王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶 作:dwwyakata@2024
侵略者の大攻勢を退け、どうにか戦線整理に成功しました。
これによって反撃作戦が開始されます。
問題は、敵の大攻勢によって親衛軍ウォーリアが更に増えていることですね。
このため追加で専門家が来ます。
序、北極大陸攻勢開始
西大陸に展開しているズヴァールラ提督から連絡が来る。
増援部隊が到着したそうだ。
宇宙空間での戦闘が落ち着きつつある。敵は被害を出して、戦線を少しずつ下げ始めた。
まだ揚陸艦を繰り出して、工場ユニットの落着を狙っているようだが。被害は向こうがずっと上。
味方は数も支援体制も上。
そのような状況では、惑星アラタに仕掛けてきている部隊も、消耗を続けていく事になる。
だが侵略者は、更に増援を投入してくるかもしれない。
この惑星アラタがある星系の外縁にある侵略者の人工惑星はまだ陥落の兆しもないし。敵も総崩れになるほどではないらしいのだから。
増援部隊は、親衛軍ウォーリア対策の部隊。
積極的に倒すことは難しいが、それでも足止めをする事が得意な部隊をそろえている。いずれも無人兵器主体だそうだが。それでも、対策のスペシャリストもいるし。ウォーリア隊も、消耗した部隊を補充してあまりあるほどの人員が来ているそうである。
更にだ。
エースらしい人。
現在特務をしているという人物も、タータス大佐から紹介を受けた。
見かけは更に新たの民を屈強にしたような姿をしている。タータス大佐の同族であるらしい。
かなりまだ若い個体で、繁殖年齢にも達していないそうだ。
ただそれはあくまで「肉体年齢」の話であり、記憶を引き継いでいるクローン体であるそうだが。
人権は認められているそうで。自分の意思で戦闘に立っているらしい。
ミランのような単騎での親衛軍ウォーリア撃破は達成できていないが。それでも、味方と連携して今まで四機の親衛軍ウォーリアを撃破してきており。
それもあって、既に大尉であるらしい。
ミランと同じようなウォーリアのカスタム機に乗っていて、中距離戦を得意としているそうだ。
タータス大佐の立ち会いで、顔を合わせる。
敬礼をすると、相手は。同じ性別だからか。遠慮なく言ってくる。
「単騎で親衛軍ウォーリアを倒した戦士という割には細くて弱そうだ。 ウォーリア戦では活躍をしていると言うことか」
「レンダル大尉」
「分かっております。 しかしながら、相手を見極めておきたいのです」
「構いません。 確かに貴方の種族に身体能力では新たの民は及ばないと思います。 それは事実です」
ミランもそれは認める。
というよりも、強さにそれほど執着がない。
明らかに強さに執着している種族を見てきたが、不思議だと思う。
これは恐らくだが、ファーガとともに暮らし。
戦争とは無縁の生活を送ってきたアラタの民だから、なのかも知れない。考え方はそれぞれにあるのだ。
そしてそれがバリバリの戦闘種族よりも戦果を挙げていたら。
戦闘種族は、あまり気分が良くないかも知れない。
それについては分かるつもりだ。
だからミランもああだこうだというつもりはない。
「私は無人機と連携して親衛軍ウォーリアを足止めするのを得意としている。 必然的に別の戦線で戦うことになる。 広域での連携をすることになるだろう。 足を引っ張らないようにしてくれ」
「分かりました」
「……」
タータス大佐が呆れ気味に、早足で行くレンダル大尉を見送る。
レンダル大尉はミランよりもだいぶ背が高い。
自分で戦闘する種族だ。
種としての作りが違っているのだから仕方がない。ミランも、それについて悔しがるつもりはない。
「身内がいきなりけんか腰ですまないな。 だが、戦歴もレンダルの方が君より上なのだ。 短時間で大尉になり、しかも少佐への声も掛かっている君を意識している者は他にもいる。 不愉快に思うかも知れないが、許してくれ」
「いえ、別に大丈夫です。 彼女は親衛軍ウォーリアの足止めに特化していると言うことですが」
「ああ。 今まで親衛軍ウォーリアとの交戦例は16回。 仲間と連携して仕留めたのがそのうち四回。 ただいずれの戦いでも、大きな被害を出していてな。 身内からは組むと死ぬと言われて、嫌われていてな」
「それは、災難ですね」
彼女はまだ子供だ。実際に生きている年月はともかく、恐らくそれが戦闘に適していると判断して、自分で肉体年齢を固定しているのだと見て良い。
