王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶 作:dwwyakata@2024
ほぼ放棄状態の惑星アラタの西大陸を孤立させるための作戦。ミランはその一つ、北極大陸の攻略作戦に従事します。
敵の勢力圏を打通して、分割した上で各個撃破する。
戦力に余裕があるから出来る作戦です。
もっとも、親衛軍ウォーリアとか出てくると、色々不測の事態がおきますので、ミランも従軍する訳ですが。
何度かの小競り合いの後、本格的にズヴァールラ提督が攻勢に出る。敵の攻撃を跳ね返した直後に、全軍が前進を開始。
更には、後方から温存していた駆逐艦を主力とする部隊が前進。
一気に最前線に展開している戦力が数倍に膨れ上がった。
それらが敵工場に殺到しつつ。
猛攻を仕掛ける。
北極でもそれは例外ではなかった。
攻勢でワーカーを減らした直後の大反撃作戦である。最初に叩いた工場は、ほとんど迎撃戦力も出せず。
駆逐艦からの猛烈な砲撃にシールドを破られ、そう時間を掛けずに爆発四散していた。ワーカーがそれからようやく迎撃に出てくる。他の工場で生産されたものだろうが、それも今回はこちらの数が違う。
強いて言うなら挟み撃ちの形にされている事だが。
それは相手の数が多かったり。
相手が明確な作戦を立てている時に、ようやく成果を発揮するものだ。
兵を二手に分けて挟撃、というのは、事前に綿密な打ち合わせをして。それぞれに適切な経験を積んでいる指揮官がいて、初めて成立するらしい。
侵略者の兵器は高度とは言えプログラムで動いており。
AIの類は利用していない。
これもあって、迅速で強烈な突出には対応できず。駆逐艦を主軸にした猛攻の前に、ワーカーをはじめとする敵の迎撃部隊は次々に蹴散らされた。
ウォーリアが出るまでもない。
今もスウォームが、戦闘機隊とドローンにたたき落とされている。
この戦線だけで、八隻の駆逐艦が出てきていて、それが重厚な鱗形陣を敷いて前進している状態だ。
ワーカーは掃射砲の餌食である。
イーターも反撃はしてくるが、それもドローンが餌になっている間に、掃射砲に駆逐されていく。
今の時点では、極めて順調だ。
部隊はここ最近の敵の攻勢を完全に跳ね返し、押し込まれていた戦線を押し返すようにして、前進を続けた。
そろそろだろうか。
ミランが思った時だった。
展開していたドローン部隊から、警告が来る。
「敵接近! 今までに見たことがない規模のワーカーです」
「親衛軍ウォーリアも同道している模様!」
北極の地図が出るが、その一角が真っ赤になっている。どうやら工場がフル稼働して、全戦力を吐き出してきたらしい。
ならば、これを迎撃し撃破すれば勝ちだ。
冷静にこの方面の指揮を任されているタータス大佐が作戦を指揮する。
「よし、予定通りBポイントまで後退する。 全艦隊、微速後退開始」
「微速後退!」
「ドローン部隊はそのまま展開! 敵を引きずり込め!」
作戦開始。
敵が思い切った迎撃部隊を出してくる事は想定の範囲内だ。
そして北極の地形は、既に全て測量済みである。勿論移動中に、敵の待ち伏せなども全て解析しながら進んでいる。
相手はいわゆる隠蔽技術においては、支援者より下回る。
これもあって、早期に敵を発見できるのが支援者の強みだ。
ただ、流石に地中から奇襲してくるブレイカーなどが、乱戦で猛威を振るう場合もあり。そればかりはどうにもできないが。
全軍がある程度後退して、陣形を整え直す。
艦隊正面右から来ている敵は、ワーカーだけで四万はいるようだ。ものすごい規模ではあるが、こちらも駆逐艦八隻と、それが搭載している戦力である。
下ろされる移動式掃射砲。
ワーカー部隊も展開。
戦車隊、自走砲、迫撃砲も次々と展開した。そして、こちらに向けて進んでくるワーカーの部隊は、どうしても坂を上がってくることになる。その上こちらに向かう際に、部隊が混雑する。
敵の大軍を迎え撃つために、先に考えられていた戦略的要所。
その一つが此処で。
そして、それが机上の空論ではないことが、此処で示されていた。
「敵には親衛軍ウォーリアもいる。 総力戦だ。 全員、この地を敵軍の墓場にし、工場を丸裸にしてやれ!」
「了解!」
「攻撃開始!」
駆逐艦八隻が火力を完全解放。
スウォームの群れが、見る間に火球へと変わっていく。
其処にドローンと戦闘機隊も襲いかかる。
