王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶 作:dwwyakata@2024
激しい戦いの中でメタトロン相手に被害を出す一方の支援者は、ヴァーグラット戦線の大規模再編を開始。
メタトロンをどうにかするべく作戦を開始しますが……?
また最前線に侵略者の超巨大戦艦が出てきた。
味方は時間を掛けて戦線を再編。それぞれが相互支援をしやすいように、陣容を整え直した。
敵は敵でこちらに比べて数が多いわけでもない。
両翼を広げるようなこともなく、陣形は変わっていない。戦いについては、それで不利になるようなことはない。
今まで三光年にわたって広がっていた戦線を、二光年未満に縮めただけだ。
敵を包み込む目的で戦線を広げていた訳だが。
これで敵を真正面から受け止める態勢を作り。
それぞれの担当部署における艦隊も。
陣容を厚くした。
超巨大戦艦が出てくるが、即座に三個艦隊が即応。それを見ると、敵の最精鋭艦隊は、ちょっとだけ砲火を交えて、すぐに逃げていった。盾艦が相当数破壊されたが、無人兵器である。
別に作り直せば良い。
第三艦隊は、敵の動きを見て、即時で動きを変える。
敵最精鋭を狙っていた矛先を、連携して動こうとしていた敵の艦隊に向ける。
凄まじい勢いで敵に肉薄すると、一気に乱戦に持ち込んでいた。
自力が高い自信がある。
それ故の戦闘行動だ。
一気に乱戦になる。それに、後方から続いていた第三十七艦隊が続く。再編途中の状態だが。だからこそ、丁度良い。
敵に肉弾戦に近い乱戦を挑んでいる第三艦隊に対して、再編途中の第三十七艦隊は、遠距離からの火力投射で支援を実施。
敵艦隊を、容赦なく削り取る。
ミランも戦闘に出る。
黙々と突きかかってくる敵ウォーリアを斬り伏せ、火球に変えると。
ジグザグに飛行しながら、途中で大威力の携行式小型対艦ミサイルを受け取る。
これで艦船を落とせるほど楽ではないが。
少なくとも位相変換シールドに大ダメージを与えられる。
無言で敵空母に突貫。
明らかにミランのウォーリア三型に敵が反応。一斉にこっちに向かってくる。好都合だ。
凄まじい密度で、イーターや対空砲火から、攻撃が浴びせられる。
その全てはかわせない。
致命傷にならない奴は受けても良い。
それくらいの感覚で、敵に近づきたくても近づけない。そう演出する。
ウォーリア隊が迫ってくる。ミランは下がりながら、それを誘引。そして、下がったところで、味方に任せる。
丁度巡洋艦が来ていて、主砲を一閃。
ウォーリア隊をまとめて蒸発させ、主砲が敵空母に突き刺さった。
爆発が連鎖する中、ミランは反転。
混乱する相手の隙間を通すようにして、対艦ミサイルをたたき込んでいた。
勿論小型の対艦ミサイルだ。
相手が空母だし、致命傷にはとても届かない。
だが、空になった対艦ミサイル発射機を後方に投擲して、ミラン自身が空母に迫ると。敵の艦載機の残りが、ミランを狙ってくる。
敵は全体的に動きが鋭くなってきているが、それでもやはり現場ではポンだな。
そう思いながら、適当にあしらいつつ、接近戦を挑んできたウォーリア数機を切り倒し、パルスレーザーで撃ち抜く。
エネルギーの残量、半分。
そして、ミランが気を引いている間に。
接近に成功した爆撃機と攻撃機が、連携して大火力の大型対艦ミサイルを、敵空母にたたき込む事に成功していた。
敵空母が内側から炸裂し、大爆発を起こす。
歓声が上がるのが分かった。
「やったぞ!」
「ミラン中佐、流石だな!」
「! 後退してください。 親衛軍が来ます!」
「分かった!」
即座に攻撃機と爆撃機が退避する。
