王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶 作:dwwyakata@2024
親衛軍ウォーリアを退けて、前進。
簡単にはいかないと分かっていた作戦ですが、当然大きなダメージを受けることになりました。
しかし此処が勝負所です。
惑星アラタを取り戻すための。
一度基地に戻る。基地と言っても、今回の敵中突破で設置したかなり新しい基地だ。戦闘特化型で、内部にファーガやテフはいない。ただし、医療設備はしっかりある。
比較的有利に戦闘を進められていたとはいえ、それでも手ひどく傷を受けた戦士は多くいる。
医師や医師支援ロボットは忙しく動き回っているし。
駆逐艦のドッグから移された兵器が、基地ドッグで整備されている。
駆逐艦にも大規模なドッグが内蔵されているのだが。
それでも限界があるからだ。
ミランには功労者ということで個室をくれるらしいが、謝絶。特別扱いはいらない。
たくさん寝床が並んでいる部屋で、丸まって寝る。
周りはあれがエースだってよとか。
まったく偉ぶっていないなとか言っているが。
あまり気にすることはない。
無言でただ静かに休む。
黙々と疲れを取る。
北極の敵を分断はした。
落着ユニットで勢いづいていた敵を、それ以前の勢力にまで押し戻した。
西大陸では相変わらず膠着状態のようだが、北極を落とせば三つの大陸から侵略者を駆逐したことになる。
確実に進んでいる。
だから、仮に……いやほぼ確実に侵略者が企んでいるとしても。
今は何も考えずに、休んでおくべきだった。
起き出す。
敵の反撃はない。
顔を洗って、それでミーティングを受ける。
会議室に幹部が集まって、なんて面倒なことはしない。基本的に与えられている端末とバイザーを用いて、それぞれがその場で意思表示と確認をするだけだ。議事録は勝手にロボットがつけてくれる。
「北極の打通作戦は成功した。 予定されていた敵工場は破壊し、親衛軍ウォーリア「狂獣」を仕留める事にも成功した。 損害は出ているが、想定の範囲内だ。 こういうことをいうと、我ながら心苦しいが」
「続けてください」
タータス大佐は割と感傷的だ。
指揮官は部下を数字で管理しなければならない。
ただ、こういう場所で想定通りの被害だから順調だ等と言ったら、身内や仲間に被害を出している戦士から反発を受ける。
それもあって、タータス大佐の感傷的な言動が正解なのだろう。
それを見ていても。
やはりミランは指揮官には向かない。
親衛軍を倒し、最前線に常に立つ。
味方の被害を可能な限り減らし、飽和攻撃以外で攻略の糸口さえつかめなかった親衛軍ウォーリアを倒す方法を見つける。
それで責任を果たしていきたいところだ。
「地図を見てほしい」
地図が表示される。
北極の南西部分は元々制圧地域だ。
北西部分を今回、北西に向けて真っ二つに切り割った。
切り割った制圧範囲には、三つの基地ユニットを設置。
今ミランがいるのがその一つである。
今の時点で、敵は反撃の動きを見せていない。
南北に別れた敵制圧地域には、合計八つの工場ユニットが健在。北に三つ。南に五つである。
これを、これから各個撃破する。
「遊撃の防御部隊として、駆逐艦三隻が制圧地域にて待機。 敵の大規模攻勢があった場合の防御と、攻撃部隊が苦戦している場合に予備部隊を出す」
「了解」
「攻撃部隊はこれから増援を加えて、駆逐艦五隻で出る。 まず狙うのは、敵の勢力が少ない北だ。 ただし、北には落着ユニットがある。 この間落着したばかりの工場だな」
それで一気に緊張が増す。
親衛軍ウォーリアを生産できる工場だったら、相当に激烈な抵抗が予想されるからである。
今の時点で、二機の親衛軍ウォーリアを倒していて。確認されている稼働中の親衛軍ウォーリアは一機。
あの赤い解体屋だ。
勿論、再生産してくる可能性もある。
いずれにしても、厄介極まりない話である。
最初に交戦した白い悪魔だって、今戦っても簡単には勝てないだろう。親衛軍ウォーリアは、どれも強いのだ。
「制圧済みの地域には、遊撃部隊がいて、非戦闘員を襲われる可能性はあまり多くはない。 宇宙からも監視を続けているから問題はないはずだ」
「だと良いのですが」