つるべ打ちにされるスウォームだが、それでも剽悍にこちらに迫ってくる。命なき存在故に、恐れなどない。
だが、恐怖というのは必要だからあるのだ。
今スウォームは、圧倒的な火力の前に蒸発しつつあり。恐怖を持たない存在がどういう末路を遂げるのか、身をもって示しつつある。
ミランは移動しながら、目についたイーターを仕留める。
ほどなく、映像が入る。
親衛軍ウォーリア。
よりにもよって、一番最近戦ったあいつか。
凄まじい機動で、ドローンをなぎ払いながらこちらに迫ってきている。他はどうでもいい。ミラン狙い一択、という動きだ。
いいだろう。
こちらもエネルギー残量は満タン。
勿論確実に勝てる保証などはないが。
味方とも事前に打ち合わせはしてある。
此処で此奴を倒す。
此奴の通称は狂獣。
データでは、宇宙戦闘で凄まじい暴れぶりを見せる親衛軍ウォーリアであり。自爆特攻のような無茶苦茶な攻撃をしてくることで知られている。
それでいながら撃墜した成功例は少なく。
異常な動きでウォーリア隊を翻弄し。
その凶暴性から、何かの病気で思考回路を侵された獣のようだと言うことで、狂獣と呼ばれるようになったらしい。
狂っていても此奴が強いことは、以前手合わせをして知っている。
だからこそ、此処で仕留めなければならないのだ。
「そこにいたか、肉っ!」
「肉じゃない。 お前達は、本当に自分以外を肉としか思っていないんだな」
「肉は肉だ! 肉の分際で言葉を喋り、挙げ句に指導者様に逆らう! お前のような奴は、修正してやる!」
「あっそう」
敢えて冷たく返し、相手の頭を更に熱くさせる。
これでいい。
突貫してきた狂獣の一撃をいなす。
とにかく、ウォーリアよりも此奴自身が強い。だから、それを逆利用することで、撃破につなげることが出来る筈だ。
一合、二合、激しく渡り合う。
火花が散り。
ミランも、冷や汗が飛ぶのが分かった。
ズヴァールラ提督が指揮している西大陸の戦線では、親衛軍ウォーリアが出現していた。殲滅屋である。
凄まじい動きだ。
炉を三つ使っている親衛軍ウォーリア。その速度は、戦闘機を超えている。非常に厄介な相手だが。
炉を三つ戦闘機に搭載したら、もっと速くなったのではないのだろうかと、ズヴァールラ提督は思うのだった。
ともかく、戦闘データは今までにない撃退例をミラン大尉が取得してくれた。
更に分かったことがある。
あの親衛軍ウォーリアは、かなり特殊な構造になっている。
味方の対親衛軍ウォーリア部隊が、ドローンを中心に、相手を誘引していく。あんなものに接近戦を挑んで、命を散らすのは無意味な行為だ。
対親衛軍ウォーリアは、基本的に数で誘い込んで、対抗兵器で潰すものになる。
そして大気がある惑星地上付近では。
宇宙空間でどれだけの速度で周囲を翻弄する機体であっても、速度は大幅に殺されるのである。
これは推力をどれだけ積んでいても同じ。
殲滅屋が機体に振り回されている。
それはミラン大尉からの報告にあったが、正確には少し違うだろうとズヴァールラ提督は見ている。
あれは、大気圏内での動きに対応し切れていなかったのだ。
空気は速度が上がれば上がるほど粘性をまし、強烈な負荷と抵抗となって機体にまとわりついてくる。
あの親衛軍ウォーリアは、それを御し切れていないのである。
よし。
指定の連絡が来る。
「やれ」
展開している駆逐艦が、まとめてパルスレーザーの弾幕を展開する。それによって、殲滅屋が周囲を完全に檻にとらわれる。
即座に逃れようとする殲滅屋だが。
其処に、狙い澄ました荷電粒子砲の一撃が炸裂していた。
レンダル大尉のウォーリア二型による、中距離狙撃だ。彼女の間合いである。これによって、今までの勝利をつかんできたのだ。
更にダメ押しに、三連続で射撃をたたき込む。
とどめだ。
駆逐艦から、硬X線ビーム砲の主砲……威力を勿論押さえ込んでいるが。それをたたき込んでやる。
如何に親衛軍相手とは言え、たかがウォーリア相手の攻撃ではない。
凄まじい高出力エネルギーが、大気中に爆発の連鎖を作り出す。
たとえ直撃しなくても、衝撃波をもろに食らって、無事ではすまない。レンダル大尉が、連絡を入れてくる。
「損傷確認。 エネルギーチャージ再開」
「よし……」
「戦闘中の西大陸南亜大陸より連絡! 親衛軍ウォーリア出現! 解体屋です!」
