王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶   作:dwwyakata@2024

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メタトロンと侵略者の指導者の出現により、ヴァーグラット戦線は大異変を起こします。

指導者直下の精鋭の猛攻とメタトロンの火力は看過できるものではないからです。

各地で被害が増え、戦略の見直しが始まります。





2、竜虎相打つ

ワープ完了。敵艦隊は至近。

 

ミランはそれを見て、まずいと思った。

 

相手艦隊は大型艦を主軸にした部隊だ。二十万隻と聞いているが、こちらの艦隊では倍くらい用意しなければ戦えないかも知れない。

 

そして、その中央に。

 

いる。

 

噂通りの、とんでもない巨体。

 

四十㎞というと、かなり大きな小惑星クラスの大きさだ。しかも艦艇としての形状が砲身に近い。

 

あれは超巨大な砲だ。

 

主砲で要塞艦が一撃で位相変換シールドを突破されたと聞いているが、それも納得である。

 

主砲はレーザーらしいが、あの巨体からの出力。

 

まともにくらったら蒸発だろう。

 

味方は右側面の絶好の位置だが、消耗している。第三艦隊を率いる大将閣下が、吠え猛った。

 

「全艦主砲斉射! 叩き潰せ!」

 

「主砲斉射!」

 

データリンクはワープ前に済ませている。一斉に主砲が斉射され、敵艦隊の一部が文字通り吹き飛ばされる。

 

第二十五艦隊を蹂躙していた敵艦隊が、それで態勢を整えるが、動きが速い。

 

即座に戦闘機隊が出る。

 

接近しての戦闘だが、敵の戦闘機は、全てを赤く塗装している様子だ。それが威圧感を醸し出している。

 

第三艦隊も精鋭がそろっているようだが、これは。

 

ミランも制空権を取り次第出るつもりだが、接近すればするほど、敵の反撃が強烈になる。

 

航空優勢をとれていない。

 

「敵戦闘機部隊、頑強! 航空優勢、とれません!」

 

「敵艦隊の対空砲火強烈です! 突破不可能!」

 

「……旗艦、反物質砲用意」

 

「反物質砲用意!」

 

反物質砲か。

 

星をも砕く最強の兵器。何回か使うのを見たが、あれは人が使って良い兵器ではないような気がする。

 

狙うは、敵の超巨大戦艦か。

 

流石に反物質砲の直撃を受ければ、あのサイズでもひとたまりもない。六隻いる旗艦級戦艦と、要塞艦が、一斉に反物質砲を投射。

 

しかし。

 

なんの躊躇もなく割って入った敵戦艦が、それぞれ盾になって攻撃を防ぐ。

 

戦艦が装備している位相変換シールドだと、反物質砲を一発は防ぎきる……にしても大破は免れない。

 

敵戦艦が大破し、しかし敵超大型戦艦は無事。

 

傲然と第二十五艦隊に主砲を斉射する敵超大型戦艦。第二十五艦隊の旗艦級戦艦が、それで消し飛んだようだった。周囲にいる護衛艦隊数百隻もろとも。

 

「第二十五艦隊、副司令官ラドラ少将戦死! 艦隊損耗率三割を超えます!」

 

「……これは大変な相手だ。 火力の投射をそのまま続けろ。 接近戦用意!」

 

「接近戦用意します!」

 

大将閣下の戦意は衰えていない。

 

しかしだ。

 

敵艦隊は、突然凄まじい艦隊機動で後退を開始。損害を受けている艦艇をそのまま放り捨てて行くような非常識な動きだ。

 

速い。

 

誰かが声を上げたほどで、第三艦隊よりも速いかも知れない。

 

接近戦を挑もうとして、完全に肩すかしを食らう。

 

高笑いするように、損傷艦を盾にして、さっさと敵の超巨大戦艦と、その麾下の部隊が逃げていく。

 

追撃はという声に、大将閣下はやめよと冷静に指示していた。

 

「少し交戦しただけだが、明らかに今までの敵艦隊と違うぞ。 艦隊指揮官クラスに親衛軍はいないと聞いていたが」

 

「はい。 今までの情報を精査する限り、そのようですね」

 

「……第二十五艦隊を救助して、それで戻る。 今回の戦闘データを分析に回せ。 各自警戒を続行」

 

「はっ!」

 

ミランは出る暇もなかったか。

 

戦闘機隊は短時間の戦闘ながら、大きな被害を受けていた。

 

ウォーリア隊ももし出ていたら、同じ事になっていただろう。どうやら、敵の最精鋭艦隊が出てきたらしい。

 

そうミランは察するしかなかった。

 