「……不確定要素を避けるためにも、出来る限り迅速に作戦を実行する。 皆、奮励されたし」
敬礼。
そのまま、作戦に移る。
五隻の駆逐艦の艦隊を編成し、その中に攻撃部隊が搭載される。その中に乗り込んだミランは、ハコトと話す。
「ウォーリア二型の整備は大丈夫ですか」
「可能な限り万全に仕上げています」
「ありがとうございます。 それで問題があるとすれば……」
「はい。 しかし、これ以上はなかなか。 飛躍的な性能向上をするとしたら、やはり特務になるしか」
分かっている。
特務になる場合について、説明は受けている。
1000億いる支援者の軍の中でも、二万いない特務は。切り札とも言える精鋭部隊である。
敵の親衛軍に近い。
惑星アラタから離れて、そのまま別戦線に異動という可能性すらある。
支援者はそれなりに配慮してくれるのだが。
それでも、各地ではまだまだ激戦が続いているのだ。
侵略者は会話が成立する相手ではないから、常に総力戦になることは避けられないのである。
それもあって、軍人に……特に特務には、殆ど休暇が与えられない。
それは事前の説明も受けているし。
ミランも覚悟は出来ている。
「特務になった場合は、ウォーリア二型に反物質炉をもう一基増設して、出力を上げたいところですが」
「コストが大きく掛かります」
「分かっています」
しかも、ウォーリア二型で散々戦闘のたびに破壊されるのを許されていたのが。
今後は小言が飛んでくることになるだろう。
親衛軍ウォーリアを倒してきた実績はあるが。
それはそれとして。
仮に親衛軍ウォーリアと同じ場所に立つとしたら、ウォーリア五十機分のコストか。それを一瞬で台無しにしたら、「始末書」とかいうのを書かなければならなくなるかも知れない。
ミランが書かなくても、ハコトがそれをやらされるかも知れない。
そう思うと、色々と心苦しい。
駆逐艦隊が速度を上げる。
敵の迎撃がないうちに、一気に進むためだ。だが、それもそう長くは続かなかった。
「スウォームの群れです! とんでもない数だ!」
「即座に迎撃」
「これは、打通作戦の間に戦力を増強していたとしか思えません! 西大陸から増援を呼んだ可能性も」
「好都合だ」
タータス大佐が吠える。
総員、総力戦用意。
それで、一気に場が緊張する。
此処で敵の大規模部隊を撃破できれば、それだけ敵の勢力を削れる。そして、この規模となると、恐らく。
ミランもすぐに出る。
最前衛では、既に押し寄せてきたワーカーとイーターが、ひしめくような数で乱戦を開始している。
駆逐艦隊の掃射砲でも対処しきれない。
戦闘機隊はスウォームの対処で精一杯。
イーターが、駆逐艦に集中攻撃を浴びせているのが見えた。
降下した戦車隊や自走砲部隊、迫撃砲部隊が猛攻撃を開始しているが、それでも敵が多すぎる。
ウォーリア部隊は最前衛で既に死闘を開始していた。ミランも其処に混ざると、まずはイーターを始末する。
丁寧にイーターを討ち取りながら、確実に移動を続ける。
来た。
横殴りの一撃をかろうじて回避。
水平射撃をしてきているイーター。やはりいるか。
危険を承知で既に出ている攻撃機隊が、相互リンクで確認。即座に滑空爆弾を投下して、イーターを始末してくれた。
ミランは移動しながら、味方の支援を続ける。たまに前に出て、長槍で味方に襲いかかろうとしているワーカーを仕留める。
エネルギーの残量を常に見ながら。
いつ親衛軍ウォーリアが出てきてもおかしくないのである。
程なく、予想は現実のものとなった。
稲妻のように襲いかかってきたのは、やはり親衛軍ウォーリアだ。赤い。でも、解体屋じゃない。
また新しい機体か。
だが、手にしているのは双剣だ。
かろうじて回避。
だが、即座に間合いを詰めてくる。流れるような攻撃の連打を、長槍の柄でいなしていく。
火花が散る。
最初は即座に長槍を真っ二つにされたが、今はそうはさせない。下がりながら、相手を観察する。
「貴方、自分と最初に戦った親衛軍だな」
「肉がまだ平和を乱しているか。 さっさと調理されろ」
「相変わらず現実の曲解が得意なようだな。 平和なんてものを乱しているとしたら、それは貴様の指導者だ。 指導者のしている事に少しは疑念を持てないのか。 持つと爆発するから怖いのか」
「黙れ」