「厄介なのは亜大陸に出たか。 まあいいだろう。 適当にあしらえ。 手に負えないようなら、戦線を下げろ。 相手にする必要はない」
あれを落とせと命令するほど、ズヴァールラ提督も非情じゃない。
あれはミランのような特殊なエースが相手に出きる存在であって、まともに戦っても勝てない。
それこそミサイルの飽和攻撃や、相当な被害を出すことを覚悟の上で仕留めるしかない。
さて、どうなった。
煙が晴れてくる。
ダメージを受けている殲滅屋。だが、三つとも炉は無事なようだ。
「敵健在。 攻撃を続行」
「ちっ。 ギリギリで回避したか」
「いえ。 恐らくは致命的な攻撃を避けるためにパルスレーザーに飛び込んだんです。 だから機体をあれだけ損傷させている。 このまま飽和攻撃で押し切りましょう」
「そうだな……」
だが。
次の瞬間、殲滅屋の機体が内側からはじけ飛んだ。
表面装甲が全てパージされ、内側から出てきたのは、赤黒い機体だ。多少面積は減ったが、しかし無傷。
即時で対応開始。
だが、殲滅屋は今までと違って、明らかに振り回されていない。
速度を上げると、ドローンを片っ端からたたき落としていく。あれは、どういうことだ。
情報士官が、必死に検索。
解析していた。
「わ、わかりました。 あの機体、致命的なダメージを受けると、短時間凄まじい強化を遂げて、暴れ狂うようです。 なにしろ硬X線ビーム砲が擦ったのです。 中の存在が、耐えられたとは思えません。 自爆特攻をしてくるかと」
「まずいな……」
全艦集結。位相変換シールド全開。
指示を出し、慌てて駆逐艦達が集まり始める。
間に合うか。
ズヴァールラ提督の目の前で、必死にレンダル大尉が対親衛軍ウォーリアにカスタムしたドローン部隊での猛攻を加えるが、それらは全て紙くずのように蹴散らされる。
ある種の生物は、死の間際にもっとも美しい光を放つと言うが。
あれはまさにそれか。
地上に突っ込んでくる。
退避。
叫ぶが、間に合わない。
ウォーリアどころか、ワーカーもイーターも、目につく存在を、まとめて殲滅屋が切り裂いて行く。
凄まじい速度に、逃げる暇すらない。
必死に掃射砲で狙うが、その速度さえ超えている。これは、中の操縦手が耐えられるとは思えないし。
何より。
後方から、レンダル大尉が裂帛の気合いとともに、大型狙撃砲を構える。
荷電粒子砲だけではなく、収束レーザーにも使える。
収束レーザーはパルスレーザーと違って威力が収束しすぎてしまい、相手に却って当たらなくなる場合があるが。
レンダル大尉は、相当な凄腕で、今までも多くの戦果を挙げてきている。
味方部隊が、必死に弾幕を展開するが、戦車や自走砲も次々に切り裂かれ、阿鼻叫喚の有様だ。
これは、うかつにつついてはいけないものをつついてしまったか。
ズヴァールラ提督が呻く目の前で。
レンダル大尉がレーザーを撃ち込む。
一発目、外れる。
二発目、直撃。だが、コアは外したか。機体は止まらない。いや、機体が自壊を開始している。
これはある程度うまくいっているかも知れない。
いきなり、レンダル大尉の方に、殲滅屋が方向転換。
生き残ったドローン部隊が少しでも時間を稼ごうとするが、一瞬で全て切り裂かれてしまう。
強すぎる。
速すぎる。
親衛軍のような存在が死力を尽くすと、これほどの圧倒的な強さを発揮するというのか。立ち塞がったウォーリアが、一瞬も時間を稼げない。
最後の一撃。
レンダル大尉の狙撃が、明らかに殲滅屋の親衛軍ウォーリアのコアを貫く。だが、それでもまだ止まらない。
大気を燃やすほどの高熱で、レンダル大尉のウォーリア二型と、親衛軍ウォーリアが交錯。
次の瞬間。
真っ二つにレンダル大尉のウォーリア二型が切り裂かれていた。
同時に、ついに力尽きたらしく、親衛軍ウォーリアも爆発四散する。この間と違い、粉みじん。
欠片も残らなかった。
「レンダル大尉!」
「ど、どうにかコアへの直撃は避けました。 しかし……」
「すぐに回収する。 無事な部隊! レンダル大尉機を守れ!」
「了解!」
被害はさんさんたる有様だ。
どうにか親衛軍ウォーリアは倒したが、対親衛軍ウォーリアに調整されたドローン部隊は全滅。
レンダル大尉のウォーリア二型も全損。
助け出されたレンダル大尉は、酷く負傷していた。しばらくは病室から出せないという。
戦況も今ので完全に五分まで引き戻された。
これは、此処にミラン大尉がいても結果が変わったかどうか。大きめの肉をつかむと、ズヴァールラ提督は食い始める。