それは色々とつらいだろう。
結局特化した無人機部隊を率いることになり、現在では親衛軍を如何にして足止めするかに特化した部隊を率いているそうだ。
貰っているカスタム機も、狙撃と防御に特化しているらしい。
親衛軍ウォーリア相手に、近接戦を挑んで勝てるとは考えていない。
だからこそ、無人機での飽和攻撃と、支援射撃に徹すると。
戦略としては間違っていないと思う。
ウォーリア戦では負け無しだった潰し屋みたいな親衛軍ウォーリアもいるのだ。そも戦わないのは、戦略の一つである。
いくつかの話をした後、戦線を決められる。
ズヴァールラ提督は戦線を整理した後、西大陸東にある亜大陸での攻勢を開始するが、これは囮。
本命はミランがいる北極での攻勢だ。
ズヴァールラ提督の座乗艦は最前衛に出ている事もあって、敵には既にマークされている。
勿論親衛軍ウォーリアとはいえ駆逐艦を落とすのは簡単ではないので、即座の撃墜は心配しなくてもいいだろう。
西大陸には、今会ったレンダル大尉をはじめとする、特科部隊がいくつか展開するそうである。
それで親衛軍ウォーリアを食い止めるそうだ。
そうしている間に、北極大陸にある七つの工場ユニットを潰す。
それで北極大陸の工場ユニットを分断し。
後は各個撃破が可能となる。
つまり打通作戦というわけだ。
この攻撃には、かなりの戦力が参加する。敵が攻勢に出てきた瞬間に、カウンターを入れる。
そこから、一気に押し込んでいくのが作戦の主軸となるそうだ。
ミランはミーティングでそれを聞かされる。
敵は恐らくだが、攻勢に対して大胆な反撃に出るのではないか。
そうとも思う。
敵からしてみれば、これだけの戦力を追加で呼び寄せたのだ。活用しない筈がない。
今まで親衛軍ウォーリアが次々に出てきた。
だとすれば、また別の奴が出てこないとも限らないのである。
ミーティングが終わった後、他の親衛軍ウォーリアについても、戦闘記録を見ておく。
シミュレーションマシンでも戦ってみる。
まだカスタムをこれ以上ウォーリア二型にするわけにもいかない。
そう考えると、色々と厳しかった。
「ミラン大尉、厳しいですか?」
「はい。 厄介ですね……」
「現状のカスタムだと、どうしてもこれ以上の性能を引き出すのは難しいかと思います。 せめて武装などを工夫して、引き出しを増やすくらいはしておかないと」
「交渉をしないといけないのはおっくうではありますが」
問題なのは、親衛軍ウォーリアだけにかまけてはいられないということだ。
この間登場したカッターや、ブレイカー相手の戦闘も考慮しなければならない。
勿論イーター相手に油断は出来ないし、ワーカーだって危険な相手だ。
いつの間にかスウォームが制空権を握って、航空支援が来ない中での戦闘など、考えたくもない。
ともかく、やれることは先に全てやっておかなければならないのだ。
準備を進めていると、通信が来る。
ワーカーだ。
かなりの数が前線に接近している。
北極大陸だけではない。
ズヴァールラ提督が苦労して整理した戦線全てに接近しているようだ。敵側も大攻勢を仕掛けてきた、ということである。
また、東大陸に向かってシーキャリアが出たらしいが。
これは宇宙軍が対応するらしい。
宇宙からの砲撃で、まとめて消し飛ばしてしまうそうだ。
うまくいけばいいのだが。
念の為に、東大陸にも駆逐艦が出向いて、最悪の場合の水際殲滅にも出向くそうである。
ズヴァールラ提督は、恐らく当初の目的を変えない。
まずは敵の猛攻をしのいでからの、カウンターだ。
すぐに準備を済ませて、ウォーリア二型に乗り込む。前線まで、キャリアで移動していくが。
キャリアには、かなりの戦力が乗っている。
いきなり攻め寄せた敵を、壊滅させるというわけだ。
各自展開。
ワーカーの群れが相当にいる。
スウォームも相当数が出てきていて、既に味方のドローン部隊との戦闘が開始されていた。
これはイーターもいるな。
そう思いながら、味方の攻撃をまずは見守る。接近してくるワーカー相手への猛射は容赦がなく。
一方的に射すくめていく。
激しい砲撃戦が終わると、ウォーリア部隊が出る。
かなりの数だ。
また、上空でも戦闘機部隊が戦闘に参加。
スウォームを駆逐し始める。
さて、此処までは順調だ。
問題は此処からだと、ミランは思った。
ともかく、味方を支援する。
ウォーリア部隊を指揮している少佐はかなり不慣れなようだ。作戦指揮が下手と言うよりも、恐らくは雪原での戦闘になれていない。
