王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶   作:dwwyakata@2024

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膠着が続く戦線に、怪物が出現します。

それは侵略者が12隻しか持っていない切り札の1隻。

化け物の中の化け物。

超巨大戦艦メタトロンでした。


1、怪物の出現

ヴァーグラット戦線に展開している前衛の一つ。第五十一艦隊は、要塞艦の一つを任されて。

 

その防御力を当てにして、戦闘をしている艦隊だ。

 

艦隊の規模は二十万隻程度とあまり多くはなく、これ単体で作戦行動をする事は、少なくともこの戦線ではあまりない。

 

指揮官であるパラ中将もあまり戦歴を重ねた人物ではなく、悪い意味で若い。なんでも上層部にコネがあるとか噂があるのだが。

 

支援者にも、そういう司令官はいるということだ。

 

ただそれでも、全長25㎞の小惑星を改装した要塞艦の圧倒的な攻防能力もある。

 

前衛で今までは、それほどの失態を重ねることもなかった。

 

それも、今までは、だった。

 

第五十一艦隊が、敵の接近を察知。

 

すぐにパラ中将に連絡が行く。

 

「パラ中将。 敵の接近を察知しました」

 

「適当に追い払え」

 

「は、しかし……」

 

「なんだ」

 

旗艦で部下には見えないように立体映像を見ているパラ中将はやる気がない。ちなみに見ている立体映像はポルノだ。

 

これは部下には見えないようにしているが、既に部下達には周知の事実であり。

 

此奴のいる前線からは離れたいと呆れている部下は少なくない。

 

それでも、最前衛の情報を伝えなければならないのが部下の仕事だ。

 

「敵の中に異常な質量体が存在しています」

 

「異常な質量体? ブラックホールかなにか運んできているのか」

 

「いえ、旗艦級戦艦よりも更に巨大です。 要塞艦かもしれません」

 

「ちっ、面倒だな。 後方に支援要請。 全艦交戦準備」

 

判断が遅いが。

 

それでも交戦を指示するパラ中将。

 

部下達もやる気は無いが、それでも戦闘に備えて、持ち場に散る。

 

程なく、敵艦隊が姿を見せる。

 

二十万隻程度と数は同じくらいだが、同数だと侵略者に分がある。編成として、大型艦が多いからである。

 

それは理解しているから、パラ中将は舌打ちをして。

 

適当にあしらって救援を待てと指示したが。

 

次の瞬間、敵艦隊から、途方もない高出力のレーザーが撃ち込まれていた。

 

直撃したのは要塞艦である。

 

要塞艦が展開している位相変換シールドは、極めて強力なものだが。その位相変換シールドが、一撃で貫通され。要塞艦に大きなダメージが入っていた。

 

アラートが鳴る。

 

今のレーザーが擦っただけで、数百隻の艦艇が爆沈。

 

特に防ごうとした盾艦は文字通り蒸発していた。

 

「なっ……!」

 

「敵の大質量体からです!」

 

「映像を出せるか!」

 

「は、はいっ!」

 

必死に映像を出すクルー達。

 

程なく、それが映し出されていた。

 

全長40㎞に達するとんでもない巨大艦だ。今の攻撃は、その主砲によるものであるらしかった。

 

二十万隻程度の艦艇も、どれも大型艦の比率が異常に多い。

 

想定外の新兵器、ではない。

 

これは過去に事例がある。

 

「照合されました! 侵略者の超大型旗艦です! 侵略者全体でも12隻しか確認されていない巨大艦! 200期以上前に確認されて以来、前線に出てきていません!」

 

「せ、戦闘力についてのデータは!」

 

「か、過去のデータでも、要塞艦を相手に正面から打ち破っています!」

 

しかもだ。

 

敵艦隊が加速する。

 

そして、一斉に大火力を投射してきた。

 

ここでやっとパラ中将も、まずいと理解した。全艦隊に後退を指示する。だが、敵艦隊の加速の方が早い。

 

凄まじい大火力が全戦線で投射され、またたくまに第五十一艦隊は大損害を出していく。旗艦も次々と直撃弾を受け、パラ中将は悲鳴を上げていた。

 

「だ、駄目だ! 逃げろ!」

 

「間に合いません!」

 

旗艦が敵巨大艦の主砲の直撃を受けたのは、その直後。

 

パラ中将は、旗艦もろとも爆沈。

 

第十四、第十六艦隊が駆けつけた時には、第五十一艦隊は要塞艦も破壊され、兵員の七割を失い、壊滅した状態で戦場跡をうろうろしていた。

 