部下達が、明らかに恐れているのが分かった。
親衛軍ウォーリアも。
機嫌が悪いズヴァールラ提督もだ。
ただ、機嫌を部下に押しつけるつもりはズヴァールラ提督にはない。
「親衛軍ウォーリアが手強いのは分かっていたつもりだったが、これほどの被害を出すとは……」
「すぐに予備部隊を展開。 被害を受けた部隊を後方に下げます」
「ああ。 それと解体屋の方は」
「そちらも被害甚大のようです。 どうにか追い払うことには成功はしましたが、いつまた襲ってくるか……」
状況は良くない。
それに、である。
ミラン大尉も、今狂獣と渡り合っているという話だ。
ウォーリア戦は、どうしても兵器が小型である事。搭載できる反物質炉の出力に限界がある事もあって、あまり長時間は続かない。
これは親衛軍ウォーリアでもそうで。
無茶なカスタムで出力を上げている親衛軍ウォーリアでも、たびたび補給に戻る事が確認されている。
あちらも近いうちに結果が出るだろう。
いずれにしても、この戦線では、一度体勢を立て直さなければならない。明らかに敵のコスト以上の被害をこちらが出した。
これだから親衛軍は嫌いだ。
そうズヴァールラ提督は思ったが。
好き嫌いで勝負が決まるわけではない。
肉をむさぼり食いながら、次の作戦展開を考えつつ、頭を冷やす。今は少しでも冷静さを取り戻し。
勝つための作戦を練らなければならなかった。
第十三艦隊を指揮するマーザン中将は、腕組みして報告を聞く。
三機の親衛軍ウォーリアが同時出現して、惑星アラタで猛威を振るっている。被害甚大。
敵が激烈な抵抗をしてくることは想定していたが。
これは想定以上だ。
現在この星系に展開している侵略者の宇宙艦隊は80万隻を割り込み、増援も減りつつある。
それに対して第十三艦隊の方は兵力がほぼ横ばい。140万隻のまま推移している。
連日の戦闘で敵の方が被害が大きく。
回復力でも敵の方が低い。
マーザン中将が敵司令官だったら、即時撤退を決断する状況だが。
敵の狙いは全く分からない。
腕組みしながら、援軍を手配する。
地上戦の人員は消耗が激しい事もあって、クローン出身の戦士が多い。記憶を引き継いで、死んだとしてもまた戦う。
そういう覚悟を決めている戦士が多いのだ。
これに加えて、故郷を侵略者に焼き尽くされ食い尽くされた記憶が新しい戦士や。
単純に侵略者が嫌いで、それだけで命を賭けている者もいる。
宇宙戦闘の方が、実は被害比率で言うと少ないくらいなのである。
膨大な物量戦になるが、ウォーリアなども無人型がかなりの数展開している。戦艦なども、直撃弾を貰ってもダメージコントロールで、内部の人員が助かるケースが多いからだ。
ともかく手配をしながら考えていると。
挙手したのは、白衣といわれる侵略者が昔に使っていた衛生用の衣服を身に纏った者だ。
今回参謀本部から送られてきている人員。
侵略者のロボットのガワと、封じられたAIを一部再利用した者達がいる。
ミラン大尉の側で働いているハコトというロボットもそうだが。
それらロボットの一部は侵略者の思考を読みやすいと言うこともあって、なんと参謀本部に加わっている。
ちなみに見かけは本来の、性別があった頃の侵略者に酷似しているそうだ。
今は侵略者は性別も存在せず、自己繁殖も出来ないのだが。
「何かね、アリカ少佐」
「侵略者の指導者の考えについてですが、よろしいでしょうか」
「ああ、聞かせてくれ」
「単に新たの民の天然物の肉が食べたいのでは」
周りがどよめく。
そんなことのために、これだけの宇宙艦隊を動かし、バカみたいな規模の戦争で物資を浪費し。
いくつかの戦線を崩壊させ。
味方全部を不利にしているのか。
流石に無視しようかと思ったが、アリカ少佐はによによとしている。ロボットでありながら、食事が大好きで。快活だが、何を考えているかよく分からない存在。
少佐にまで出世したこのアリカは、型番は9200011とかなり最近に作られた存在であり。バックドアなどが仕掛けられていないことははっきりしている。
アリカ型のロボットは今では戦闘に出ることもあり。
まだ繁殖力があった頃の侵略者の雌ににているらしいのだが。
侵略者は本来こういう姿をしていたのかと、周りが話していることも多いようだ。
そしてマーザン中将の知る限り。
アリカをはじめとして、侵略者の星で廃棄されていたり封印されていたAIデータから復元されたロボットは。
