王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶   作:dwwyakata@2024

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4、放棄されたDB

犠牲を出しながら回収されたDB。それは完全なスタンドアロンが確立されている調査用の星系に移動されて、これまた独立可動型のAIを搭載したロボットによる調査を受けていた。

 

何かトラブルがあっても、最悪の場合ブラックホールで完全に消し去る仕組みが完備されている、最大レベルのセキュリティが施された研究施設。

 

過去には指導者が作成したらしいと言われる最悪のネットワークウィルスが此処で発現したが。

 

それも内部で封じ込めに成功。

 

また、外側も常時十万隻以上の宇宙艦隊が守りを固めている、文字通りの要塞研究所である。

 

其処に持ち込まれたデータセンターの残骸。

 

それにDB。

 

それらを、降伏したロボットが言うように、外部から指示を出して組み立てさせる。かなり手ひどく破壊されていて、いらなくなった玩具を潰して遊んだようだと。支援者科学庁専属チームの主任研究者、パデラクスは思った。

 

パデラクスは性別を持たない種族ル・ルに属しており、古い古い種族である。

 

ル・ルは支援者六種族には加わっていないが、支援者という組織が出来るより早く宇宙進出していた種族であり。

 

環境適応の結果、体の全てを思考器官、つまり脳に置き換えてしまい。今では体や身体維持は機械で補っている。

 

そういう事情から、考える事が大好きであり。

 

また個人的な野心なども全く興味を見せない事もある。

 

知能の高さで言うと支援者に参加しているエイリアンではトップであることもあって。科学庁にはル・ルだらけ。

 

もっとも、逆に前線にはまずル・ルは存在しないのだが。

 

支援者の中でも、上層部の者達から、パデラクスに連絡が来る。

 

此処は色々と危険なので、直ではなく、色々間に安全策を噛ませた末、だが。

 

「パデラクスくん。 それで状況はどうかね」

 

「現在潰されたデータを復元しているところです。 まるで用事が済んだからいらないとばかりに捨てられていますが……」

 

「何か気になることがあるのかね」

 

「はい。 どうもこれ、下手をすると指導者よりも古いんじゃないですかね」

 

上層部の者達がざわつく。

 

現在軍事のトップをしている三元帥はひそひそと話し合いをしているが。

 

咳払いをしたのは、統括議長をしているクアーラだった。

 

支援者六種族の中では最も数が少ないバルバダートと言われる種族で、ヒューマノイドではあるのだが。

 

バランスが良い種族として知られていて、前線にも出てくれば政治家もする。

 

問題は繁殖力が低いことで、それでクローンで補っているにもかかわらずあまり数が多くない。

 

元々かなりの長命種であるので、繁殖力が極めて弱いという事情もあるらしいが。

 

それでもル・ルよりはマシだろうとパデラクスは思っている。

 

今やル・ルは繁殖にクローンを用いないといけないほどなのだから。

 

ともかくクアーラは、長い髪の毛を掻き上げて、続きを促してくる。額にある第三の目が、興味に揺れている。

 

パデラクスも応えないといけない。

 

「今中身を調べていますが、なんだろうこれ……なんとも判然としませんが、これらは娯楽だったのか、それとも芸術か何かだったのか……」

 

「なんと」

 

「侵略者に娯楽が存在したのか」

 

「侵略者のDBから出てくると言うことは、そうなのではないかと思いますね。 元々こいつら、元の母星にいた頃は自分たちで食い合っているような種族だったようですが、それでも親衛軍などとの通信記録を見る限り、自我はあったと見るのが普通です。 娯楽があったのなら、なおさらでしょうね」

 

侵略者はもともと真社会性の生物だったのではないか。

 

それは定説の一つだが。

 

それが覆る事になるかも知れない。

 

もっともパデラクスは、それには最初から否定的だった。

 

親衛軍の会話内容などはログを見ているが、あれらは作られた人格だとしても不自然である。

 

元々それぞれが個性を持っていた、と考えるのが妥当だろう。

 

「なるほど。 他には重要そうな情報はあるか」

 

「まだ修理中なのでなんとも。 大きなDBですので。 軍の配置命令なども出てきていますが、それは何百期も前のものになりますね。 今はなんら役に立たない情報ばかり……む?」

 

「どうした」

 

「ロボットのAIデータが出てきました。 そういえば最初の頃の交戦記録によると、侵略者の戦闘兵器には、初期にはAIが使われていた。 しかし途中から、ヒステリックまでにAIが使われている兵器を破壊し、非AIのプログラム可動型兵器に置き換えた。 それがなぜか、分かるかも知れません」

 

若干の失望を、上層部が持っているのが分かる。

 

パデラクスもいわんとすることは分かる。

 

そもそも、もっとこう敵のクリティカルな弱点とかの情報を知りたかったのだろうから。

 

そんなもの、あるとはパデラクスには思えなかった。

 

ともかく、調査を進めるように。

 

そう上層部は言うと、通信を切る。

 

やれやれとパデラクスは思った。

 

調査中のロボットが通信を入れてくる。

 

ちなみに光学通信だ。ウィルスとか仕込まれると面倒だから、である。色々と面倒な手続きを踏んでいるのだ。

 

「情報が出てきました」

 

「聞かせてくれ」

 

「侵略者の指導者ですが、最初期にはどうやら皇帝と呼ばれていた形跡があります」

 

「皇帝……」

 

確か複数の国家を従えている強力な支配者の称号だったか。

 

だとすると、あの指導者は最初。

 

集団の「指導者」ではなく、「支配者」だったのか。

 

しかしそうだとすると妙だ。

 

なぜ「指導者」に成り代わった。

 

「今の指導者と同一人物か分かるか」

 

「なんとも……」

 

「そうか。 時間は掛かってもいい。 調査を徹底的にしてくれ。 データは徹底的に洗え。 どんな些細なものでも構わない。 テクノロジー関連のデータは優先度を一つ挙げるようにな」

 

「了解です」

 

一度通信を切る。

 

培養液を入れるタンクになっている肉体を動かしながら、パデラクスは思う。

 

ひょっとして侵略者は、何かしらの形で決定的に変質したのか。

 

その変質の理由が、調べていけばいずれ分かるかも知れない。

 

それが勝機につながる可能性もある。

 

侵略者の指導者の解析は、どんな科学者もうまくいっていない。それを考えると、これは価値ある研究だ。

 

そうパデラクスは思った。

 

 

 

(続)







回収されたDBで判明したことは、今後大きな意味を持ってきます。

覚えていると後で面白いかも知れません。





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