 

 

それから連日、戦闘が激化した。

 

双方あわせて一千万隻以上の艦艇がぶつかり合う戦線はいくつもあることはミランも知っている。

 

ただしそれらの戦線で連日過酷な戦闘が行われているかというと、それは違う。

 

小競り合いが殆どで、停滞してしまっている戦線も多い。

 

いくつかの戦線では、この間大規模な勝利を収めて一気に前線を進めたようだが、このヴァーグラット戦線は違う。

 

現在、支援者はヴァーグラット戦線の被害を見て、更に増援を掛けてくれているようだが、それでも。

 

ここしばらくは、明らかに味方の損害の方が多かった。

 

前線に展開している艦隊の損耗率は増えるばかりだ。敵艦隊も明らかに動きが良くなっている。

 

六十期以上続いているこの戦線での戦いだが。

 

それをずっと経験している古参の提督達も、ここまで敵の動きが良い状況は初めてだと断言しているようだ。

 

それほどまでの状況。

 

決して良いとは言えない事態だ。

 

あの超巨大戦艦。

 

ミランも見たが、動きが巨体とは裏腹に鋭い。

 

全身が砲身となっているから、その主砲は一撃一撃が必殺。それに、他の機能は防御と機動だけに回しているようで、艦載機などは搭載していないようだ。それもあって、凄まじい速度で忍び寄り。一撃必殺で撃ち抜いてくる。

 

そういう極めて厄介な存在となっている。

 

第三艦隊も連日敵と交戦して圧を掛けているが。

 

被害が連日出ている状態だ。

 

艦艇の損傷はどうにもなるが、人的被害はどうにもならない。

 

クローンで生産された兵士も、いきなり大人として戦場に出てくる訳じゃあないのだ。

 

英雄のクローンが、催眠教育が足りなくて、初陣で戦死。

 

そんな例は幾らでもあるらしい。

 

その場合は運もあったのではないかとミランは思うのだが。

 

ともかく、今はやれることをやるしかない。

 

出撃の依頼が出る。

 

今、敵の突出してきた艦隊に対して、第三十三艦隊とともに反撃をしている状態である。

 

第三十三艦隊は乱戦の中苛烈な砲撃を相手に加えており、其処に第三艦隊が割って入る事になる。

 

ちなみに問題の艦隊は今日は出てきていない。

 

ずっと暴れ回っていたからか、恐らく戦力を補充しているのだろう、ということだ。

 

敵の兵器工廠がすぐ至近にある。

 

兵器だけなら、幾らでも補充できるのだろうから。

 

この点だけは、敵が有利だ。

 

ミランのウォーリア三型が出る。

 

乱戦の中、ウォーリアやイーターを見つけ次第落としていく。大斧で斬りかかってくるウォーリアの攻撃をいなしつつ、その勢いを利用して長槍で両断。爆発を背後に、更に敵に肉薄。

 

射出して貰った荷電粒子砲で、傷ついている駆逐艦を狙う。

 

駆逐艦がこちらに気付いて、位相変換シールドを強化するが、それで構わない。荷電粒子砲、射撃。

 

直撃と同時に、数機のワーカーを巻き込んで、爆発していた。

 

駆逐艦は平然としていて、ウォーリア三型に砲口を向けてくる。

 

ウォーリア隊も、二十機以上が迫ってくる。それを相手の動きを見ながら、一機ずつたたき落とす。

 

イーターの猛攻も凄まじいが、回避に専念。

 

至近。

 

駆逐艦が、主砲を発射しようとした瞬間。

 

それを狙っていた爆撃機が、対艦ミサイルをたたき込んでいた。

 

駆逐艦が対艦ミサイルの直撃で、真っ二つにへし折れる。ミランはそのまま、全力で爆発から逃げる。

 

爆発に敵ウォーリア数機が巻き込まれ、機動力に劣るイーターが殆ど爆沈した。反転すると、混乱する敵ウォーリア隊に突撃。立て続けに三機を、右左に斬り伏せた。

 

上から味方の援護射撃。

 

ウォーリア隊が、鴨撃ちを始めている。

 

敵部隊が次々に火球とかしていくのを見て、一旦補給に戻る。補給と、爆発やかすり当たりで装甲が受けたダメージを整備して貰う。

 

ミラン自身も水を飲んで、トイレに行っておく。

 

トイレで少しぼーっとして、休憩。

 

トイレを済ませてから、ウォーリア三型に戻りつつ、戦況を聞く。

 

「どうですか、状況は」

 

「まだまだ活躍して貰いたい。 敵艦隊が粘っている。 或いは、また陽動かも知れない」

 