ヴァーグラット戦線での戦況悪化が、この日から始まった。

 

 

 

ミランが呼び出される。

 

ヴァーグラット戦線の総司令部にだ。

 

本来は将官だけが出る場所らしいが、特務の代表の一人として呼び出されたようである。

 

ちなみに現役で六名しかいないらしい特務大佐の一人であるカルカル大佐も出てきている。

 

カルカル大佐は以前惑星アラタの周辺宇宙で作戦指揮をしていたマーザン中将の同族であるカルカラントらしい。

 

戦術レベルの顧問として、特務大佐にまで出世したようだ。

 

元は水棲種族であるらしくて、生命維持装置をつけている。

 

マーザン中将とは、別に面識もないそうだが。

 

「第五十一艦隊が壊滅したことは聞いていると思う。 旗艦は要塞艦もろとも撃沈され、指揮官であるパラ中将は戦死した」

 

そう、巨大な会議室で説明がされる。

 

説明をしているのは作戦参謀らしいロボットだ。侵略者製ではなく、支援者製のロボットである。

 

成体部品は使っておらず、姿はなんというか。巨大な筒というのがあっている。

 

人格を持つAIを使っており、階級は中将だそうだ。

 

現在支援者では、ロボットの士官もいるのだが。ロボットの士官でもっとも高位の人物であるらしい。

 

「このほかにも、他戦線でも敵艦隊の動きが今までとは別物に鋭くなっている。 まずは情報として、敵は切り札とも言える超巨大戦艦を投入してきた。 これは全長40㎞にも達する巨大なもので、一隻で要塞艦を撃沈するほどの強大な戦闘能力を有している」

 

「一隻で要塞艦を……!?」

 

「対応できるのか、そのようなもの……」

 

「静まれ」

 

そう司令官が言うと、ざわついていた将官達が黙り込む。

 

あれが第十四方面軍の司令官かと、ミランは思った。

 

「勿論兵装は改善しているだろうが、200期前に出現を確認された以前に二度、撃墜例がある。 旗艦級戦艦よりも更に強大な戦艦だが、三倍のサイズと言うことは、27倍の物資をつぎ込んでいると言うことだ。 逆に言うと、それだけ破壊した時の敵のダメージも大きい」

 

「敵の動きが良くなったことと、敵の超大型戦艦が出てきたことに、何かしら関連はあるのでしょうか」

 

「分からない。 それについては、これから調べる」

 

大将閣下が、壇上から見下ろしながら言う。

 

これからまずやることとしては、第五十一艦隊の再編。

 

方面軍直下の精鋭部隊の即時出動態勢の確立。

 

敵は恐らく、超巨大戦艦を主軸とした、精鋭を機動戦で用いてくるはず。それに対応できるのは、司令部直下の精鋭だけと見て良い。

 

確かミランが聞いたところに寄ると、方面軍司令部の直下には、ここに来るために乗せて貰った高速機動戦艦を主軸とした精鋭が配置されているとか。

 

試験用の兵器なども、配置されているそうである。

 

更には、攻勢に出る準備をしていた各艦隊は一度戦線を見直し、防御に一旦移ることを目的とする。

 

それらが告げられると、流石に消極的なのではないかという声が上がっていた。

 

「確かに第五十一艦隊が鎧袖一触されたとは言え、たかが戦艦一隻に……」

 

「そういう油断があったから、各戦線で敵に翻弄されているのではないのか」

 

「そ、それは……」

 

「司令部も、後方から更に増援を頼む予定だ。 各艦隊は、それぞれまずは防御に姿勢を切り替え、敵の巨大戦艦が現れた場合は、防御を固めて相手にせず、味方の増援を待つようにせよ」

 

大将閣下がそう言うと。

 

皆が敬礼して、会議を終える。

 

それと、である。

 

カルカル大佐が、声を掛けてくる。

 

「ミラン中佐」

 

「はい」

 

「辞令だ。 さっそく、くだんの司令部直下の部隊に移ってほしい」

 

「早速ですね」

 

第三十七艦隊に着任したばかりだが。

 

しかし状況が急激に悪化したのである。それもまた、当然の判断と言えばそうなのかも知れない。

 

「方面軍司令官閣下は、敵に何かしら大きな動きがあったとみている。 敵の超大型戦艦を撃沈するのが当面の目標だ。 敵は精鋭部隊をそろえてきていて、こちらもそれに対応するには、精鋭をそろえるしかない。 方面軍直下の第三艦隊は、開発が進んでいる新型反物質砲をはじめとする強力な兵器を搭載した部隊だ。 艦艇数は二十万隻程度だが、敵に力負けしていない。 勿論敵の出してきた精鋭部隊には、他の艦隊と連携して当たることになる。 だが、肝心の主力が力負けしては意味が無い。 それに……親衛軍ウォーリアも厄介なのが出てくるだろうしな」