侵略者や、侵略者の支配者の思考を、ある程度正確に読む。
これはマーザン中将も、認めざるを得ないことだった。
「いくつかの戦線は崩壊までしている。 そこまでして此処にこれだけの戦力を投入して、今も自殺同然の特攻攻撃を続けさせ、それで得たいのが肉だと?」
「合理的ではないとお考えですよね。 でも分かるんですよねえ。 侵略者の指導者は、全部自分のお気持ちを優先するし、正しいと一度考えたら、それが何があっても正しいんですよ」
「つまりだ。 新たの民なり、惑星アラタの生物の肉が気に入った。 情報は伝達しているから、奴のいる星でクローンを作ってそれを喰うことも出来るが、それよりも天然の肉が食いたい。 だから全戦線から兵を裂いてまで、此処での作戦をさせていると」
「そうです」
バカじゃねえのかと、誰かがぼやいたが。
マーザン中将からしてみれば、今直面している猛攻を考えると、そうも言っていられない。
或いは、だが。
「君の推論が正解である可能性はどれくらいかね、アリカ少佐」
「そうですねえ。 69%ってところです」
「……動きを見るか。 今まで奴らが惑星アラタからコンテナを運びだそうとしているのを何度か確認しているな」
「はい。 その都度確実に撃墜しています」
そうだ。
だから奴が苛立って、どうしても天然肉を手に入れたいと思ったのであれば、つじつまが合う。
このまま此処で戦闘を続けても、消耗が激しくなるばかりだ。
味方は押しているが、それでも押し切れてはいないのである。
「……よし。 作戦はこのまま継続。 地上部隊は工場ユニットの破壊を継続。 しかし、コンテナを射出するようであったら、わざと見逃せ」
「はあ。しかし新たの民にしてみれば、許されざる事なのではありませんか」
「話はまだある。 まず作戦本部に連絡。 今の可能性について告げて、いくつかの事前準備をして貰う」
ワープ阻害シールド。それも艦隊規模のもの。
それを用意して貰う。
もしも今の考えが正しかった場合、肉を確保した敵は即座に逃げ出すはずだ。勿論、作戦本部と掛け合って、こっちの準備が出来てからコンテナを通す。
そして本当に敵が肉を守って逃げ出し始めるようであれば。
そこで、この星系に展開していた敵を、一隻残らず潰す。
敵の総戦力はこちらの七割ほどだが。
今この星系に展開している艦隊がまるごと全滅したら、かなりの打撃になるはずだ。
当然、肉なんぞ指導者には届かない。
新たの民に返して、埋葬なりなんなりさせてやるとする。
激しい戦いが続けば、更に頭に血が上った侵略者の指導者は、それこそブラックホール投射砲などの、星系で使ってはいけない兵器に手を出す可能性がある。
本当にやりかねないのだ侵略者の指導者は。
それはどうしても、マーザン中将も理解していた。
「私の方で作戦本部に掛け合う。 それまで、戦闘を続けてほしい」
「了解」
皆が散開する。
さて、事態はどう進むか。マーザン中将は、考え込む。ただ、被害を減らすこと。惑星アラタを守ること。
そのために、あらゆる手段をマーザン中将は講じなければならなかった。
※殲滅屋2
殲滅屋の切り札が、自身の全エネルギーと寿命を消耗しながら、戦力を上げる大技です。
ただしこれをやると敵味方の区別がつかなくなると言う問題があります。
本作で敵味方関係なく襲いまくっていたのはそういうことですね。
敵地でこれをやって、最終的に自滅する。殲滅屋の仕事には、自身を屠ることも含まれるのです。
感想評価などよろしくお願いします。励みになります。
本作にどういった要素がほしいですか。要望があれば遠慮なくどうぞ。
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詳細なマシンデザイン
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圧倒的な武力による蹂躙
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緻密な人間ドラマ
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種族や文明の描写
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近接した力量のライバルとの死闘