「分かりました。 補給が終わり次第出ます」

 

「親衛軍ウォーリアだ!」

 

来たか。

 

補給は万全。装甲がちょっと心許ないが、出る。

 

ミランはそのままウォーリア三型に乗り込むと、カタパルトから射出して貰う。コアの対G性能が優れているので、この射出で苦労は全くしない。

 

宇宙空間に出る。

 

殆ど同時に、多数のレーザーが飛んでくる。全て回避するが、やはり装甲を抉られる。ミランを狙ってきたらしい。

 

ずんぐりとした機体だ。

 

全身に多数の小型の子機を装備している。

 

ドラゴンキラーなどと違って、有線の上に、全部が砲撃用の子機であるようだ。凄まじい弾幕を張ってくるが、それぞれの威力は機体を貫通するほどじゃない。足もそれほど速くないな。

 

ミランはそのまま、相手へと間合いを詰める。

 

親衛軍ウォーリアとしては平凡な機体だ。

 

勿論それは弱いという意味ではない。

 

レーザーで追い詰めるように射撃してくるが、残念ながら宇宙空間ではそんな戦術はガバガバだ。

 

するりとレーザーの合間を抜けて、相手に逆にパルスレーザーを撃ち込む。

 

相手機は回避しながらもレーザーを放ってくる。

 

左足をかすめて、装甲を抉る。

 

さて、どうでる。

 

間近。

 

長槍でコアを抉りに行くが、即座に離れた。

 

相手の機体の両肩から、突如高出力の……恐らく荷電粒子砲が発射されたのだ。見た感じ、接近戦用の兵装か。

 

離れたミランに、レーザーが追撃を掛けてくる。

 

なるほど、接近戦ではこれがある訳だ。

 

遠距離戦のレーザーはむしろブラフかと思ったら、敵が奥の手を出してくる。

 

子機が束ねられると、凄まじい大火力のレーザーを放ってきたのだ。慌てて全力で回避。装甲を抉られ、機体にダメージが入る。

 

更に、敵は右手に熱剣を取り出す。

 

そして、レーザーを放ちながら、突貫してきた。

 

なるほど、分かった。

 

此奴は接近戦が本命だ。

 

ブースターをふかす。速度を上げる。

 

レーザーが雨あられと飛んでくるが、全て回避回避。いくらかはかすり、装甲を抉る。アラートが出る。

 

初見の親衛軍ウォーリアだ。

 

簡単に勝てるとはミランも思っていない。

 

ハコトがデータを出してくる。

 

この戦線でのみ確認されている親衛軍ウォーリアで、かなりの回数戦闘で目撃されているという。

 

技量が低い相手は子機のレーザーで。

 

技量が高い相手は接近戦で仕留めに来る特徴があるらしい。

 

まあ、それは見ていて分かった。

 

相手の技量のほどもだ。

 

どんどん距離を詰めていく。左右ジグザグに飛びながら。

 

相手はこちらを追い詰めながら、一気に接近戦で仕留めようとしているが。次の瞬間、スペースデブリに直撃。

 

既に破壊された敵ウォーリアだ。それに激突するように、動きを誘導したのである。

 

激しい衝撃に、敵機が体勢を崩す。

 

その瞬間、ミランは長槍を投擲。

 

コアを貫いた……と思ったが、相手の右肩辺りを直撃。

 

子機の制御装置を破壊したようだ。元々両肩が異常に肥大化しているデザインだったので、怪しいとは思っていたのだが。

 

長槍はどうせ消耗品だ。そのままミランは、二本目を抜く。

 

相手は熱剣での戦闘か、逃走かを一瞬悩んだようだが、それが勝負を決めた。

 

ミランが間合いを詰めると、今度こそコアを狙いに行く。

 

だが、相手も負けを悟りつつも。

 

なんとコア以外の全機体を捨てて逃走。コアが即時で戦闘機に変形して、逃げていったのだった。

 

爆発する残存部分。

 

ミランは一応背中をパルスレーザーで撃ったが、回避された。腐っても親衛軍ウォーリアだ。

 

「親衛軍ウォーリア撃退。 ただし撃破には至りませんでした」

 

「戦力を奪っただけで充分だ。 流石の活躍だな」

 

「ありがとうございます。 損耗が大きいので戻ります」

 

今の爆発に巻き込まれた長槍は、もう仕方がない。捨て置いて戻る。ドッグで修理を急いで貰う。

 

だが、その時。

 

敵が引き始めた。

 

追撃はするなと、大将閣下の指示が出る。

 