 

「分かりました。 すぐに移動します」

 

「スタッフはそのままで構わない。 こちらで全て手配しておく」

 

「ありがとうございます」

 

敬礼をかわすと、一度要塞艦に戻る。

 

第三十七艦隊も、かなり浮き足立っているようだった。

 

第五十一艦隊がやられた。

 

あまり精鋭とは言いがたい部隊だったが、それでも要塞艦がいたのだ。それが要塞艦もろとも、鎧袖一触にされた。

 

それを聞くと、色々と思うところがあるのだろう。

 

兵士達も、明らかに声に恐怖が混じっていた。

 

「今まで膠着していた戦線だったのに、敵はいきなりどうしたんだよ」

 

「此処のところ負けがかさんでるだろ。 だから切り札でも切ってきたんじゃねえのかな」

 

「それだけ他の戦線がお留守になるんじゃねえの?」

 

「知らねえよ。 相手はあの指導者だろ。 頭いかれてるって噂だし、何をしでかしても不思議じゃねえだろ」

 

まあ、ミランもそれは同感だ。

 

黙々と移動して、ハコトと合流。

 

第三艦隊に異動の辞令が出たことを話しておく。

 

ハコトは小首をかしげた。

 

「また急な話ですね」

 

「第五十一艦隊が壊滅した際、敵が温存している超大型兵器が確認されたそうです。 何かしらの精鋭部隊が出てきて、それで侵略者が本腰を入れてきたと判断したらしいですね。 まずは敵の攻勢を食い止めるために、司令部直下の最精鋭が出る準備をしているそうです」

 

「また親衛軍ウォーリアとの戦闘になりそうですね」

 

「……」

 

その通りだ。

 

ウォーリア三型には色々と追加の武装が準備されているが。

 

まだ使いこなせる自信は無い。

 

荷電粒子砲はありがたいが、あれはウォーリア戦で使う兵器ではない。長槍の他にサブウェポンがほしいところだが。

 

かといって、色々武器があっても、すぐに使いこなすのは難しい。

 

程なく、迎えがきた。

 

高速機動戦艦ではなく、巡洋艦である。

 

その前に、ミディルラ中将には挨拶をしておく。短い間だったが、世話になったと話をすると。

 

敵空母との激戦で、見事な活躍だったと、褒めてくれた。

 

見ていてくれたのはありがたい事だ。

 

敬礼をして、別れる。

 

そして、巡洋艦で、第三艦隊の司令部に異動した。

 

第三艦隊の司令部も要塞艦だが。要塞艦の作りが違っている。拠点型ではなく、バリバリの戦闘型だ。

 

居住空間は最低限で、巨大な主砲を装備している。恐らくは、大威力のレーザーか、或いは重粒子などだろう。

 

見たこともない巨大な炉が露出している。

 

位相変換シールドも、さっきまでいた第三十七艦隊の要塞艦とは比較にならない強度の筈だ。

 

前衛でバリバリに戦うためのものなのだ。

 

それが分かって、色々と身が引き締まる。

 

旗艦級戦艦よりも戦闘力は上だろう。

 

しかし全長40㎞にもなる戦艦が相手となると、これでも対応できるかどうか。

 

もう一隻要塞艦がいるようだが、これは純粋な支援用らしい。

 

20万隻の規模で、二隻も要塞艦を有している艦隊はこの第三艦隊だけらしく。そういう意味でも、如何に精鋭が集められているか分かる。

 

そしてこの要塞艦に異動したと言うことは。

 

最前衛で、敵の最精鋭とバリバリに戦うと言うことを意味している。

 

ウォーリア三型をドッグに入れて、スタッフの異動が終わった後、顔合わせをする。

 

戦闘機部隊の長は、ヒューマノイドではなかった。

 

前にもコヴァルライトを見たが、同じような植物種族であるらしい。

 

多数の触手を持つ球体であり、目も口もない。

 

この触手が極めて俊敏に動くこともあって、戦闘機乗りの適性は高いそうだ。ウォーリア乗りにも、有名人が何名かいるとか。

 

大佐だから、かなりの高位だ。

 

今でも最前線で指揮をしているそうだが。

 

翻訳装置が、意思を伝えてくれる。

 

