王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶 作:dwwyakata@2024
工場で、大量の肉が加工されている。
ワーカーが持ち帰った肉はそれぞれ選別され、専用の機械で一度ミンチにしたあと、それぞれを加工して缶詰に詰める。
そして、出荷されるのだ。
「侵略者」の工場では。「侵略者」以外の有機生命体は全てこうやって処理される。毒だろうがなんだろうが、全て分解されるし。全て活用される。
無機物は勿論あらゆる全てが資源だ。
「侵略者」にとっては、宇宙の全てが自分の所有物。
宇宙の全てが意思の下になければならないのだ。
工場の一角。
戦闘を終えて戻った親衛軍の操縦者が、破壊されたウォーリアの脱出機構である小型戦闘機から出る。
その後、専用の装置に座って、記憶を還元する。
親衛軍は戦闘をするたび、こうやって記憶を還元し。
そして次のクローンも含めて、他の親衛軍も、それを受け継ぐのだ。
それを終えると、休憩をする。
専用の休憩装置があり、其処で横になることで、通常の睡眠の数倍の効率で疲労を回復できる。
同時に脳内の快楽物質を刺激して。
欲求は全て満たすことが可能だ。
それも、生で満たす欲求など、遊びに過ぎないほどの強烈な快楽が脳内を駆け巡る。
ちなみに親衛軍は贅沢者である。
「侵略者」の民は基本的に階級で分けられていて。
存在全てが管理されていて。
権利も全て同じようにされている。
最高位にいる「指導者」以外は全部が歯車だ。
どれだけ高位の存在であっても、自由意志自体が敵。思考することそのものが悪。全てがマニュアル化されており。
それに従わない存在は、親衛軍だろうが、各地の惑星の総督だろうが、その場で処刑される。
その処刑も、あらゆる苦痛を受けながら、何も残らないという凄惨なものである。
どの「侵略者」も体内にナノマシンが生まれた時から仕込まれていて。
それらが「指導者」への悪意や。
「自立的な思考」を察知すると。
自動的に1500℃まで熱を上昇させつつ、あらゆる苦痛を全身に与え、崩壊させるのだ。
「親衛軍NO4_009123。 休憩が終わり次第、作戦K10000444452に従事せよ」
「了解」
比較的高い声で、親衛軍NO4_009123は答える。
休憩をしている最中ですら、「指導者」の指示に逆らうことはあってはならない。
それが、「侵略者」の日常だった。
宇宙に展開している「支援者」の第十三艦隊は、「侵略者」の艦隊が増援を受けているのを察知して。
こちらも増援を進めていた。
敵艦隊は大小あわせて250000隻ほど。
こちらは現在400000万隻ほどがいるが、敵の増強次第ではどうなるか分からない。
大型戦艦は400000隻の内でも200隻ほど。ウォーリアと戦闘機を搭載する航空母艦と戦艦がそれぞれ1000隻程度。
艦隊の主軸を為すのは、機動力で敵を翻弄する駆逐艦、フリゲート、コルベットらの小型艦艇で。
巡洋艦がそれらをまとめる。
また、巡洋艦と同程度の数の砲艦が、後方から攻撃を続けるのだ。
また、盾艦と言われる一種のドローン無人艦も存在していて。
これらはシールド発生装置だけを搭載していて、最前衛で敵の攻撃を防ぐためだけに戦う。
第十三艦隊の司令官である「支援者」の一人カーマル中将は、幕僚達からの意見を聞く。
「「侵略者」はなぜ惑星アラタにこだわると思う」
「分かりません。 有機生命体が存在する惑星は貴重でありますが、奴らは領内の惑星という惑星をテラフォーミングするか、砂の一粒にいたるまで資源開発します。 今更、元々知的生命体がいる惑星に侵攻して虐殺する意味が分かりません」
「そうだな……。 しかも親衛軍がアラタに現れ、それを支援するかのように宇宙軍が増援を受けている。 他の戦線でもこちらが概ね有利に戦況を進めているが、それでもこの動きは気になるな」
「それについて、一つ」
現在「支援者」の主な種族は六つ。
その中の一つ。
「カルカラント」の出身者である、マーザン少将が挙手。
収斂進化というのか、ヒューマノイド種族は宇宙に少なくない。
「侵略者」がそうだし、惑星アラタに住む「アラタの民」だってそうだ。いや「新たの民」か。
マーザン少将もヒューマノイドで、元は水棲種族である。
このため、現在でも大気中で活動する時は、専用の活動服を着ている。
「「侵略者」の通信を研究していた研究者によるのですが、どうも「侵略者」の総帥である「指導者」には不可解なことが多いようです」
「具体的にお願いする」
「はい。 「指導者」が極めて独善的で傲慢なのは既に分かっている事なのですが……それはそれとして、そもそも自分以外の存在の「知的生命体」を認めないし、「許さない」という独自のイデオロギーを持っているのではないのかと」
カーマル中将は腕組みする。
そんな生物が、どうして宇宙に進出できた。
それがよく分からない。
「侵略者」はそもそも、仲間同士でも殺し合い食い合い、それを正当化するような種族で。
独善は元からだという研究もあるようだが。
それでもいくら何でも度を超しているとしかいえない。
咳払いすると、カーマル中将は言う。
「分かった。 研究を進めるように研究チームには頼んでくれ。 今は戦力を増強して、「侵略者」を退ける」
「はっ……」
敵の艦隊は強い。
数ではかなり勝っているが、それでも一気に押し切れない。
とにかく死ぬことをまったく恐れないし、幾らでも使い捨てをしてくる。
「侵略者」が忌み嫌われる理由だが。
ともかく今は、それでも勝ち。
未来の可能性を持つ若い種を、少しでも守らなければならないのだ。
マーザン少将はこれから中将に昇進して、第十三艦隊を続けて率いる。カーマル中将は、その意思があると思っていた。
だから後を託せる。
後を託せる者がいるのは、とても幸せなことである事を。カーマル中将は知っていた。
(続)
※親衛軍の名前
親衛軍の名前には法則性があります。
最初のNOは世代です。
これは指導者が遺伝子操作などで改良した、機械で言うところのバージョンに近いですね。
その次の三桁は型番です。
基本的にウォーリア乗りは0~99です。
そして最後の三桁が個人番号です。
指導者がお気に入りの個体をベースに微調整をされていて、同じ型番の親衛軍は最大で800体ずつ同時に存在します。
そしてたとえ戦闘で殺されても、指導者の気分次第で再生されます。
一から情報をベースにタンパク質を合成して同一生物を作り出す程度の技術が侵略者には存在しているのです。細胞なんか必要とせず、そのまま現地で作り出せるほどです。
ただ基本的にどういうわけか、同一固体を量産することはしないようです。
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