敵には充分な損害を与えた。敵の方が損害比率はずっと大きい。これで充分だ、というのである。

 

第三艦隊がすぐに後退し、各艦の修理と補給に入る。

 

ミランが先に戻っていた要塞艦にも、先行していた部隊が次々と帰還してきていた。ミランはウォーリア三型から下りると、今のは厄介だったなと思う。

 

こっちに喋りかけてこなかった。

 

今までの親衛軍ウォーリアに乗っていた連中は、どいつもこいつも喋るとボロを出した。たまにまともなのもいたが、殆どは喋った時点でこちらのペースに持ち込むことが出来た。だが。

 

今度のは、仕事人だ。

 

ものすごく冷静で、負けを悟っても即座に逃走に切り替えた。一瞬くらい判断を迷うのは誰だってそうだ。

 

この戦線で、多くの被害があいつのために出ているというのも納得である。

 

軽く休憩を入れていると、ミーティングの話が来る。

 

第三艦隊は安全圏に到着。

 

既に補給と修理が開始されている。また、損耗した艦艇の補充も行われているようだ。人員まではどうにもならないが。

 

ミランは自室で横になって、ミーティングを聞く。

 

基本的に第三艦隊は大将閣下が殆どを決めていて、意見が求められない。大将閣下は優秀極まりないからそれで良いのかも知れないが、ミランは見ているだけだ。多分だが、ミーティングに参加している人員はあらかたそうなのではないかと思う。

 

参謀らしい人が意見を言うが。

 

それも、そうかとしか言われなかった。

 

なんだかなあ。ミランはぼやく。

 

第三艦隊は良い艦隊だと思う。

 

戦闘力も高い。

 

だが、あの方面軍司令官でもある大将閣下は、もう少し部下の言うことを聞いても良いのではないかと思う。

 

不意に、意見が振られた。

 

「ミラン特務中佐。 君から何か意見はあるか」

 

「現時点で、敵の最精鋭艦隊らしきものに対して、味方は有効な対策を打てていません。 しかしながら、敵より味方の回復力の方が上です。 可能な限りあの最精鋭艦隊は相手にせず、他の敵を削ることに終始した方がよいのではないでしょうか」

 

「具体的には何か策はあるかね」

 

「この戦線はあくまでガチガチに守りを固めるだけにして、敵に制圧されている星系の奪還作戦に力を入れるとか」

 

意外そうな視線が集まる。

 

それはそうか。

 

ミランをウォーリア乗りだとしか思っていない人も多いだろう。今回も、敵の親衛軍ウォーリア、通称「貴婦人」を撃退したのである。

 

特務の中佐というのは、相応に注目されるし、嫉妬もされる。

 

それはミランも分かっている。アリカ中佐に言われてから、それに合致する事例を何度も見たからだ。

 

催眠学習で戦争のことは頭にたたき込んである。だから、それに沿ってごく当たり前の事をいうだけにとどめる。

 

奇策の類は必要ない。

 

パドフ中将の堅実な戦いを見て、ミランはそれを学んだ。とにかく戦闘は、堅実であるべきだと思う。

 

ましてや、このように物量でも質でも敵を凌駕しているなら、なおさらだ。

 

「分かった。 司令部に打診しておこう」

 

「パーミルトン大将閣下?」

 

「この戦線が、あの巨大戦艦が出てからいきなり敵が活性化したのは事実だ。 何か敵にはある。 だとしたら、此処でやるのは攻勢ではなく、敵の誘引だ。 それについては私も同意である」

 

驚きの声が漏れていた。

 

そして、ミランはまた着目されたようだ。

 

分かっている。

 

更に今後、任務が厳しくなる。それは、中佐という地位にいるのだから、当然のことだった。

 

ワンマン指向がある大将閣下が、話を聞いたというのは大きい。

 

すぐに、色々な指示が出る。

 

「この戦線では、戦力増強と同時に、敵司令官の動きや戦術を分析せよ。 参謀部は、全ての敵行動を解析。 今までとはまったく違う相手と戦っていると考え、傾向を調べ尽くせ。 データはこれから嫌でも集まる」

 

「はっ!」

 

「その上で、勝つのではなく、相手を怒らせる作戦案を提出しろ。 此処に最精鋭と思われる部隊が投入されている状態だ。 だとすれば、敵は恐らく相当侵略者の内部でも高位の存在だとみていい。 他の戦線が必ずおざなりにされる。 敵の戦力を更に此処に集められれば、言うことがない」

 

「分かりました!」

 

ミランはもう何も言わない。

 

これ以上は不要だろうと思ったからである。

 

ミーティングが終わる。

 

嘆息したが。

 