凄まじい気迫とともに、更に切り込んでくる。
下がりながら、確実に相手の攻撃を捌く。
機体を赤く塗装しているといっても、戦力は同じだ。いや、強いて言うなら。以前よりも、更に速くなっている。
これは、まずいな。
最初の戦闘でも、相手は恐ろしく速かった。
初めて倒した時だってそうだ。
まだまだ速度が上がるのではないか。
こっちはこれ以上速度は上がらない。推力だって、相手の方が上だ。
大上段からの一撃、雷霆のごとく。
地面が、風圧だけでえぐれる。
装甲をごっそり切り割られる。コアは避ける。可動部も無事。それで可とする。生身だったら、今の一撃でもう動けないが。
今度は切り上げてくる、それも二連続。
旋回しながら、次々に攻撃を繰り出してくる。
しかも本来の身体構造を無視した動きでだ。
ウォーリアならではというところか。
それでも、冷静に見切る。
装甲を次々抉られる。火花が散る。長槍の柄に負荷が掛かる。エネルギー残量が減る。だが、冷静に動く。
不意に相手が下がる。
駆逐艦の掃射砲に狙われているのを悟ったらしい。掃射砲が、数発、威嚇射撃をたたき込む。
掃射砲の破壊力は、対親衛軍ウォーリアレールキャノンと同等かそれ以上だ。親衛軍ウォーリアでも受ければ無事では済まない。
だが、ミランの狙いは其処じゃない。
踏み込むと、今度は長槍で連続の突きをたたき込む。
それを右左に回避しながら、間合いを詰めてこようとする白い……もとい赤い悪魔。
そこに、ミランは不意に長槍を引くと、石突きで払っていた。
横薙ぎの一撃を受けて、わずかに親衛軍ウォーリアが揺らぐ。
更に、体当たりを思い切り入れる。
今度は確実に蹈鞴を踏む親衛軍ウォーリア。
推力が上であっても、機体重量は大して変わらない。
そしてコアの対G性能も、此奴はミラン機とあまり変わらないと見ている。
此奴は速度と技が売りの機体だ。
むしろ、こういう荒っぽい戦い方の方が、勝率は高くなる。
「次々と俺の仲間を殺しているようだな。 そういった野蛮で残忍な戦い方でか」
「悪いが貴方に野蛮だとか残忍だとかいう資格などない。 そもそも相手を肉扱いしている輩が、野蛮を語るな。 お前こそが野蛮だ。 だいたい貴様はどれだけ自分の……いやそれでは分かりづらいか。 私の仲間を殺した。 仇討ちなんて言葉、貴様に口にする資格はない」
「巫山戯た寝言を……肉が我らと同等のつも……」
言い切ることは出来なかった。
蛇行しながらバックして距離を取ろうとしていた親衛軍ウォーリアが。撃ち抜かれたのである。
撃ち抜いたのは、攻撃機の大出力レーザーである。
撃ち抜いた箇所は肩だが、それでも右腕を吹き飛ばすのには充分。そして、双剣は一本では力を発揮しきれないし。
今下がったことからも明らかだが。
此奴の技捌きは、万全な機体状態で、本領を発揮する。
攻勢に出る。
激しく渡り合う。
一本の腕でも、それでも必死にあらがってくる親衛軍ウォーリアだが、それでも動きが確実に鈍っているのをミランは見逃さない。
警告音。
ミラン機もそろそろ限界か。
警告を一瞥だけして、思い切り前に出る。
親衛軍ウォーリアが、剣を振り下ろしてきて。それがミランのウォーリア二型の頭部を唐竹にたたき割っていた。
生身だったら即死だ。
だが。これはウォーリアだ。
カメラがやられるが、どうでもいい。
今のがコアまで届かないのはわかりきっていた。
そのまま、相手の斬撃と同時に距離を詰めて、体当たりするようにして長槍で親衛軍ウォーリアを串刺しにする。
完全に動きが止まった親衛軍ウォーリアから離れて。
そして、突き刺さっている双剣を引き抜いて、その場に捨てていた。
コアを貫いた。
今ので即死だ。
コア部分が爆発四散する。
だが、敵の機体は、かなりの部分が無事だった。
「敵親衛軍ウォーリア撃破」
「見事!」
「エネルギーの残量ゼロです。 回収をお願いします」
「分かった。 味方部隊、敵の親衛軍ウォーリアの残骸も回収しろ!」
呼吸を整える。
やはり強いな。
それにしても、なんだ今の赤い塗装は。
解体屋も赤い塗装で出てきた別機体がいた。
ということは。
「タータス大佐」
「うん?」
「今の奴、もう一機いるかもしれません。 全軍に警戒を促してください」