ミランは、自身を狙ってきた立て続けの射撃を回避。装甲をある程度やられるが、それはもう仕方がない。
エネルギーの残量が心許ないが、やれるか。
いきなり飛んできたのは、敵ウォーリアの残骸だ。まさか放り投げてきたのか。
この大質量、受けると面白くない。回避。
だが、動きを呼んでいたらしい相手が、熱剣で斬りかかってきた。
長槍で受け止める。
相手は、貴婦人だ。
やはりミランに目をつけてきていたか。
相手機に通信を入れる。
「今度はたたき落としてやる」
「既に相当に消耗しているようだが?」
おや、返事が来た。
分かっている。消耗は分かっているのだ。だがこの機体、厄介である。味方の被害を減らすためにも、落としておきたい。
即座に離れる。
例の有線子機からの、レーザーの一斉射撃が、ミランのウォーリア三型がいた地点を抉っていた。
まともにくらったら即死だ。
追撃が来るが、距離は至近から、中距離。
肩に着いている砲台を使ってこなかった理由は分からないが、とにかく相手の手札を先に出させる。
よけながら敵を誘い込み、そして相手の動きが鈍った瞬間、一気に距離を詰める。
子機を立て続けに二機斬り伏せて、相手とすれ違う。
当然残りで追撃をしてくるが、足の一部を切り裂かれたくらいだ。別にウォーリア三型の足だし、どうでもいい。
反転しつつ、斬りかかる。
相手は近距離で使ってきた荷電粒子砲を放ってきたが、それは既に見ている。さっと回避。装甲を抉られる。
エネルギーの残量もかなり怪しくなってきた。
これは、或いはだが。
空母との戦闘を見ていて、消耗を狙っていたか。
だとすると、面倒な相手だ。
今も冷静にウォーリア三型を消耗させる戦術を選択している。他の親衛軍ウォーリアは、だいたい侮りまくって速攻で仕留めに来るのに。
二度目の交錯。
また子機を展開する貴婦人。
だが振り返りつつ、展開した子機を、即座にパルスレーザーで粉砕する。爆発した事で、明らかに体勢を崩した貴婦人だが。
それでも子機からのレーザーで、牽制を続けてくる。
しかしだ。
今ので、だいたい見えた。
パルスレーザーで連射。子機を立て続けに破壊する。いきなりの攻勢に、相手が一瞬だけ迷いを見せる。
その迷いにつけ込んで、距離を詰めると。
今度こそ、長槍でコアを。
いや、貫いたが、わずかに外れた。
コアは傷つけたが、必殺とは行かず。だが、親衛軍ウォーリアは、それで動きが止まっていた。
「……手強いな」
「そうか、 指導者のような屑にどうして従う。 それしか選択肢がないからか」
「いうな」
「今、楽にしてやる」
長槍でコアを、今度こそ抉る。
それで、敵機は完全に沈黙。恐らくは、乗っていた親衛軍が死んだのだ。更にミランは、コアを蹴り出す。
コアが爆発したが、おかげで親衛軍ウォーリアは、かなり無事な状態だった。
「ある程度無事な状態で撃破できました! 支援をお願いします!」
「了解!」
味方巡洋艦が、さっと至近に。盾艦も周囲に展開する。
ミランはエネルギー残量がカツカツだ。要塞艦に戻る。武装も相当にダメージを受けているし、機体はこれはフル整備が必要だ。
味方の調査チームが、破壊された貴婦人の残骸を回収。
これで、かなり色々と調べられるはずだ。
ミランは要塞艦に降り立つと、ため息をついていた。
すぐに整備班がウォーリア三型の修理に取りかかる。しばらくは出られない。
水分を取って、トイレに行き。
仮眠を取る。
味方艦隊は、敵艦隊をバラバラに引き裂いているようだが。それでも敵艦隊は、既に逃走を開始している。
やはり用兵が根本的に変わっている。
「敵艦隊、逃走開始」
「追撃は無用。 残敵を掃討せよ」
「了解!」
起き出すと、既にそんな声が飛び交っていて。
