方から来ている味方部隊増援も、戦闘に続々と加わっているようだが。これは手が足りていない。
前衛に出る前にも、戦線を突破したワーカーがいる。それらを斬り伏せながら進む。これはかなりまずい。
後方にある前哨基地が、砲撃をずっと続けている。
この戦場では戦闘用の地上ドローンがかなり出ているが、地上ドローンはワーカーに比べてかなり強さで落ちる。
ワーカーを防ぎきれていない。
長槍を振るって、ワーカーを倒しながら前衛に。パルスレーザーを抱えると、襲われそうになっている味方を支援。右左と飛びかかってくるワーカーを蹴散らす。
「67番機、下がれ」
「だ、駄目だ、ブースターが」
「歩いて下がれ。 自分がカバーする」
「くっ、すまない!」
激しい損傷を受けている67番機をカバーしながら、飛びかかってくるワーカーを蹴散らす。
味方の陣地が掃射砲をずっと打ち続けているが、それでも手が足りていない。周囲は阿鼻叫喚だ。
散らばっている多数の敵味方の残骸、更にそれが増える。
イーター。
即座に叩き潰す。
ワーカーが一斉に飛びかかってくるが、的確に間を抜けながら、長槍を振るって斬り伏せる。
全てまとめて、とはいかない。
エネルギーの残量に気をつけながら、確実に一機ずつ仕留める。
それにしても多いな。
敵の親衛軍戦闘機は暴れているが、その動きが鈍り始めている。其処に、不意に真上から、光の束がたたきつけられ。
消し飛ばされていた。
大爆発。
ワーカーの群れが吹っ飛ばされる。
「今のは何ですか」
「衛星高度からの砲撃だ。 ドローン部隊を用いてあの親衛軍戦闘機を追い込んで、砲撃に巻き込んだ」
「……」
「まだ戦況は見ての通りだ。 悪いが、しばらく戦線を支えてくれ」
言われるまでもない。
とにかく、戦い続ける。
こっちでも三日三晩くらいは戦わなければならないだろうな。
そうミランは覚悟していた。
ズヴァールラ提督の元に、被害報告が来る。
うんざりするほどの被害だ。
基地四つを失い、三つが大きな被害を受けた。うち孤立していた二つを、ミラン中尉……いや大尉の活躍もあり、親衛軍を倒しながら生存者を救い出したのは大きい。上がプロパガンダに使うだろうか。
いや、侵略者の悪い真似はしないと信じたいところだ。
失った残り二つの基地は、早めに放棄を決めて、それで被害を最大限減らした。
だが、戦線の変動。
敵の増加。
それらに伴う戦線の整理。
非戦闘員の脱出作戦。
これらの一連の戦闘の結果、被害は140万人を超えた。地上戦での被害としては、非常に大きい。
しかも七割が非戦闘員。
敵の損害はそれ以上……もっとずっと上であり、比率としても多いことが分かってはいるのだが。
それでも、ズヴァールラ提督は忸怩たる思いを抱えざるを得なかった。
「戦闘そのものの結果は有利で、こちらの勝利です」
「星系全域で見ればな。 この星では明確に不利になっている」
「それはあくまでこの星での結果で……」
「そう割り切るのであれば、貴官は合理主義に足首をつかまれている。 民間人に大きな被害を出した時点で、敗北と私は見ているがな」
肉をむさぼり食いながら、ズヴァールラ提督は被害報告を持ってきた副官にそう答える。
そして、しばしして。
指示を出しておく。
「戦線は整理された。 だが、落着工場ユニットの中に、親衛軍を生産できる工場があったら厄介だ」
「は……」
「西大陸は現時点で一度保留。 民間人は東大陸と南極北の亜大陸に移って貰った。 我々は戦力を加え次第、北極に仕掛ける」
北極。
戦況にはそれほど変動がなかった北の地の大陸。
この星では、南極の方が遙かに寒い。
全体的に温暖な気候の星であり、南極ですら年中雪は降るものの、巨大な氷河地帯は出来ていない。
北極は南極より温かく、夏には雪がある程度溶けて消えるほどだ。
「ミランくんにも参加して貰う。 それで親衛軍ウォーリアが出るようなら……」
「現時点で親衛軍ウォーリアは確認されている二名が両方とも倒れています。 新規が現れれば、敵の戦力をある程度測れるわけですね」
「そうだ。 いずれにしても10を超える工場が追加されたのだ。 こちらも戦力を追加しないと割に合わないがな」
宇宙軍と協議しながら、増援を回して貰うしかない。
新たの民の戦士も前線に加わってくれているが。
元々戦闘を主軸とした民族ではないのだ。
ズヴァールラ提督も、そういった民族に戦闘を強いるつもりはない。
戦闘に加わってくれているだけで立派だと思っている。
「いずれにしても、現状は戦力の補充、被害の回復、そこからだな……」
味方も基地ユニットを追加で投入してくれた。これを用いて、西大陸の前線をより頑強に固めるところからだ。
ズヴァールラ提督は、まだ准将で。
少将になれば、もう少しましな提案を上に通せるのだが。
現在の権限では、これが限界である。
口惜しい。
個人武勇が通じる戦闘であるのなら、そこらの相手には引けを取らない自信もあるのだけれど。
今は、こうやって地道に作戦指揮を執り。
反撃の牙を研がなければならなかった。
※プラパルダ
支援者六種族の一角です。見た目はまんまライオン人間ですね。ただしこの種族は雌の方が雄よりも体格が優れていて強い傾向があります。現実での近い例では肉食恐竜もそうだったようです。また、現実のライオンは雄がたてがみを持っている事で有名ですが、このプラパルダは雌がたてがみを、雄は一から三本の角を持っています。
元々戦闘力にも科学力にも優れた種族で、宇宙空間に進出してから侵略者と接触した経緯があります。当然遭遇当初は手も足も出なかったのですが、他の種族と連携して戦ううちに、支援者の主要六種の一角を占める存在となっていました。
支援者の士官などにはプラパルダがかなりの数いますが、指揮官としては雄が、前線の戦士としては雌が当たることが多いです。
タータス大佐はもろにこのパターンですね。雌より体格が劣るとは言え、プラパルダは全てが勇敢な戦士であり、タータス大佐も例外ではありません。
本作にどういった要素がほしいですか。要望があれば遠慮なくどうぞ。
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詳細なマシンデザイン
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圧倒的な武力による蹂躙
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緻密な人間ドラマ
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種族や文明の描写
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近接した力量のライバルとの死闘