「分かった。 敵はこの間の大攻勢で、相当な物資を惑星アラタに運び込んだ。 それくらいはしてもおかしくないかも知れないな」
ミランはドッグに戻ると、手ひどくやられたウォーリア二型を見やる。
最後の唐竹。
コアには届かないことは分かっていたが、それでもかなりコア近くまで剣が食い込んだのが分かる。
危ないところだった。
最後にこちらもチャージを掛けて、コアを貫いていなかったら。
エネルギーの残量が尽きていたら。
負けたのはミランの方だったな。
そう思った。
休憩している間に、急報が入る。
西大陸の戦線に、二機の親衛軍ウォーリアが現れた。
一体は解体屋。
そしてもう一体は、想定通り、白い悪魔だ。
激しい戦闘の末に、対親衛軍ウォーリア部隊がどうにか追い払ったようだが、被害甚大。西大陸の戦況はうんざりするほどの被害を出し続けている。
つまり、ミランの予想は当たったし。
作戦を急がなければならないという事だ。
敵を押し戻しながら進んでいるが、戦力が足りない。このままだと、西大陸の戦線が破綻する恐れすらある。
連絡が来た。
ズヴァールラ提督からだ。
タータス大佐も含めた、北極攻略部隊の士官に向けてのものだ。ミランもそれは含まれているようだ。
「状況は聞いているだろう。 西大陸に親衛軍ウォーリアが二体同時に現れ、やりたい放題をして去って行った。 被害甚大。 そちらに増援を回す余裕はない。 宇宙軍から増援が来るが、それを最初に回すのは、西大陸の防衛戦補填が最優先となる」
「問題ありません」
「くれぐれも無理な攻勢は控えてくれ。 宇宙でも、敵が三つ目の人工惑星を運んできたらしい。 連日うんざりするほどの工場ユニットを飛ばしてきているようで、迎撃で相当なコストが掛かっているそうだ」
「三つ目……」
星を作って。
それを運んでくる。
ものすごいことだ。
本当にとんでもない戦争に巻き込まれている。それを実感して、ミランは背筋が寒くなるが。
今は恐れていても仕方がない。
ウォーリア二型は、修理が進んでいるが、まだ出られない。
下では死闘が続いている。敵の規模が大きく、突破は難しい。北に仕掛けてくるのを読んでいた。
そう見るのが正しいだろう。
腹立たしい話だ。
明らかに、敵に行動を読まれた。誰がやったか知らないが、厄介な用兵をするものである。
タータス大佐が、皆に通信を入れる。
「聞いての通りだ。 敵は連日工場ユニットを飛ばしてきている。 艦隊戦では味方が有利なままだが、それでもどのような手を使ってでも、惑星アラタを蹂躙したいらしい」
怒りの声が上がる。
支援者の六種族だけではない。
参加している戦士の多くは、侵略者の被害者だ。
母星を追い出されても戦いを続けている種族や。
母星を取り返すまで、ずっと苦闘を続けていた種族もいる。
侵略者が星を奪うというのがどういう意味か、彼らは知っている。だから新たの民に協力的だし。
侵略者との戦いで命だって張る。
ミランも、それは本当にありがたいと思うし。
負けていられないと感じる。
「ただし、工場ユニットをどれだけ飛ばしてきても、艦隊戦で有利である以上、こちらが通しはしない。 惑星アラタの上空での戦闘でも、既に敵の影響力を排除しつつある。 これはプロパガンダではなくただの客観的事実である。 つまり敵は、工場ユニットを失い、戦力を目減りさせている。 此処で敵をたたけば、それだけこちらが有利になる。 今此処で敵を殲滅し、一気に敵工場を滅ぼす! 北極を取り戻し次第、西大陸に強襲を仕掛け、この星を屑の侵略者の魔の手から解放する!」
「おおおっ!」
「やってやらあああっ!」
「侵略者どもをぶっ潰してやる!」
翻訳されない雄叫びや、スラングらしい言葉も混じる。
嬉しい事だが。
ミランは、その怒りを共有するつもりにはなれなかった。
まだ疲れがたまっている。
今は、万全のパフォーマンスを整えるのが先だ。
ウォーリア二型の整備は、まだ終わっていない。他の予備機は。駄目だ。下の戦況が激しく、最後の一機まで出ている。
待つしかない。
その間にも、ズタボロにやられた味方ウォーリアが戻ってくる。生きているだけでもめっけものだろう。
コアまで傷が及んでいて、操縦手が運び出されて、医務室に。
ミランには、見ている事しか出来ない。いや、休むことが今は仕事だ。