戦闘は事実上終わっていた。
とりあえず、役には立てたか。
ただ第三艦隊もそれなりの被害を受けている。
相手と同等の被害であれば上等。
そういう感触で戦闘をしているのだろう。第三艦隊が出る地点では、明らかに敵に大きな被害を出させている。
だがあの最精鋭艦隊が出てくると、味方の被害が大きすぎる。
かろうじて、現時点での戦略目標は達成できている、だろうか。
敵の誘引が目標だ。
これで業を煮やした敵が、更に戦力を繰り出してでもくれば、他の戦線が有利になるのだけれども。
とりあえず、第三艦隊は撤収。
修理が開始された。
ミーティングは将官だけでやるらしい。ならミランは出なくてもいい。出来るだけ休んでおく。
じっくり休んでから、シミュレーションマシンを用いる。
今は、休むのが仕事だ。
また敵の超巨大戦艦が出てきた。
敵は今回、複数の艦隊を同時に動かして、一気に戦線の突破を狙ってきている。合計200万隻に達する艦隊が、強力な紡錘陣形で、突破を狙ってきたようだ。
これに対して支援者は、戦線からその倍、400万隻に達する艦艇をかき集めて反撃を開始したが。
既に前衛は相当なダメージを出しており、超大型戦艦や要塞艦が破壊されているようである。
正念場だな。
ミランは頬を叩いて気合いを入れる。
移動しながら、第三艦隊に作戦の説明が入る。
「現在、味方は六個艦隊が敵の猛攻を食い止めているが、損害は味方の方が遙かに多い。 例の超巨大戦艦が非常に厄介で、その直下にいる敵部隊も手強い。 我が第三艦隊は、第二十六、第二十八艦隊とともに、敵の側面後方から仕掛ける」
正面は負担が大きいが、現在相手をしている艦隊に任せる、か。
戦線を突破されると、、かなり厄介なことになる。
後方には補給艦や病院船、更には輸送部隊、工廠などがある。それらが破壊でもされたら、損害は洒落にならない。
かなりの賭けだ。
「味方艦隊はまだ耐えられると試算が出ている。 敵艦隊を後ろから抉り、あの超大型戦艦を狙うぞ。 全艦、総力戦用意!」
「総力戦用意!」
「敵艦隊を射程に捕らえました!」
「全艦突撃! 行くぞ!」
大将閣下の旗艦が真っ先に突入して、それを必死に守ろうと他の艦艇も続く。ミランが乗っている要塞艦もそうだ。
すぐにミランはウォーリア三型に乗って出る。
機体の調子は悪くない。
出撃と同時に、反撃に出てきた敵ウォーリアを二機、連続してパルスレーザーで撃墜。
辺りは凄まじい乱戦だ。
ただ、猛攻を仕掛けている味方に対して、敵は時間稼ぎの意図が明白である。その中、第三艦隊の精鋭が、大火力を投じて、敵艦隊を後方から滅多差しにしている。
空母や超大型戦艦が、後方からの射撃で爆沈しているのに対して、敵艦隊は更に前方に圧を強めようとしているようだが。
第二十六、第二十八艦隊に後方の攪乱は任せて、第三艦隊は強烈な前進を続ける。
要塞艦に攻撃が集中してくる。
ミランは敵を必死に捌く。
二十機ウォーリアを撃墜したところで、一度戻る。まだ親衛軍ウォーリアは出てこないが、多分前衛に集中しているのだろう。
補給と補修を頼む。
焦っても仕方がない。
第三艦隊は、敵艦隊の中枢部を今引っかき回しているのだ。敵の攻勢限界まで、それをやるしかない。
「敵、動きを変えました!」
「!」
前方の艦隊を崩せないと判断したのか、いきなり真横に反転。凄まじい勢いで逃げ始める。
通信が入る。
大将閣下である。
「良いあんばいだ。 このまま行くと、敵の超大型戦艦を一斉射撃する機会が来る。 恐らく親衛軍が邪魔しに来る。 砲艦やミサイル艦、戦闘機はなんとかする。 親衛軍ウォーリアは君に頼むぞ」
「分かりました」