ある程度こちらでカバーしなければならないだろう。
「ケプル少佐」
「む、噂のミラン大尉か」
「送った座標のウォーリアを下げてください。 視界をそれぞれ塞がれて、突出し孤立する事になります」
「そ、そうか。 雪原での戦いは不慣れというか経験がなくてな。 アドバイス助かる」
シミュレーションマシンくらい事前に使ってこなかったのかとぼやきたくなるが。
ケプル少佐のウォーリアそのものは動きが悪くなく。
次々とワーカーを打ち倒している。今、視界に入ったイーターを即殺もしていた。
個人としての技量は間違いなく高い様子だ。
だとすると、作戦指揮も一緒にするのがキャパオーバーになっているのか。他人事ではないなとミランは思う。
作戦指揮官の適性はないと既に申告している。
実際にこういう、個人武勇は優れていても、作戦指揮で問題を露呈させる人を見ると、その判断は間違っていなかったと思う。
特にミランの場合は親衛軍に目をつけられている。
親衛軍と戦いながら作戦指揮なんて絶対に不可能だ。
「西大陸戦線から通信!」
「何か発生したか」
「親衛軍ウォーリア出現! 対親衛軍ウォーリア部隊との戦闘を開始しています!」
「そうか。 貴重な大気圏内での戦闘データが得られる機会だ。 健闘を祈るしかない」
タータス大佐がぼやいているのが聞こえる。
そうだろう。
指揮官ならそう考えなければならないのだ。
それにしても。
敵の攻勢、これは相当に本気であるらしい。
ひょっとするとだが、こちらの狙い。
攻撃を捌いてからのカウンターを見抜いているのか。見抜いているとしても、作戦を変えるわけにはいかない。
そして見抜いているのなら。
恐らくは、そろそろ来るはずだ。
来た。
今までとは若干違う形状の親衛軍ウォーリアだ。乱戦をしていた味方部隊が、さっと指示に従って避ける。
あれは。
今まで見たことがない相手だ。
シミュレーションマシンで相性が悪そうなのは何度か戦ったが、どれとも違う。戦闘機として飛んできて、目の前で親衛軍ウォーリアに変形した。
親衛軍ウォーリアが背中から抜いたのは実体剣じゃない。
確か高出力のプラズマを放出して、それを固定する光る剣。
親衛軍ウォーリアが着地する。
白と赤をベースにした機体だが、こちらだけを見ている。凄まじい威圧感だ。
最初に戦った白い奴と似ているが。
あれの派生機か。
そして、いきなり襲いかかってくる。
あのプラズマの光る剣、長槍で受け止めるのは無理だ。間合いを丁寧に測りながら、攻撃をいなす。
見た感じ、装備に関しては特別変わったところはない。特徴がない親衛軍ウォーリアだ。だが。
動きが速い。
凄まじい動きで、連続して斬りかかってくる。間合いを侵略しようとしてくる。更には、立て続けに小型のレールキャノンで射撃してくる。
こちらも対応するが。
これは乗っている奴がとんでもなく強いのか。
恐らく今まで交戦した中で、乗っている奴が一番強いかも知れない。
「戦場ではしゃぎやがって肉が! 死ね! 修正してやる!」
「はあ」
「解体してやる!」
いきなりヒステリックに喚くと、立て続けに斬りかかってくる。
感情を乱すと動きもぶれるものだが、此奴は違う。
殺意という観点でも潰し屋以上。
刃に、殺意という観点で曇りが一切存在していない。それはあまりにも純粋な殺戮のための武技。
思わず閉口してしまう。
ウォーリアは属人的な兵器だ。
乗っている奴がここまで強いと、平均的な親衛軍ウォーリアでも、こうも性能が上がるのか。
まずい。
間合いを侵略されたら、一瞬でやられる。
必死に左右にステップを踏みながら、射撃を、斬撃を回避する。
攻め込む隙がない。
下がりながら、相手をいなす。
エネルギーの残量もかなり怪しいか。これは非常に厳しい相手だ。
凝った武装を持っているわけでもない。
凝った特徴があるわけではない。
ただ、単純にひたすら操作している奴が強い。ウォーリアにとっては、これが最適解なのかも知れない。
斬撃が速すぎる。
それでも必死に回避を続ける。味方の対親衛軍ウォーリアレールキャノンの攻撃範囲に誘い込むが、射撃がことごとく空を切る。
「邪魔なんだよザコが!」
喚きながら、親衛軍ウォーリアがレールキャノンで応戦しようとした瞬間、斬りかかる。初めて守りに回った親衛軍ウォーリアは、舌打ちしていた。攻撃は届いていない。
一瞬の拮抗。
幸いパワーは其処までではない。
勿論ミラン機よりは上だが、それでも他の親衛軍ウォーリアにくらべて、別に突出している訳ではない。