とにかく休んで、ウォーリア二型の回復を待つ。
程なくして、修理完了。
長槍も、予備を出して貰う。
「ミランさん、また親衛軍ウォーリアが来るかも知れません。 くれぐれもエネルギーの残量には気をつけて戦ってください」
「分かっています」
ハコトに言われて、頷く。
そしてまた出撃。
戦況は少しずつ押しているが。とにかく敵が多すぎる。
向こうでブレイカーが攻撃機の射撃で爆砕したが。直後に、その攻撃機がイーターの対空射撃の餌食になって空中で爆散した。歯を噛む。もたついていられない。
味方の最前衛の少し後ろくらいから、支援続行。
ワーカーに集られそうになっている味方を支援して逃げる時間を稼ぐ。
無言で射撃を続けて、ひたすらに敵を討ち滅ぼす。
ワーカーを長槍で貫き。
飛びついてきたワーカーを回避しながら、相手の勢いも利用して、一気に真っ二つにする。
エネルギー残量。
下がって羽を広げる。
最近聞いたのだが、真空の状態の相転移から生まれる力を吸収しているだとか、そういう理由での回復らしい。
難しくてよく分からなかったが。
ただ、これは干渉できるようなものでもないらしく。
干渉しても、すぐに現在の状態に戻ってしまうらしい。
空間の相転移というそうだが。
いずれにしても、羽を広げて回復すればそれでいい。下がりながら、回復。そして、味方機の不利を、すぐに助ける。
それで、少なくともミランが見える範囲の味方の被害を減らす。
上で、掃射砲が爆発した。
駆逐艦の掃射砲が、イーターの猛攻を受けたのだ。だが、掃射砲をパージすると、内部から次を出す。
駆逐艦も地上戦仕様だと色々と変えてあるらしいのだが。
宇宙船仕様の駆逐艦よりも、地上戦仕様の方が、武装などのコストがぐっと掛かっているらしい。
ともかく、頼りになる。
ワーカーの数が減り始めたのは夕刻。
夕日が稜線に消え始めた頃、やっと激闘が終わった。
ともかく、味方の残存戦力を回収する。味方部隊の三割以上が失われたという事で、駆逐艦も位相変換シールドを抜かれて、相当なダメージを受けていた。イーターはそもそも宇宙戦闘用の兵器だ。
つまりそれは、宇宙戦闘用の艦艇が展開している位相変換シールドを抜くための武装を積んでいると言うこと。
手強いわけである。
ともかく、このままは進めない。
増援はすぐには来ない。
だから、せめて修理と治療をする。
駆逐艦も修理を進めていく。
戦士達は疲弊しきっていて、何も喋らない。ミランに敬礼をしてくる戦士もいたが。何も言うことはなかった。
助けて貰ったが、感謝の意を示すだけで精一杯。
そういうことだろう。
戦闘機や攻撃機もかなりやられた。爆撃機も、大きな損傷を受けている。本来は攻勢失敗だ。
だが、タータス大佐は偵察のドローンを出している。
敵が戦力を吐き出しきったのなら、まだ攻めるつもりなのだろう。
ミランは個人的には反対したいが。
しかし、敵の戦力が無尽蔵とはほど遠いことを考えると。
今攻めるのは、確かに選択肢にある。
ただ、一つ課題になるのは。
工場そのものの防空能力と親衛軍だ。親衛軍ウォーリアならまだいいが、親衛軍砲艦が出てきた場合は、色々と厳しいかも知れない。
タータス大佐は不眠不休で指揮を続けている。
これはあまり、声は掛けられないだろう。
ハコトが整備を終えた。
つまりいつでもウォーリア二型は出られる。
他のウォーリアは万全とはほど遠いが。それでも、これだけは救いだ。なんとかやれるだけやるしかないだろう。
「駆逐艦、整備完了」
「装甲はまだですが、位相変換シールド回復! 主砲も行けます!」
「よし、前進開始。 まだ戦力が回復しないうちに、敵工場を落としきる! 北極の北だけでも」
「敵影です!」
闇夜に。
それが飛んでくる。
今度は白い悪魔。しかも赤く塗装はしていない。これは厄介だ。
乗っている奴は、恐らくは何度か戦った白い悪魔の操縦者ではないだろう。だが、あの機体自体が強いのだ。
こちらが攻勢に出るとみて、出してきたというわけだ。
勿論、あれだけではないだろう。
「砲撃来ます!」
「何だと!」
「工場からです! 工場に大型の砲撃兵器確認! 連射してきます!」
「なるほどな。 親衛軍ウォーリアとあわせて疲弊しているところを十字砲火に引きずり込もうという訳か。 良いだろう。 力勝負なら受けて立つ!」
