王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶 作:dwwyakata@2024
工場で親衛軍が生産された。NO4_009611。非常に暗い目をしているものだ。何かを常に恨んでいるような目をしている。培養槽から出てくると、誰かの名前を呼ぶ。もはや、個人名を持つ事は許されていない。
それどころか、親衛軍は特に他の親衛軍と会うことも。
此奴を生産したのは指導者の趣味だ。
扱いやすいからである。
同時に、此奴をたきつけるための餌も作り上げた。
それは既に役割を終えた。
忌々しい肉が暴れている。
それを片付けるためには、此奴を使うのが良いと指導者は判断したのだ。
「指導者様。 ーーーーーーーは」
「殺された」
「……っ!」
「此処では肉どもが激しく抵抗していてな。 そいつらによって無惨になぶり殺しにされたのだ」
殺す。
NO4_009611が唾を飛ばして喚き散らす。
それでいい。
此奴の怒りは、とにかく簡単にコントロール出来る。
「指導者様。 手当たり次第にこの惑星の肉を殺してくれば良いですか」
「それは駄目だ。 この惑星の肉は美味でな。 出来るだけ天然ものを持ち帰りたいのだ」
「……はっ」
「その代わり、お前の大事な存在を殺した肉は突き止めている」
大事な存在。
滑稽な話だ。
此奴の餌として利用している親衛軍NO4_009610。
この型番の一部は予知能力や読心能力を有していて、それを戦闘に生かすことが出来る。だが、それを持ってしても、はっきり言って粗雑な性能としか言えない不完全な代物。頭も悪く、指導者もこれはただの使い捨ての駒と割り切っている。
使い方は簡単。
目標にこの駒を殺させることだ。
それによって簡単に親衛軍NO4_009611の殺意がマックスになる。
感情を殆ど取り去った親衛軍だが。
それでも一部の個体は感情が爆発的に高まる。
勿論、それが有意義ではない場合は、選定してしまうだけだが。此奴の場合は、利用できるから残してある。
ちなみにNO4_009610は、NO4_009611の事を知らない。認知すらしていない。
興味すら持っていないだろう。
勝手な横恋慕だ。
愛情なんてものは、それぞれの勝手な思い込みである。
それは指導者も知っていた。
ずっと滑稽だったし。
今もわずかにそれを残している場合は、利用するためだけのものとして残しているのである。
専用の親衛軍ウォーリアを用意してある。
あの肉。
通信によるとミランとか名前があるらしいが。肉についている名前なんてそれこそどうでもいい。
この星の役割はもうすぐ終わる。
天然物の肉を安定して確保できないのなら。
後は破壊してしまうだけだ。
必要ないなら破壊する。
宇宙の全てが自分のものだと考えている指導者にとっては、当然の思考である。邪魔をしてくる肉もろとも全て壊してしまうだけ。そう考える事が、唯一許されるのが指導者なのだ。
すぐに親衛軍NO4_009611が、専用機に乗って飛び出していく。
後は放置でいい。
あれの戦闘スタイルからして、肉は無事では済まないはずだ。
もしもそれでも倒せないようなら。
この惑星をさっさと破壊してしまうか。
既に準備は始めている。
手に入らないのなら、全て壊し尽くすのみ。
それが指導者の思考である。
不意に連絡が入る。
親衛軍NO4_022311からだった。
肉を敢えて狙わせず、ハラスメント攻撃をさせている。
現在準備している行動が終わるまでの時間稼ぎである。ちなみに、作戦決行時は、星ごと吹き飛ばす。
道具なんだから、それが許される。
指導者だから、やっていいのである。
「何かあったか」
「立て続けに仲間が倒されているようですが、僕が行きましょうか」
「駄目だ。 そのまま時間稼ぎを続けろ」
「分かりました」
反論も疑問も許さない。
口にした瞬間焼却処分だ。
さて、とりあえず準備は整いつつある。後は、天然肉が手に入るか、入らないか。入らない場合は、さっさとこの惑星を星系ごと吹き飛ばす作戦に入る。
それだけが。
指導者の関心事だった。
(続)
※親衛軍NO4_009611
先に撃破された、妙に弱い親衛軍ウォーリア。それは此奴の戦力を生かすための存在です。
此奴に感情や愛情が歪んだ形で例外的に与えられているのも、それが理由ですね。
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