「正念場だ! 敵を可能な限り削り取れ! 鴨撃ちだ!」
「待ちかねたぞ! 陣列を再編! 徹底的に討ち果たせ!」
周囲から次々と集まってくる味方艦隊も、それに習う。
だが、敵の動きは鋭く、味方がたどり着いた時は既に敵がいないというのもざらになっているようだ。
やはり指揮官が替わったのだとミランも思う。
だが、親衛軍でもないのに。
あの一般侵略者達の事をミランは思う。
あれらが、こんな高度な作戦行動をとれるだろうか。
ともかく、補給完了。
出る。
宇宙空間に飛び出すと、デブリの多さに閉口する。味方はありったけの火力を、エネルギーの残量を気にせずたたき込み続けていて。味方の攻撃に当たらないように気をつけなければならない。
雑魚の相手は、戦闘機隊やウォーリア隊に任せる。
親衛軍は。
いる。あれだ。
加速。
相手は機体を黄金に塗装していて、巨大な……信じられないくらい巨大な砲を担いでいる。
多分あの巨大砲、それ自体が独立した兵装だ。ドラゴンキラーだかと似たような代物なのだろう。
ミランに気付いて、黄金の機体が掛かってくる。
手にしているのは、熱剣か。
確かに近接戦では極めて有効な武器だが、ミランも長槍をこれに対応できるように調整している。
がっと、ぶつかり合う。
「君か、私の同僚を次々に倒している肉は」
「惑星戦で、貴方の同類を見てきた。 あのような有様にされていて、どうして指導者のような屑に従う。 奴に従う必要など無いぞ」
「そうもいかないのだよ。 それにしても若いな。 これが若さか。 ふっ……」
なめた口を利いてくれる。
確かにミランは若いが、それでもこのような年老い方をするつもりはない。
激しく切り結ぶ中、巨大砲が飛んでいく。あれは小型の砲艦として機能すると言う訳か。
それもカスタムタイプだし、今第三艦隊が用意している反物質砲の斉射くらい、邪魔できるかもしれない。
させるか。
黄金の親衛軍ウォーリアを蹴り飛ばす。
非常に頑強なようで、さっと体勢を立て直すと、ハンドガンで連射してくる。これもまともにうけるとまずい。
回避しながら、大型砲を狙いに行くが。
今度は相手から接近戦を挑んでくる。
「やらせはせんよ」
強い。
激しく切り結ぶが、近接戦では今までやり合った親衛軍ウォーリアでは最強か。何度もぶつかり合い、弾き会う。
味方に通信を入れる。
「あの大型砲を破壊してください。 明らかに危険な兵器です。 この親衛軍ウォーリアは自分が抑えます」
「心得た!」
戦闘機隊が来る。
だが、敵戦闘機が一斉に掛かってきて、それを防ぎに来た。
これでは、簡単にはいかない。
「よそ見している暇はあるのかね?」
「……っ」
ガンと、強烈な上段からの一撃が飛んでくる。
それを長槍で防ぐが、相当に押される。
ウォーリアは属人的な兵器だが、こいつ、中身がとにかく強い。狂獣と同じタイプだ。この金色の親衛軍ウォーリアは別にたいしたことが無い特徴の無い機体だが、これは厄介だ。
それに、相手が動きをある程度読んでいるのも分かる。
其処も狂獣と同じか。
「ほう? 思考を読まれている事に気付いたか。 なかなかやるな」
「同じような相手を何機も落としてきたからな」
「そうかそうか。 だがこれはどうだ」
なんだ。
反応が遅れたら、真っ二つにされるところだった。
いきなり剣が加速した。
かろうじて長槍が間に合ったが、勢いが凄まじく、吹っ飛ばされる。更に追撃の蹴りが入った。
態勢を整えるが、その時には既に至近に。
激しく刃を交える。
まずいな。
押さえ込むのでやっとだ。
一ランク上の親衛軍ウォーリアが出てきた。こいつ、あの巨大砲のキャリアというだけじゃない。
多分親衛軍ウォーリアとしては屈指の強者だ。あの解体屋と同等か、それ以上かも知れない。
