王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶   作:dwwyakata@2024

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4、解析の結果

支援者の議長をはじめとする総司令部が報告を聞く。

 

ヴァーグラット戦線での決定的勝利。

 

それを受けて、侵略者は撤退を開始。遅滞戦術に切り替えたと。

 

各地の戦線でも敵が引き始めており、味方による全面攻勢が開始されているとも。

 

ただ問題は、各地の星系だ。

 

岩石惑星は例外なくテラフォーミングされており、侵略者が拠点としている。それらを攻略する際に、何度か確認されている重粒子砲を受ける可能性がある。

 

そのためにも、惑星攻略を行う際には、効果が認められた超大型盾艦が必要であると連絡があり。

 

既に量産が承認されていた。

 

既に盾艦の技術に関しては、支援者は侵略者を明確に上回っている。

 

今回超巨大ブラックホールが手に落ちたこともある。

 

これから物資の差が、更に出てくる。

 

そのはずなのだが。

 

気になる報告が来ていたのだ。

 

「侵略者の通信を傍受したと。 その内容について問題があるというのか」

 

「は……」

 

議長に立体映像越しに頭を下げたのは、諜報部のカールラ大将だ。諜報といっても、相手に人員を潜入させて工作するような事は侵略者という種族の特性上出来ない。出来るのは、偵察艦で通信を傍受して、それを解析することである。

 

諜報部は偵察部隊を天の川銀河に多数派遣しており、危険度が高い任務だ。

 

あまり諜報部の所属人数は多くないが、その危険度から、特務が千名以上在籍している。

 

今回も、特務からの情報だった。

 

「侵略者はアンドロメダ銀河に先遣隊を派遣していることが確定しました。 何やらそちらからの情報を送り込んできています。 また、大小マゼランにも似たようなことをしているようです」

 

「まずいな……」

 

現在3名しかいない元帥の一人であるエールラハ元帥がぼやく。

 

作戦本部の長であるエールラハ元帥は、六種族ではないが、元帥として辣腕を振るってきた人物である。

 

といってもヒューマノイドではなく、全身は八角錐の立方体だが。

 

それでいて実は有機生命体というややこしい種族である。

 

「大小マゼランもそうだが、特にアンドロメダ銀河を全て侵略者が手にでもしていたら、物量差などあっという間にひっくり返されるぞ」

 

「は。 それも懸念して情報を集めていましたが。 少なくともアンドロメダ銀河ではうまくいっていないようにございます」

 

「詳しく」

 

「いくつか得られた情報によると、アンドロメダには別の種族が覇権を握っていて、侵略者では手も足も出なかったようなのです。 どうもその種族の情報を侵略者は送ってきているようですな」

 

ただ、情報は断片的。

 

どうやら有機生命体ではないらしい、ということしか分からないと言う。

 

議長は嘆息すると、調査続行を告げた。

 

大小マゼランは合計しても天の川銀河の一割ちょっと程度の存在であるが、問題は中心部の超巨大ブラックホールだ。

 

安定してそこから物資を持ち帰れるようになると、また侵略者が体勢を立て直す可能性が高い。

 

それに、である。

 

アンドロメダからの情報を持ち帰らせているというのが議長には気になった。

 

侵略者が手に負えない相手となると、こちらでも苦戦する可能性が高い。

 

どうせ生物兵器として活用しようとでも考えているのだろうが。

 

あの全ては自分の私物と考えているらしい侵略者の指導者が、自分の支配を受け付けない相手をそのように扱うだろうか。

 

それが少し分からないところではあった。

 

次の報告がある。

 

ヴァーグラット戦線での決定的勝利で、敵の巨大なDBをほぼ無傷で手に入れたのである。

 

今までは敵は基地を制圧しても殆ど爆発四散してしまったこともある。

 

これは極めて大きい成果だった。

 

さっそくあのパデラクスが調べているようだが。

 

その名前を聞くだけで、参加者はげんなりしている者も多いようだった。

 

「パデラクスからの何かの報告は」

 

「決定的な成果はありませんが、夢中になって調べているようです」

 

「そうか……」

 

色々諦めきった声。

 

まあそうだろう。

 

パデラクスが好きな者なんて、滅多にいない。それくらいの変わり者として知られているのだ。

 

愛される変わり者ではなく、嫌われるほうだが。

 

その上、非常に有能であるのがタチが悪い。

 

「決定的とまでは言いませんが、一つ成果があります。 親衛軍の正確な生体情報がついに手に入りました」

 

「本当か」

 

「は。 生物の設計図、遺伝子情報を完璧に入手できました。 色々とこれを使って悪さが出来るとパデラクスが言っていましたが」

 

「扱いは慎重にな。 暴れられでもしたら簡単にはとめられぬ」

 

「承知しました」

 

もう一つ、と報告を議長は読み上げる。

 

親衛軍の一人。親衛軍NO3_009116が内通を申し出た件だ。

 

それについては、DBの無傷入手という点で極めて興味深い。

 

今まで親衛軍の名前の法則性などは分かっていたのだが、三世代型の親衛軍からの話が聞けるのは面白い。

 

勿論、いきなり肉体を再生させてやる事などはあり得ないが。

 

「侵略者はその遺伝子情報を完全に指導者に破壊されていると聞く。 それらを修復は可能か」

 

「可能だとパデラクスは言っているようですが、まずは意識だけを機械に転写して、話を聞くべきかと」

 

「そうだな……それならばすぐにでも出来そうか」

 

「はい。 パデラクスに命じれば、嬉々としてやりましょう」

 

議長が嘆息して、やるように指示。

 

そして、議題を進める。

 

今回の攻勢で、侵略者の領域を最低でも5%削り取る。

 

その過程で、侵略者に土地を奪われた種族の母星を可能な限り取り返す。惑星環境の再調整、修復も行わなければならない。

 

決済しなければならない資料は多い。

 

議長は、勝っているというのに、気持ちが休まることは全くなかった。

 

 

 

(続)







※支援者の上層部

議会民主制を採用しています。現在の統括議長(支援者のトップ)はクアーラ。年配の女性です。別に世襲でも何でも無く、長年政治家として地道に実績を積み上げて、選挙で当選して統括議長になりました。現在10期ほど議長の座についています。

幹部会議では専門家が出るため、軍部のトップ層も顔を出すことになります。文民統制と言いたい人もいるかもしれませんが、1000期以上も戦争が侵略者と続いている状態です。いっそ軍部と連携して政務を執るのが正しいやり方だと支援者では判断したわけですね。

トップ層には六種族が多いですが、別に六種族が優遇されている訳でも何でも無く、様々な種族が議長などの要職を歴任しています。

腐敗が全くないとは言いませんが、侵略者があまりにもやばすぎるので、団結せざるを得ない。そのため、法治主義によってよくまとまった組織になっているのが支援者です。

……むしろ侵略者に完勝して宇宙から消し去った後が組織の課題になるかも知れないですね。





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