音で意思を伝える事をしない種族であるらしく、翻訳装置がないとコミュニケーションが難しい。

 

「ピギラギュラール大佐だ。 ミラン中佐、数々の偉業は聞いている。 便りにさせて貰う」

 

「ありがとうございます大佐。 制空権の確保はお願いいたします」

 

「任せてほしい」

 

続いてウォーリア部隊の指揮官だ。

 

こっちはヒューマノイドだが、腕が四本もあり、ミランよりずっと背が高い。体は翠色である。

 

寡黙に手を伸ばしてきた。

 

翻訳装置によると、この手を取ることが敬意の表れになるらしい。

 

ミランも手を取って、敬意を示す。

 

相手がいきなり頭部を伸ばした。

 

頭部が伸びるのかとちょっと驚いたが、喜びを示しているそうだ。

 

「ミギ大佐だ。 よろしく」

 

「よろしくお願いします」

 

「我々ウォーリア部隊も、親衛軍ウォーリアとはまともにはやりあえないが、集団戦で仕留めたことは何度かある。 被害を減らせるように、貴殿の活躍を当てにしている」

 

「分かりました。 最大限努力します」

 

とりあえず、この二人と連携する事になるか。

 

一度別れて、ドッグに戻り。

 

第三艦隊のドクトリンを確認する。

 

なるほど。

 

高速機動、一撃離脱。

 

それが主体の艦隊なのか。

 

旗艦ですら高速機動仕様で、通常の超大型戦艦よりもだいぶコストが掛かっているらしい。

 

指揮を執っているのは方面軍司令官の大将閣下自身で。あの威厳がある人物が、直に指揮をしているとなると。

 

まあ兵士達も気合いが入るだろうな、とは思う。

 

「戦闘では遅れていかれたらまず助からないな。 この要塞艦ですら、高速機動仕様なのか……」

 

「ミラン中佐、エネルギーの消耗増加を承知で、ブースターを増設しますか」

 

「いえ、止めておきます。 親衛軍ウォーリアとやりあう際に、スタミナ不足でギリギリの戦いになるのは避けたい。 それでずっと苦労してきましたから」

 

速度に関しては、はっきりいって反物質炉二基を搭載している事で、推力は充分に出ている。

 

後はミランの腕次第だ。

 

シミュレーションマシンで、高速機動戦闘についていきながら、敵と戦う訓練を積んでおく。

 

恐らく、そう遠くないタイミングで。

 

接敵するとみて良かった。

 

 

 

コンディションを整える。

 

コヴァルライト星系の第五惑星での地上戦以降、侵略者の一般個体との戦闘をたまに夢に見るようになった。

 

メンタルケアプログラムをまだ受けているが。

 

敵が文字通り道具として扱われていて。

 

あらゆる尊厳が奪われていると知った時は、分かっていても衝撃だった。

 

元々侵略者は攻撃的な生物だったと聞くが。

 

知性も感情も全て捨て去ったあの姿は、本当におぞましかった。

 

勿論今だって、破壊される敵艦には侵略者が乗っていることは分かっているし。親衛軍ウォーリアでなくても、中身が……つまり侵略者が乗っているなと分かるウォーリアと交戦することはある。

 

だが、あの意思もまったくないまま、自走爆弾として襲いかかってくる侵略者の大群は、どうしても精神に傷を与えた。

 

それが分かっているが。

 

だからといって、どうにかなる訳でもない。

 

メンタルケアプログラムを受けて調整して。それから、訓練をする。

 

筋力などを鍛える事にはあまり興味を感じない。

 

今充分動けているし。

 

そもそも生身で戦う戦場ではない。

 

あのキキキルルルキル准将ですら、戦闘で重傷を受けていたのだ。あの巨大な体格の准将がだ。

 

格闘戦をやらせたら、支援者の種族の中でも最上位に食い込むだろうとアリカ中佐が言っていたっけ。

 

それでも簡単に怪我するし、死ぬ。

 

ミラン程度が鍛えたところで、どうにかなる事はない。

 

コンディションを整えながら、出番を待つ。

 

前線は一進一退。

 

やはり敵の動きが露骨に鋭くなっているようで、各艦隊は警戒していて。それで被害は減らせている。

 

ただし、いつ敵の切り札らしい超巨大戦艦と、その麾下の精鋭艦隊が出てきてもおかしくない。

 

いつでも戦えるようにする。

 

それがミランに求められる事だ。

 

シミュレーションマシンから出ると、連絡がある。

 

「前線に移動開始。 敵の艦隊が、第二十三艦隊に向かってきています」

 