「なるほど、本当に出来るな。 これほどの長時間、私と戦えた肉は初めてだ。 重カスタム機に乗っているとは言え……」
「それはどうも。 それで貴方はどうして指導者のような屑に従う」
「宇宙のためさ」
「はあ?」
流石に呆れの声が出た。
こいつ、正気か。
あの侵略者の指導者に好きかってさせたら、この宇宙にとって最悪の結果が来る事くらい、ミランにだって分かる。
それを何を言っているのか。
ぐっと押し込んでくる。
動揺させるための、或いは怒らせるための策か。いやそれにしては妙だ。
気付く。
黄金の親衛軍ウォーリア、右腕にダメージが入っている。
そうか、此奴の能力についていけていないのだ。
それが分かれば、やることは決まっている。
「ふむ、この機体ではこれが限界か」
「そのようだな!」
攻勢に出る。
エネルギーの残量がかなり怪しいが、それでも。相手の右に、連続して猛攻を仕掛ける。
やがて、相手の右腕が砕けていた。
それと同時に、見る。
あの超大型戦艦だ。40㎞に達する戦艦が、高速で移動している。味方が、既にデータリンクして、反物質砲を放とうとしているが。
黄金の親衛軍ウォーリアは、敢えてそれをとめようとしていないように見えた。
なんだこいつ。
何を考えている。
離れた瞬間、パルスレーザーで大型砲を射撃。ブースターを破壊して、相手の動きを阻害する。
ちっと舌打ちした黄金色の親衛軍ウォーリア。
そして、巨大砲をつかむと、逃げていく。
追う余裕は、ない。
「今回は此処までだ。 楽しませて貰ったよ。 次は更に出来るようになっていてくれたまえ」
「……」
あいつ。
恐らく次は、違う機体で出てくるな。
もっと強力なのに乗ってくるはずだ。
あの黄金色の親衛軍ウォーリアは、恐らく型落ちだ。パワーにしても何にしても、明らかに他の親衛軍ウォーリアと同等かそれ以下。
乗っているあいつが異常に強いだけだ。
味方の主砲斉射が行われる。
敵超大型戦艦に全ては当たらない。他の艦が盾になったりして、大半が防がれたからだ。
だが、旗艦の側にいた砲撃級戦艦が放った一撃が、完全に通った。
敵超巨大戦艦が、明らかに揺らぐ。
更にもう一発。
特大の対艦船用レールキャノンが炸裂。敵超大型戦艦の一部に、巨大な爆発が起こり、船体の一部が吹き飛んでいた。
「敵超大型戦艦、中破!」
「第二射用意!」
「いえ、駄目です! 離脱されます!」
中破した敵超大型戦艦は、速度を落とさず、そのまま逃げていく。
仕方がないか。
大将閣下は舌打ちすると、残敵の掃討を命じる。
それにしてもだ。
敵の現状のこの戦線での兵力は700万隻ほど。
それのうち200万隻を投入しての大規模攻勢。明らかに今までと動きが違いすぎている。
ミランも掃討戦に参加した後帰投。
被害を聞かされた。
味方の艦隊の損害、37万隻。
これに対して敵艦隊の損害は、29万隻。
被害は味方が多い。
だが、敵の前線突破を阻止し、更には今まで傷さえつけられなかった超大型戦艦に明確なダメージを与えた。
更には味方の戦力の比率から考えると、敵の損害の方が多い。
戦略的、戦術的、どちらに関しても味方の勝利だ。
だが、ミランは思う。
この状況にしては、敵の被害が小さすぎる
紡錘陣形での敵中突破に失敗して、囲まれ掛けて突破して逃げた。しこたま背後を撃たれたわけで、それでこの程度の被害。
やはり動きが根本的に違っている。
パドフ中将でもこれは苦戦するのではないか。
パドフ中将が指揮してくれたらなあ。
そう思って、ため息をつく。
それとだ。
あの黄金色の親衛軍ウォーリア。かなりまずい。今のうちに、調べておく必要があるだろう。