その後、連絡が来た。

 

参謀の一人であるクルアッハ少将だった。顔だけしか知らない。ヒューマノイドに近いのだが、頭が下に着いている変わった種族だ。

 

ただし知能は高い。

 

頭から直に生えている触手を用いて歩いて移動するのだが、その代わり頭の重心を気にしなくて良いからだろう。

 

大きな脳を持っているそうで。

 

知能はとても高い種族だそうである。

 

「ミラン中佐、先は助かった。 パーミルトン大将閣下は意固地な方で、基本的に部下である我らの話は聞かないのだ。 ミラン中佐に話を聞いたのも、特務の中佐というのが珍しかったからだろう。 しかも部下ではないとあの方は考えていて、門外漢からの意見を聞いてみようと気まぐれになられたのだ。 だが、そこで想定外にまっとうな答えが返ってきて、それで聞く気になったのだろう」

 

「そ、そうですか」

 

複雑な気持ちだ。

 

それにクルアッハ少将は、それだけ分析が出来ているのなら。宥めるなりなんなりして、大将閣下を説得して。作戦行動を円滑にすればいいのにとも思う。

 

いずれにしても、意固地なのはまずいだろう。

 

あの人は即決果断のようだが。

 

方面軍司令官としては、最精鋭部隊を率いて最前線で戦ったりと、人選が向いていない気がする。

 

どちらかというと、最精鋭艦隊を率いて、要所で敵に打撃を与える。

 

そういう人事の方が適しているのではないのだろうか。

 

ミランはそう思ったが、わざわざ口にはしない。

 

口にしても、角が立つだけだ。

 

「これから激戦が続く。 親衛軍は出てくるとどのような被害を出すか分からない。 参謀部でも頼りにしているよ、ミラン中佐」

 

「ありがとうございます」

 

「現在調整中の、依頼の品はまもなく届くと思う。 君も知っているかも知れないが、あのマッドサイエンティストが色々弄くり回して遊んでいてね。 納品まで時間が掛かっているのだ」

 

ハコトの姉妹機の事だろうか。

 

AIの調査など、今時それほど時間は掛からないし。

 

それにガワなんて3Dプリンタですぐ出来る筈だ。

 

だからおかしいなと思ったのだが。

 

マッドサイエンティストというと、確か前にちょっとだけ話を聞いたことがあるパデラクスという存在だろうか。

 

確かにあの人物は。

 

そういう奴に思えた。

 

後は、いくつか打ち合わせをして、通信を切る。

 

ベッドで休む。

 

しばらく丸くなって寝ていると。ハコトに揺り起こされた。目を覚ますと、食事だという。

 

食べないと動けなくなる場合もある。

 

今のうちに食べておいた方が良いだろう。

 

黙々とあまりうまくもない食事をする。ファーガの栄養液が入っていないので、仕方がない。

 

流石に惑星アラタから、特定の物資を届けるのは難しいようだ。此処までは1000光年も離れているし、何より新たの民はミランしかいない。

 

ウォーリア乗りとして、わずかな数が惑星アラタから宇宙に出てきてはいる。

 

だが今は、惑星アラタの復興が、新たの民にとっては最優先。

 

あっちでは親友とか恋人とか以前の話だった。

 

それにミランは発情期を逃して、もう体が子供を産める状態でなくなっている。

 

戦士としてしか生きられないのに。

 

今惑星アラタに戻っても、あまり意味は無かった。

 

食事を終えると、ハコトが無言で片付けていく。

 

ぬか喜びさせると悪いし、何よりパデラクスが何をしたかもよく分からない。

 

だから、姉が来るらしい事については黙っておく。

 

ハコトも色々ある事は悟っているらしく。

 

姉については、最近は聞かなくなってきていた。







※クルアッハ少将

意固地なパーミルトン大将に困り果てている参謀です。有能な人物ではあるのですが、総司令官はなかなか言うことを聞いてくれません。

彼は一応ヒューマノイドに分類される種族ですが、体の形状はまんま頭足類です。

これもあって頭の位置が低く、代わりに大量の脳を詰め込んで体を安定させることに成功した種族ですね。

パーミルトン大将がミランの言うことを聞くことに気付いた彼は、以降ミランを利用していくことに。

ミランもそれを知った上で、勝つために敢えて利用される関係になっていきます。



本作にどういった要素がほしいですか。要望があれば遠慮なくどうぞ。

  • 詳細なマシンデザイン
  • 圧倒的な武力による蹂躙
  • 緻密な人間ドラマ
  • 種族や文明の描写
  • 近接した力量のライバルとの死闘
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