「第三艦隊が出ると言うことは、敵の問題の艦隊である可能性が高いと言うことでしょうか」

 

「そうなります。 今まで何度か前線への攻撃がありましたが、今回は圧力が強い。 第二十三艦隊は大きな被害を出しているようです」

 

「分かりました」

 

スタッフに声を掛けて、いつでもウォーリア三型が出撃できるようにする。

 

直後、第三艦隊はワープしていた。

 

前線近くの空間にワープする。周囲には大量のデブリがあるが、ワープと同時に弾き飛ばされる。

 

戦闘中の第二十三艦隊はかなり押されている。だが、その攻撃をしている艦隊を、第三艦隊が横殴りに強襲。

 

早いな。

 

ミランはそう思った。

 

パドフ中将の用兵はとにかく歴戦のもので、粘り強さと徹底的な正攻法の遵守があった。やるべき事を丁寧にやっていくことで、強さとしていく正統派の艦隊だった。

 

それに対して第三艦隊は、火力と速度で相手を突き崩していく。

 

側面を襲われた敵艦隊は、見る間に大きな被害を受ける。これはミランが出るまでもないなと思う。

 

要塞艦が主砲を発射。

 

餌食になったのは敵空母だ。

 

空母の強力な位相変換シールドが打ち砕かれ、一瞬で火球となる。

 

高速機動戦艦も主砲を容赦なく投射し続け。体勢を立て直した第二十三艦隊も反撃を開始。

 

敵の旗艦級戦艦が爆発四散する。

 

敵がそうすると、すっと引きはじめる。今までは死ぬまで突進してきていたのに。あまりにもスムーズに逃げていくので、ミランとしてもあれ、とまで思ってしまった。

 

ともかく、被害を出しながらも、敵は逃走。

 

味方も損害は小さくない。

 

そしてミランは結論していた。

 

外れだ。

 

「すぐに体制を立て直し、転戦する準備を整えます」

 

「分かりました」

 

カルカル大佐から連絡が来て、ミランはそう答えた。そして思った。

 

まあ、そうだろうな、と。

 

この攻撃が陽動だったとしたら、敵は主力を別戦線に出してくるはずだ。そして本命を貫こうとしてくるだろう。

 

第二十三艦隊にこの場を任せて、即座に第三艦隊が移動。

 

全戦線をにらめる場所へとワープしていた。

 

ワープはかなりエネルギーを消耗すると聞くが、大丈夫なのか。そうミランは思ったが。何しろ相手が相手だ。

 

それにこの艦隊の機動力ならば、行けるのかも知れない。

 

程なくして、やはり予想通りだったことが分かる。

 

「第二十五艦隊から入電! 敵の猛攻を受けています! 敵には問題となった超巨大戦艦がいる模様!」

 

「全艦隊、総力戦用意!」

 

艦隊に緊張が走る。

 

この戦線の最強部隊と、敵の繰り出してきた恐らく最強の艦隊との激突。

 

しかし、第三艦隊は消耗している。

 

分が悪い中での戦いだ。連続してのワープからの戦闘となると、艦隊の機動力も落ちる。それでも、やらなければならない。

 

「他の艦隊の支援も向かっていますが、第二十五艦隊の損耗甚大!」

 

「分かっている! ワープと同時に仕掛けるぞ!」

 

ミランも頷く。

 

次は全力で出なければならない。恐らく親衛軍ウォーリアも出てくる。それも倒さなければならなかった。







※超巨大戦艦メタトロン

侵略者の切り札です。分類としては「最大親衛艦」とされます。

大きさは脅威の全長40.5㎞。全高も8㎞に達します。艦載機などは搭載しておらず、8基積んでいる反物質炉は、主に主砲と位相変換シールドの制御に回されます。

通常の旗艦級戦艦の三倍にも達する全長は、すなわち質量が27倍に達することを意味します。しかもこの機体は船体をそのまま砲身にした超出力のレーザー砲を主砲にしており、これは一撃で小惑星を改装した要塞艦の位相変換シールドを粉砕するほどの破壊力を有しています。

また位相変換シールドも強烈で、更には出力が高いため速力も普通に出る、動ける上に硬くて火力もあるとんでもない巨大艦です。

これは侵略者の指導者が愛用している兵器で、今回はその端末が乗って出てきています。

ここのところ負けがかさんで、ついにこれを引っ張り出したというわけですね。





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  • 詳細なマシンデザイン
  • 圧倒的な武力による蹂躙
  • 緻密な人間ドラマ
  • 種族や文明の描写
  • 近接した力量のライバルとの死闘
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