それでこれだけ強いのは、反則に近い。
「他のカスどもが苦戦するわけだ。 これは面倒な肉だな」
「貴方も所詮肉だ。 狂った指導者とやらのな」
「黙れ! 指導者様は、俺を救ってくださったんだ! 腐った大人どもからな! そんな巫山戯た寝言を言う奴は、やはり修正してやる!」
腐った大人、か。
新たの民にも、子育てに向いていない者はいた。
ミランも或いは、侵略者が攻めてこなかったら、普通に発情期を迎えて。子を産んでいただろう。
その時、子育てに向いていたかは分からない。
弾きあって、距離を取る。
レールキャノンの弾幕をひらりひらりと回避する親衛軍ウォーリア。冷静極まりない立ち回りだ。
頭はどう考えても殺意に塗りつぶされているのに。
頭が冷静さを欠いていても、これだけ動けるほどの操縦手と言うことか。だとすると、親衛軍ウォーリア乗りの中でも突出した化け物なのかも知れなかった。
「邪魔が多い。 だが肉の性能は理解した。 これで充分だ」
その場で戦闘機に変形すると、凄まじい加速で、その場から消える親衛軍ウォーリア。ミランは嘆息して、連絡を入れる。
あれは危険な相手だ、と。
「武装は平均的ですが、乗っている奴が尋常じゃありません。 戦闘データなどはありますか」
「後でそちらに回しておく。 これだけの年月渡り合っている事を考えると、ない方が不自然だろう」
エネルギーの残量が丁度切れた。
幸いほとんどこちらもダメージを受けてはいない。相手の動きがやばすぎるので、防御と回避を徹底した結果だ。
あれの攻撃から生き延びた。
それだけでも、よくやれているのかも知れない。
ただ、よくやれた、ではだめだ。
これから大規模な作戦が開始される。下手をすると今確認されている三体の親衛軍ウォーリアが全部同時に出てくる。
今までの傾向的に、親衛軍ウォーリアが同一の戦場に出てくることはまずないという。親衛軍戦闘機や砲艦は一緒に出てくるらしいのだが、この辺りはよく分からない。
解体屋と殲滅屋、今の奴が同時に襲ってきたら、ミランではどうにもならないのが現実だったが。
逆に言うと、次は連中が襲ってきても。
確実に仕留めなければならないという事だ。
頭が痛い話である。
ともかく、一度戻る。
機体の整備を頼むと、食事にする。そうしているうちに、作戦の準備が整い始めた。
様々な情報が入ってくる。
いくつかの作戦では、かなり大胆な攻勢を行うそうである。
確かに工場の落着ユニットの数を考えると、押し戻される可能性も決して低くないのである。
最大級の規模での攻撃は必須だろう。
「ミラン大尉」
「はい」
軽く体を動かして調整してると、タータス大佐から連絡が入る。
この戦線では、北極にある敵工場への積極攻勢として、かなり大胆な規模の部隊を動かすという。
親衛軍ウォーリアが出てくる可能性は極めて高い。
その時は、確実な撃退を頼む、という話をされる。
ミランとしては頷くしかない。だが、今確認されている三機はいずれも厳しい相手だ。
今から、悩ましいところだった。まだ、根本的なウォーリアのカスタムはされないのだから。
※位相変換シールド
本作で使われている防御技術です。
宇宙空間の戦闘などは特に顕著なんですが、亜光速で飛んでくる飛行体なんて、装甲がどんだけ硬かろうと無意味です。そこで、運動エネルギーをどうにかする防御手段が必要になります。それがこの位相変換シールドです。
物質には位相……液体、固体、気体などがあるのはご存じかと思いますが、空間にも実は存在します。
空間の位相が下がって相転移を起こし、世界が崩壊してしまう現象を「真空崩壊」と言います。どこかで発生したら光速で広がっていって宇宙が終わる奴ですね。
位相変換シールドは、マイナスの空間相転移の真空崩壊とは逆に、空間をプラスの方向に瞬間的に相転移する技術です。
この場合、熱々のスープがすぐに冷めるように通常の空間に戻るのですが、戻るまでは運動エネルギー等をはじき返したりするとんでもない空間ができあがります。
これを反物質炉の力で引き起こすのが位相変換シールドです。
現実には反物質の対消滅で得られるエネルギー程度では到底無理なんですが、本作は遙か未来の世界の話なので、其処は解決されています。
本作にどういった要素がほしいですか。要望があれば遠慮なくどうぞ。
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近接した力量のライバルとの死闘