ハコトに解析を頼む。
だが、あの黄金色の親衛軍ウォーリアは、初めて目撃された機体であるらしい。だが、それではおかしい。
あの熟練度、生半可ではなかった。
「何かしらの理由で、機体を乗り換えてきているとか」
「可能性はありますが、親衛軍が話しかけてくること自体がまれです。 ミラン中佐はまともに戦える相手と言うことで、親衛軍達も或いは気に入っているのかもしれません」
「気に入られても困りますが」
「分かります。 戦闘スタイルなどで、類例がないか調べてみます。 時間が掛かるので、お休みください」
頷くと、後は任せる。
要塞艦では、誰々がやられたとか、そういう話をしていた。
今度の敵の大攻勢でも、有名な戦闘機乗りが何人も落とされたらしい。
提督の戦死者も五人出ているそうだ。
或いは敵は、こちらの司令部を潰しに来ているのか。
だとすると、いずれは第三艦隊を狙ってくるのではあるまいか。
あの黄金色の親衛軍ウォーリア。
あの大型砲。
あり得る話だ。
今は、残念だが、もう出来る事がない。
休む。
疲れがたまっているというか、どっと冷や汗が出てきた。
ウォーリアは属人的な兵器。
あの親衛軍が、解体屋が使っているようなのに乗ってきた場合の戦闘力を考えると、ぞっとしない。
対策が必要だ。
しかし何をするべきか。
あの格闘戦闘能力、狂獣よりも更に上。更にこちらの思考を読む能力まであると見て良いだろう。
射撃が苦手かというと、そんなこともないはず。
もしそうなら、あんな巨大砲を担いでこないだろう。
引き際も心得ていた。
隙が見つからないな。
ため息をつくと、横になってゴロゴロする。
久々に、とんでもなく厄介な相手とぶつかった気がする。ともかく今は、少しでも相手をどうにかすることを考えなければならなかった。
パーミルトン大将は、味方の損害を受けてそうかとだけ応えた。
何を考えているか相変わらず分からないな。
意固地な人である事や。
どうしてその考えに至るかは分かる。
だが、今の時点で何を考えているかが分からない。それが困りどころだ。
クルアッハ少将は、参謀をまとめて、会議をする。
ミラン中佐をうまいこと活用したい。
この戦線に来てからも、見事な活躍を見せてくれている。重カスタム機を任せるに充分な戦果だ。
新たの民の基準からも遙かに逸脱していて。
何かしらの突然変異ではないかという声も上がっているようだが、その辺りはまだ詳しく調べないと分からない。
いずれにしても、今することは。
敵の戦力を削り取ること、である。
守りに徹するにしても、こちらが削られるばかりでは駄目だ。
敵を誘引するにしても、こちらの戦力が侮りがたいことを示さなければならない。
現在、他戦線はいずれもが有利に戦闘を進めている。いくつかの戦線は、敵が瓦解する兆候すらある。
既にアラタ星系での戦闘以降、250の星系を奪取。
その全てで勝利を収めているが、1000億以上の星系が侵略者の手にあることを考えると、微々たるものである。
ただ、制圧した星系は、いずれも敵の生産基盤などを握っている。
星系を一つ落とすだけで、それだけ敵の力を削ぐことが出来るのだ。
これを更に加速させれば。
或いは、敵の母星を直撃する作戦を立てられるかも知れない。
母星を直撃しても、侵略者が瓦解するとは思えないが。それでも、やってみる価値はあるだろう。
策をあれこれ考えていると、パーミルトン大将が不意に通信を入れてくる。
「作戦を詰めろ」
「は、いかなる作戦でありましょう」
「今送った敵の要塞艦を落とす」
「……!」
敵も戦線に要塞艦をいくつも浮かべているが、これは。
敵の戦線後方にあるものだ。