タータス大佐が声を掛けてくる。
出てほしいと。
当然だ。ミランは即時で出る。
月夜の中、敵親衛軍ウォーリアが、巨大な砲をぶっ放す。駆逐艦の位相変換シールドに防がれるが、その同じ駆逐艦に、大火力の工場からの攻撃が連続して突き刺さり、ついにシールドが抜かれた。
爆発が起きる。
高度が下がり始める駆逐艦。
だが、他の駆逐艦が、ダメージを受けた駆逐艦を庇う。ミラン機が、白い悪魔に挑む。大型砲を捨てると、双剣を振るって、ジグザグに迫ってくる。
「なんだかあたしの仲間をどんどん殺してる肉がいるって聞いたけど、まさかあんた? よわそー!」
「弱いかどうか、試してみろ」
今までのと違って、声が随分幼い上に甲高いな。
侵略者には雄雌は既になく、繁殖力も性別もないと聞いているが。本来は雌の子供だったのかも知れない。
勿論、それは加減する理由にはならない。
駆逐艦が進み始める。
残った部隊も展開を開始。傷ついている兵器も多いが、それでも工場から出てくる兵器を駆逐しに向かう。
それを邪魔はさせない。
数合渡り合う。
それで、やたら動きが良いのに気付く。なるほど、なんとなくわかった。
考えてみる。
このド屑、下手くそだな。
その瞬間だった。
「肉の分際で、この私を愚弄するか!」
「わかりやすい奴だな」
「何……?」
「少し前に思考を読む相手と戦った。 貴様、同じ能力持ちだな。 だが!」
長槍でたたき落とす。
基礎のスペックが、全然前の奴とは違う。着地。相手は必死に体制を立て直しながら、小型のパルスレーザーを取り出すが、即座にそれを切り払っていた。
連続して斬りかかる。
親衛軍ウォーリアにも、こんな雑魚がいるのか。それはちょっと驚いたが、どうでもいい。
恐らく、敵も品切れと言うことだ。
あまりハイコストな親衛軍も、親衛軍ウォーリアも、戦線に投入しづらくなっているのだろう。
「このこ汚い毛だらけの不潔な肉が、さっさと加工されろよ! それくらいしかお前等には価値がないんだよ!」
「断る」
「ふざけ……」
蹴りをたたき込む。
感情が優先して、せっかくの読心能力が活かせていない。
はっきりいって、今まで戦った親衛軍ウォーリアでぶっちぎりの最弱だ。こいつだったら、負けない。
何があってもだ。
スペックだけ無駄に高いが、攻撃が直線的すぎる。攻撃を回避して、右腕をたたき落とす。
悲鳴を上げて泣き喚く親衛軍。
何か罵声を挙げているが、聞き苦しいばかりだ。
そのままコアを貫く。
それで終わりだ。
機体が爆発し、木っ端微塵になる。爆発の予兆は見えていたので、即座に逃げて、巻き込まれずに済んだ。
「目標沈黙」
「凄まじい。 圧倒的だな」
「いえ、親衛軍ウォーリアとはとても思えないほど弱い相手でした。 今まで戦っ来た親衛軍とは比較にならないほどの弱さです」
「そ、そうか……」
ともかく戻る。
大きな被害を奇襲で出したが、それでも味方の火力は健在。そのまま地上部隊と連携して、工場の破壊に成功。更に残りも叩きに赴く。
気になる。今更なんであんなのを差し向けてきた。何か理由があるのではないか。
そうミランは思った。
※妙に弱かった親衛軍ウォーリア
これはある機体のための餌です。
此奴自身はそもそもとして、その機体を誘引するための餌に過ぎず、最初からそれを想定して運用されています。
つまり倒されるまでが仕事です。
酷い話ですが。
本作にどういった要素がほしいですか。要望があれば遠慮なくどうぞ。
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詳細なマシンデザイン
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圧倒的な武力による蹂躙
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緻密な人間ドラマ
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種族や文明の描写
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近接した力量のライバルとの死闘