工廠をかねているものであり、輸送の中継地点である。確かにこれを落とせれば、非常に大きいが。
「あの強力な超巨大戦艦が出てきて以降、敵の動きが明らかに鋭くなっています。 このような敵地奥深くに潜入して、しかも要塞艦を……。 極めて厳しい任務の上、成功しても生きて帰るのは……」
「だから敢えてその作戦を執る。 作戦に必要な条件と人員などをまとめろ。 調整は私がやる」
「分かりました」
それだけで通信が切れる。
困ったものだ。
「このような作戦、うまくいくとはとても……」
「そうだな。 しかし、もし達成できる条件があるとすればなんだろうか」
「……例えばですが、敵が今回以上の大攻勢を掛けてきたタイミングでしょう」
その通りだ。
だが、今回の作戦で敵の鋭鋒を受け止めた艦隊は、大きな被害を出し、今再編中である。
200万隻でこれだ。
前線にいる敵の700万隻弱が全部、或いはその半分でも動き出した場合、どうなることだろうか。
正直、想像もしたくない。
ともかく、それを受け止めるとして。
背後を荒らせる指揮官がいるとしたら、誰か。
速攻を得意とする指揮官が好ましいが。基本的に現在、手薄になった敵星系を食い荒らす任務に皆ついている。
むしろ、堅実な用兵で知られる、パドフ中将はどうか。
方面軍の司令官に何度も推された人物だ。困難な任務でも、必ず達成してくれる安心感があるが。
しばし考えてから、クルアッハ少将は決めた。
「パドフ中将に頼もう」
「パドフ中将ですか」
「速攻型の猛将に頼む手も考えたが、此処は生きて帰ることを最優先する指揮官が良いはずだ。 作戦が失敗した場合にも、被害を最小限に抑えられる」
「なるほど……」
それにだ。
パドフ中将であれば、或いは。
要塞艦を落とすだけではなく、もっと副次的な効果を上げてくれるかも知れない。敵の輸送艦隊を根こそぎ焼き払うとか。
これは速攻型の猛将には出来ない。
特に生きて帰ることを前提とする場合、引き際を心得ている指揮官でなければ出来ないからだ。
条件は他にもいくつもある。
敵の超巨大戦艦をはじめとする主力を引きつけて、なおかつ本気にさせなければならない。
今まで超巨大戦艦と一緒に来た指揮官らしき存在は、明らかにこちらをなめてかかっている。
実際問題、作戦目的はだいたい達成しているのだし。
捉えることも出来ていないのだから当然だろう。
其処を本気にさせる必要がある。
後、ワープ阻害装置が大量に必要になる。
色々と入り用だ。
作戦案を練った後、パーミルトン大将に提出。後は向こうで話をしてくれるはずだ。
クルアッハ少将はしばし考え込んだ後、ミラン中佐の事を考える。
餌として最適なのは。
恐らくは彼女だ。
※黄金色のウォーリア
機体そのものは古いのですが、乗っている人物が極めて札付きの食わせ者です。
以降この親衛軍が、敵側の重要な存在になっていきます。
本作にどういった要素がほしいですか。要望があれば遠慮なくどうぞ。
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詳細なマシンデザイン
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圧倒的な武力による蹂躙
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緻密な人間ドラマ
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種族や文明の描写
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近接した力量のライバルとの死闘